不二サッシ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

不二サッシ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、建材品・アルミ形材の製造および販売を主な事業としています。当連結会計年度の業績は、売上高が1,048億円で前期比3.5%増、経常利益が27億円で同25.4%増、親会社株主に帰属する当期純利益が22億円で同29.8%増となり、増収増益を達成しました。


※本記事は、不二サッシ株式会社 の有価証券報告書(第44期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 不二サッシってどんな会社?


同社グループは、ビル用・住宅用サッシやカーテンウォール等の建材事業を中核とし、アルミ形材の製造販売や廃棄物処理プラント等の環境事業も展開する総合建材メーカーです。

(1) 会社概要


1930年に不二サッシ製作所として設立され、1958年に本社工場でアルミサッシの製造・販売を開始しました。1981年には不二サツシ工業および不二サツシ販売を吸収合併し、製販一体の体制を強化しました。その後、2007年に不二ライトメタルを発足させて形材外販事業を再編し、2009年には文化シヤッターと資本業務提携を締結するなど、事業基盤の強化を進めています。

現在の従業員数は連結で2,889名、単体で912名です。筆頭株主は資本業務提携先である文化シヤッターで、第2位は関係会社の大栄不動産、第3位は個人株主となっています。

氏名 持株比率
文化シヤッター 23.49%
大栄不動産 4.24%
中島 和信 2.52%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長社長執行役員は江崎 裕之氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
江崎 裕之 代表取締役社長社長執行役員 1988年同社入社。大阪支店長、執行役員営業本部長兼ビル建材担当などを経て、2023年4月より現職。
宮﨑 恒史 代表取締役専務執行役員 1986年埼玉銀行入行。埼玉りそな銀行常務執行役員、ジェイアンドエス保険サービス社長などを経て、2025年4月より現職。
新野 伸宏 取締役執行役員管理本部長 1985年同社入社。山口不二サッシ社長、執行役員生産本部長などを経て、2021年6月より現職。
石井 浩 取締役執行役員生産本部長 1988年同社入社。営業本部営業企画部長、執行役員経営企画室長などを経て、2024年3月より現職。
土井 和之 取締役執行役員技術本部長 1990年同社入社。技術本部商品開発一部長、執行役員技術本部長兼グループ統括室長などを経て、2024年6月より現職。


社外取締役は、緒方 右武(元整理回収機構専務取締役)、澤飯 明広(元構造計画研究所代表取締役副社長)、濵﨑 利香(かんぽ生命保険執行役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「建材事業」「形材外販事業」「環境事業」「物流事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 建材事業


カーテンウォール、ビル用サッシ・ドア、住宅用サッシ、改装用サッシ、エクステリア製品等の製造および販売を行っています。顧客は建設会社や住宅メーカー、工務店等が中心です。

製品の販売代金や工事請負代金が主な収益源となります。製造は不二サッシ、不二ライトメタル、日海不二サッシなどのグループ会社が担い、販売は不二サッシおよび各地域の販売子会社が行っています。

(2) 形材外販事業


外販用アルミ形材やアルミ精密加工品の製造および販売を行っています。自動車部品や電機部品など、建材以外の幅広い産業分野の顧客へ製品を提供しています。

顧客への製品販売による対価が収益となります。運営は主に不二ライトメタルが担っており、海外ではマレーシアのチアン・ジアン・アルミニウム社も製造・販売を行っています。

(3) 環境事業


都市ごみ焼却飛灰処理プラントの製造・販売や、それに伴う薬剤の販売、リサイクル施設の設計・施工などを行っています。地方自治体や民間企業が主な顧客です。

プラント建設工事の請負代金や処理薬剤の販売代金が収益源です。運営は同社が担当しています。

(4) 物流事業


同社製品等の運送および倉庫管理業務を行っています。グループ内の製品物流を担うほか、グループ外の顧客への物流サービスも提供しています。

運送費や倉庫保管料等が収益源となります。運営は不二倉業が行っています。

(5) その他事業


不動産賃貸事業等を行っています。

テナントからの賃貸料収入等が収益源です。運営は同社、不二ライトメタル、不二倉業が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は直近5期間を通じて増加傾向にあり、特に2023年3月期以降は1,000億円台で安定して推移しています。利益面では、2022年3月期に損失を計上したものの、その後は回復基調にあり、2025年3月期には経常利益率が2.6%まで改善しています。当期純利益も直近2期は黒字を維持し、増加傾向を示しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 924億円 904億円 1,017億円 1,013億円 1,048億円
経常利益 9.0億円 11億円 10億円 22億円 27億円
利益率(%) 1.0% 1.2% 0.9% 2.2% 2.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 7.2億円 6.6億円 2.1億円 13億円 12億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、売上総利益も増加しました。売上総利益率はほぼ横ばいですが、営業利益は前期の18億円から25億円へと大きく伸長し、営業利益率は1.8%から2.4%へ改善しました。増収効果に加え、利益率の改善が進んでいることが読み取れます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,013億円 1,048億円
売上総利益 156億円 163億円
売上総利益率(%) 15.4% 15.6%
営業利益 18億円 25億円
営業利益率(%) 1.8% 2.4%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が49億円(構成比35.3%)、試験研究費が13億円(同9.4%)を占めています。

(3) セグメント収益


建材事業はビル新築やリニューアル事業が堅調で増収増益となりました。形材外販事業は加工品の販売拡大により増収増益を達成しました。物流事業も増収となり、コスト管理の徹底により増益となりました。全セグメントにおいて前期比で増収増益または利益率の改善が見られます。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
建材 740億円 754億円 26億円 35億円 4.6%
形材外販 213億円 233億円 3.1億円 3.7億円 1.6%
環境 27億円 27億円 1.5億円 1.6億円 5.9%
物流 30億円 31億円 3.1億円 4.0億円 13.0%
その他 2.8億円 3.0億円 1.6億円 1.8億円 60.1%
調整額 -107億円 -108億円 -18億円 -21億円 -
連結(合計) 1,013億円 1,048億円 18億円 25億円 2.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

不二サッシのキャッシュ・フローの状況についてご説明します。

営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務の減少により、資金の使用となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形固定資産の取得による支出のため、資金の使用となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出のため、資金の使用となりました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 59億円 -0.7億円
投資CF -25億円 -16億円
財務CF -13億円 -19億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「不二サッシは窓から夢をひろげていきます」「私たちはお客様との絆を大切にします」「私たちは心をこめた商品を世に出します」「私たちは活力あふれる気風づくりに努めます」という経営理念を掲げています。これに基づき、「選ばれる企業グループ」として全てのステークホルダーの信頼に応えることを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、経営理念の中で「活力あふれる気風づくり」を重視しています。また、「三方よし」の考え方の下、2030年の創業100周年に向けて、次世代社員を中心とした「F30プロジェクト」を始動するなど、持続的な成長に向けて全社一丸となって変革に取り組む姿勢を持っています。

(3) 経営計画・目標


2025年度から2027年度を対象とする新中期経営計画では、「収益性・資本効率の改善」と「次の100年に向けた経営基盤の再構築」を掲げています。この期間内に達成すべき目標として、以下の数値を設定しています。

* 営業利益:33億円以上
* 年3.0%以上のベースアップ
* 一株あたり配当金:30円

(4) 成長戦略と重点施策


「事業構造改革」「省人化・自動化」「人的資本投資」の3本柱を軸に、競争力向上と経営基盤強化に取り組みます。建材事業では業務プロセスの見直しによる高収益化、形材外販事業では加工品の拡大と医療用マグネシウム合金の実用化推進、物流事業では総合物流企業への転換を図ります。また、DX・GXへの対応やESG戦略の強化も進めます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材獲得競争の激化に対応するため、人事・給与制度を抜本的に見直し、採用から育成、配置、リテンションまで一貫した人材マネジメント体制を構築中です。従業員のエンゲージメント向上を目指し、年齢や性別にとらわれない昇進・昇格基準の明確化や、多様な業務に応じた公平な評価制度の導入を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 46.5歳 21.8年 5,814,000円


※平均年間給与には、賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 5.1%
男性育児休業取得率 40.0%
男女賃金差異(全労働者) 61.8%
男女賃金差異(正規雇用) 60.9%
男女賃金差異(非正規) 60.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、採用者に占める女性割合(30.2%)、男性労働者の育児休業平均取得日数(65日)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済状況について


営業収入の大部分が国内需要に依存しているため、国内景気動向や建設工事受注残高、住宅着工戸数の変動の影響を受けます。景気悪化により債権が劣化した場合、貸倒引当金の積み増しが必要となり、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 金利の変動について


金融機関等からの借入金など有利子負債を有しているため、金利が上昇した場合には支払利息が増加し、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 為替動向について


外貨建て取引が増加しており、急激な為替変動は損益に影響を与える可能性があります。為替予約等のヘッジ取引を行っていますが、リスクを完全に排除できるものではありません。

(4) 原材料の市況変動の影響について


建材事業や形材外販事業ではアルミ地金を主たる原材料としており、売上高の大半を占めています。アルミ地金価格は為替相場やLME価格相場の変動の影響を受けるため、市況上昇時には原材料費が増加し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。