※本記事は、北沢産業株式会社の有価証券報告書(第79期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 北沢産業ってどんな会社?
北沢産業は、業務用厨房機器や食品加工機器の総合販売商社として、外食・中食産業を支える企業です。
■(1) 会社概要
北沢産業は1960年4月に設立され、1962年には川越工場を新設して業務用厨房機器の製造販売体制を確立しました。その後、海外メーカーとの提携による製品ラインナップの拡充を進め、1992年に東京証券取引所市場第二部へ上場しました。直近では2024年10月に連結子会社の北沢キープサービスを吸収合併しています。
同社グループの従業員数は連結で382名、単体で345名です。筆頭株主は従業員等で構成される北沢持株会で、第2位は事業会社であり資本提携等が見込まれるテンポスホールディングス、第3位は投資ファンドのUHPartners2投資事業有限責任組合となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 北沢持株会 | 8.38% |
| テンポスホールディングス | 7.79% |
| UHPartners2投資事業有限責任組合 | 7.51% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長は北川正樹氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 北川正樹 | 代表取締役社長 | 1981年同社入社。購買部長、海外部長、東日本営業本部長などを経て2019年4月より現職。 |
| 石塚洋 | 常務取締役管理本部長 | 北陸銀行を経て2006年同社入社。管理本部経理部長などを経て2022年6月より現職。 |
| 小山栄樹 | 取締役自動機器担当兼エース工業代表取締役社長 | 1979年同社入社。営業戦略本部長、購買部長、海外部長などを経て2021年4月より現職。 |
| 神田浩徳 | 取締役営業戦略本部長兼キッチンコンサルタント室長兼近畿・中国・四国ブロック担当 | 1985年同社入社。西日本営業本部長などを経て2023年4月より現職。 |
| 甲田欣豊 | 取締役本社営業本部長兼メンテナンス部長 | 1987年同社入社。営業本部各部長などを経て2024年10月より現職。 |
| 長谷川英樹 | 取締役管理本部総務部長 | 1989年同社入社。管理本部総務部次長などを経て2022年6月より現職。 |
社外取締役は、青木茂男氏(茨城キリスト教大学名誉教授)、山田正人氏(東京富山会館代表取締役社長)、髙木いづみ氏(プレステージ・インターナショナル社外取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「業務用厨房関連事業」および「不動産賃貸事業」を展開しています。
■業務用厨房関連事業
業務用厨房機器や家具の販売をはじめ、家庭用キッチンの販売、業務用厨房機器の修理・保守サービスを提供しています。また、子会社を通じて業務用厨房機械器具や製菓・製パン機械器具の製造も行い、外食産業やスーパーなどの食品加工場を主要な顧客としています。
収益源は、厨房機器や関連機械器具の販売代金および保守サービス等の提供による対価です。運営は主に北沢産業が行っているほか、エース工業が業務用厨房機械器具の製造を、サンベイクが製菓・製パン機械器具の製造を担っています。
■不動産賃貸事業
東京都その他の地域において、賃貸オフィスビルや賃貸マンションなどの賃貸用物件を所有し、不動産賃貸による収益確保を目指しています。
収益源は、優良な入居者の確保によって得られる安定的な不動産の賃貸収入です。この事業の運営は北沢産業が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は160億円台まで成長した後に減少に転じ、当期は140億円となっています。利益面でも、原材料高や人件費上昇、消費者の生活防衛的節約志向などの影響を受けて厳しい経営環境が続いており、経常利益および当期利益ともに減少傾向にあります。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 156億円 | 162億円 | 165億円 | 156億円 | 140億円 |
| 経常利益 | 4億円 | 8億円 | 11億円 | 9億円 | 4億円 |
| 利益率(%) | 2.7% | 4.7% | 6.5% | 5.8% | 2.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1億円 | 5億円 | 6億円 | 6億円 | 2億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の減少に伴い、売上総利益も減少していますが、原価コントロール等により売上総利益率は上昇しています。一方で、販売費及び一般管理費等の負担が増加したため、営業利益および営業利益率は大きく低下しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 156億円 | 140億円 |
| 売上総利益 | 45億円 | 44億円 |
| 売上総利益率(%) | 29.1% | 31.3% |
| 営業利益 | 8億円 | 3億円 |
| 営業利益率(%) | 5.4% | 1.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が18億円(構成比44%)、支払手数料が5億円(同13%)、法定福利費が3億円(同7%)を占めています。
■(3) セグメント収益
セグメント別の売上高を見ると、主力である業務用厨房関連事業は顧客の節約志向やコスト上昇の影響を受け、前年と比較して減収となりました。一方、不動産賃貸事業の売上は前年と同水準で安定して推移しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 業務用厨房関連事業 | 152億円 | 137億円 |
| 不動産賃貸事業 | 3億円 | 3億円 |
| 連結(合計) | 156億円 | 140億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業が低迷し、事業の見直しが迫られる状況
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -3億円 | -7億円 |
| 投資CF | -9億円 | 2億円 |
| 財務CF | -2億円 | -2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.0%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は66.9%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、食品加工機器・厨房機器の総合販売商社として、自社ブランド商品および世界の優れた商品を提供することはもとより、キッチンコーディネイトや厨房設備設計施工、新商品開発、メンテナンスサービスといったトータルサポートを提供することを掲げています。常にお客様の声に真摯に耳を傾け、社会に貢献できる企業集団であることを目指しています。
■(2) 企業文化
市場ニーズの多様化や経営環境の変化にも柔軟に対応できる独自の企業運営を行い、株主にとって魅力ある企業集団であることを重視しています。また、お客様および従業員を大切にし、リスク管理およびコンプライアンスの一層の強化を図りながら、持続可能な社会の実現に向けて積極的に取り組む姿勢を大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
既存事業における収益性の向上と事業基盤の強化、新たな需要分野への取り組み強化、人材の確保および育成、持続可能な社会の実現に向けた取り組みの4つを重点課題として掲げています。物価上昇や実質賃金の低下など先行き不透明な環境下において、安定した事業運営と持続的な成長の実現を目標としています。
■(4) 成長戦略と重点施策
単品販売の強化を図り、競争力の高い商品の重点的な拡販を進めるとともに、24時間365日対応のサービス体制をさらに充実させることを成長戦略の軸としています。また、食品加工場やスーパーマーケット等を中心とした中食分野への営業活動を積極的に展開し、事業ポートフォリオの多様化と成長分野の開拓を進めています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
将来を担う人材の採用および教育体制の充実、ならびに技術・ノウハウの円滑な承継を重要な経営課題と位置付けています。女性社員のキャリア形成や就業継続の支援、中途採用者の管理職への積極的な登用などを進め、多様な働き方ニーズに対応した環境づくりに努めながら持続的な成長を支える人材戦略を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 45.1歳 | 15.0年 | 4,966,157円 |
※平均年間給与は時間外手当及び賞与を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 1.9% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全従業員) | 70.0% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 依存度の高い販売先について
同社グループの業務用厨房関連事業は売上の大部分を占めており、その販売先として外食産業と中食産業が高い割合を占めています。これらの業界は景気動向の影響を多大に受けるため、今後の景気変動が同社グループの業績に影響を与える可能性があります。
■(2) 原材料の調達について
資材調達においては供給の安定、品質、価格の面から最適な調達先を選定していますが、需給状況の変化などによって原材料の価格が上昇し、利益を圧迫する可能性があります。
■(3) その他リスクへの対応
事業活動に伴うさまざまなリスクに対して、不断の対策を怠らずに未然防止を図り、リスク発生時にはその影響を最小限に留めるよう努めることで、安定した事業運営に取り組んでいます。



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