※本記事は、株式会社エルアイイーエイチの有価証券報告書(第21期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. エルアイイーエイチってどんな会社?
純粋持株会社として、食肉卸、酒類製造、教育関連、リフォーム、福祉、旅行等の多角的な事業を傘下に持つ。
■(1) 会社概要
2004年に東京理化工業所の株式移転により設立され、東証二部に上場した。2005年に老松酒造の株式取得により酒類製造事業へ参入し、創育を設立して教育関連事業を開始した。2024年7月に子会社ボン・サンテを売却して食品流通事業から撤退する一方、同年10月には旅行事業や福祉サービス事業を行う企業を完全子会社化した。
同社の連結従業員数は136名、単体では6名です。筆頭株主は元代表取締役の福村康廣氏、第2位はコンステレーションズ、第3位は山口豊彦氏です。コンステレーションズおよび山口豊彦氏は、2024年10月に実施された株式交換により新たに主要株主となりました。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 福村康廣 | 24.96% |
| コンステレーションズ | 12.93% |
| 山口豊彦 | 12.81% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は山口和也氏です。社外取締役比率は57.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山口和也 | 取締役社長(代表取締役) | 2001年筑豊製作所入社。九州デリカ、フォーリーフ設立。2024年エルアイイーエイチ入社、執行役員等を経て、2025年6月より現職。 |
| 田中雅朗 | 取締役 | 2002年肥後リカー入社。2024年エフミート代表取締役、エルアイイーエイチ執行役員を経て、2025年6月より現職。 |
| 金本慶峰 | 取締役 | 1998年ワールドビジネスセンター入社。2017年東理ホールディングス入社。2021年エルアイイーエイチ取締役就任、一度辞任後、2025年6月より現職。 |
社外取締役は、福田哲(福田農園創業)、染谷光俊(学校法人中野学院 認定こども園オーセルわかば幼稚園理事長)、野間優佑(野間優佑公認会計士事務所代表取締役)、石田沙月(株式会社インターナショナルキャリアトレーディング取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「食肉卸事業」、「酒類製造事業」、「教育関連事業」、「リフォーム関連事業」、「福祉サービス事業」、「旅行事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 食品流通事業(撤退済み)
業務用食品の小売ディスカウントおよび酒類の小売を行っていました。
2024年7月に運営子会社であるボン・サンテの全株式を売却し、当該事業から撤退しました。当期においては第1四半期までの実績が含まれています。
■(2) 食肉卸事業
輸入肉、国産肉の食肉卸販売を行っており、中食・外食業界などが主な顧客です。
顧客への食肉販売代金が収益源です。運営は主にエフミートが行っています。なお、ボン・サンテの食肉卸部門をエフミートが承継しています。
■(3) 酒類製造事業
焼酎を主とする酒類の製造販売を行っています。主力ブランドとして本格麦焼酎「閻魔」シリーズや清酒「山水」、リキュール「梨園」などを製造しています。
卸売業者や小売業者への酒類製品の販売代金が収益源です。運営は主に老松酒造が行っています。
■(4) 教育関連事業
中学校向けのテストおよび教材の制作販売、授業動画配信を行っています。
顧客に対する模擬テストの実施・採点料や、教材販売代金が収益源です。運営は主に創育、創研およびTransCoolが行っています。
■(5) リフォーム関連事業
首都圏を中心にマンションの大規模修繕工事や改修設計等を行っています。
顧客からの工事請負代金等が収益源です。運営は主になごみ設計が行っています。
■(6) 福祉サービス事業
就労継続支援A型や就労移行支援をはじめとする福祉サービスを行っています。
サービスの利用者に対する支援の役務提供による対価が収益源です。運営は主にMAGパートナーズ、づくりおよび京竹が行っています。
■(7) 旅行事業
主にアジア圏の富裕層・団体旅行に関する手配や受入等を行っています。
旅行者への手配業務に対する対価が収益源です。運営は主にフェニックス・エンターテイメント・ツアーズが行っています。
■(8) その他
損害・生命保険代理業などを行っています。
保険代理店手数料などが収益源です。運営は主にオリオンキャピタル・インベストメントが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は直近で大きく減少しました。これは主力であった食品流通事業からの撤退が主な要因です。利益面では、営業損失および経常損失が続いており、赤字幅も拡大傾向にあります。一方で、2025年3月期は子会社株式の売却益を計上したことにより、最終利益は黒字転換しました。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 158億円 | 155億円 | 179億円 | 190億円 | 103億円 |
| 経常利益 | 7億円 | 5億円 | -0.5億円 | -9億円 | -16億円 |
| 利益率 | 4.2% | 3.1% | -0.3% | -4.8% | -15.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 6億円 | 6億円 | -0.5億円 | -18億円 | 6億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な減少に伴い、売上総利益も減少しました。販売費及び一般管理費は減少したものの、売上総利益の減少をカバーできず、営業損失が拡大しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 190億円 | 103億円 |
| 売上総利益 | 28億円 | 11億円 |
| 売上総利益率(%) | 14.8% | 10.7% |
| 営業利益 | -15億円 | -16億円 |
| 営業利益率(%) | -8.0% | -16.0% |
販売費及び一般管理費のうち、給料が6億円(構成比21%)、役員報酬が3億円(同11%)、賃借料が3億円(同9%)を占めています。
■(3) セグメント収益
食品流通事業からの撤退により同セグメントの売上・利益が大幅に減少しました。食肉卸事業は増収となりましたが赤字幅が拡大しました。教育関連事業は減収となり依然として大きな損失を計上しています。新規連結のリフォーム、福祉、旅行事業も損失を計上しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 食品流通事業 | 133億円 | 33億円 | 7億円 | 2億円 | 5.9% |
| 食肉卸事業 | 22億円 | 34億円 | -0.8億円 | -1億円 | -3.5% |
| 酒類製造事業 | 19億円 | 18億円 | -6億円 | -0.2億円 | -1.1% |
| 教育関連事業 | 16億円 | 13億円 | -12億円 | -9億円 | -71.7% |
| リフォーム関連事業 | - | 3億円 | - | -0.1億円 | -4.4% |
| 福祉サービス事業 | - | 0.3億円 | - | -0.1億円 | -20.9% |
| 旅行事業 | - | 1億円 | - | -0.1億円 | -7.4% |
| その他 | 0.3億円 | 0.1億円 | 0.0億円 | 0.0億円 | 71.1% |
| 調整額 | - | - | - | - | - |
| 連結(合計) | 190億円 | 103億円 | -15億円 | -16億円 | -16.0% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、事業規模に応じた現金及び現金同等物の適正額を維持する方針です。
営業活動では、主に事業活動による収入と支出の差額により資金が流出しました。投資活動では、子会社株式等の売却により多額の資金を獲得しました。財務活動では、借入金の返済や株式発行による収入等により資金が流出しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -8億円 | -20億円 |
| 投資CF | -2億円 | 46億円 |
| 財務CF | 8億円 | -3億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、経営上の目標指標として連結ROE15%以上を目指しています。従来の多角化事業への注力方針を改め、成長性と安定性を重視する事業ポートフォリオへの再構築を図るべく、グループ会社の選択と集中に取り組んでいます。また、ガバナンスとコンプライアンスを特に意識した経営に努めるとしています。
■(2) 企業文化
「人」を会社にとっての最大の資産と位置づけ、一人一人の個性を尊重し、「アットホーム」な環境作りを心がけています。業務を通じて個々の成長を促し、働くことからの「やりがい」や「幸福感」を味わえる環境を目指しています。
■(3) 経営計画・目標
経営上の目標指標として、連結ROE(自己資本利益率)15%以上を掲げています。
■(4) 成長戦略と重点施策
事業ポートフォリオの再構築を進めており、食肉卸事業では仕入価格の最適化と販路拡大、酒類製造事業では高付加価値化と輸出拡大を目指しています。教育関連事業は事業モデルの再構築による収益改善を図ります。また、新規に連結したリフォーム、福祉、旅行事業についても、グループシナジーを活かした収益拡大と体制強化を進める方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
国籍、性別、学歴等に関わらず、スキルや意欲のある多様な人財を積極的に採用し、成果に基づいた適切な評価を行う方針です。女性管理職やグローバル人材の登用によるダイバーシティ推進、働き方改革による働きがいの向上に取り組んでいます。また、従業員のスキル向上を重要視し、セミナー受講などの機会を推奨しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 45.0歳 | 0.0年 | 10,580,000円 |
※平均年間給与は基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | - |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※同社および連結子会社は従業員規模が300人以下のため公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、離職率(8.3%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 継続企業の前提に関する重要事象等
主要子会社ボン・サンテの売却等により食品流通事業から撤退したことなどが影響し、営業損失を計上しています。3期連続の営業損失計上となり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象が存在しています。ただし、株式譲渡資金等の獲得により当面の資金繰りに懸念はないとしています。
■(2) 特別注意銘柄への指定
2025年3月27日付で東京証券取引所より特別注意銘柄に指定されました。業務の適正を確保するための体制に不備があり、内部管理体制等の改善が必要とされています。指定後1年後に内部管理体制確認書を提出し審査を受けますが、問題があると認められる場合は上場廃止となる可能性があります。
■(3) 経済動向および需給バランス
主要市場の経済環境悪化による個人消費の減少や価格競争の激化、あるいは供給過剰による販売価格の下落等が、グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。



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