【平均年収645万円】サンコール 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

【平均年収645万円】サンコール 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

サンコールは、自動車や電子情報通信分野などで製品の製造・販売を手掛ける企業集団です。直近の連結会計年度では売上高は減少したものの、通信関連事業の好調などにより利益は大幅に増加しました。過去には損失を計上した期もありました。


目次

※本記事は、サンコール株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。

1. 企業概要:どんな会社?


同社グループは、自動車分野、電子情報通信分野、その他製品の製造・販売を手掛ける企業集団です。子会社12社及び関連会社5社で構成されています。

単体従業員数は493名、連結従業員数は1,897名です。セグメントは自動車分野、電子情報通信分野、その他製品の3つです。

同社グループは、当連結会計年度においてHDD用サスペンションの生産・販売を終了し、事業から撤退しました。

2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?


サンコールは、ものづくりを基盤とする事業を展開しており、従業員の長期的なキャリア形成を支援する環境が整っていると考えられます。多様な人材が能力を発揮できるよう、働きやすい職場環境の整備にも力を入れているようです。

■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢


同社では、従業員が長く働き続けられる環境が整っており、平均勤続年数と平均年齢から、安定した人材構成であることがうかがえます。従業員の定着を重視し、経験を積んだ人材が活躍している傾向が見られます。

項目 数値
平均年間給与 6,447,456円
平均勤続年数 18.3年
平均年齢 42.5歳
単体従業員数 493人
連結従業員数 1,897人
単体のグループ内比率 26.0%


同社および連結子会社は、従業員の退職給付制度として、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方を採用しています。これらの制度は国内および海外のグループ会社に適用されています。

退職一時金制度も設けられており、退職給付として給与と勤務期間に基づいた一時金が支給されます。なお、2026年3月31日時点の退職給付債務は39.4億円、年金資産は67.8億円となっています。

■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方


同社グループの人材戦略は、既存の自動車分野における収益性改善、成長事業の基盤強化、および安定経営の実現に向けて推進されています。収益管理能力や原価改善力、交渉力を備えた人材の育成と適正配置を進めています。

また、バスバー事業や通信関連事業の拡大に向け、開発、生産技術、提案営業などの専門人材の確保と育成を強化しています。安定的なキャッシュ・フロー創出と資本効率を重視した経営を支えるため、財務、管理会計、経営企画機能の強化にも取り組んでいます。

中長期的な企業価値向上の観点から、多様な人材が活躍できる環境整備を進め、従業員一人ひとりの人権、個性、働き方を尊重しています。差別やハラスメントの排除、労働時間の適切な管理等を通じて、安全かつ安心して能力を発揮できる職場環境の維持・向上を図っています。従業員の給与その他の給付の額と内容は、各地域の人材市場の動向、採用・定着状況、および同社グループの経営状況を総合的に勘案し、所定の手続きに基づき決定されています。

■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標


有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。

法定開示


提出会社単体の法定開示データです。連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。

指標 数値
管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 3.3%
男性労働者の育児休業取得率 90.0%
労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) 76.6%
労働者の男女の賃金の額の差異(うち正規雇用労働者) 78.8%
労働者の男女の賃金の額の差異(うちパート・有期労働者) 75.7%

多様性・登用


当社従業員を対象とした2025年度期末時点のデータです。

指標 数値
当社従業員に占める女性の割合 12.7%

3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?


サンコールは、自動車分野と電子情報通信分野を中心に、幅広い製品の製造・販売を手掛けています。同社グループは、多岐にわたる技術と製品で顧客のニーズに応え、事業を展開しています。

■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか


同社グループは、自動車分野、電子情報通信分野、その他製品の3つの領域で事業を展開しています。自動車分野では、オイルテンパー線や硬鋼線などの材料関連製品、自動車エンジン用弁ばねやAT部品などの自動車関連製品を製造・販売しています。電子情報通信分野では、プリンター用精密紙送りローラーなどのプリンター関連製品、光ファイバー用精密部品などの通信関連製品を提供しています。その他製品としては、電子回路検査機器用プローブや歩行アシストロボットなどを手掛けています。

同社グループの収益は、これらの製品の製造・販売から得られています。特に、通信関連事業におけるデータセンター向け需要の増加が、直近の収益に大きく貢献しています。一方で、HDD用サスペンション事業からの撤退が、一部の売上減少要因となりました。同社グループは日本、北米、アジア、欧州の各地域で事業を展開しており、為替変動の影響も受けています。

当連結会計年度においては、トヨタ自動車株式会社が主要な顧客の一つとなっています。

日本

同社グループの日本セグメントでは、HDD用サスペンション事業からの撤退に伴い売上高は減少しました。しかし、前年度に計上された事業整理費用の反動などにより、セグメント利益は増加しています。

北米

北米セグメントでは、材料関連製品の販売減少により売上高は減少しました。一方で、各子会社における収益性の改善が進み、前連結会計年度のセグメント損失から利益へと転換しました。

アジア

アジアセグメントは、通信関連での販売増加が牽引し、売上高が増加しました。これに伴い、セグメント利益も伸長しています。

欧州

欧州セグメントでは、売上高が減少傾向にあり、セグメント損失が継続しています。

セグメント 売上高(2025年3月期) 売上高(2026年3月期)
日本 393億円 276億円
アジア 141億円 153億円
北米 105億円 92.3億円
欧州 1.4億円 60百万円

■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移


同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は増減を繰り返しながら推移しています。直近の連結会計年度では売上高が減少したものの、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は大幅に増加しました。これは、通信関連事業の好調や、前連結会計年度に計上されたHDD用サスペンション事業整理費用の反動などが影響しています。

過去には経常損失や親会社株主に帰属する当期純損失を計上した期もありましたが、特に前連結会計年度の純損失は連結子会社整理及び固定資産廃棄損などが影響していました。直近の連結会計年度では営業活動によるキャッシュ・フローが大きく増加しており、本業でのキャッシュ創出能力は改善傾向にあります。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 474億円 534億円 515億円 639億円 522億円
経常利益 10.2億円 8.5億円 △26.9億円 31.6億円 74.8億円
経常利益率 2.2% 1.6% △5.2% 4.9% 14.3%
親会社株主に帰属する当期純利益 9.0億円 5.6億円 △118億円 △7.7億円 62.1億円
1株当たり当期純利益(円) 29.34 18.57 △392.69 △25.53 205.02

■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る


同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期と比較して減少しています。一方で、従業員1人あたりの営業利益は前期から大きく増加しました。これは、事業構造の変化や収益性の改善が進んだことを示しています。

売上高の減少はHDD用サスペンション事業の撤退が影響しているものの、利益の増加は通信関連事業の伸長やコスト構造の見直しによるものと考えられます。これらの指標は、同社グループが効率的な事業運営を通じて収益性を高めている傾向にあることを示しています。

指標 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
従業員1人あたり売上高(連結) 30.0百万円 27.5百万円
従業員1人あたり営業利益(連結) 1.6百万円 3.8百万円

4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?


サンコールの財務状況は、本業で安定的に資金を生み出し、将来に向けた投資も行いつつ、手元資金を厚くしている状況を示しています。これにより、事業活動の安定性と成長への余力がうかがえます。

■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み


サンコールの財務基盤は、自己資本比率が当期で59.6%と、プライム市場の製造業平均(46.8%)を上回る水準にあります。これにより、外部環境の変化に強い安定した経営基盤を築いていることがうかがえます。ROE(自己資本利益率)も当期は20.4%と、プライム市場平均(9.4%)を大きく上回っており、効率的な収益獲得能力を示しています。手元資金である現金及び預金も当期末には121億円と潤沢であり、不測の事態への耐性も高い状況です。これらの財務指標は、同社の事業活動が安定しており、従業員の雇用や給与の安定性にも寄与する要素となります。

指標 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
純資産 266億円 342億円
自己資本比率 44.2% 59.6%
ROE(自己資本利益率) △2.8% 20.4%
現金及び預金 92.0億円 121億円

■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ


サンコールのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは当期に100億円の収入となり、前期から大きく増加しています。これは主に税金等調整前当期純利益の増加や売上債権の減少によるものです。投資活動によるキャッシュフローは△22.4億円の支出となり、前期の収入から支出に転じています。これは主に固定資産の取得による支出があったためです。財務活動によるキャッシュフローは△53.3億円の支出となり、短期借入金の純増減額や長期借入金の返済による支出が主な要因です。結果として、フリーキャッシュフローは77.8億円のプラスとなり、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金を生み出している状況を示しています。この資金の流れは、同社が安定した事業運営を継続し、将来の成長に向けた投資余力も確保していることを示しており、従業員の雇用安定性や給与水準の維持に貢献すると考えられます。

項目 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
営業CF 6.5億円 100億円
投資CF 10.0億円 △22.4億円
財務CF △2.8億円 △53.3億円
フリーCF(営業CF+投資CF) 16.6億円 77.8億円

■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント

① 継続企業の前提に関するリスク

継続企業の前提に関する特記事項はありません。

② 事業構造・収益性に関するリスク

同社グループの事業分野は自動車、EV関連製品、電子情報通信で構成されており、市場環境の変化が生産・開発活動に影響を及ぼす可能性があります。特に自動車分野では、ICE車、HV車、EV車の需要変動に対応していく必要があります。また、連結ベース海外売上高比率が約59%であるため、為替レートの変動が同社グループの業績に影響を及ぼすリスクがあります。

③ 人材・組織に関するリスク

同社グループは、技術継承のための適切な人材確保と育成を重要な課題と認識しています。グローバルな事業展開において国際感覚を持つ人材が不可欠である一方、少子高齢化や働き方の変化による人的資源の制約が、技術と事業継承を阻害するリスクとして挙げられています。

④ 雇用安定性・リストラ

解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。

5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?


サンコールは、「技翔創変」を経営理念に掲げ、技術集約型精密製品の創造を通じて社会貢献を目指す会社です。お客様の課題解決に貢献し、持続的な成長を追求する姿勢が特徴となっています。

■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか


同社グループは「技翔創変」を経営理念とし、技術集約型精密製品の創造を通じてお客様の問題解決を図り、社会に貢献することを基本方針としています。お客様の海外現地調達の加速や激化する価格競争、為替変動など、いかなる環境変化にも耐えうる経営体質の構築が不可欠であると考えています。

持続的成長を支えるため、経営効率を高めることにグループ一丸となって積極的に挑戦しています。2025年5月には中期経営計画2027を策定・発表し、「既存自動車分野における収益性の改善」「成長事業の基盤強化」「安定経営を実現・維持するための財務戦略」の3つの基本方針を掲げています。株主の期待に応えるべく、資本コストを上回る資本収益性を意識し、ポートフォリオ改革を進める方針です。

■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー


サンコールグループは、企業理念に基づくサステナビリティ経営を推進し、お客様や社会にとってかけがえのない存在となることを目指しています。事業を通じた環境・社会への貢献とコーポレート・ガバナンスの強化により、持続的成長を目指す方針です。

サステナビリティ委員会を設置し、気候変動への対応、安心できる社会生活への貢献、高齢化社会への貢献、人的資本経営の推進、持続的成長を支える企業経営の実現といった重要課題に取り組んでいます。これらのマテリアリティは各部門の年度実行計画に落とし込まれ、全社一丸で推進されています。

また、従業員一人ひとりの人権、個性、働き方を尊重し、安全かつ安心して成長できる職場環境の維持・向上を図ることを重視しています。多様な価値観、経験、専門性を持つ人材がそれぞれの能力を発揮できる環境整備を進めています。

■(3) 経営課題と今後の重点テーマ


同社グループは、サステナビリティを重要な経営課題と捉え、気候変動対応を含む様々な社会課題への取り組みを強化しています。特に、人的資本経営の推進と持続的成長を支える企業経営の実現を重点テーマとしています。

具体的には、多様な人材がチャレンジしやすい人材育成の推進、女性活躍に関する研修の実施、法定を上回る子育て支援制度等の整備を進めています。エンゲージメントを高めるためのアクションプランの実施や、有給休暇の取得促進にも取り組むことで、従業員のモチベーション向上と働きやすい職場環境の実現に向けた風土づくりを推進しています。

6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?


サンコールは監査等委員会設置会社として、取締役会による監督機能の強化を図っています。取締役会は業務執行取締役と社外取締役で構成され、専門性、多様性、客観性を高めた経営体制となっています。

■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か


同社の筆頭株主は信託銀行の退職給付信託口であり、事業会社である伊藤忠丸紅鉄鋼が2位に位置しています。複数の信託銀行が上位に名を連ねており、安定的な資本構成を示しています。

株主名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(退職給付信託口・株式会社神戸製鋼所口) 16.65%
伊藤忠丸紅鉄鋼 15.41%
日本カストディ銀行(信託口) 7.50%

■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか


同社の役員は9名(男性6名・女性3名)で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長執行役員は奈良正氏が務めています。社外取締役比率は66.7%です。

氏名 役職 主な経歴
奈良 正 代表取締役 社長執行役員 1985年トヨタ自動車入社。ダイハツ工業出向、トヨタ自動車でユニット主査などを歴任。2017年同社執行役員、2024年より同社代表取締役社長執行役員より現職。
金田 雅年 代表取締役 副社長執行役員 管理本部長 1986年伊藤忠商事入社。ITOCHU Automobile America Inc.出向、伊藤忠オートモービル取締役などを歴任。2017年同社取締役、2024年より同社代表取締役副社長執行役員管理本部長より現職。
礒野 裕司 取締役 副社長執行役員 第一生産事業本部長 兼 製品戦略室長 1984年同社入社。SUNCALL AMERICA INC.社長、同社執行役員、常務執行役員などを歴任。2025年より同社取締役副社長執行役員第一生産事業本部長兼製品戦略室長より現職。


社外取締役は、小椋大輔氏(神戸製鋼所執行役員)、鍵谷文子氏(中本総合法律事務所パートナー)、小澤浩子氏(PR TIMES社外取締役)、山﨑敏行氏(元伊藤忠丸紅鉄鋼監査役・ニューヨーク州弁護士)、田中敦氏(関西学院大学経済学部教授)、山田泉氏(フィールドマネジメント代表取締役)です。

同社は監査等委員会設置会社であり、社外取締役が独立した立場から経営判断の質と透明性の向上を図り、取締役会を監督する役割を担っています。

■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計


同社は、業務執行取締役の報酬を基本報酬、賞与、株式報酬の3つの要素で構成しています。賞与は単年度の連結業績と担当部門の業績を反映した短期インセンティブ、株式報酬は株主との利益共有を通じて中長期的な企業価値向上を促す目的で設計されています。社外取締役の報酬は固定報酬となっています。

区分 人数 総額 1人あたり平均
取締役(監査等委員及び社外除く) 3名 1.2億円 41.3百万円
社外役員 6名 44百万円 7.3百万円


※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。