※本記事は、株式会社ロブテックス の有価証券報告書(第142期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ロブテックスってどんな会社?
金属製品事業として作業工具やファスニングツール等を展開し、創業130年を超える歴史を持つ企業です。
■(1) 会社概要
1923年に日本理器として設立され、理髪器具等の製造を開始しました。1928年に作業工具の製造に着手し、1964年に大阪証券取引所市場第二部に上場しました。1992年に現在のロブテックスへ商号を変更し、2022年の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行しました。2024年には連結子会社のロブテックスファスニングシステムを完全子会社化するなど、グループ体制の強化を進めています。
同グループは連結従業員数186名、単体82名の体制で事業を展開しています。大株主の構成を見ると、筆頭株主は法人のニッセンリベットで、第2位は日栄会、第3位は有限会社ヤマチとなっており、法人や団体が上位を占めています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ニッセンリベット | 10.71% |
| 日栄会 | 9.35% |
| 有限会社ヤマチ | 5.68% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名、計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は地引俊爲氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 地引 俊爲 | 代表取締役社長 | 1993年同社入社。海外営業本部長、マーケティング本部長、モノづくり事業本部長などを歴任し、2009年より現職。 |
| 池本 義寛 | 取締役執行役員新規開発事業部長 | 松下電器産業(現パナソニックHD)出身。同社技術開発部長、モノづくり事業本部副本部長などを経て、2024年より現職。 |
| 森下 幸治 | 取締役執行役員管理部長 | 1985年同社入社。管理本部副本部長、フィナンシャル管理室長などを経て、2024年より現職。 |
| 田邉 浩樹 | 取締役執行役員ファスニング事業部長 | 1990年同社入社。国内営業本部長、ロブエース取締役支配人、海外営業部長などを経て、2024年より現職。 |
| 林 邦男 | 取締役(常勤監査等委員) | 1989年同社入社。経営企画室長、管理本部長などを経て、2008年常勤監査役、2016年より現職。 |
社外取締役は、藤本昇(弁理士法人藤本パートナーズ代表社員)、遠藤美智子(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「金属製品事業」および「レジャー事業」を展開しています。
■(1) 金属製品事業
作業工具(モンキレンチ、プライヤ等)、ファスニングツール(リベッター、ナッター等)、工業用ファスナー、電設工具、切削工具等の製造販売を行っています。主な顧客は製造業や建設業界のプロユーザーなどです。
製品の製造は主に子会社の鳥取ロブスターツールが行い、販売は同社および子会社のロブテックスファスニングシステムが担っています。製品販売による対価を主な収益源としています。
■(2) レジャー事業
大阪府八尾市においてゴルフ練習場の運営を行っています。地域住民やゴルフ愛好家に対し、練習環境やサービスを提供しています。
施設の利用料やサービス対価を顧客から受け取ることで収益を得ています。運営は子会社のロブエースが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2021年3月期から2023年3月期にかけて売上高は増加傾向にありましたが、直近2期は減少に転じています。経常利益に関しても、2023年3月期をピークに減少傾向となり、当期は前期比で減益となりました。利益率も低下傾向にあります。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 53億円 | 61億円 | 60億円 | 59億円 | 57億円 |
| 経常利益 | 3.0億円 | 3.9億円 | 4.9億円 | 4.3億円 | 2.2億円 |
| 利益率(%) | 5.7% | 6.4% | 8.3% | 7.3% | 3.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.4億円 | 1.8億円 | 2.7億円 | 2.0億円 | 1.3億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の減少に伴い、売上総利益も減少しました。売上原価率は上昇傾向にあります。販管費は減少したものの、営業利益は減益となり、営業利益率は低下しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 59億円 | 57億円 |
| 売上総利益 | 19億円 | 17億円 |
| 売上総利益率(%) | 32.3% | 29.9% |
| 営業利益 | 3.5億円 | 2.1億円 |
| 営業利益率(%) | 6.0% | 3.6% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が5億円(構成比36%)、支払手数料が2億円(同16%)を占めています。
■(3) セグメント収益
金属製品事業は、国内販売が堅調だったものの、海外市場の低迷や在庫評価損等の影響で減収減益となりました。レジャー事業は、気候の影響等により来場者数が減少し、減収減益となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 金属製品事業 | 57億円 | 55億円 | 2.2億円 | 0.9億円 | 1.6% |
| レジャー事業 | 2.6億円 | 2.5億円 | 1.3億円 | 1.2億円 | 48.1% |
| 連結(合計) | 59億円 | 57億円 | 3.5億円 | 2.1億円 | 3.6% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
ロブテックスは、事業運営に必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、ハンドツール事業における国内販売の好調さや、ファスニング事業での自動機・システム物件の引き合い増加が貢献する一方、海外市況の低迷や大型物件の反動減、子会社化に伴う販売移管などが影響しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、研究開発活動における新製品開発や、子会社株式の追加取得などが考えられます。財務活動によるキャッシュ・フローは、金融機関からの借入による資金調達が中心となっています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 1.4億円 | 2.9億円 |
| 投資CF | -3.6億円 | -1.4億円 |
| 財務CF | 0.8億円 | -6.5億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は企業理念の「存在意義」として、「お客様の期待を超え、感動していただける商品・サービスを提供することを通じ、社会に貢献し、明るい未来を築く力になります」と掲げています。また、「経営ビジョン」として「モノづくりのプロに応え、モノづくりの愉しさを育む」を定めています。
■(2) 企業文化
同社は「行動規範」として、「お客様視点、思いやり、誇り、信念、責任、目的意識、問題意識」を掲げています。これらをもって行動し、顧客に感動してもらうことを通じて、自らの働きがいを見出すことを重視する文化があります。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、事業の成長性と収益性を重視する観点から、連結売上高、連結営業利益、連結経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益を重要な経営指標として位置付けています。
■(4) 成長戦略と重点施策
経営課題である「業務の整流化を徹底し、利益体質の強化を図る」を追求しています。具体的には、省人化を目的とした自動機やシステム物件といったファスニング関連商品の強化、ハンドツール新商品の販路開拓を進めています。また、生産拠点の合理化や、レジャー事業における設備導入によるサービス向上にも取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「企業体質の強化」の一環として人財育成を重視し、目標に向かって挑戦を続ける組織風土の創造を目指しています。能力主義及び成果主義に基づく人事制度や教育訓練システムを充実させ、人的資源の活性化を図る方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 44.2歳 | 15.9年 | 590万6000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 5.4% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 73.7% |
| 男女賃金差異(正規) | 71.9% |
| 男女賃金差異(非正規) | 61.5% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(96.8%)、労働者一月あたりの平均残業時間(6.10時間)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 金利変動リスク
有利子負債を有しており、金利変動リスク低減に努めているものの、金融市場の大幅な変化により資金調達条件が悪化した場合、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 原材料・エネルギー価格の高騰
市場環境の変化により原材料やエネルギー価格が高騰した場合、売上原価率が上昇し、損益に大きな影響を与える可能性があります。
■(3) 特定顧客への依存
大口代理店であるトラスコ中山および山善への売上依存度が高く(連結売上高の38.2%)、当該代理店の経営施策や取引方針の変更が業績に影響を与える可能性があります。
■(4) 訴訟およびコンプライアンスリスク
製造物責任や環境影響等に関して訴訟を提起される可能性があります。また、法令遵守に努めているものの、管理体制上の問題や従業員の不正行為が発生した場合、業績や社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。



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