※本記事は、三和ホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第90期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 三和ホールディングスってどんな会社?
シャッターやドア、間仕切などの「動く建材」をグローバルに提供し、安全・安心・快適な社会を実現する企業です。
■(1) 会社概要
1956年に三和シヤッター製作所として設立され、シャッターの製造・販売を開始しました。1970年に東京・大阪証券取引所市場第一部に指定され、1996年には米国Overhead Door Corporationを買収し北米市場へ進出しました。2003年の欧州Novofermグループ買収を経て、2007年に持株会社体制へ移行し、現在の商号に変更しました。
連結従業員数は13,116名、単体では36名が在籍しています。筆頭株主は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(14.72%)で、第2位は同じく資産管理を行う株式会社日本カストディ銀行(6.35%)、第3位は主要取引銀行である株式会社三井住友銀行(5.05%)です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 14.72% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 6.35% |
| 三井住友銀行 | 5.05% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.0%です。代表取締役社長執行役員社長は髙山靖司氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 髙山 靖司 | 代表取締役社長執行役員社長 | 2006年同社入社。常務執行役員、経営企画部門担当、COOなどを経て、2017年4月より現職。 |
| 山崎 弘之 | 取締役専務執行役員経営企画部門担当 | 2017年同社入社。常務執行役員、経営企画部長などを経て、2024年4月より現職。 |
| 道場 敏明 | 取締役専務執行役員グローバル事業部門担当 | 2014年同社入社。執行役員、欧米事業部門米州事業部長などを経て、2024年4月より現職。 |
| 髙山 盟司 | 取締役 | 2006年同社入社。三和シヤッター工業取締役などを経て、2017年6月より現職。 |
| 在間 貞行 | 取締役(監査等委員) | 1975年同社入社。経理部長、三和シヤッター工業常務執行役員などを経て、2016年6月より現職。 |
社外取締役は、横田正仲(日本能率協会コンサルティング常任顧問)、石村弘子(元シンコム・システムズ・ジャパン代表取締役)、米澤常克(元伊藤忠丸紅鉄鋼代表取締役社長)、五木田彬(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「日本」「北米」「欧州」「アジア」の4つの報告セグメントで事業を展開しています。
■(1) 日本
シャッター、ビル用ドア、間仕切製品、ステンレス製品、フロント製品、住宅用窓・ドア製品、エクステリア製品などを提供しており、ビルや商業施設、住宅などの建築市場が主な顧客です。また、メンテナンス・サービス事業も展開しています。
収益は、建設会社や施主等からの製品販売代金および施工料、メンテナンス料から構成されています。運営は中核事業会社である三和シヤッター工業を中心に、昭和フロント、沖縄三和シヤッター、三和タジマ、鈴木シャッターなどが担っています。
■(2) 北米
シャッター製品、産業用セクショナルドア製品、住宅用ガレージドア製品、ガレージドア等開閉機などを提供しており、住宅および商業施設市場に向けて事業を展開しています。
収益は、代理店やホームセンター、建設業者等への製品販売およびサービス料から得ています。運営は、米国における主要子会社であるOverhead Door Corporationグループが行っています。
■(3) 欧州
シャッター製品、ドア製品、産業用セクショナルドア製品、住宅用ガレージドア製品などを提供しており、欧州全域の産業用・住宅用建材市場を対象としています。
収益は、製品の販売およびメンテナンス・サービス料から得ています。運営は、ドイツに拠点を置くNovofermグループを中心に行われています。
■(4) アジア
シャッター製品、ドア製品、住宅用ガレージドア製品などを提供しており、中国、香港、台湾、ベトナムなどのアジア地域において事業を展開しています。
収益は、製品の販売および施工・サービス料から得ています。運営は、三和捲閘(香港)、安和金属工業、VINA-SANWA COMPANY LIABILITY LTD.などの現地法人が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は4,271億円から6,624億円へと大きく成長しています。経常利益も321億円から840億円へと増加傾向にあり、特に直近2期は増収増益が続いています。利益率も7.5%から12.7%へと改善しており、収益性が向上しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,271億円 | 4,690億円 | 5,882億円 | 6,111億円 | 6,624億円 |
| 経常利益 | 321億円 | 341億円 | 528億円 | 649億円 | 840億円 |
| 利益率(%) | 7.5% | 7.3% | 9.0% | 10.6% | 12.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 213億円 | 228億円 | 331億円 | 432億円 | 575億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益も増加しています。売上総利益率は32.3%から32.9%へと改善しました。営業利益は654億円から805億円へ増加し、営業利益率は10.7%から12.2%へと上昇しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 6,111億円 | 6,624億円 |
| 売上総利益 | 1,971億円 | 2,183億円 |
| 売上総利益率(%) | 32.3% | 32.9% |
| 営業利益 | 654億円 | 805億円 |
| 営業利益率(%) | 10.7% | 12.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が512億円(構成比37%)、福利厚生費が130億円(同9%)を占めています。売上原価は4,441億円で、売上高に対する比率は67.0%です。
■(3) セグメント収益
全セグメントで増収となりました。日本は価格転嫁等により増収増益、北米も住宅市場の回復や拡販により増収増益でした。欧州は増収ながらコスト増等で減益、アジアも増収ですが減益となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 日本 | 2,656億円 | 2,876億円 | 282億円 | 358億円 | 12.5% |
| 北米 | 2,198億円 | 2,454億円 | 345億円 | 415億円 | 16.9% |
| 欧州 | 1,115億円 | 1,143億円 | 39億円 | 34億円 | 3.0% |
| アジア | 142億円 | 151億円 | 6億円 | 4億円 | 2.5% |
| 調整額 | 1億円 | 1億円 | -18億円 | -6億円 | - |
| 連結(合計) | 6,111億円 | 6,624億円 | 654億円 | 805億円 | 12.2% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、本業で稼いだ資金(営業CFプラス)を使って投資(投資CFマイナス)や借入返済・配当(財務CFマイナス)を行う「健全型」です。企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は19.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は60.2%で市場平均を上回っています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 724億円 | 769億円 |
| 投資CF | -248億円 | -302億円 |
| 財務CF | -262億円 | -429億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「安全、安心、快適を提供することにより社会に貢献します」を使命とし、「お客さますべてが満足する商品、サービスを提供します」「世界の各地域で評価されるグローバルな企業グループとなります」「個人の創造力を結集してチームワークにより、企業価値を高めます」という3つの経営理念を掲げています。
■(2) 企業文化
お客様の信頼向上のために感謝と誠意をもって業務を行うこと、国内外のニーズに応える品質・コストを追求しトップブランドを確立することなどを「行動指針」として定めています。また、全てのステークホルダーから評価される企業グループを目指し、「コンプライアンス行動規範」の遵守や、PDCAの実践を行動規範の一つとして位置づけています。
■(3) 経営計画・目標
2030年に向けた長期経営ビジョン「三和グローバルビジョン2030」の下、第2次中期計画として「中期経営計画2027」を策定しています。気候変動やデジタル化など社会ニーズの変化に対応し、高機能開口部ソリューションのグローバルリーダーを目指しています。
* 売上高:7,500億円(2027年度目標)
* 営業利益:950億円(同上)
* 営業利益率:12.7%(同上)
* ROE:19.0%(同上)
■(4) 成長戦略と重点施策
日・米・欧のコア事業強化と領域拡大、アジア事業の利益を伴う成長、防災・環境対応製品とスマート化による事業拡大、デジタル化とものづくり革新による生産性向上、サステナビリティ経営と人的資本経営の推進を基本戦略としています。
* 国内:間仕切商品の基幹事業化、サービス事業拡大。
* 米州:代理店チャネル強化、ビジネス領域拡大。
* 欧州:製品拡充、産業用ドア拡販、サービス事業強化。
* アジア:各社のシナジー追求、ASEANエリアの拡大。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材を最も重要な経営資源と位置づけ、「個」の成長と「組織」の成長の循環による人的資本の最大化を目指しています。自律的に考え実践できる人材づくりを掲げ、多様な人材が能力を最大限発揮できるよう、人材育成、ダイバーシティ推進、安全と健康に関する取り組みを強化しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 44.8歳 | 17.9年 | 9,996,478円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | -% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 34.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 55.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) | 62.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用) | 60.7% |
※上記表の数値は、連結子会社である三和シヤッター工業のデータです。女性管理職比率については、女性活躍推進法等の規定による公表をしていないため、有報には記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員比率(20.9%)、女性管理職比率(15.9%)、ハイリスク者受診率(60.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 原材料価格・調達リスク
主要材料である鋼板等の価格高騰や副資材・物流費の上昇リスクがあります。価格競争によりコスト上昇分を製品価格へ完全に転嫁できない可能性や、特定供給元への依存による部材不足が生じた場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。これに対し、コストダウンや複数購買体制の整備を進めています。
■(2) 生産・物流リスク
製品搬入管理システムの不具合や、トラック運転手の時間外労働上限規制(2024年問題)による輸送力不足が発生した場合、製品供給の遅延等により信頼性が損なわれるリスクがあります。生産・在庫計画の最適化や物流システムの導入による運行管理の徹底などで対応しています。
■(3) 環境・気候変動リスク
気候変動に伴う規制強化や炭素税導入等の移行リスク、激甚化する自然災害による工場操業停止等の物理的リスクがあります。CO2排出量削減目標の未達等はブランド価値毀損につながる恐れがあります。TCFD提言への賛同表明や省エネ設備の導入、気候変動対応商品の提供を通じてリスク低減と機会創出に努めています。



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