スーパーツール 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

スーパーツール 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

スーパーツールはスタンダード市場に上場し、作業工具や産業機器の製造・販売を行う金属製品事業を主力としています。直近の業績は増収となった一方で減益となりましたが、最終損益は黒字転換を果たしました。既存の技術を基盤とした新製品開発や海外市場の開拓に注力し、さらなる企業価値の向上を目指しています。


※本記事は、株式会社スーパーツールの有価証券報告書(第66期、自 2025年3月16日 至 2026年3月15日、2026年6月9日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. スーパーツールってどんな会社?


同社は作業工具や産業機器の製造・販売を主力とし、プロ用工具から特注クレーンまで幅広く展開しています。

(1) 会社概要


1942年の設立以来、鍛造から機械・熱処理・仕上の一貫生産体制を構築し、1965年に営業部門を独立させて現在の同社が設立されました。1987年に相互建物と合併して経営基盤を強化し、2004年にジャスダック市場への上場を果たしました(現在はスタンダード市場に上場)。近年は韓国に現地法人を設立するなど海外展開も進めています。

従業員数は連結で95名、単体で94名です。大株主については、筆頭株主が資産管理業務を行う信託銀行で、第2位はホライズン、第3位は事業会社のトラスコ中山となっています。

氏名 持株比率
THE HONGKONG AND SHANGHAI BANKING CORPORATION LTD - SINGAPORE BRANCH PRIVATE BANKING DIVISION A/C CLIENTS (常任代理人 香港上海銀行東京支店) 17.88%
ホライズン 17.26%
トラスコ中山 9.47%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は平野量夫氏が務めており、社外取締役の比率は66.7%です。

氏名 役職 主な経歴
平野量夫 代表取締役社長 1992年10月中央新光監査法人入所。2013年5月同社入社経理部長。2017年6月代表取締役社長就任。2018年9月SUPER TOOL KOREA代表取締役より現職。
楠東一郎 取締役海外営業部長兼社長付 1983年4月シャープ入社。2019年11月同社入社社長付ディレクター。2025年6月取締役海外営業部長兼社長付より現職。


社外取締役は、赫高規氏(弁護士・高速代表取締役会長)、田中豪氏(公認会計士・税理士)、深堀知子氏(弁護士)、大坪洋一氏(税理士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「金属製品事業」および「環境関連事業」の2つの報告セグメントで事業を展開しています。

(1) 金属製品事業


レンチ、スパナ、プライヤなどの作業工具や、治工具、吊クランプ、クレーンなどの産業機器の製造および販売を行っています。土木建設業界、鉄鋼業界、造船業界など幅広い産業の生産拠点に向けて製品を提供し、作業効率と生産性の向上に貢献しています。

製品を商社や販売代理店を通じて販売することで収益を得ており、主要な販売先はトラスコ中山や山善などです。事業の運営は同社および韓国の連結子会社であるSUPER TOOL KOREAが行っています。

(2) 環境関連事業


太陽光パネルなどの環境関連商品の仕入・販売および水上設置型太陽光発電所の施工管理を行うとともに、自社で太陽光発電による売電事業を展開しています。ただし、本事業については撤退方針を決定しており、現在は受注済み案件の完了に向けた対応を進めています。

環境関連商材の販売・施工代金や、電気事業者への売電による電力供給の対価を収益源としています。事業の運営は、同社および連結子会社のスーパーツールECOが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5年間の業績推移を見ると、売上高は減少傾向にありましたが、直近の期では増収に転じています。一方で経常利益は原材料価格の高騰などの影響を受けて減少傾向が続いており、利益率も低下しています。ただし、前期の赤字から当期は特別損失の減少等により最終損益が黒字に回復しました。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 80億円 70億円 59億円 52億円 54億円
経常利益 6.1億円 5.4億円 4.5億円 3.8億円 3.0億円
利益率(%) 7.7% 7.7% 7.6% 7.2% 5.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 4.1億円 3.6億円 3.1億円 -2.4億円 2.0億円

(2) 損益計算書


増収となったものの、原材料や仕入価格の上昇により売上総利益および同利益率が低下しています。それに伴い、販売費及び一般管理費を削減したものの吸収しきれず、営業利益と営業利益率はともに前期を下回る結果となりました。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 52億円 54億円
売上総利益 17億円 15億円
売上総利益率(%) 31.7% 28.2%
営業利益 3.8億円 2.9億円
営業利益率(%) 7.2% 5.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料が3.2億円(構成比25.3%)、荷造費が1.4億円(同11.0%)、役員報酬が1.0億円(同7.6%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の金属製品事業は、国内市場での需要の弱含みや韓国における内需産業の低迷などの影響を受け減収となりました。一方、環境関連事業は事業撤退方針のもとで受注済み案件の施工等を進めた結果、売上高が大きく増加しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
金属製品事業 49億円 46億円
環境関連事業 3.5億円 8.4億円
連結(合計) 52億円 54億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


当期は営業CFで獲得した資金を用いて、投資活動を行いながら借入金の返済など財務活動も進める健全型のキャッシュ・フロー状況となっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 1.3億円 5.2億円
投資CF -14億円 -0.9億円
財務CF 5.8億円 -3.3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は1.9%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は77.3%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「省人、省力、安全、環境整備」をコンセプトとして、プロ用工具や機器類の開発を通じて幅広い産業社会に貢献することを基本方針に掲げています。創業以来一貫して「開発指向型」企業として時代に応じた製品を提案し、お客様のお役に立てる、愛されるメーカーを目指しています。

(2) 企業文化


同社は「熱い思いに満ち溢れた人材の城となる」「相互信頼関係を確立し風通しの良い会社となる」「モチベーション高く、積極果敢にチャレンジする会社となる」といった方針を掲げています。男女分け隔てなく活躍の機会を提供し、信賞必罰を旨とする公平かつ規律正しい組織文化の構築を重視しています。

(3) 経営計画・目標


株主資本の効率的運用による投資効率の高い経営を行うため、売上高経常利益率、ROE(自己資本利益率)、EPS(1株当たり当期純利益)、自己資本比率を経営の主たる指標として設定しています。

* 売上高経常利益率9.2%以上
* ROE(自己資本利益率)の向上
* EPS(1株当たり当期純利益金額)の向上
* 自己資本比率の向上

(4) 成長戦略と重点施策


主力の金属製品事業において、付加価値を持つ製品開発と既存製品のリニューアル化を中心に他社との差別化を図る「攻めの構造改革」を進めています。吊クランプ管理アプリケーション「S・M・A・Я・T」によるソリューション型ビジネスの拡大や、韓国子会社を軸としたアジア・北米への海外展開、一気通貫生産体制の構築による生産性・品質の向上に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人的資本を同社の発展を支える重要な資産と位置づけ、次世代を担う優れた人材の確保とキャリア形成のための環境整備に取り組んでいます。女性の職域拡大や管理職への積極的な登用、事業のグローバル化を見据えた外国人従業員の採用など多様性ある人材の活躍を推進し、育児支援や福利厚生の充実にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 42.7歳 16.8年 5,517,706円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は関連法令の規定による公表を行っていないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済動向・市場環境の変動

国内およびアジア・ヨーロッパなど主要市場での景気後退により、個人消費や設備投資が減少した場合、製品需要の落ち込みや価格競争の激化が生じる可能性があります。これにより同社グループの売上高や収益性に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(2) 原材料価格の高騰

生産効率の向上によるコストダウンに努めていますが、鋼材をはじめとする原材料価格が需給関係の動向等によって上昇した場合、製造コストが押し上げられ、同社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

(3) 為替相場の変動

貿易取引において外貨建て決済を行っているため、為替相場の変動リスクを抱えています。先物為替予約などによるヘッジ策を講じていますが、完全にリスクを回避できる保証はなく、急激な為替変動が業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 棚卸資産の評価と陳腐化

同社グループは収益性の低下に基づく簿価切下げの方法で棚卸資産を評価しています。市場動向や顧客の販売戦略の変化で製品の販売価格が低下したり、販売が予測を下回った場合、棚卸資産評価損の追加計上が必要となり、財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。