※本記事は、株式会社大阪チタニウムテクノロジーズ の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
大阪チタニウムテクノロジーズは、金属チタン製品および高機能材料の製造販売を手がけています。スポンジチタンやチタンインゴットといった金属チタン製品に加え、高純度チタンや粉末チタンなどの高機能材料も提供しています。
同社の単体従業員数は742名です。事業セグメントはチタン事業と高機能材料事業の2つで構成されています。
大阪チタニウムテクノロジーズは、金属チタンおよび高機能材料の製造販売を主要事業としています。同社の製品は多くの産業プロセスを経て最終製品となります。
なお、同社は当事業年度より報告セグメントの区分を変更しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社大阪チタニウムテクノロジーズは、素材産業を支える企業として、安定した事業基盤を持つことがうかがえます。従業員の平均勤続年数や平均年齢から、長期的なキャリア形成が可能な環境であると推測できます。同社は、人材を重要な資産と捉え、働きがいのある職場環境の実現に注力しているようです。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、従業員が長期にわたって安定して勤務している傾向が見られます。これは、培われた経験や知識が組織内に蓄積され、事業活動に貢献していることを示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,163,437円 |
| 平均勤続年数 | 16.0年 |
| 平均年齢 | 43.9歳 |
| 単体従業員数 | 742人 |
同社は、確定給付型の制度として確定給付企業年金制度、確定拠出年金制度及び退職一時金制度を採用しています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。
退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、退職給付債務は38.9億円、年金資産は42.2億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は人材を「重要な資産」と捉え、その価値を最大限に引き出すことで企業価値の向上を目指しています。2030年度のありたい姿に向け、「会社の将来の成長」と「働きやすく働きがいがある会社」の双方を重視し、人的資本の強化に取り組んでいます。中期経営計画では「人的資本経営の推進」をサステナビリティ戦略の基本方針の一つとして位置付け、「採用」「育成」「活躍」の三位一体の人材戦略を展開しています。
従業員の「能力」や「成果」が適切に反映されるよう給与を決定しており、公正な評価制度の運用と適切な人事評価の実施に努めています。市場の動向を考慮し、競争力のある給与水準を維持することで、人材の確保・定着につながる処遇の実現を目指しています。
また、安全と健康を経営の基盤・最重要課題と認識し、従業員が能力・活力を十分に発揮し、安全で活き活きと働き続けられる職場環境作りを目指しています。国籍、人権、宗教、性別、年齢等に基づく不当な差別を排除し、多様な人材が能力を最大限に発揮できる環境作りに努めています。働き方改革の推進等を通じて、従業員がやりがいをもって働ける環境を整備し、優秀な人材の確保・育成のため人的資本に対する積極的な投資を行っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。賃金の差異については、正規雇用労働者では管理職における女性比率が低いこと、パート・有期労働者では男性は交替勤務に従事する従業員の比率が高いこと、女性は短時間勤務に従事する従業員の比率が高いことが主な理由として挙げられています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 1.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 76.9% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 68.4% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 75.9% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 70.8% |
安全で健康な職場環境の構築
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 休業度数率 | 0 |
| 死亡・重大災害件数 | 0件 |
| 安全に関する階層別教育 受講者数 | 125人 |
| 年次有給取得日数 | 18.1日/人・年 |
| 年間総実労働時間 | 1,928時間/人・年 |
| 3年未満離職率 | 20.0% |
| 男性育児休暇取得率向上 | 76.9% |
人材育成とダイバーシティの推進
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 総研修受講時間 | 15,741時間 |
| 管理職に占める海外経験を有する者の比率 | 17.5% |
| 管理職に占める中途採用者の比率 | 49.1% |
| 新卒及び総合職中途採用者に占める女性比率 | 10.2% |
| 女性総合職社員に占める管理職比率 | 7.1% |
| 障がい者雇用率 | 2.3% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
大阪チタニウムテクノロジーズは、金属チタンの製造販売を行うチタン事業と、高純度チタンや粉末チタンなどの高機能材料の製造販売を行う高機能材料事業の二つの事業を展開しています。それぞれの事業が異なる産業分野の需要に応え、同社の収益を支える構造となっています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、金属チタンと高機能材料の製造販売を主軸としています。チタン事業は民間航空機産業の需要に強く関連しており、高機能材料事業は半導体市場の動向に影響を受ける特徴があります。
チタン事業
金属チタン(スポンジチタン、チタンインゴット)を主な製品として製造販売しています。民間航空機の運航機数増加に伴うエンジンのMRO(メンテナンス・リペア・オーバーホール)需要が堅調に推移する一方で、民間航空機メーカーを中心としたサプライチェーンにおける在庫調整の影響を受けています。収益は、主に輸出向けと国内向けの販売から得ており、前期と比較して輸出向けは増加したものの、国内向けは大幅に減少しました。
高機能材料事業
スポンジチタンの製造工程における中間生成物である四塩化チタン及び四塩化チタン水溶液と、チタンやシリコンの新用途開発品である高純度チタン、粉末チタン、SiO等の高機能材料を製造販売しています。収益は、AI関連を除く半導体市場の需要動向に左右される傾向があります。前期には半導体関連のスパッタリングターゲット用高純度チタンのスポット受注増加がありましたが、当期は減少しました。
同社の売上高は、特定の取引先への集中が見られます。また、地域別では米国が最大の市場となっており、海外での事業展開が収益に大きく寄与しています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| チタン事業 | 452億円 | 404億円 |
| 高機能材料事業 | 66.8億円 | 65.1億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の直近の業績は、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のいずれも前期から減少する結果となりました。民間航空機サプライチェーンにおける在庫調整の影響や、国内向け販売数量の減少、輸出向け販売価格の下落などが影響しています。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社の財務基盤は、本業で得た資金を将来の成長投資に充てている状況を示しています。手元資金を使いながらも、事業の拡大に向けた積極的な投資を行っている段階です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の製造業平均と比較してやや低い水準にあります。手元資金は前期から減少している状況です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 428億円 | 443億円 |
| 自己資本比率 | 42.4% | 41.4% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び預金等 | 46.2億円 | 41.5億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社は本業で安定した資金を生み出していますが、それを上回る規模の投資活動を行っています。このため、フリーキャッシュフローはマイナスとなっており、財務活動による資金調達で補っている状況です。これは、将来の成長に向けた積極的な投資フェーズにあることを示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 28.6億円 | 41.7億円 |
| 投資CF | △34.8億円 | △96.8億円 |
| 財務CF | △6.9億円 | 49.9億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △6.2億円 | △55.1億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社の輸出向け金属チタンは航空機用が主要用途であり、航空機メーカーの受注やメンテナンス需要の変動、海外メーカーの動向により経営成績が影響を受ける可能性があります。また、世界経済の変動や多国間の通商問題、資源・エネルギー価格の高騰も経営成績に影響を与える可能性があります。
同社の輸出売上高の多くが米ドル建てであるため、為替の変動により経営成績が影響を受ける可能性があります。為替予約取引によるヘッジを行っていますが、為替リスクを完全に排除することは困難であると示されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は事業の維持・成長に必要な人材の確保のため、職場環境の整備や人材育成に取り組んでいます。しかし、少子化や人材の流動化の加速、労働市場の需給バランスの変化などにより、人材確保が想定通りに進まない場合には経営成績が影響を受ける可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
大阪チタニウムテクノロジーズは、持続可能な社会の実現に貢献し、中長期的な企業価値向上を目指す企業です。グローバルリーダーとしての地位を確立し、社会の発展に貢献する価値観を大切にしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
大阪チタニウムテクノロジーズは、中期経営計画「OTC 2030」において、新たなパーパス・ビジョンを掲げています。同社はスポンジチタンメーカーのグローバルリーダーとしての地位を確立し、世界の航空機産業の一角を担う企業として国際社会への貢献を目指しています。チタン事業で得た収益を高機能材料事業へ重点的に投入し、半導体分野や環境分野など他の成長分野の変革を図る方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
大阪チタニウムテクノロジーズは、サステナビリティに関する諸課題への積極的な取り組みを通じて、持続可能な社会の実現と企業価値向上を目指しています。同社は人権の尊重を重視し、安全と健康を経営の最重要課題と位置づけています。従業員が能力を最大限に発揮できるよう、不当な差別を排除し、多様な人材が活躍できる職場環境の整備に努めています。また、働き方改革の推進やイノベーションの追求、企業行動規範に基づくコンプライアンス経営の強化も重視する価値観です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
大阪チタニウムテクノロジーズは、スポンジチタンの航空機産業への依存度が高い事業構造の安定性とリスク分散を課題として認識しています。社会課題としては、GX(グリーントランスフォーメーション)の推進と、労働人口減少に伴う人材確保、業務の効率化・自動化に取り組んでいます。これらの課題に対処するため、中期経営計画「OTC 2030」を策定し、人的資本経営やDXの推進を重点テーマとしています。具体的には、「採用」「育成」「活躍」の三位一体の人材戦略による人的資本の強化や、スマートファクトリー化による生産性向上、DX人材の育成を進めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
大阪チタニウムテクノロジーズは、事業に精通した取締役と専門知識を持つ監査等委員である取締役で構成される取締役会により、経営の意思決定の迅速化と監督機能の強化を図っています。同社は監査等委員会設置会社へ移行しており、経営の透明性、健全性の維持・強化に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
大阪チタニウムテクノロジーズの株主構成を見ると、筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)であり、複数の機関投資家や事業会社が上位に名を連ねています。特定の創業家や個人による支配的な影響は見られず、幅広い機関投資家や事業パートナーに支えられた資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 9.44% |
| 神戸製鋼所 | 8.15% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 5.83% |
なお、前事業年度末において主要株主であった神戸製鋼所は、当事業年度末現在では主要株主ではなくなっています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.0%です。代表取締役社長は川福純司氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 川福 純司 | 代表取締役社長 | 1985年神戸製鋼所入社後、チタン事業部門の要職を歴任。2020年大阪チタニウムテクノロジーズ常務執行役員、2024年6月より代表取締役社長。 |
| 脇 治豊 | 取締役専務執行役員 | 1983年住友金属工業(現 日本製鉄)入社。2012年大阪チタニウムテクノロジーズ総務部長、執行役員、常務執行役員を経て、2025年6月より取締役専務執行役員。 |
| 荒池 忠男 | 取締役常務執行役員 | 1991年大阪チタニウムテクノロジーズ入社。チタン製造部長、執行役員を経て、2023年6月より取締役常務執行役員。 |
| 松岡 淳 | 取締役執行役員 | 1992年神戸製鋼所入社。チタン事業部門の営業部長などを経て、2024年6月大阪チタニウムテクノロジーズ取締役執行役員、東京支社長に就任。 |
社外取締役は、山口重久氏(元アンリツ常勤監査役・監査等委員)、村田雅詩氏(TOA社外取締役・監査等委員)、大石賀美氏(弁護士・芦森工業社外監査役・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会は8名で構成され、うち3名が独立社外取締役です。社外取締役は、公正かつ中立な立場から経営効率の維持・向上と監督機能の強化に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
大阪チタニウムテクノロジーズの役員報酬は、固定給である基本報酬と業績連動報酬で構成されています。業績連動報酬は、前事業年度および当事業年度の業績・配当水準を勘案して決定され、報酬総額に占める割合は0%から50%の範囲です。社外取締役の報酬は固定報酬のみとなっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 1.6億円 | 31.4百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 21百万円 | 21.0百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 20百万円 | 6.7百万円 |
個人別報酬が開示されている役員はいません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。