#記事タイトル:アマテイ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、アマテイ株式会社 の有価証券報告書(第84期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. アマテイってどんな会社?
創業100年以上の歴史を持つ釘・ねじの専業メーカーです。住宅建築用から自動車部品用まで幅広い締結部品を製造・販売しています。
■(1) 会社概要
1949年に尼崎製釘所として発足し、1961年に大阪証券取引所市場第二部へ上場しました。1969年に現社名のアマテイへ商号変更し、1998年には工業用ねじ分野拡大のためナテックを子会社化しました。2022年の市場区分見直しで東証スタンダード市場へ移行し、2023年には名証メイン市場へも上場を果たしています。
従業員数は連結161名、単体90名です。筆頭株主は鉄鋼商社の伊藤忠丸紅鉄鋼(21.10%)で、第2位は鉄鋼メーカーの神戸製鋼所(17.43%)となっており、主要仕入先および原材料供給元としての関係を有しています。第3位は資産管理を行うノムラ・インターナショナル(1.48%)です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 伊藤忠丸紅鉄鋼 | 21.10% |
| 神戸製鋼所 | 17.43% |
| NOMURA INTERNATIONAL PLCA/C JAPAN FLOW | 1.48% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は佐藤亮氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐藤 亮 | 取締役社長代表取締役 | 1985年丸紅入社。伊藤忠丸紅鉄鋼にて薄板部長や名古屋支社長を歴任後、2021年6月より現職。 |
| 山本 信之 | 取締役生産本部長 | 1982年神戸製鋼所入社。セントラルヨシダ執行役員伸線技術部長等を経て、2019年6月より現職。 |
| 木村 光弘 | 取締役(監査等委員) | 1982年丸紅入社。丸紅ロジスティクス常務取締役管理本部長等を経て、2025年6月より現職。 |
社外取締役は、荻田幸郁(伊藤忠丸紅鉄鋼執行役員)、又賀毅(神戸製鋼所執行役員)、塩野隆史(弁護士)、米田小百合(公認会計士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「建設・梱包向」および「電気・輸送機器向」事業を展開しています。
■(1) 建設・梱包向
普通釘、特殊釘、各種連結釘、建築用資材、釘打機等の製造・仕入・販売を行っています。主な顧客は建設業界や梱包業界であり、住宅や建築物の施工現場で使用される資材を提供しています。
収益は、製品および商品の販売対価として顧客から受け取ります。釘の国内総需要の多くが輸入品である中、国内生産品と海外OEM商品を組み合わせて供給しています。運営は主にアマテイが行っています。
■(2) 電気・輸送機器向
精密機器用ねじ、自動車部品用ねじ、樹脂用ねじ等の製造・販売を行っています。特に自動車業界や家電業界向けに、電動化や軽量化に寄与する特殊締結部品を提供しています。
収益は、ねじ等の製品販売対価として顧客から受け取ります。電気自動車(EV)やハイブリッド車向けの需要に対応した高付加価値機能部品の製造に注力しています。運営は連結子会社のナテックが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は増加傾向にあります。利益面では一時的な赤字期間もありましたが、その後は回復し、直近3期間では安定して経常利益を確保しています。利益率も改善傾向にあり、増収増益基調を維持しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 44億円 | 51億円 | 55億円 | 55億円 | 56億円 |
| 経常利益 | 0.2億円 | 0.1億円 | 1.5億円 | 1.8億円 | 2.2億円 |
| 利益率 | 0.4% | 0.1% | 2.8% | 3.2% | 3.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.0億円 | 0.0億円 | 0.8億円 | 1.3億円 | 1.4億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高は微増ながら、売上総利益率が向上したことで、営業利益、営業利益率ともに改善しています。コストコントロールと高付加価値製品へのシフトが利益率向上に寄与していることが読み取れます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 55億円 | 56億円 |
| 売上総利益 | 10億円 | 10億円 |
| 売上総利益率(%) | 17.4% | 18.7% |
| 営業利益 | 1.9億円 | 2.4億円 |
| 営業利益率(%) | 3.4% | 4.3% |
販売費及び一般管理費のうち、運搬費が2.1億円(構成比26%)、従業員給料が1.7億円(同21%)を占めています。売上原価においては、製品製造原価や商品仕入高が主な構成要素となっています。
■(3) セグメント収益
建設・梱包向は減収となったものの、利益率の改善により増益を達成しました。一方、電気・輸送機器向は増収増益となり、特に利益率の大幅な向上が全体の業績を牽引しました。全社費用等の調整額が利益を押し下げる要因となっています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 建設・梱包向 | 40億円 | 40億円 | 3.0億円 | 3.2億円 | 8.1% |
| 電気・輸送機器向 | 15億円 | 16億円 | 0.8億円 | 1.3億円 | 7.9% |
| 調整額 | - | - | -2.0億円 | -2.1億円 | - |
| 連結(合計) | 55億円 | 56億円 | 1.9億円 | 2.4億円 | 4.3% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFはプラスを維持し、投資CFと財務CFはマイナスとなっており、本業で稼いだ現金を借入返済や投資に充てる「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は28.4%で市場平均を下回っています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 7.6億円 | 4.6億円 |
| 投資CF | -0.6億円 | -1.1億円 |
| 財務CF | -5.0億円 | -2.8億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「1本の釘・ねじで、ものともの、人と人とを繋ぎ、豊かな社会づくりに貢献します」を企業理念としています。多様なニーズに応える高品質な製品を開発・提供し、社会に貢献することを使命として事業活動を行っています。
■(2) 企業文化
法令や社会規範を遵守し、社会規律に従って透明性のある経営を行うことを重視しています。収益を上げつつ安定した利益を継続的に確保することで企業価値を高める姿勢を持っており、徹底した合理化や原価低減による生産効率の向上に取り組む文化があります。
■(3) 経営計画・目標
2025年度から2027年度までの新中期経営計画において、最終年度の定量目標として以下の数値を掲げています。
* 売上高 60億円
* 営業利益 2.45億円
* 当期純利益 1.55億円
* ROE 9.1%
■(4) 成長戦略と重点施策
建設・梱包向では国内生産品を軸に高付加価値品の提供を進めつつ、国産木材活用政策に合わせた製品開発を推進します。電気・輸送機器向ではEV等の電動化に伴う需要増を捉え、特殊締結部品の拡販や生産設備の増強を行います。全社的には収益力の強化、生産効率の改善、人的資本経営の推進等に取り組みます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人財への積極投資を行い、職場環境の改善と従業員の働きがいを追求することで、企業活動の活性化を目指しています。個々人にカスタマイズした社員教育や個性を重視する人材育成、キャリア採用の継続実施を基本方針とし、定年引上げや再雇用制度の拡充により多様な人材が活躍できる環境整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 47.9歳 | 17.1年 | 5,225,000円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 地政学・自然災害等のリスク
戦争、紛争、自然災害、疫病等によるサプライチェーンの混乱や事業の一時停止リスクがあります。これに対し、調達先の分散による安定的な供給網の構築や、リモートワーク等の柔軟な勤務体制の整備により影響の低減に努めています。
■(2) 少子化進行による需要減少リスク
少子化に伴う新設住宅着工戸数の減少により、釘の需要が長期的に減少するリスクがあります。対策として、非住宅用建築物への木材活用や中層木造マンション開発など、新たな需要の捕捉に注力しています。
■(3) 通商問題リスク
輸出相手国の通商政策により自動車輸出台数が減少した場合、国内自動車生産に影響し、電気・輸送機器向セグメントの売上が減少する可能性があります。自動車業界以外への産業機器や医療機器等への拡販を進め、リスク分散を図っています。



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