ホッカンホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ホッカンホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場の持株会社。北海道発祥で、金属缶やペットボトル等の容器製造事業、飲料の受託充填事業、およびインドネシア等での海外事業を展開しています。第100期の連結業績は、売上高924億円(前期比1.6%増)、経常利益52億円(同2.7%増)と増収増益で着地しました。


※本記事は、ホッカンホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第100期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年06月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ホッカンホールディングスってどんな会社?


金属缶・プラスチック容器の製造や飲料受託充填を行う、創業100年を超える総合容器・充填グループです。

(1) 会社概要


1921年に小樽市で北海製罐倉庫として設立され、缶詰用空缶の製造を開始しました。1950年に北海製罐を設立し東証へ上場、1973年には日本キャンパックを設立して飲料受託充填事業へ進出しました。2005年に持株会社体制へ移行し、現社名に変更。2011年にはインドネシア現地法人を設立し、海外事業を本格化させています。

連結従業員数は2,206名、単体では63名が在籍しています。大株主は、資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)が筆頭株主で、第2位は株式会社日本カストディ銀行(信託口)、第3位は大手生命保険会社の日本生命保険相互会社です。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 10.37%
日本カストディ銀行(信託口) 5.20%
日本生命保険相互会社(常任代理人 日本マスタートラスト信託銀行) 5.16%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性2名の計13名で構成され、女性役員比率は15.4%です。代表者は取締役社長代表取締役の池田孝資氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。

氏名 役職 主な経歴
池田 孝資 取締役社長代表取締役 1988年北海製罐入社。同社執行役員、ホッカンホールディングス常務等を経て2018年より現職。北海製罐および日本キャンパックの社長を兼務。
佐藤 泰祐 取締役専務執行役員 1986年北海製罐入社。同社取締役専務執行役員等を経て2024年より現職。オーエスマシナリー社長および北海製罐副社長を兼務。
多田 秀明 取締役専務執行役員 1980年日本キャンパック入社。同社取締役専務執行役員等を経て2024年より現職。日本キャンパック副社長を兼務。
武田 卓也 取締役常務執行役員 1988年北海製罐入社。ホッカンホールディングス総務部長、取締役執行役員等を経て2024年より現職。
砂廣 俊明 取締役常務執行役員 1988年北海製罐入社。ホッカンホールディングス執行役員、日本キャンパック取締役執行役員等を経て2024年より現職。


社外取締役は、藤田晶子(明治学院大学教授)、耕田一英(元新日本有限責任監査法人シニアパートナー)、渡邉敦子(渡邉綜合法律事務所代表)、古川尚史(内閣府SBIR制度統括プログラムマネージャー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「容器事業」「充填事業」「海外事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 容器(金属缶およびプラスチック容器)事業


食缶等の各種缶詰用空缶およびプラスチック容器の製造・販売を行っています。また、化粧品、洗剤、薬品等のプラスチック容器の製造・販売も手掛けています。

北海製罐が各種空缶およびプラスチック容器を製造・販売しているほか、昭和製器が受託生産を行っています。また、東都成型が化粧品等のプラスチック容器を製造・販売し、一部を北海製罐に供給しています。

(2) 充填事業


お茶、コーヒー、ジュース、水など各種飲料の受託充填を行っています。また、乳製品や食品の受託製造・販売も展開しています。

飲料の受託充填事業は日本キャンパックが運営しており、使用するプラスチック容器は北海製罐等から供給を受けています。乳製品の受託製造はくじらい乳業、食品の受託製造は真喜食品が担当しています。

(3) 海外事業


インドネシアおよびベトナムにおいて、清涼飲料用容器の製造や飲料の受託充填事業を展開しています。東南アジア等の新興国市場における需要を取り込んでいます。

インドネシアではPT.HOKKAN INDONESIAが容器製造および受託充填を、PT.HOKKAN DELTAPACK INDUSTRIが飲料用パッケージの製造・販売を行っています。ベトナムではNIHON CANPACK(VIETNAM)が飲料の受託充填を行っています。

(4) その他


製缶機械、多種多様な専用機械、金型などの製造、およびグループ各社の工場内運搬作業等の請負事業を行っています。

機械関連事業はオーエスマシナリーおよびKE・OSマシナリーが運営し、グループ内各社への供給を行っています。工場内作業請負はワーク・サービスが運営しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は900億円台で安定的に推移しています。第98期は原材料価格高騰等の影響で利益面が落ち込みましたが、第99期以降は価格改定やコスト削減効果によりV字回復を果たしています。第100期も増収増益となり、親会社株主に帰属する当期純利益は過去5期で最高水準となりました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,094億円 863億円 937億円 909億円 924億円
経常利益 21億円 15億円 3億円 51億円 52億円
利益率(%) 1.9% 1.7% 0.4% 5.6% 5.6%
当期利益(親会社所有者帰属) -4億円 68億円 -19億円 27億円 33億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で微増となり、売上総利益率も改善傾向にあります。営業利益率は同水準を維持しており、安定した収益性を確保しています。原材料コストの変動や物流費の上昇がある中で、価格転嫁や効率化により利益水準を保っています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 909億円 924億円
売上総利益 207億円 213億円
売上総利益率(%) 22.7% 23.0%
営業利益 44億円 45億円
営業利益率(%) 4.8% 4.9%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が33億円(構成比19%)、荷造運送費が30億円(同18%)、保管料が28億円(同17%)を占めています。

(3) セグメント収益


容器事業は売上が微減となったものの、その他事業を除く全セグメントで黒字を確保しています。充填事業は増収増益となり、グループ全体の利益を牽引しました。海外事業も増収となり、利益面でも貢献しています。容器事業は減益となりましたが、一定の利益水準を維持しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
容器事業 317億円 314億円 17億円 11億円 3.5%
充填事業 382億円 394億円 29億円 35億円 8.9%
海外事業 170億円 180億円 13億円 13億円 7.2%
その他 41億円 36億円 4億円 7億円 18.0%
調整額 -50億円 -60億円 -18億円 -21億円 -
連結(合計) 909億円 924億円 44億円 45億円 4.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ホッカンホールディングスは、営業活動によるキャッシュ・フローが大幅に増加し、事業活動から潤沢な資金を生み出しています。一方で、将来の成長に向けた設備投資などにより、投資活動によるキャッシュ・フローは減少しました。財務活動では、借入と返済のバランスを取りながら、配当金の支払いも行っています。これらの活動の結果、同社の現金及び現金同等物は増加し、安定した財務基盤を維持しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 74億円 125億円
投資CF -38億円 -102億円
財務CF -12億円 -18億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「開拓者精神をもって、成長のために飽くなき挑戦をし続け、お客様と共に、社会から必要とされる製品を提供していく。」という経営理念を掲げています。創業100年を経て、次の100年に向けて自身の使命を明確化するために刷新されました。

(2) 企業文化


同社は、取引先や社会から強く必要とされる存在となるため、社会的責任を明確にし、各事業分野で「この点がNo.1」と言える製品・サービスを提供することを目指しています。また、国籍・性別・年齢に関係なく、事業に貢献する人を正当に評価する「フェアな企業集団」であり続けることをビジョンとして掲げています。

(3) 経営計画・目標


中期経営計画「VENTURE-5」において、2026年度を最終年度とする数値目標を設定しています。

* 売上高:1,050億円
* 営業利益:61億円
* 営業利益率:5.8%
* ROE:6.5%
* 自己資本比率:42.3%

(4) 成長戦略と重点施策


「人的資源の最適化」「国内事業の再編」「海外事業の拡大」「新規事業開発」を全社戦略として掲げています。国内では事業の取捨選択を進め、海外では東南アジアを中心とした新興国への投資を加速させます。また、2027年4月には持株会社が主要事業会社2社を吸収合併し、意思決定の迅速化と経営資源の効率化を図る予定です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「多様な変化を受け入れ、新たな価値と意欲とスピード感を持って、創造できる人材を創出する」を人材育成方針としています。また、個の力を最大限に発揮できるよう、社員一人ひとりのライフステージや価値観を尊重し、やりがいを持って挑戦できる環境整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 39.8歳 11.3年 8,164,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 11.5%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 69.6%
男女賃金差異(正規雇用) 69.6%
男女賃金差異(非正規) -


※男性育児休業取得率については、取得希望者は確実に取得できているものの、提出会社においては該当実績がなかった等の理由で記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、ストレスチェック受検率(97.4%)、労働災害度数率(1.92%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) コンプライアンス


国内外において様々な法規制の適用を受けており、これらに違反した場合、事業活動の停止や社会的信用の失墜等のリスクがあります。グループ全体でのコンプライアンス体制整備に努めていますが、予期せぬ規制強化や解釈の誤り等が業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 気候変動


2050年までのカーボンニュートラルを目標に掲げていますが、カーボンプライシングの導入によるコスト増加や、自然災害の増加による物理的リスクが存在します。予期せぬ気候変動リスクが顕在化した場合、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 海外事業


インドネシアやベトナムなど東南アジアで事業を展開しており、政情不安、経済変動、為替変動、予期せぬ法規制の変更等のカントリーリスクが存在します。これらが顕在化した場合、グループの業績に影響を与える可能性があります。

(4) 原材料価格・物流コスト等


ペット樹脂や鋼材などの資材価格、物流費、エネルギーコストが原価に占める比重が高く、これらの高騰がリスク要因となります。製品価格への転嫁が進まない場合、収益性が低下する可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。