中西製作所 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

 中西製作所 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

中西製作所は、スタンダード市場に上場する企業です。主として学校や病院、外食産業向けの業務用厨房機器製造販売事業と不動産賃貸事業を展開しています。直近の業績では、学校関連及び外食産業の受注が好調に推移し、自社製品の販売比率向上や生産効率の改善も寄与したことで、増収増益を達成し過去最高の売上高を記録しました。


※本記事は、株式会社中西製作所の有価証券報告書(第69期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 中西製作所ってどんな会社?


学校給食や外食産業等の様々な分野の厨房をトータルサポートする業務用厨房機器メーカーです。

(1) 会社概要


中西製作所は1958年に業務用厨房機器の製造・販売を目的に設立されました。1996年に大証第二部に上場し、2013年に東証第二部へ上場しました。2015年には東京本社と大阪本社の2本社制へ移行しています。学校や病院、外食産業など幅広い分野へ販路を拡大しながら厨房機器の総合メーカーとして成長しています。

現在の従業員数は単体で635名です。筆頭株主は代表取締役社長の中西一真氏で、第2位はMSIP CLIENT SECURITIES、第3位は資本業務提携を締結している事業会社のレックです。

氏名 持株比率
中西一真 9.77%
MSIP CLIENT SECURITIES 9.22%
レック 9.18%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性4名の計14名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長は中西一真氏が務めています。社外取締役は5名(比率35.7%)です。

氏名 役職 主な経歴
中西一真 代表取締役社長 2008年同社入社。管理部長、代表取締役副社長を経て、2018年より現職。
平山康雄 常務取締役営業本部長兼営業統括 1983年同社入社。名古屋支店長、西日本ブロック長等を経て2023年より現職。
上村辰也 常務取締役生産本部長兼奈良工場長 1988年同社入社。中四国支店長等を経て2023年より現職。三協機設代表取締役社長。
吉田満 取締役西日本ブロック長 1992年同社入社。九州支店長等を経て2023年より現職。
鈴木克也 取締役東日本ブロック長 1992年同社入社。東北支店長、東京支店長等を経て2023年より現職。


社外取締役は、辻井一成(堂島総合法律事務所パートナー弁護士)、長昌ルミ(医療法人優心ながよしデンタルクリニック理事・副院長)、森巌(元日油経営企画室海外担当部長)、佐藤秀美(日本獣医生命科学大学客員教授)、小倉朋子(トータルフード代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「業務用厨房機器製造販売事業」および「不動産賃貸事業」を展開しています。

(1) 業務用厨房機器製造販売事業


学校給食センターや病院・福祉施設、社員食堂等の事業所給食、食品加工業、大手外食チェーン店等を主要顧客とし、食器洗浄機や連続炊飯機、過熱水蒸気調理機などの業務用厨房機器を製造・販売しています。提案から設計、施工、開設支援、アフターサービスまでの一貫したサポート体制が強みです。

収益源は、自社工場(奈良・群馬)で製造した製品や仕入商品の販売、および機器設置に伴う施工代金です。事業の運営は主に中西製作所が担い、一部の施工等は外注業者に委託する体制で事業を展開しています。

(2) 不動産賃貸事業


東京都中央区に保有する賃貸オフィスビルを活用した不動産賃貸事業を行っています。同社の東京本社オフィスとして自社で使用するフロア以外のスペースを、外部のテナント企業等に対して賃貸しています。

収益源は、入居するテナント企業から定期的に受け取るオフィスフロア等の賃料収入です。事業の運営は中西製作所が行っており、業務用厨房機器製造販売事業の従業員が業務を兼務する形で効率的な管理を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の単体業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績推移を見ると、売上高は継続的な増加傾向にあり、順調に事業を拡大しています。利益面では一時的な減少があったものの、直近2期間では高収益な自社製品の販売比率向上や生産効率の改善が奏功し、大幅な増益を達成して利益率も改善しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 286億円 301億円 307億円 366億円 399億円
経常利益 14億円 18億円 12億円 21億円 28億円
利益率(%) 4.9% 5.8% 3.9% 5.7% 7.0%
当期利益 9億円 11億円 8億円 15億円 18億円

(2) 損益計算書


増収に伴って売上総利益、営業利益ともに増加しています。物価高騰の影響を受けつつも、高収益製品へのシフトや生産体制の効率化が進んだことで、売上総利益率および営業利益率が揃って向上し、稼ぐ力が強まっていることがわかります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 366億円 399億円
売上総利益 85億円 99億円
売上総利益率(%) 23.4% 24.7%
営業利益 20億円 26億円
営業利益率(%) 5.4% 6.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料が27億円(構成比37%)、その他が23億円(同32%)、福利厚生費が7億円(同9%)を占めています。売上原価については、製品売上原価が252億円(構成比84%)、商品売上原価が48億円(同16%)となっています。

(3) セグメント収益


主力の業務用厨房機器製造販売事業は、学校給食部門の底堅い需要に加え、大手外食チェーン等からの受注が好調に推移し増収増益を牽引しました。不動産賃貸事業も安定した収益を維持しており、全体として堅調なセグメント業績となっています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
業務用厨房機器製造販売事業 365.0億円 398.3億円 19.1億円 25.8億円 6.5%
不動産賃貸事業 1.0億円 1.0億円 0.5億円 0.5億円 50.5%
連結(合計) 366.0億円 399.3億円 19.7億円 26.3億円 6.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 43.3億円 5.4億円
投資CF -4.5億円 -39.3億円
財務CF -2.7億円 5.7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.1%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は67.1%であり、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「切磋琢磨して、斬新なアイデアを提供できる企業人となり、良品廉価を持って顧客に奉仕し、万人の食生活をますます豊かにすることに貢献する」という経営理念を掲げています。この理念のもと、時代や顧客ニーズの変化を的確に捉えた製品・システムを開発し、「食文化のコーディネーター」として社会に新たな価値を創造し続けることを使命として事業を展開しています。

(2) 企業文化


同社は創業以来、従業員の積極的な挑戦を推奨し、「とにかく一回やってみる」というチャレンジを歓迎する企業風土を大切にしています。従業員からの自発的なアイデアを求める「社内提案制度」や、現場の課題解決に取り組む「チャレンジ投資制度」、新たな分野に挑む「社内留学・社内公募制度」などを導入し、誰もが主体的に活躍できる環境を整備しています。

(3) 経営計画・目標


経営上の客観的な指標として、売上高、営業利益、経常利益を重視し、継続的な業績向上を目指しています。2022年度から2024年度までの中期経営計画では「事業ドメインの深耕拡大」をスローガンに掲げており、長期的には売上高400億円の達成を目指しています。

* 長期目標売上高:400億円

(4) 成長戦略と重点施策


既存の学校給食や病院・福祉給食市場におけるシェア維持に加え、周辺領域である食品機械市場やエンジニアリング・コンサルティング分野への事業拡大(にじみ出し戦略)を推進しています。また、SDGsへの貢献に向けた環境配慮型製品の開発や、厨房の省人化・自動化を実現するシステム提案の強化、さらには群馬工場の増築など将来を見据えた積極的な設備投資にも注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


多様な人材が活躍できる環境整備と集団的リスキリングの風土醸成を人材戦略の柱としています。新卒採用の強化や、配属前研修の拡充(2年間への延長)を通じて人材育成を推進するほか、社内公募制度による適材適所の配置を行っています。また、独自の社内認定制度による特定スキルの評価・報酬付与を行い、従業員の主体的なキャリア形成とエンゲージメント向上を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 40.9歳 12.3年 6,139,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.8%
男性育児休業取得率 71.4%
男女賃金差異(全労働者) 71.1%
男女賃金差異(正規雇用) 76.3%
男女賃金差異(非正規雇用) 51.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、育児休業後復帰率(100.0%)、障碍者雇用率(1.67%)、中途採用者数(42人)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 販売先や市場環境への依存

同社の製品の販売先は国内向けが大部分を占め、設備投資や公共事業の動向に大きく影響を受けます。特に主要販売先である学校給食関連の案件は一件当たりの売上金額が大きくなる傾向があり、国内の少子高齢化や人口減少によって市場の需要が減退した場合、同社の業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原材料の価格変動と調達リスク

厨房機器の製造に必要な原材料の価格は市況変動の影響を受けやすく、価格高騰が利益を圧迫するリスクがあります。また、災害や予期せぬ事態によるサプライチェーンの途絶で原材料の供給が中断または不足した場合、生産活動に支障をきたし、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 災害等による事業活動への影響

巨大地震やこれに伴う津波、大型台風などの自然災害が発生した場合、同社の生産工場や物流拠点、販売網、および本社機能が甚大な被害を受ける可能性があります。このような事態が生じた場合、事業活動の継続が困難となり、同社の財政状態や業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(4) 製造物責任と品質リスク

同社が製造・販売する業務用厨房機器において、重大な安全性の欠陥や品質に関する問題が発生した場合、製品の回収や損害賠償請求に発展するおそれがあります。これにより同社の社会的信用やブランド価値が著しく低下し、結果として業績や財政状態に深刻な悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。