※本記事は、株式会社スーパーツール の有価証券報告書(第65期、自 2024年3月16日 至 2025年3月15日、2025年6月6日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. スーパーツールってどんな会社?
金属製品事業を主力とし、作業工具や産業機器の製造販売を行うほか、環境関連事業も展開しています。
■(1) 会社概要
1942年に日鍛工器として創業し、1987年に合併を経て現在の商号となりました。2004年にJASDAQへ上場し、2014年には売電事業を開始しています。2016年に東部物流センターを設置するなど物流体制を強化し、2024年には物流と生産の効率化のため物流センター及び組立工場を移転しました。
現在の従業員数は連結103名、単体103名です。筆頭株主は大阪市にあるホライズン株式会社で、第2位は香港上海銀行の顧客口座(常任代理人:香港上海銀行東京支店)、第3位は主要取引先でもある機械工具商社です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ホライズン | 17.32% |
| THE HONGKONG AND SHANGHAI BANKING CORPORATION LTD - SINGAPORE BRANCH PRIVATE BANKING DIVISION A/C CLIENTS | 14.62% |
| トラスコ中山 | 9.50% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は平野 量夫氏が務めています。社外取締役比率は66.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 平野 量夫 | 代表取締役社長 | 公認会計士・税理士として活動後、2013年に入社。経理部長、管理本部長を経て2017年より現職。SUPER TOOL KOREA CO., LTD.代表取締役も兼務。 |
| 楠 東一郎 | 取締役執行役員海外営業部長兼社長付 | シャープ入社後、イタリア現地法人社長などを歴任。2019年に入社し、海外営業部長などを経て2024年より現職。 |
社外取締役は、赫 高規(株式会社高速代表取締役会長)、田中 豪(田中公認会計士事務所所長)、深堀 知子(弁護士)、大坪 洋一(税理士法人日本経営代表社員税理士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「金属製品事業」および「環境関連事業」を展開しています。
■(1) 金属製品事業
レンチ・スパナ・プライヤ類などの作業工具や、吊クランプ・クレーン類などの産業機器の製造および販売を行っています。プロ用工具から各種産業用機器まで幅広いラインナップを持ち、国内外のあらゆる産業現場で使用されています。
主な収益は、これらの製品の販売収入です。運営は主にスーパーツールが行っており、海外においては韓国の子会社であるSUPER TOOL KOREA CO., LTD.も事業を展開しています。
■(2) 環境関連事業
太陽光パネル等の環境関連商品の仕入・販売・施工および、太陽光発電による売電事業を行っています。なお、子会社が手掛ける環境関連商品の販売・施工事業については、収益性の観点から2028年までに撤退することが決定しており、今後は売電事業が中心となります。
主な収益は、環境関連商品の販売代金、施工料、および電力会社への売電収入です。運営は、商品の販売・施工については株式会社スーパーツールECO、売電事業についてはスーパーツールが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
第65期は、海外市場での販売不振や環境関連事業の縮小方針などの影響により減収となりました。利益面では、経常利益は減少しましたが黒字を確保したものの、子会社の事業撤退に伴う特別損失を計上したため、最終損益は赤字に転落しました。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 73億円 | 80億円 | 70億円 | 59億円 | 52億円 |
| 経常利益 | 4.9億円 | 6.1億円 | 5.4億円 | 4.5億円 | 3.8億円 |
| 利益率 | 6.7% | 7.7% | 7.7% | 7.6% | 7.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 3.0億円 | 4.0億円 | 3.4億円 | 2.8億円 | -2.6億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の減少に伴い売上総利益も減少しましたが、利益率は改善傾向にあります。一方で、販売費及び一般管理費や営業外費用の負担に加え、特別損失の計上が響き、最終的な収益性は低下しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 59億円 | 52億円 |
| 売上総利益 | 17億円 | 17億円 |
| 売上総利益率(%) | 29.2% | 31.7% |
| 営業利益 | 4.3億円 | 3.8億円 |
| 営業利益率(%) | 7.3% | 7.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給料が3.3億円(構成比25%)、荷造費が1.5億円(同11%)を占めています。売上原価においては、原材料費等の製造費用が中心となっています。
■(3) セグメント収益
金属製品事業は国内販売が堅調でしたが、海外販売の減少により減収となりました。環境関連事業は事業環境の厳しさから大幅な減収減益となり、事業撤退の方針が決定されました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 金属製品事業 | 52億円 | 49億円 | 7億円 | 8億円 | 15.6% |
| 環境関連事業 | 7億円 | 4億円 | 0.8億円 | 0.6億円 | 15.7% |
| 連結(合計) | 59億円 | 52億円 | 4億円 | 4億円 | 7.2% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFはプラスを維持しましたが、税引前当期純損失の計上などにより前期比で大幅に減少しました。投資CFは新工場建設などの設備投資により支出が増加しています。財務CFは長期借入れによりプラスとなりました。全体として、本業で資金を獲得しつつ、借入によって積極的な設備投資を行っている「積極型」のキャッシュ・フロー状態です。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 11.0億円 | 1.3億円 |
| 投資CF | -6.2億円 | -13.5億円 |
| 財務CF | -2.6億円 | 5.8億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-2.3%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は76.9%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「省人、省力、安全、環境整備」をコンセプトとして、プロ用工具や機器類の開発を通じて産業社会に貢献することを目指しています。幅広い産業を支える一翼を担う自負を持ち、顧客に役立ち愛されるメーカーを目指すとともに、環境関連事業を通じて次世代のための社会貢献活動も進めています。
■(2) 企業文化
1918年の創業以来、「開発指向型」企業として時代に応じた製品を提案し続けてきた歴史があります。100年以上にわたり磨き続けた鍛造技術とアナログ製品の製造販売にこだわり、その匠の技術を継承しています。近年はデジタル技術も組み合わせ、顧客満足度の追求と社会貢献に取り組む姿勢を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
売上高経常利益率、ROE、EPS、自己資本比率を経営の主たる指標としています。特に売上高経常利益率の向上を基本とし、成長が見込める産業機器の構成比率を高める方針です。具体的な数値目標として以下を掲げています。
* 売上高経常利益率:9.2%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
「攻めの構造改革」として、付加価値の高い新製品開発や既存製品のリニューアル、韓国子会社を軸としたアジア・北米への販路拡大を推進しています。また、他メーカーとの連携や生産委託による品揃えの拡充、徹底したコストカットも実行します。環境関連事業については、連結子会社の事業撤退を進める一方、売電事業の継続と新たな価値を生み出す事業の模索を行っています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
次世代を担う人材のキャリア形成のため、教育研修や制度体系の整備に取り組んでいます。時代の変化に素早く対応できる状況分析力と戦略思考を持った人材の育成を重視しています。また、多様性ある人材の活躍推進や、コミュニケーション改革による組織力強化も進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 42.4歳 | 16.5年 | 5,595,627円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は常時雇用する労働者が300人以下であり公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 特定販売先への依存
売上高の一定割合を特定の大手卸売企業などの販売先に依存しています。これらの販売先との関係は良好ですが、相手先の経営施策や取引方針の変更があった場合、同社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 原材料価格の変動
製品製造に必要な鋼材などの原材料価格は、需給動向により変動します。生産効率向上などによるコストダウンに努めていますが、原材料価格が想定以上に上昇した場合、製造コストが増加し、業績に悪影響を与える可能性があります。
■(3) 経済動向による影響
主要市場である日本、アジア、欧州などの経済環境の影響を受けます。景気後退により個人消費や設備投資が減少した場合、製品需要の減少や価格競争の激化を招き、売上や収益性が低下する恐れがあります。



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