※本記事は、株式会社北沢産業 の有価証券報告書(第78期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 北沢産業ってどんな会社?
業務用厨房機器の総合販売商社として、機器販売から設計施工、メンテナンスまでトータルサポートを提供しています。
■(1) 会社概要
1951年に日本黒耀石工業として設立され、1960年に北沢産業へ商号変更しました。1962年に川越工場を新設し製造販売体制を確立、1963年には株式を公開しました。1999年に東京証券取引所市場第一部に指定され、2024年には連結子会社の北沢キープサービスを吸収合併しています。
連結従業員数は400名、単体では363名です。筆頭株主は北沢持株会、第2位は外食産業向けの厨房機器販売等を行うテンポスホールディングスであり、同社とは資本関係があります。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 北沢持株会 | 10.14% |
| テンポスホールディングス | 7.71% |
| UHPartners2 | 7.51% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性11名、女性1名、計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長は北川正樹氏です。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 北川正樹 | 代表取締役社長 | 1981年同社入社。購買部長、九州ブロック長、海外部長を経て、2011年執行役員。2014年取締役東日本営業本部長などを歴任し、2019年4月より現職。 |
| 石塚洋 | 常務取締役管理本部長 | 1977年北陸銀行入行。2005年同社出向、2006年入社・取締役管理本部経理部長。2009年取締役管理本部長を経て、2022年6月より現職。 |
| 小山栄樹 | 取締役自動機器担当兼エース工業株式会社代表取締役社長 | 1979年同社入社。北海道ブロック長、営業戦略本部長、キッチンコンサルタント室長、購買部長兼海外部長などを歴任し、2021年4月より現職。 |
| 神田浩徳 | 取締役営業戦略本部長兼キッチンコンサルタント室長兼近畿・中国・四国ブロック担当 | 1985年同社入社。松本支店長、大阪支店長、取締役西日本営業本部長などを歴任。2023年4月より現職。 |
| 甲田欣豊 | 取締役本社営業本部長兼メンテナンス部長 | 1987年同社入社。水戸支店長、営業本部第一営業部長、執行役員本社営業統括部長などを経て、2024年10月より現職。 |
| 長谷川英樹 | 取締役管理本部総務部長 | 1989年同社入社。2005年管理本部総務部次長、2016年同部長を経て、2022年6月より現職。 |
社外取締役は、青木茂男(公認会計士)、山田正人(元松井建設常務執行役員)、髙木いづみ(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「業務用厨房関連事業」および「不動産賃貸事業」を展開しています。
■(1) 業務用厨房関連事業
業務用厨房機器・家具の販売を中心に、付帯する修理・保守サービス、業務用厨房機械器具や製菓・製パン機械器具の製造を行っています。また、家庭用キッチンの販売も手掛けています。
収益は、顧客への機器販売代金や修理・保守サービス料などから得ています。運営は主に北沢産業が行うほか、製造部門として連結子会社のエース工業およびサンベイクが担っています。
■(2) 不動産賃貸事業
同社グループが保有する不動産の賃貸業務を行っています。
収益は、賃借人からの賃貸料収入から得ています。運営は北沢産業が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は140億円台から160億円台で推移していましたが、当期は減収となりました。利益面では、経常利益が前期に10億円を超えピークとなりましたが、当期は減益となっています。当期純利益は比較的安定して推移しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 143億円 | 156億円 | 162億円 | 165億円 | 156億円 |
| 経常利益 | 1.0億円 | 4.2億円 | 7.6億円 | 10.7億円 | 9.1億円 |
| 利益率(%) | 0.7% | 2.7% | 4.7% | 6.5% | 5.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -0.2億円 | 1.3億円 | 4.5億円 | 6.3億円 | 6.5億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で減少しましたが、売上総利益率は微増しています。一方、販管費の増加に伴い営業利益は減少し、営業利益率は低下しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 165億円 | 156億円 |
| 売上総利益 | 46億円 | 45億円 |
| 売上総利益率(%) | 28.0% | 29.1% |
| 営業利益 | 10億円 | 8億円 |
| 営業利益率(%) | 6.0% | 5.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が18億円(構成比49%)、法定福利費が3億円(同8%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力の業務用厨房関連事業は、売上高・利益ともに減少しました。不動産賃貸事業は売上が微増したものの、利益は減少しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 業務用厨房関連事業 | 161億円 | 152億円 | 15億円 | 14億円 | 9.4% |
| 不動産賃貸事業 | 3億円 | 3億円 | 2億円 | 2億円 | 55.0% |
| 連結(合計) | 165億円 | 156億円 | 10億円 | 8億円 | 5.4% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
末期型
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 14億円 | -2.6億円 |
| 投資CF | -2.6億円 | -8.6億円 |
| 財務CF | -0.9億円 | -1.7億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.1%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は59.6%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
食品加工機器・厨房機器の総合販売商社として、自社ブランドおよび世界の優れた商品の提供、キッチンコーディネイト、メンテナンスサービス等によるトータルサポートを提供し、社会に貢献できる企業集団を目指しています。
■(2) 企業文化
常にお客様の声に真摯に耳を傾け、市場ニーズの多様化や経営環境の変化に柔軟に対応する独自の企業運営を行っています。また、株主にとって魅力ある企業集団を目指すとともに、お客様および従業員を大切にする姿勢を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、積極的な営業活動を展開して売上高の回復を図り、利益の確保を目指しています。また、より競争力のある商品を重点的に拡販し、利益率の向上に努めることを目標としています。
■(4) 成長戦略と重点施策
今後の課題として、単品販売の強化を図り、競争力のある商品を重点的に拡販することで利益率向上を目指します。あわせて、24時間365日のサービス体制をさらに充実させ、顧客からの信頼確保に努める方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
女性社員のキャリア形成や就業継続を確保するため、育児・介護等に関する支援制度の整備を進めています。また、女性・中途採用者の管理職登用を積極的に行っており、今後は外国人雇用を含めた社内環境整備や人材育成方針を再構築する方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 44.8歳 | 15.2年 | 4,759,833円 |
※平均年間給与は時間外手当及び賞与を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 1.8% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 66.0% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※男女賃金差異(正規・非正規)については、有価証券報告書に数値の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 依存度の高い販売先について
業務用厨房関連事業の売上高が全体の97.7%を占めており、その販売先として外食産業とデパート・スーパー等が合計で46.3%を占めています。これら業種は景気の影響を受けやすいため、今後の動向が業績に影響を与える可能性があります。
■(2) 原材料の調達について
資材調達においては、供給の安定、品質、価格の面から最適な調達先の選定を行っていますが、需給状況の変化などにより価格が上昇した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) その他リスク全般
事業活動には様々なリスクが伴っており、記載されたもの以外にもリスクが存在します。これらに対し、不断の対策を講じて未然防止を図るとともに、発生時には影響を最小限に留めるよう努めています。



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