※本記事は、エヌアイシ・オートテック株式会社 の有価証券報告書(第54期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. エヌアイシ・オートテックってどんな会社?
産業用アルミフレーム「アルファフレームシステム」およびそれを使用したFA装置の開発・製造・販売を行う企業です。
■(1) 会社概要
同社は1971年にキュノ・トヤマセールスとして設立され、1986年に産業用アルミフレーム「アルファフレーム」を開発しました。1988年には「ALFA FRAME SYSTEM」を商品化し、製造・販売を開始しています。2006年にジャスダック証券取引所(現:東京証券取引所)へ上場し、2022年の市場区分見直しによりスタンダード市場へ移行しました。
現在の従業員数は単体で188名です。筆頭株主は創業者であり代表取締役会長兼社長の西川浩司氏で、第2位は共同開発や仕入取引のある三協立山、第3位は従業員持株会となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 西川 浩司 | 68.00% |
| 三協立山 | 1.84% |
| エヌアイシ・オートテック従業員持株会 | 1.78% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名 (11%) の計9名で構成され、女性役員比率は11.0%です。代表取締役会長兼社長CEOは西川 浩司氏が務めています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 西川 浩司 | 代表取締役会長兼社長CEO | 1980年不二越入社、1986年同社入社。1999年社長就任。2014年会長、2022年10月より現職。 |
| 野 村 良 一 | 取締役副社長執行役員CTO | 1985年同社入社。開発部長、技術開発部長等を歴任。2019年専務取締役、2022年10月より現職。 |
| 猿 田 崇 | 取締役常務執行役員営業本部長 | 1996年同社入社。営業企画部長、営業部長等を経て、2022年常務執行役員。2023年6月より現職。 |
| 山 崎 克 己 | 取締役常務執行役員技術本部長 | 1994年同社入社。設計グループ長、技術開発部長等を経て、2022年常務執行役員。2023年6月より現職。 |
| 西 川 重 子 | 取締役相談役 | 1979年ゲン企画プロダクション所属。1996年ソサエティ・オブ・スタイル所属。2023年6月より現職。 |
社外取締役は、髙 橋 文 伸(株式会社フォートレンド代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「FA部門」および「商事部門」事業を展開しています。
■FA部門
機械・装置の基礎フレームとなるアルミ製構造部材「アルファフレームシステム」の開発・設計・製造・販売を行っています。また、これを活用した自動化・省力化装置(FA装置)やクリーンブース、マシンカバー等の工業製品も手掛けており、自動車関連分野をはじめ幅広い業種の顧客に提供しています。
収益は、アルファフレーム製品やFA装置等の工業製品の販売により得ています。標準品のほか、顧客の仕様に合わせた専用フレームや装置の受託開発・製造も行っており、運営は主にエヌアイシ・オートテックが行っています。
■商事部門
FA部門の持つ「メーカー機能」を活用し、工場等への製造設備導入提案営業を行っています。また、工業用砥石、やすり、工具・ツール等の消耗品や、工場等の製造設備といった工業生産財の販売も手掛けています。
収益は、主要な取扱商品である工業用砥石等の消耗品や製造設備の販売から得ています。これらはリピート受注が多いことが特徴で、安定的な収益源となっています。運営はエヌアイシ・オートテックが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2024年3月期は減収となり損失を計上しましたが、2025年3月期には売上高が回復し、各利益段階で黒字転換を果たしています。利益率も改善傾向にあり、業績は回復基調にあります。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 49億円 | 66億円 |
| 経常利益 | -5億円 | 2億円 |
| 利益率(%) | -9.9% | 3.3% |
| 当期純利益 | -6億円 | 2億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増加し、売上総利益および売上総利益率も大きく改善しています。これにより、営業損益は前期の赤字から黒字へと転換しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 49億円 | 66億円 |
| 売上総利益 | 8億円 | 14億円 |
| 売上総利益率(%) | 15.6% | 21.6% |
| 営業利益 | -5億円 | 2億円 |
| 営業利益率(%) | -9.9% | 3.5% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が5億円(構成比39%)、その他が2億円(同18%)を占めています。
■(3) セグメント収益
FA部門は、「アルファフレームシステム」の一般顧客向け販売や、車載電池関連等の装置品受注が好調で大幅な増収となり、利益も黒字転換しました。商事部門も、大型の設備ライン受注により増収増益となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| FA部門 | 38億円 | 54億円 | -5億円 | 2億円 | 2.9% |
| 商事部門 | 11億円 | 12億円 | 1億円 | 1億円 | 6.2% |
| 連結(合計) | 49億円 | 66億円 | 2億円 | 2億円 | 3.5% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、製品製造や商品仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用で主に変動します。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産への設備投資が主な資金需要となります。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期運転資金を自己資金及び短期借入、設備投資資金を長期借入で調達しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 3億円 | 4億円 |
| 投資CF | 0.0億円 | -0.1億円 |
| 財務CF | -3億円 | -2億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「モノづくりを通じて社会の発展と創造に貢献する」ことを経営理念としています。また、「製造業の品質向上と合理化に貢献」をミッションと位置づけ、顧客、社員、株主、地域社会の満足度を高めることを経営の基本方針としています。
■(2) 企業文化
使命の推進にあたり、「FAは永遠のテーマ ~何処もやっていない事をやろう!“PASSION & CHALLENGE”~」を掲げています。柱となる事業基盤を強固にするとともに、新規の取り組みにも果敢に挑戦し、高品質・高付加価値製品の提供を目指す姿勢を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)を策定しており、KPIとしてROEとEPSを設定しています。2027年3月期の目標数値は以下の通りです。
* 売上高:75億円
* 営業利益:3億100万円
* ROE:5.4%
* EPS:35.90円
■(4) 成長戦略と重点施策
「Only One企業」を目指し、FA事業一体化による効率運営、企業ブランディングの確立、技術革新への取り組みを戦略としています。具体的には、自動化省力化設備の理解による潜在ニーズの掘り起こしや、「カクチャ」「マーキングシステム」を活用した販売戦略の強化、半導体・FPD市場向けの供給能力拡充などを推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
新製品の開発や技術力向上、商品知識等のノウハウを持つ優秀な人材の確保・育成を重要課題としています。OJTや階層別教育、自己啓発支援などを通じて専門能力の底上げを図り、各部門の成長を支えるとともに、社員個々に自己実現の機会を与える方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 40.6歳 | 12.0年 | 4,984,000円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 14.7% |
| 男性育児休業取得率 | 80.0% |
| 男女賃金差異(全) | - |
| 男女賃金差異(正規) | - |
| 男女賃金差異(非正規) | - |
※男女賃金差異については、従業員数が300名未満のため記載が省略されています。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) アルミフレームの販売価格競争
主力製品「アルファフレームシステム」において、専門性を必要としない分野では国内他社や海外製品による廉価販売が進む可能性があり、これによる価格競争が業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 取引先各社の設備投資動向
同社製品は電子部品、デジタル家電、工作機械業界等に向けられており、これらの業界の設備投資動向は必ずしも一致しません。取引先の新製品投入計画や販売動向により需要が変動し、業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 主要原材料の市況変動
主な原材料であるアルミ構造部材の仕入価格はアルミニウムの国内スポット価格等をベースに決定されるため、地金価格の急激な高騰に対し、販売価格への転嫁等の対応が困難な場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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