【平均年収592万円】日本製罐 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

【平均年収592万円】日本製罐 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

日本製罐は、金属缶製造販売事業と不動産賃貸事業をグループ各社とともに展開しています。直近の業績は売上高が緩やかに増加したものの、経常利益と当期純利益は損失が継続しました。


目次

※本記事は、日本製罐株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。

1. 企業概要:どんな会社?


同社グループは、金属缶製造販売事業と不動産賃貸事業を主たる業務としています。金属缶製造販売事業では、18L缶の製造販売を主力とし、関東地区では日本製罐が、関西地区では子会社の新生製缶がOEM生産を行っています。

単体従業員数は102名、連結従業員数は189名です。セグメントは金属缶製造販売事業、不動産賃貸事業の2つです。

主な国内グループ会社は、新生製缶(金属缶の・製造販売)などです。

同社グループは、中長期的な安定成長のため2025年度より収益構造改革を推進しており、生産ライン集約や人員合理化を進めています。これに伴い、千葉工場の閉鎖と従業員の退職がありました。

2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?


日本製罐は、金属容器の製造・販売を基盤とする企業です。安定した事業運営を支える人材を重視し、働きがいのある環境づくりや多様な人材の活躍を推進しています。社員の成長と定着を重視した人事制度の刷新にも取り組んでおり、長期的なキャリア形成を支援する姿勢が見られます。

■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢


日本製罐では、従業員の平均勤続年数が比較的長く、安定して働き続けられる環境がうかがえます。平均年齢も中堅層が中心となっており、経験豊富な人材が活躍している傾向が見られます。

項目 数値
平均年間給与 5,923,526円
平均勤続年数 14.5年
平均年齢 44.7歳
単体従業員数 102人
連結従業員数 189人
単体のグループ内比率 54.0%


同社グループ全体で退職給付制度を採用しています。確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を採用しています。退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。退職給付債務は300百万円となっています。確定拠出制度への要拠出額は24百万円です。

■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方


日本製罐は、金属容器の製造・販売を支える人的資本を重要な経営基盤と位置づけ、「安全・品質・安定供給」を根幹とした人材戦略を推進しています。製造技能や設備保全技術の承継、多能工化による柔軟な生産体制の構築、中核人材の育成、管理職層の強化を重点課題としています。

給与やその他の報酬は、職務内容、役割、能力、経験、成果、勤務状況、会社業績を総合的に勘案し、職責と役割に応じた処遇を基本としています。年功序列や終身雇用といった従来の制度から脱却し、多様な価値観を尊重した人事制度全体の刷新を進めており、社員のやる気ややりがい向上を目指しています。

人材育成においては、OJTを通じた実務教育による技能承継や多能工化、労働災害防止や品質確保のための安全・品質教育、管理職のマネジメント能力向上を目的とした社内教育に力を入れています。また、社員一人ひとりが自身のキャリアを考え、能力向上や自己研鑽の指針とするためのキャリアビジョンシート申告制度も導入しています。働きやすい職場環境の整備にも注力し、労働安全衛生活動の推進、長時間労働抑制、ハラスメント防止体制の整備、高齢従業員の活躍支援などに取り組んでいます。

■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標


有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。

法定開示


提出会社単体の法定開示データです。各指標は、女性活躍推進法および育児介護休業法に基づき算出されています。

指標 数値
管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 3.6%
男性労働者の育児休業取得率 0.0%
労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) 58.7%
労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) 77.9%
労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) 56.2%

連結子会社の法定開示


主要事業会社3社の数値のみ掲載します。

▼ 新生製缶㈱

指標 数値
管理的地位ある労働者に占める女性労働者の割合 0.0%
男性労働者の育児休業取得率 0.0%
労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) 73.8%
労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) 75.4%
労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) 46.4%

多様性・登用


2026年3月末時点の同社グループの数値です。

指標 数値
中途入社比率 70.0%
中途入社者の管理職比率 60.0%

3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?


日本製罐グループは、金属缶製造販売事業と不動産賃貸事業の二つを主たる業務としています。同社グループは、国内市場に特化し、特定の顧客との取引を基盤とした事業展開を進めています。

■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか


日本製罐グループは、主に金属缶の製造販売と不動産の賃貸を通じて収益を上げています。主力製品である18L缶は油糧・食糧分野で利用され、美術缶は新規生産設備の稼働により売上を伸ばしています。収益は、これらの製品の販売と不動産の賃貸収入から得られています。海外への売上高はなく、国内市場に集中した事業構造となっています。

金属缶製造販売事業

この事業では、18L缶や美術缶などの金属缶を製造・販売しています。収益は、これらの金属缶の販売から得ています。運営は、日本製罐と子会社の新生製缶が行っており、新生製缶は関西地区で18L缶の専業メーカーとして活動し、日本製罐は関東地区で新生製缶のOEM生産も担っています。

不動産賃貸事業

この事業では、同社グループが保有する建物や土地の賃貸を行っています。収益は、安定した賃貸収入から得ています。

セグメント 売上高(2025年3月期) 売上高(2026年3月期)
金属缶製造販売事業 111億円 113億円
不動産賃貸事業 1.6億円 1.6億円


同社グループの売上高は、金属缶製造販売事業が大部分を占めており、不動産賃貸事業は比較的小規模な構成となっています。金属缶製造販売事業では、18L缶の販売数量はわずかに減少したものの、原材料等の値上げ転嫁が進み、売上高は前期並みとなりました。美術缶は新規製造設備の稼働により、前期に比べて売上高が増加しています。主要な顧客としては、西部容器株式会社や株式会社明治との取引があります。

■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移


日本製罐グループの直近5期間の業績を見ると、売上高は緩やかな増加傾向にあります。しかし、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、直近2期間において損失が続いています。これは、減損損失や千葉工場の閉鎖関連費用、投資有価証券売却益の減少、前期に発生した早期割増退職金などが影響しているためです。一方で、営業活動によるキャッシュ・フローはプラスを維持しており、本業による資金創出力は継続している状況です。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 105億円 109億円 122億円 113億円 114億円
経常利益 2.2億円 2.7億円 3.2億円 △4.8億円 △2.8億円
経常利益率 2.1% 2.5% 2.6% △4.2% △2.5%
親会社株主に帰属する当期純利益 2.4億円 2.9億円 2.7億円 △3.4億円 △3.5億円
1株当たり当期純利益(円) 174.63 213.28 199.84 △249.91 △257.12

■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る


日本製罐グループの従業員1人あたりの売上高は、前期に比べて増加しています。これは、売上高の増加と連結従業員数の減少が影響していると考えられます。一方で、従業員1人あたりの営業利益は前期に比べて改善しているものの、依然として損失となっています。これは、千葉工場閉鎖に伴う従業員の退職など、人員合理化が進んだことによる影響も考えられます。

指標 2025年3月期 2026年3月期
従業員1人あたり売上高(連結) 52.9百万円 60.5百万円
従業員1人あたり営業利益(連結) △2.5百万円 △1.6百万円

4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?


日本製罐グループの財務状況は、事業活動による資金創出が見られる一方で、投資活動により資金を使用している状況です。これにより、フリーキャッシュフローはマイナスとなっています。

■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み


日本製罐グループの財務基盤を見ると、自己資本比率は前期から減少傾向にあり、プライム市場の製造業平均と比較して低い水準です。ROE(自己資本利益率)もマイナスで推移しており、収益性の改善が課題となっています。手元資金である現金及び預金は減少していますが、一定の残高を維持しています。これらの財務状況は、今後の事業展開や雇用・給与の安定性に影響を与える可能性があります。

指標 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
純資産 50.2億円 48.6億円
自己資本比率 31.4% 29.9%
ROE(自己資本利益率) △7.2% △8.7%
現金及び預金 19.0億円 17.8億円

■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ


日本製罐グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは、税金等調整前当期純損失があったものの、減価償却費や棚卸資産の減少などにより2.9億円の資金を得ています。しかし、前期と比較すると減少しています。投資活動によるキャッシュフローは、有形及び無形固定資産の取得による支出が主な要因となり、△3.6億円の資金を使用しました。これにより、フリーキャッシュフローは△61百万円となり、前期のプラスからマイナスに転じています。財務活動によるキャッシュフローは、長短有利子負債の減少があった一方で、セール・アンド・リースバックによる収入などにより、△55百万円の資金を使用しました。これらの資金の流れは、同社グループが事業活動で得た資金を投資に充てている状況を示しており、今後の事業成長に向けた投資の動向が、雇用や給与の安定性に影響を与える可能性があります。

項目 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
営業CF 9.0億円 2.9億円
投資CF 6.4億円 △3.6億円
財務CF △2.8億円 △55百万円
フリーCF(営業CF+投資CF) 15.4億円 △61百万円

■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント

① 継続企業の前提に関するリスク

継続企業の前提に関する特記事項はありません。

② 事業構造・収益性に関するリスク

同社グループの主力商品である18L缶市場は、国内人口減少や取引先の海外移転などを背景に、中長期的に需要が減少傾向にあります。また、鋼材価格や印刷費、物流費、エネルギー価格などの上昇に伴う製品価格上昇が、他容器への代替を促進し、市場縮小が進行する可能性があります。主要原材料である鋼材価格は市況や国際情勢の影響を受け変動しており、物流費や印刷費、副資材価格、人件費なども上昇傾向が継続しています。

③ 人材・組織に関するリスク

人材・組織に関するリスクの記載はありません。

④ 雇用安定性・リストラ

解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。

5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?


日本製罐は、創立100周年を迎える歴史ある企業でありながら、未来に向けた変革と持続的な成長を目指しています。顧客、社員、社会への「+(プラス)創造」を企業パーパスに掲げ、新たな価値を生み出す企業文化を育んでいます。

■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか


同社グループは「顧客への+(プラス)、社員への+(プラス)、社会への+(プラス)。+(プラス)創造を通じて、明るく豊かな未来を創造していく」を企業パーパス(使命)としています。コーポレートビジョンには「+(プラス)創造企業」を掲げています。

金属缶の製造販売を主たる事業として展開し、同分野において成長性と収益力を兼ね備えた企業グループを目指しています。顧客ニーズへの迅速な対応、新製品開発力の強化、高品質な製品供給を通じて、顧客と共に成長できる企業であり続けることを基本方針としています。

創立100周年を契機として、次の成長ステージに向けた経営基盤の強化を進めています。特に「安全」と「品質」を重要課題と位置付け、生産プロセスの高度化や効率化を推進し、より高い付加価値を提供できる体制の構築に取り組んでいます。

■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー


同社グループの企業理念は、企業パーパス「顧客への+(プラス)、社員への+(プラス)、社会への+(プラス)」を起点としています。顧客へは付加価値の高い製品とSolution作りへの挑戦、社員へは夢と希望を持って楽しく働ける環境作り、社会へは持続可能な社会づくりと地球にやさしい未来づくりへの貢献を目指しています。

環境理念として「NIKKANは、未来のKAN-Kyouを今日も考えています」を掲げ、常に地球環境を考えて人と地球にやさしい未来作りを目指しています。同社グループは社員を最も大事な経営資本と考え、企業文化の変革と働き方改革により、社員がやりがい、働きがい、希望を持って前向きに、明るく、楽しく働ける環境を目指しています。

人事評価や給与体系を含めた人事制度全体の刷新を行い、教育・研修制度の充実やダイバーシティ推進による新しい発想と企業文化の変革を目指しています。また、コンプライアンスポリシー(企業行動基準)を基盤に、人権尊重に関するグループポリシーや贈収賄防止に関する基本ポリシーを設定し、コンプライアンス遵守を進めています。

■(3) 経営課題と今後の重点テーマ


同社グループが対処すべき課題として、「製造コスト低減とプロダクトミックス改善を通じた経営基盤の強化」を挙げています。また、「新製品の開発や新規客先確保による新しい収益基盤の創造」にも取り組んでいます。

さらに、「SDGsに対する積極的な取組み」も重点テーマとしています。これらの課題に対し、製造ラインの集約や人員合理化によるコスト競争力強化、DX化の推進による不良品削減、高付加価値製品の比重拡大などを進めています。

新たな用途・分野への製品展開や顧客ニーズに密着した新商品の開発、外部パートナーとの連携による新たなビジネススキームの構築も推進しています。SDGsへの取り組みとしては、環境負荷低減、安全・品質向上、人材育成等を通じて持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。

6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?


日本製罐は監査役会設置会社であり、取締役会は社外取締役が過半数を占める構成となっています。また、取締役会の任意諮問委員会として指名・報酬委員会を設置し、ガバナンス体制の強化を図っています。

■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か


日本製罐の株主構成を見ると、筆頭株主は事業会社である伊藤忠丸紅鉄鋼です。上位には複数の事業会社が名を連ねており、同社グループの事業と関連の深い企業が主要な株主として経営を支えていることがうかがえます。

株主名 持株比率
伊藤忠丸紅鉄鋼 11.53%
みみっく 9.72%
日本製鉄 7.76%

■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか


同社の役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は西尾文隆氏が務めています。社外取締役比率は60.0%です。

氏名 役職 主な経歴
西尾 文隆 代表取締役社長 1983年4月伊藤忠商事株式会社入社。2012年4月伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社特板部部長。2014年4月欧阿支配人兼伊藤忠丸紅鉄鋼欧州会社社長。2020年6月伊藤忠丸紅住商テクノスチール株式会社常勤監査役。2024年6月同社代表取締役社長より現職。
土方 俊幸 専務取締役 1985年4月株式会社富士銀行(現株式会社みずほ銀行)入行。2010年4月株式会社みずほ銀行名古屋支店長。2012年10月株式会社ジャックスコンプライアンス統括部長。2020年6月同社常勤監査役。2025年6月同社専務取締役より現職。


社外取締役は、宮入小夜子氏(開智国際大学名誉教授・客員教授)、塔下辰彦氏(元伊藤忠丸紅鉄鋼代表取締役社長)、中川泰三氏(伊藤忠丸紅鉄鋼執行役員経営管理本部長代行兼内部統制推進室長)です。

同社は監査役会設置会社を採用しており、取締役会は社外取締役が過半数を占める構成で、独立した立場からの監督機能を確保しています。監査役会も全員が社外監査役で構成され、独立した監査体制を構築しています。

■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計


日本製罐の役員報酬は、株主総会で決定された報酬総額の上限内で支給されています。取締役には固定報酬と株式報酬型ストック・オプションが設定されており、社外取締役が過半数を占める指名・報酬委員会での審議を経て、代表取締役社長が個別の報酬額を決定する仕組みです。監査役の報酬は監査役会の協議により決定されます。

区分 人数 総額 1人あたり平均
取締役(社外除く) 3名 39百万円 12.9百万円
社外役員 6名 26百万円 4.3百万円


※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。