アマテイ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アマテイ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アマテイは東京証券取引所スタンダード市場および名古屋証券取引所メイン市場に上場する、釘およびねじの専業メーカーです。建設向けの釘や建築用資材、輸送機器向けの特殊ねじ等を製造・販売しています。直近の業績は、建設向け需要の減少などにより減収となったものの、コスト抑制が奏功し増益を達成しています。


※本記事は、アマテイ株式会社の有価証券報告書(第85期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月17日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アマテイってどんな会社?


同社は、高品質な釘およびねじ製品の開発・製造を通じて社会のインフラを支える老舗の専業メーカーです。

(1) 会社概要


1949年に尼崎製釘所として設立され、1961年に大阪証券取引所第二部に上場しました。1969年に現在のアマテイへ社名変更しています。1998年には工業用ねじ分野への進出を目的にナテックを子会社化し、現在の事業基盤を構築しました。2013年に東京証券取引所第二部に上場し、2023年には名古屋証券取引所メイン市場にも上場しています。

同社グループは、連結従業員数155名、単体従業員数87名の体制で事業を展開しています。筆頭株主は事業会社である伊藤忠丸紅鉄鋼で、第2位も事業会社の神戸製鋼所です。同社は神戸製鋼所から伊藤忠丸紅鉄鋼を通じて主原料である線材を仕入れるなど、上位株主と強固な取引関係を構築しています。

氏名 持株比率
伊藤忠丸紅鉄鋼 21.10%
神戸製鋼所 17.43%
楽天証券共有口 1.85%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は佐藤亮氏が務めています。社外取締役は4名おり、役員全体に占める割合は57.1%です。

氏名 役職 主な経歴
佐藤亮 取締役社長代表取締役 丸紅に入社後、伊藤忠丸紅鉄鋼ヒューストン支店長、紅忠コイルセンター関東代表取締役社長等を歴任し、2021年6月より現職。
山本信之 取締役生産本部長 神戸製鋼所に入社後、同社鉄鋼事業本部主任部員、セントラルヨシダ執行役員伸線技術部長等を歴任し、2026年4月より現職。
木村光弘 取締役(監査等委員) 丸紅に入社後、丸紅ロジスティクス常務取締役管理本部長等を歴任し、2025年6月より現職。


社外取締役は、荻田幸郁(伊藤忠丸紅鉄鋼執行役員自動車鋼材本部長)、又賀毅(神戸製鋼所執行役員鉄鋼アルミ事業部門ユニット長)、塩野隆史(大阪大学大学院高等司法研究科客員教授)、米田小百合(米田公認会計士事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「建設・梱包向」および「電気・輸送機器向」事業を展開しています。

(1) 建設・梱包向


普通釘や特殊釘、各種連結釘、建築用資材、釘打機等の製造・仕入・販売を行っています。長年の経験で培われた技術力や開発力を活かし、汎用品から高付加価値品まで多様なニーズに対応した製品を提供し、主に住宅および非住宅木造建築分野の顧客に納入しています。

収益源は、販売先からの製品および商品の販売代金です。同事業の運営は主に親会社であるアマテイが行っており、国内生産による高品質な製品の安定供給に加え、海外委託生産品(OEM商品)の取り扱いにより幅広い製品ラインナップを確保し、顧客に提供しています。

(2) 電気・輸送機器向


精密機器用ねじ、自動車部品用ねじ、樹脂用ねじ等の製造・販売を行っています。電気自動車やハイブリッド車用のバッテリー関連・モーター関連部品、自動運転技術や事故防止アシスト・センサー関連など、電動化や軽量化に不可欠な特殊締結部品を提供しています。

収益源は、自動車メーカーをはじめとする輸送機器関連や産業機器・精密部品関連の顧客からの製品販売代金です。同事業の運営は子会社であるナテックが行っており、品質が重視される高付加価値機能部品の製造・販売に注力しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は51億円から56億円規模で安定して推移しています。利益面では利益率の改善が進んでおり、経常利益および当期純利益は継続して黒字を計上しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 51億円 55億円 55億円 56億円 54億円
経常利益 0.1億円 1.5億円 1.8億円 2.2億円 2.2億円
利益率(%) 0.1% 2.8% 3.2% 3.9% 4.2%
当期利益(親会社所有者帰属) -0.3億円 0.4億円 0.8億円 0.8億円 1.0億円

(2) 損益計算書


売上高の減少に伴い売上総利益の金額は減少しましたが、需要に見合った生産管理によるコスト抑制や生産性の向上により、売上総利益率および営業利益率は前期間と同水準を維持しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 56億円 54億円
売上総利益 10億円 10億円
売上総利益率(%) 18.7% 18.7%
営業利益 2.4億円 2.4億円
営業利益率(%) 4.3% 4.4%


販売費及び一般管理費のうち、運搬費が2.0億円(構成比26%)、従業員給料が1.6億円(同21%)を占めています。

(3) セグメント収益


建設・梱包向は新設住宅着工戸数の減少に伴い減収となりましたが、プロダクトミックスの最適化や固定費削減により利益は横ばいを維持しました。電気・輸送機器向は自動車業界の一部で生産調整の影響を受け、減収減益となりました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
建設・梱包向 40億円 38億円 3.2億円 3.2億円 8.4%
電気・輸送機器向 16億円 16億円 1.3億円 1.1億円 7.2%
連結(合計) 56億円 54億円 2.4億円 2.4億円 4.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である健全型です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 4.6億円 3.4億円
投資CF -1.1億円 -0.9億円
財務CF -2.8億円 -2.8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は31.6%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは釘・ねじの専業メーカーとして、「1本の釘・ねじで、ものともの、人と人とを繋ぎ、豊かな社会づくりに貢献します」を企業理念として定めています。多様なニーズに応えられる高品質の製品を開発・提供して社会に貢献することを使命としています。

(2) 企業文化


同社は、法令や社会規範を遵守し、社会規律に従って透明性のある経営を行いながら安定した利益を継続的に確保し企業価値を高めることを重視しています。また、「良き企業市民」として地域社会発展への寄与や社会貢献活動に積極的に取り組む方針を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは2025年度から2027年度を対象とする中期経営計画において、徹底した合理化や原価低減による生産コスト抑制を通じて企業価値の向上を図る方針です。最終年度である2027年度の定量目標として以下の数値を掲げています。

* 売上高:60億円
* 営業利益:2.45億円
* 当期純利益:1.55億円
* ROE:9.1%

(4) 成長戦略と重点施策


今後の成長戦略として、建設・梱包向では非住宅木造建築分野における需要を積極的に捕捉し、電気・輸送機器向では自動車の電動化や自動運転化に伴う特殊ねじの拡販を推し進めます。また、国内生産の無人化・省人化・多能工化による生産性向上や、既存事業とシナジー効果が見込める事業への参入を検討します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「企業にとって最大の財産は従業員である」との共通認識のもと、人財への積極投資を行っています。個々人にカスタマイズした従業員教育や各従業員の個性を重視する人材育成、他社での勤務経験を持つキャリア採用を基本方針とし、従業員の柔軟な働き方に応える人事制度に変革しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 47.4歳 18.9年 5,379,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は法令に基づく公表義務の対象ではないため、有報には本稿の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 地政学・自然災害等のリスク


一部地域における戦争や紛争、世界的な自然災害、疫病の蔓延などにより、サプライチェーンの混乱や納品遅延が発生するリスクがあります。また、地震被害等による事業停止リスクに対し、幅広い調達先からの安定的な供給網の構築や多様な働き方の推進により影響の低減に努めています。

(2) 少子化進行による需要減少リスク


建設・梱包向セグメントにおいて、少子化の進行により国内の新設住宅着工戸数が減少し、それに伴い釘の需要が長期的に減少するリスクがあります。同社はこれに対し、非住宅用建築物への木材活用や中層木造マンションの開発等に伴う新たな需要の捕捉に尽力しています。

(3) 通商問題リスク


輸出相手国の通商政策によって自動車輸出台数が減少した場合、国内自動車生産台数に影響が及び、電気・輸送機器向セグメントの売上高に影響を及ぼす可能性があります。対策として、自動車業界以外にも産業機器、医療機器、アミューズメント関連への製品の拡販に努めています。

(4) 市況変動リスク


原材料価格やエネルギーコストの高騰に対して販売価格への転嫁が遅れた場合、一時的に採算が悪化するリスクがあります。また、海外市況の変動による輸入品価格の下落が国産製品の販売価格に影響を及ぼす可能性があり、市場動向に対する情報収集の強化を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。