※本記事は、株式会社研創 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
研創は、サイン製品の製造・販売を主軸とする企業です。同社は中期経営計画に基づき、情報セキュリティ体制の再構築や生産工程の機械化・自動化、製品品質の向上に取り組んでいます。
単体従業員数は257名です。事業セグメントはサイン製品の製造・販売の単一セグメントとなっています。
研創の事業はサイン製品の製造、販売の単一セグメントであり、継続的で緊密な事実上の関係のある関連当事者はありません。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
研創は、サイン製品事業を主軸とし、個別受注生産という特性から「人的資本」を企業価値向上の源泉と位置付けています。そのため、多様な人財の採用・育成、組織機能の強化、適切なマネジメントを通じて企業競争力を高めることを重視しています。ここでは、同社の給与水準や働き方に関する具体的なデータと、人財戦略について詳しく見ていきます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
研創では、平均勤続年数が比較的長く、従業員が安定してキャリアを築いている傾向が見られます。平均年齢も40代前半であり、経験豊富な従業員が多数在籍していることがうかがえます。このような環境は、技術や技能の継承を重視する同社の事業特性とも合致していると言えるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,897,000円 |
| 平均勤続年数 | 15.3年 |
| 平均年齢 | 41.5歳 |
| 単体従業員数 | 257人 |
同社は、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる確定給付型と、会社が拠出した資金を従業員が運用する確定拠出型の両方の退職給付制度を導入しています。これらの制度は国内の従業員に適用されます。退職一時金制度も設けられています。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
研創は、個別受注生産という事業特性から「人的資本」を企業価値向上の源泉と位置づけています。性別・国籍・年齢・働き方・キャリア・学歴等、多様な人財を持続的に採用・育成し、組織として機能強化を進めることが経営戦略上極めて重要であると考えています。同社事業で必要とされる独自性の高い技術と技能の蓄積が価値創造の原点であり、職務遂行能力の高い人財の採用と定着率向上、業務を通じた育成を重視しています。
人事戦略では「採用・育成・配置・定着」のサイクルを重視し、特に所得水準の向上を最重要課題としています。2023年度に人事制度を改正し、2024年度から2026年度にかけて物価上昇分をベースアップとして賃金制度に反映させています。また、「常に学び、研究し、創造する人材育成」を基本方針とし、資格取得奨励金制度や、若年層の生活を支援する奨学金返済支援手当、住宅手当などを導入し、技術と技能の蓄積を促す短期的なインセンティブ環境を整えています。
長期的な視点では、勤続年数に応じた退職金制度や社員持株会への拠出金に対する奨励金支給など、社員の資産形成につながるインセンティブ制度も導入しています。人財の定着を促進するため、採用プロセスや人事・賃金制度の見直し、年間休日の増加、福利厚生制度の充実にも努めています。さらに、多様な人財が働きやすい環境構築の一環として、「女性が活躍しやすい職場環境の整備」も重要なテーマとして掲げています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合は公表対象としていないため、記載を省略しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性労働者の育児休業取得率 | 75.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 76.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 79.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 73.1% |
人財の定着
集計対象は雇用期間を定めない社員及びパートです。退職率は、月間退職者数÷月末社員数の総和で算出しており、定年退職や契約期間満了による退職は除外されています。
| 指標 | 2026年3月31日現在 | 目標(2029年3月末時点) |
|---|---|---|
| 平均勤続年数 | 15.3年 | 17.0年以上 |
| 退職率 | 7.3% | 7.0%未満 |
女性活躍
これらの指標は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」の規定に基づき算出されています。
| 指標 | 2026年3月31日現在 | 目標(2029年3月末時点) |
|---|---|---|
| 労働者に占める女性労働者の割合 | 30.9% | 35.0%以上 |
| 労働者の男女の賃金の額の差異 | 76.8% | 78.0%以上 |
| 男女の平均勤続年数の差異 | 77.4% | 83.0%以上 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
研創は、サイン製品の製造と販売を主軸とする事業を展開しています。国内市場に特化し、建築動向に影響を受けながらも、独自の強みで収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
研創は、サイン製品の製造と販売を事業の中核としています。同社は単一セグメントで事業を展開しており、国内の建築動向が経営成績に大きな影響を与えています。国内経済が緩やかな回復基調にある中で、全国的な都市再開発の継続が同社の事業を支えています。
一方で、国際情勢の緊迫化に伴う資材価格の高騰や人材不足による建築費の上昇は、同社の経営における課題となっています。このような環境下で、同社は中期経営計画に基づき、情報セキュリティ体制の再構築、生産工程の機械化・自動化、製品品質の向上、収益基盤の再構築、経営の効率化、人材育成といった重点課題に取り組んでいます。同社のサイン製品の需要は下半期に偏る傾向があり、それに伴い利益も下半期に集中するという季節的な変動が見られます。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の直近5期間の業績推移を見ると、売上高は概ね増加傾向にあります。特に当事業年度は前期から大きく伸長しました。営業利益と経常利益は、当事業年度において前期からわずかに減少しましたが、安定的に利益を確保している状況です。当期純利益は前期から増加しています。
利益面では安定性を保ちつつも、インフレ圧力による材料費や人件費、外注加工費などのコスト増加が利益率の伸び悩みの要因となっています。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社の経営の安定性について、財務基盤と資金の流れの観点から現状を説明します。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤について、自己資本と手元資金の状況から説明します。
これらの指標は、企業の安定性や将来の成長投資の余力を示すものです。
財務の健全性は、入社後の雇用や給与の安定性にも関わる重要な要素となります。
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社のキャッシュフローは、事業活動、投資活動、財務活動の3つの側面から資金の流れを示しています。
これらの資金の流れは、同社が本業でどれだけ資金を生み出し、将来の成長のためにどのような投資を行い、どのように資金を調達・返済しているかを反映するものです。
キャッシュフローの状況は、企業の安定性や成長戦略、そして入社後の雇用や給与の安定性、さらなる成長の可能性を判断する上で重要な情報となります。
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は建築物の内外に用いるサイン製品の製造・販売を主たる事業としており、民間非住宅建築投資動向の影響を受けています。
建築投資の動向によっては売上高が大幅に減少し、財政状態や経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
また、サイン市場における同業他社との競合関係が存在し、競合他社が新製品開発や製造技術開発で先行した場合、同社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は製品の製造において多くの労働力が必要であり、人員確保と労働関連法令を遵守した労働環境の整備に努めています。
雇用環境の急速な変化によって必要な人員を確保できない場合、コスト上昇や労務管理上の問題などが発生し、財政状態や経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
研創は、「常に学び 研究し 創造する」という精神を経営の基本理念に掲げ、得意先の繁栄と社会の発展に貢献することを目指しています。長期ビジョンとして売上高100億円の達成と持続的な成長、企業価値向上を目標としています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
研創は、「常に学び 研究し 創造する」という社名に謳う精神を経営の基本理念としています。得意先の繁栄と社会の発展に貢献することを目指しています。
長期ビジョンとして、売上高100億円の企業になることを目標に掲げています。トップクラスの金属製サインメーカーとして培った技能と先端技術を融合させ、既存事業の領域拡大と新たな事業分野への挑戦を通じて、持続的な成長と企業価値向上を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
研創は、経営の基本方針として、企業活動に関する法律遵守と社会の倫理規範に従った良識ある企業活動を実践しています。品質・価格・環境のあらゆる面で社会に有用・優良な製品を提供することを重視しています。
株主、取引先、地域社会等との信頼・協力関係を構築し、共存共栄を図ることを大切にしています。人間性を尊重した自由闊達な社風を醸成し、社員の健康と安全を確保することにも取り組んでいます。
サステナビリティ経営においては、経済価値と社会価値の双方を創出することを目指し、多様な人財を重要な「人的資本」と位置づけ、「常に学び、研究し、創造する人材育成」を基本方針としています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
研創は、中長期的な視点に立ち「成長性・収益性・安定性(持続可能性)」の追求が必要であると認識し、中期経営計画を策定しています。基本方針として「生産工程の機械化・自動化」「製品品質の向上」「人材育成」を掲げています。
特に、人口減少・少子高齢化による生産労働人口の減少に対応するため、人の技能に依存する金属製サイン製品事業の「生産工程の機械化・自動化」を重点課題としています。トップクラスのメーカーとして「製品品質の向上」は必須条件であり、顧客満足度向上を目指しています。
「人材育成」を重視し、持続的成長を牽引する人材の育成に取り組んでいます。具体的には、管理職・監督職の資質向上、部門の現状に即した人材育成、次世代経営層の育成を掲げています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は、企業価値を継続的に高めるため、経営判断の迅速化、経営の効率化と健全性の向上、透明性の確保を重視しています。そのため、2025年6月26日をもって監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行しました。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の筆頭株主は研創エンタープライズであり、研創親和会や研創社員持株会といった関連団体も上位株主に名を連ねています。また、創業家とみられる個人株主も上位に複数名を占めており、同社の資本構成は創業家や関連会社によって支えられている特徴があります。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 研創エンタープライズ | 20.50% |
| 研創親和会 | 6.10% |
| 研創社員持株会 | 5.10% |
(注)表示桁未満の端数は切り捨てて表示しております。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性6名・女性1名)で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は林大一郎氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 林 大一郎 | 代表取締役 社長 | 2017年4月 同社入社、2019年7月 同社代表取締役副社長、2020年4月 同社代表取締役社長、2021年2月 研創エンタープライズ代表取締役より現職。 |
| 松村 浩二 | 取締役 製造部長 | 1983年10月 同社入社、2009年6月 同社執行役員生産管理部長、2018年6月 同社取締役製造部長より現職。 |
| 浦上 忠久 | 取締役 経営管理部長 | 1988年4月 同社入社、2009年6月 同社執行役員総務部長、2023年4月 同社取締役経営管理部長より現職。 |
| 島本 勝利 | 取締役 品質保証部長 | 1992年4月 同社入社、2023年4月 同社執行役員品質保証部長、2025年6月 同社取締役品質保証部長より現職。 |
社外取締役は、村上賢一氏(村上賢一法律事務所 所長・監査等委員)、篠原敦子氏(合同総研 代表取締役社長・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会は7名(うち社外取締役2名)、監査等委員会は取締役3名(うち社外取締役2名)で構成されています。経営から独立した客観的な立場から経営判断を行う独立役員として2名の社外取締役を選任しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、優秀な人材の確保と企業価値向上を重視した制度設計がされています。報酬の種類は、月例固定金銭報酬である基本報酬、業績連動金銭報酬、そして譲渡制限付自社株式を活用した非金銭報酬の3つで構成されています。業績連動報酬と譲渡制限付株式報酬は、業務執行取締役を対象としています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 5名 | 78百万円 | 15.7百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 11百万円 | 10.8百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 2百万円 | 2.1百万円 |
| 社外取締役 | 2名 | 4百万円 | 2.1百万円 |
| 社外監査役 | 2名 | 1百万円 | 0.3百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。また、報酬等の総額と員数については、退任後に別の役職に就任した役員について、それぞれの在任期間分を該当する区分に含めて記載されています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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