※本記事は、東洋シヤッター株式会社 の有価証券報告書(第70期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 東洋シヤッターってどんな会社?
シャッターやスチールドア等の建材製品を主力とし、「防ぐ」を合言葉に防災・防犯製品を提供する企業です。
■(1) 会社概要
1955年に大阪市でシャッター販売を目的に創業し、1989年には東証一部・大証一部へ指定替えを行いました。2011年にはドイツのハーマン社グループと資本・業務提携契約を締結し、グローバルな技術力を取り入れています。2022年の市場区分見直しにより、現在は東証スタンダード市場に上場しています。
同グループの従業員数は連結で534名、単体で514名です。大株主構成は、筆頭株主がドイツ銀行(常任代理人:みずほ銀行)で、これは提携先のハーマン社関連による保有です。第2位は取引先持株会、第3位は従業員持株会となっており、安定株主が上位を占めています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ドイチェ バンク アーゲー フランクフルト シーシー シーエルティー ハーマン ベタイリグ 4004020 | 19.88% |
| 東洋シヤッター取引先持株会 | 12.35% |
| 東洋シヤッター従業員持株会 | 8.10% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性2名、計12名で構成され、女性役員比率は17.0%です。代表取締役社長は岡田敏夫氏です。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 岡田 敏夫 | 代表取締役社長全般統括 | 川鉄商事(現JFE商事)を経て同社入社。企画室長、常務執行役員企画管理本部長等を歴任し、2010年より社長を務める。2012年より現職。 |
| 田畑 勝志 | 取締役営業本部長 | 同社入社後、京都支店長、関西ユニット長等を経験。常務執行役員として各エリアを担当し、2024年より現職。 |
| 脇川 和則 | 取締役業務企画統括部長 | 第一勧業銀行(現みずほ銀行)、エーデルワイス常務を経て同社入社。業務企画統括部長等を務め、2023年より現職。 |
| 野中 真也 | 取締役経営企画統括部長 | 第一勧業銀行(現みずほ銀行)を経て同社入社。執行役員経営企画統括部長兼経理部長等を歴任し、2025年より現職。 |
| 西影 憲介 | 取締役生産製品本部担当(生産部門) | 同社入社後、業務企画部長、事業戦略室長等を経験。執行役員営業本部副本部長等を経て、2025年より現職。 |
社外取締役は、マーチン・ハーマン(ハーマン・フェアカウフスゲゼルシャフト合資会社マネージングパートナー)、水野久美子(水野会計事務所所長)、中澤未生子(株式会社エマーブルコンサルティング代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「シャッター、スチールドア」および「金物」事業を展開しています。
同社グループは単一の報告セグメントですが、製品区分としてシャッター、スチールドア、金物を取り扱っています。主力製品である軽量・重量シャッターやスチールドアは、オフィスビル、商業施設、工場、倉庫などの建設において不可欠な建材であり、ゼネコンや施主が主な顧客となります。
収益は、顧客に対する製品の販売および施工(取付工事)、修理・点検サービスから得ています。製品の製造販売は主に同社が行い、連結子会社である南東洋シヤッターは、同社九州工場内における外注業務の請負を行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は200億円前後で推移しており、2024年3月期に215億円まで伸長しましたが、当期はやや減少しました。経常利益は2021年3月期から2024年3月期にかけて増加傾向にありましたが、当期は減益となっています。利益率は6%前後を維持しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 197億円 | 197億円 | 207億円 | 215億円 | 209億円 |
| 経常利益 | 6億円 | 7億円 | 8億円 | 14億円 | 12億円 |
| 利益率(%) | 2.9% | 3.3% | 3.9% | 6.4% | 5.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 4.2億円 | 4.1億円 | 5.4億円 | 10億円 | 8億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で微減となり、それに伴い売上総利益も減少しました。営業利益率は6%台を維持していますが、前期と比較すると低下しています。工事損失引当金繰入額の増加などが利益面での押し下げ要因となりました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 215億円 | 209億円 |
| 売上総利益 | 60億円 | 57億円 |
| 売上総利益率(%) | 28.0% | 27.3% |
| 営業利益 | 15億円 | 13億円 |
| 営業利益率(%) | 6.9% | 6.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が17億円(構成比38%)、賞与引当金繰入額が3億円(同8%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は単一セグメントですが、製品別の販売実績を見ると、主力の重量シャッターが減少した一方で、スチールドアは増加しました。修理・点検サービスは安定して推移しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 軽量シャッター | 27億円 | 27億円 |
| 重量シャッター | 64億円 | 58億円 |
| シャッター関連 | 26億円 | 26億円 |
| スチールドア | 40億円 | 41億円 |
| 建材他 | 7億円 | 6億円 |
| 修理・点検 | 52億円 | 51億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
東洋シヤッターは、中期経営計画に基づき基幹事業の収益力向上に注力しています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、手形サイトの短縮に伴う仕入債務の減少により、前年と比較して資金の使用額が増加しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出の減少により、資金の使用額は前年より減少しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出の増加により、資金の使用額は前年より増加しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 15.4億円 | -1.6億円 |
| 投資CF | -1.5億円 | -0.7億円 |
| 財務CF | -1.8億円 | -6.7億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「『防ぐ』を合言葉に、すべてのユーザーへ安全・安心・快適・感動を提供し、持続可能な社会づくりに貢献します」を経営の基本方針として掲げています。建物における防災や防犯に資する製品を通じて、社会課題の解決とユーザーの安全を守ることを目指しています。
■(2) 企業文化
経営ビジョンとして「社会への貢献」「企業力を磨く」「独創性と挑戦」「人財の育成」の4つを掲げています。ユーザーのいまと未来を守ること、社会から必要とされる企業品質を磨くこと、ニッチな発想力で新市場を開拓すること、そして熱意と誇りを持つ企業人を育成することを重視する文化です。
■(3) 経営計画・目標
2025年度を初年度とする新たな中期経営計画『TOYO ADVANCE 5』を策定し、5年後のあるべき姿に向けた目標を設定しています。最終年度における主な数値目標は以下の通りです。
* 売上高250億円
* 営業利益20億円
* ROE10%
■(4) 成長戦略と重点施策
基幹事業の強化、企業品質向上、成長戦略と人的資本投資、サステナビリティを重点施策としています。具体的には、戦略部門への資源投入、提案力強化、生産性向上、フェーズフリー製品などの成長戦略商品の開発強化、PBR1倍以上に向けたIR充実などに取り組んでいく方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「人財の育成」を経営ビジョンに掲げ、教育企画課を設置して専門技能教育や階層別教育を実施しています。また、次世代リーダー育成のための「ひとづくりセミナー」や、女性社員の活躍推進、リファラル採用や外国人採用など多様性の確保にも注力し、従業員エンゲージメントの向上を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 42.5歳 | 16.5年 | 6,396,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 2.2% |
| 男性育児休業取得率 | 42.9% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 60.9% |
| 男女賃金差異(正規) | 68.3% |
| 男女賃金差異(非正規) | 46.9% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、ストレスチェック受検率(95%)、時間単位有給制度の利用人数(123名)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済環境および設備投資動向
同社グループは大型商業施設やオフィスビル等の建築に関連する製品を扱っているため、景気変動による民間設備投資の動向の影響を強く受けます。経済環境が悪化し建設需要が減退した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。これに対し、主要顧客との関係維持と新規開拓により営業基盤の強化を図っています。
■(2) 原材料価格の変動
製品の主材料である鋼材の価格変動や需給動向が、生産コストや利益に影響を与えるリスクがあります。価格高騰による原価増大を防ぐため、複数の供給元との情報共有を通じた適正な調達状況の把握や、価格転嫁等の対策に努めていますが、想定以上の変動があった場合には業績に影響する可能性があります。
■(3) 特定の仕入先への依存
シャッターの重要部品の一部を特定の外部供給元に依存しています。当該供給元からの部品供給が滞った場合、生産活動に支障をきたし、受注に対応できなくなる可能性があります。適正な在庫水準の維持や供給元との定期的な連携により、部品確保のリスク低減に努めています。
■(4) 法的規制およびコンプライアンス
建設業法や建築基準法等の法的規制を受けており、これらに抵触する行為があった場合や規制強化が行われた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。過去に独占禁止法違反による排除措置命令等を受けており、コンプライアンス体制の強化を図っていますが、関連法規の遵守は引き続き重要な経営課題です。



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