東洋シヤッター 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東洋シヤッター 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場する東洋シヤッターは、軽量・重量シャッターやスチールドア、建築金物の製造販売から取付、修理・点検までを一貫して手がける建材メーカーです。直近の業績トレンドは、主力のシャッター事業が牽引し売上高は前年比増収となったものの、人件費等の増加により営業利益は減益となっています。


※本記事は、東洋シヤッター株式会社の有価証券報告書(第71期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 東洋シヤッターってどんな会社?


シャッターやスチールドアの製造販売、修理・点検までを総合的に展開する建材メーカーです。

(1) 会社概要


1955年に大阪市でシャッター販売を目的に創業し、1957年に軽量シャッターの製造を開始しました。1975年に大阪証券取引所市場第二部に上場し、1989年には東京証券取引所市場第二部への上場と第一部への指定替えを果たしています。2011年にはドイツのハーマングループと資本・業務提携を締結しました。

現在の従業員数は連結で543名、単体で524名です。筆頭株主は資本業務提携先であるドイツのハーマングループに関連する信託口で、第2位は取引先持株会、第3位は従業員持株会が名を連ねており、取引先や従業員との安定的な資本関係を構築しています。

氏名 持株比率
ドイチェ バンク アーゲー フランクフルト シーシー シーエルティー ハーマン ベタイリグ 4004020 19.89%
東洋シヤッター取引先持株会 13.17%
東洋シヤッター従業員持株会 8.33%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は17.0%です。代表取締役社長は岡田敏夫氏が務めています。取締役8名のうち3名が社外取締役です。

氏名 役職 主な経歴
岡田敏夫 代表取締役社長全般統括 1986年川鉄商事入社。1991年同社入社。営業企画室長、常務取締役東日本地区事業部担当などを経て、2010年4月より現職。
田畑勝志 取締役営業本部担当 1985年同社入社。京都支店長、奈良工場長、関西ユニット長、取締役兼常務執行役員営業本部長などを歴任し、2026年4月より現職。
脇川和則 取締役業務企画統括部長 1986年第一勧業銀行入行。エーデルワイス常務執行役員を経て2018年同社入社。2023年4月より現職。
野中真也 取締役経営企画統括部長 1989年第一勧業銀行入行。2019年同社入社。執行役員経営企画統括部長兼経理部長などを経て、2025年6月より現職。
西影憲介 取締役生産製品本部担当(生産部門) 1994年同社入社。業務企画部長、事業戦略室長、執行役員営業本部副本部長などを経て、2025年6月より現職。


社外取締役は、マーチン・ハーマン(ハーマン・フェアカウフスゲゼルシャフト合資会社 マネージングパートナー)、水野久美子(水野会計事務所設立)、中澤未生子(エマーブルコンサルティング代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは単一の報告セグメントですが、主にシャッターやスチールドア、金物の製造販売および修理・点検を展開しています。

シャッター、スチールドア事業


軽量シャッターから重量シャッター、各種スチールドア製品などの建材製品の製造・販売・施工・メンテナンスを手がけています。大型商業施設やオフィスビル、物流施設など幅広い建設物件に向けて、防災や防犯などの社会的課題の解決に資する安全性の高い製品を顧客に提供しています。

製品の販売・施工代金および修理・点検のサービス料を主な収益源として顧客から受け取ります。事業の運営は主に東洋シヤッターが行っており、子会社である南東洋シヤッターが九州工場内における外注業務の請負を担当して生産体制を支えています。

金物事業


建築用の各種金物製品の製造・販売を展開しています。シャッターやドア製品に関連する金物などを扱い、建物の機能性や利便性を高めるための製品を顧客に提供しています。

金物製品の販売代金を顧客から受け取る収益モデルとなっています。こちらの事業運営はすべて東洋シヤッターが単独で行い、製品の研究開発から製造、販売までを一貫して手がけています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5年間の業績推移を見ると、売上高は190億円台から210億円台へと緩やかな拡大傾向にあります。経常利益も売上の増加に伴い成長しており、直近2期間は原材料価格の高止まりや人件費の増加などの影響で利益水準は微減となっているものの、安定した黒字を維持しています。

項目 第67期 第68期 第69期 第70期 第71期
売上高 197億円 207億円 215億円 209億円 215億円
経常利益 7億円 8億円 14億円 12億円 12億円
利益率(%) 3.3% 3.9% 6.4% 5.8% 5.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 4億円 5億円 10億円 8億円 8億円

(2) 損益計算書


売上高は前年比で増加し、それに伴い売上総利益も拡大しています。一方で、人件費などの経費増加が響き、営業利益は微減となりました。

項目 第70期 第71期
売上高 209億円 215億円
売上総利益 57億円 58億円
売上総利益率(%) 27.3% 27.0%
営業利益 13億円 12億円
営業利益率(%) 6.2% 5.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が17億円(構成比37.6%)、賞与引当金繰入額が4億円(同7.7%)を占めています。売上原価の主な内訳は材料費や外注加工費などの製造費用で構成されています。

(3) セグメント収益


同社は単一セグメントですが、製品・サービスごとの売上高を見ると、主力の重量シャッターが好調に推移し増収を牽引しました。また、修理・点検サービスも堅調に伸びていますが、軽量シャッターやスチールドアはやや減収となっています。

区分 売上(第70期) 売上(第71期)
軽量シャッター 27億円 26億円
重量シャッター 58億円 63億円
スチールドア 41億円 39億円
修理・点検 51億円 54億円
その他 32億円 32億円
連結(合計) 209億円 215億円


営業活動によるキャッシュ・フローはプラス、投資活動と財務活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う「健全型」のキャッシュ・フロー構造となっています。

項目 第70期 第71期
営業CF -2億円 2億円
投資CF -0.7億円 -1億円
財務CF -7億円 -8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.3%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も57.8%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「『防ぐ』を合言葉に、すべてのユーザーへ安全・安心・快適・感動を提供し、持続可能な社会づくりに貢献します」を経営の基本方針に掲げています。建物における防災や防犯に資する製品の製造からメンテナンスまでを通じ、社会と顧客のいまと未来を守り続けることを使命としています。

(2) 企業文化


経営ビジョンにおいて「企業力を磨く」「独創性と挑戦」「人財の育成」を掲げています。社会から常に必要とされる企業となるために品質を磨き続け、ニッチな発想力と果敢な実行力で新たなマーケットを開拓するとともに、熱意と誇りを持って自ら動く企業人を育成することを重視しています。

(3) 経営計画・目標


中期経営計画『TOYO ADVANCE 5』を策定し、2030年3月期を最終年度とする数値目標を掲げています。基幹事業の強化や成長戦略商品の販売促進などを進め、企業品質の向上と収益拡大を目指しています。

* 売上高:250億円
* 営業利益:20億円
* ROE:10%
* 成長戦略商品売上高:20億円
* 配当性向:40%

(4) 成長戦略と重点施策


基幹事業の強化として、戦略部門への経営資源投入や提案力強化による販売力向上、営業から施工までの連携強化による生産性向上に取り組んでいます。また、成長戦略としてフェーズフリー製品など競争力の高い商品の開発と販売促進を強化し、人的資本投資やサステナビリティへの取り組みも推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人財の育成」を会社永続に不可欠な要素と位置づけ、社員一人ひとりが使命を果たし共有・協力する風土の醸成を目指しています。新入社員から管理職までの階層別研修や専門技能教育を整備し、社長自らが主宰する塾による次世代リーダーの育成や、女性・外国人などの多様な人材の採用・登用も推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
第71期 42.4歳 16.2年 6,604,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.7%
男性育児休業取得率 33.3%
男女賃金差異(全労働者) 63.3%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 70.8%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 53.7%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、ストレスチェック受検率(99%)、時間単位有給制度利用人数(130名)、従業員エンゲージメントのワークエンゲージメント指標(2.98)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済環境に伴う設備投資動向


大型商業施設や物流施設などの建設案件に対するシャッター・ドアの取付を行っているため、経済環境の変化に伴う民間設備投資の動向によって受注が変動し、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は新規顧客の開拓等により営業基盤の強化を図っています。

(2) 鋼材等の原材料価格の変動


製品の主材料である鋼材の需給動向や価格高騰が生じた場合、原価が増大し利益を圧迫するリスクがあります。これに対し、複数の供給元との情報共有を通じた適正な調達状況の把握に努め、価格変動による影響の軽減を図っています。

(3) 特定の商品および仕入先への依存


主要製品であるシャッターやスチールドアの需要が代替商品の出現等で極端に減少するリスクや、シャッターの重要部品を特定の外部供給元に依存しているため供給が滞るリスクがあります。適正な在庫水準の維持や新商品の開発で対応しています。

(4) 大口得意先の債権貸倒れ


大手ゼネコンをはじめとする大口の顧客が多いため、予期せぬ事象により大口の貸倒れが発生する可能性があります。業務監査部を中心とした取引開始時の与信管理や、売掛金の滞留管理を徹底することで貸倒れの未然防止に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。