CKサンエツ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

CKサンエツ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東証プライム市場に上場し、伸銅品や精密部品、配管機器の製造販売を行う持株会社です。主力事業である伸銅事業では国内トップクラスのシェアを有しています。直近の業績は、売上高1,251億円(前期比12.3%増)、経常利益84億円(同37.6%増)と増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社CKサンエツの有価証券報告書(2025年3月期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. CKサンエツってどんな会社?


同社グループは、黄銅棒・線などの伸銅品、カメラ部品などの精密部品、配管機器・鍍金加工を主力事業として展開する企業グループです。

(1) 会社概要


1937年に前身となる企業が設立され、1991年に合併を経て現在の基盤が形成されました。2011年に純粋持株会社体制へ移行し、商号をCKサンエツに変更しています。2015年には日本伸銅を連結子会社化し、事業規模を拡大しました。その後、2022年の東京証券取引所の市場区分見直しにより、プライム市場へ移行しています。

同社グループの連結従業員数は912名、単体では持株会社のため0名です。筆頭株主は取引先による持株会で、第2位は従業員持株会となっており、ステークホルダーによる保有比率が高いのが特徴です。第3位には資産管理業務を行う信託銀行が名を連ねています。

氏名 持株比率
CKサンエツ取引先持株会 11.02%
CKサンエツ従業員持株会 6.47%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 4.67%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は釣谷宏行氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
釣谷 宏行 取締役社長(代表取締役) 北陸銀行を経てシーケー金属入社。同社社長などを経て、2000年より同社社長。サンエツ金属社長、日本伸銅会長などを兼務し、グループ経営を牽引。
釣谷 伸行 専務取締役営業管掌 日産自動車を経て同社入社。シーケー金属取締役、同社常務取締役営業本部長などを歴任。現在は営業管掌としてサンエツ金属やシーケー金属の専務も兼務。
松井 大輔 取締役管理統括部長 北陸銀行を経て同社入社。管理本部長、財務・企画部長などを経て、現在は管理統括部長としてグループの管理部門を統括。日本伸銅取締役も兼務。
森 千恵美 取締役(常勤監査等委員) サンエツ金属入社後、同社秘書室長を経て、2024年より現職。


社外取締役は、桝田和彦(元住友軽金属工業社長・会長)、山田政雄(DOWAホールディングス会長)、浜田亘(元あずさ監査法人北陸事務所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「伸銅」「精密部品」「配管・鍍金」の3つの報告セグメントで事業を展開しています。

(1) 伸銅


黄銅の棒・線およびめっき線を生産しています。これらの製品は、自動車や家電製品、水栓金具などの素材として幅広く使用されており、環境負荷物質を使用しない環境対応合金の実用化も進めています。主な顧客は加工メーカーや商社などです。

収益は製品の販売による対価です。運営は、サンエツ金属、日本伸銅、三谷伸銅などが担っています。国内に複数の生産拠点を持ち、グループ間でのシナジー追求やトップシェアにふさわしいブランドイメージの形成を目指しています。

(2) 精密部品


黄銅製のカメラマウント(デジタル一眼レフカメラ部品)やシンクロリング(自動車変速機部品)、水栓金具などの鍛造加工や切削加工を行っています。高度な加工技術を要する部品をカメラメーカーや自動車部品メーカー等へ提供しています。

収益は加工部品の販売による対価です。運営は主にサンエツ金属が、富山県砺波市にあるプレシジョン工場を拠点に行っています。素材からの一貫生産体制を活かした競争力が特徴です。

(3) 配管・鍍金


水道やガスの配管に使用される継手の生産や、鋼材の防錆処理としての溶融亜鉛鍍金を行っています。環境負荷物質を使用しない脱塩ビ継手や環境対応鍍金「CKeめっきスーパー」など、独自技術による製品開発に注力しています。

収益は配管機器の販売および鍍金加工料です。配管機器の開発・生産はリケンCKJVが、溶融亜鉛鍍金はシーケー金属がそれぞれ担当しています。リケンとの拠点統合による相乗効果も追求しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は銅相場の変動等により増減があるものの、概ね1,100億円から1,200億円台で推移しています。経常利益は銅相場の影響をヘッジ取引等でコントロールしつつ、直近では84億円と高水準を記録しました。当期純利益も安定して確保しており、利益率は4〜7%程度を維持しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 691億円 1,153億円 1,238億円 1,114億円 1,251億円
経常利益 4億円 66億円 87億円 61億円 84億円
利益率(%) 0.6% 5.7% 7.0% 5.5% 6.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 8億円 43億円 53億円 38億円 52億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、売上総利益および営業利益も大きく伸長しました。売上総利益率は12%台で推移しており、営業利益率も改善傾向にあります。銅相場の高値推移が増収に寄与した一方、利益面でもしっかりとした確保が見られます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,114億円 1,251億円
売上総利益 130億円 154億円
売上総利益率(%) 11.7% 12.3%
営業利益 79億円 103億円
営業利益率(%) 7.1% 8.2%


販売費及び一般管理費のうち、その他経費が22億円(構成比43%)、給料及び手当が12億円(同24%)を占めています。売上原価については、変動費等の詳細内訳は不明ですが、売上高に対する売上原価率は88%程度となっています。

(3) セグメント収益


主力の伸銅事業は販売量が微減したものの、銅相場高により増収増益となり、全社利益を牽引しました。精密部品事業も増収増益を確保しています。配管・鍍金事業は売上・利益ともに堅調に推移しました。全セグメントで黒字を維持しており、バランスの取れた収益構造となっています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
伸銅 936億円 1,064億円 50億円 71億円 6.7%
精密部品 54億円 56億円 5億円 6億円 11.1%
配管・鍍金 125億円 131億円 21億円 22億円 16.9%
その他 - - - - -
調整額 - - - - -
連結(合計) 1,114億円 1,251億円 79億円 103億円 8.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラス、投資CFと財務CFはマイナスとなっており、本業で稼いだ現金を投資や借入返済に充てる「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 37億円 53億円
投資CF -27億円 -23億円
財務CF -11億円 -3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は60.1%で市場平均(プライム市場製造業平均46.8%)を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「良いものだけを、安く、早く、たくさん生産することで、社会に貢献します」等を経営理念として掲げています。また、「地味だけど凄い価値の創造」を目指し、社会からの期待に応え、それを超えるために弛みない努力を重ねることを重視しています。

(2) 企業文化


「努力するに値するプロの仕事と、努力して働くほど報われる働きがいのある職場を提供することで、社会に貢献します」という理念に基づき、社員が成長を実感できる環境づくりを重視しています。また、期待に応えるだけでなく、期待を超える成果を目指す姿勢が組織全体に共有されています。

(3) 経営計画・目標


同社は、経営状況を判断する客観的な指標として経常利益を重視しています。これは、伸銅事業における銅相場の変動リスクをデリバティブ取引でヘッジし、経常利益段階での利益安定化を図っているためです。

* 2026年3月期の経常利益目標:75億円

(4) 成長戦略と重点施策


国内市場の成熟に対応するため、新製品開発による市場開拓とM&Aによる事業拡張に注力しています。伸銅事業では新素材開発やブランド強化、シナジー追求を進め、配管・鍍金事業ではリケンとの統合効果の最大化や新技術の実用化による差別化を推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人事申告制度」を通じて意欲ある社員に多様な経験を積ませ、適材適所の配置を行っています。また、通信講座等の教育機会の提供や「働き方選択制度」により、社員の成長とライフステージに応じた働き方を支援しています。さらに、「夜勤レス」の推進により、健康的で安心して働ける職場環境の整備に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(グループ会社平均)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 -歳 -年 7,038千円


※平均年間給与はグループ会社の平均値(有価証券報告書注記より)。提出会社は純粋持株会社のため従業員なし。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -
男性育児休業取得率 13.3%
男女賃金差異(全労働者) 64.3%
男女賃金差異(正規) 71.9%
男女賃金差異(非正規) 42.8%


※女性管理職比率については、公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(80.8%)、通信教育修了率(96.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 材料価格変動のリスク


銅や亜鉛などの国際相場商品を主原料としているため、相場が乱高下した場合、棚卸資産の評価損益が発生する可能性があります。また、価格高騰が続くと代替材への切り替えが進み、需要が減少する恐れもあります。同社はデリバティブ取引によりリスクヘッジを行っています。

(2) 電力供給不安のリスク


製造工程において電気炉を使用し銅や亜鉛を溶解しているため、電力供給が不安定になると生産障害が発生する可能性があります。万一の事態に備え、電力事情が悪化していないグループ内の他工場での代替生産体制を想定しています。

(3) 海外事業拠点のリスク


中国や台湾に製造・販売拠点を有しており、現地の政治・経済情勢の変化や予期せぬ法規制の導入などが事業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。管理部門が現地法人と密に連携し、問題の早期発見と是正に努める体制を構築しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。