※本記事は、株式会社中西製作所 の有価証券報告書(第69期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 中西製作所ってどんな会社?
業務用厨房機器の総合メーカーとして、学校給食や病院、外食産業等の厨房システムをトータルサポートしています。
■(1) 会社概要
1958年に業務用厨房機器の製造販売を目的として大阪市で設立されました。1996年に大阪証券取引所市場第二部へ上場し、2013年には東京証券取引所市場第二部へ上場しました。その後、2018年に群馬工場を新設して生産体制を強化し、2022年の市場区分見直しに伴い、現在は東証スタンダード市場に上場しています。
同社(単体)の従業員数は635名です。筆頭株主は社長の中西一真氏で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行(常任代理人)などの金融機関や事業会社が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 中西 一真 | 9.77% |
| MSIP CLIENT SECURITIES | 9.22% |
| レック | 9.18% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性4名の計14名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長は中西一真氏が務めています。社外取締役比率は35.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 中西 一真 | 代表取締役社長 | 2008年入社。管理部長、代表取締役副社長を経て2018年より現職。 |
| 平山 康雄 | 常務取締役営業本部長兼営業統括 | 1983年入社。名古屋支店長、西日本ブロック長、執行役員などを経て2023年より現職。アイチ製菓機械社長を兼務。 |
| 上村 辰也 | 常務取締役生産本部長兼奈良工場長 | 1988年入社。中四国支店長、執行役員奈良工場長を経て2023年より現職。三協機設社長を兼務。 |
| 吉田 満 | 取締役西日本ブロック長 | 1992年入社。九州支店長、執行役員西日本ブロック長を経て2023年より現職。 |
| 鈴木 克也 | 取締役東日本ブロック長 | 1992年入社。東北支店長、東京支店長、執行役員東日本ブロック長を経て2023年より現職。 |
社外取締役は、辻井一成(弁護士)、長昌ルミ(社会福祉法人隆生福祉会理事)、森巌(元日油経営企画室海外担当部長)、佐藤秀美(日本獣医生命科学大学客員教授)、小倉朋子(トータルフード代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「業務用厨房機器製造販売事業」および「不動産賃貸事業」を展開しています。
■業務用厨房機器製造販売事業
学校給食センター、病院・介護老人福祉施設、事業所給食、食品加工工場、外食チェーン店などを主要顧客とし、業務用厨房機器の製造・販売を行っています。主力製品には食器洗浄機、消毒保管機、連続炊飯機、過熱水蒸気調理機などがあり、機器の提供だけでなく、提案、設計、施工、アフターサービスまでを一貫して手掛けています。
収益は、顧客への製品販売や施工、メンテナンスサービスの提供に伴う対価として得ています。製品は奈良工場および群馬工場で製造されるほか、仕入商品も取り扱っています。施工の多くは外注業者に委託されています。運営は主に中西製作所が行っています。
■不動産賃貸事業
東京都中央区に保有する賃貸オフィスビル(東京本社オフィスとして使用する以外のフロア等)の賃貸運営を行っています。
収益は、テナントからの賃貸料として得ています。運営は中西製作所が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあります。特に直近の2025年3月期は過去最高の399億円に達しました。利益面では、経常利益が2023年3月期に一度落ち込みましたが、その後回復し、直近では28億円と高い水準を記録しています。当期純利益も同様の傾向で、直近では18億円となり、利益率も改善傾向にあります。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 286億円 | 301億円 | 307億円 | 366億円 | 399億円 |
| 経常利益 | 14億円 | 18億円 | 12億円 | 21億円 | 28億円 |
| 利益率(%) | 4.9% | 5.8% | 3.9% | 5.7% | 7.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 9億円 | 11億円 | 8億円 | 15億円 | 18億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い、売上総利益も順調に拡大しています。直近2期間で比較すると、売上高は約33億円増加し、それに伴い営業利益も約7億円増加しました。売上総利益率および営業利益率ともに改善しており、収益性が向上していることが伺えます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 366億円 | 399億円 |
| 売上総利益 | 85億円 | 99億円 |
| 売上総利益率(%) | 23.4% | 24.7% |
| 営業利益 | 20億円 | 26億円 |
| 営業利益率(%) | 5.4% | 6.6% |
販売費及び一般管理費のうち、給料が27億円(構成比37%)、その他経費が23億円(同32%)を占めています。売上原価については、製品製造原価や商品仕入高が主な構成要素となっています。
■(3) セグメント収益
主力の業務用厨房機器製造販売事業は、学校関連および外食関連の受注が好調で増収増益となりました。自社製品の販売比率向上や生産効率の改善が利益率向上に寄与しました。不動産賃貸事業は安定的に推移しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 業務用厨房機器製造販売事業 | 365億円 | 398億円 | 19億円 | 26億円 | 6.5% |
| 不動産賃貸事業 | 1.0億円 | 1.0億円 | 0.5億円 | 0.5億円 | 51.2% |
| 連結(合計) | 366億円 | 399億円 | 20億円 | 26億円 | 6.6% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
中西製作所は、事業運営に必要な流動性と資金源泉の安定確保を基本方針としています。営業活動によるキャッシュ・フローは、主に事業運営に必要な資金を生み出しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、将来の成長に向けた設備投資などを行っています。財務活動によるキャッシュ・フローは、資金調達や返済の状況を示しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 43億円 | 5億円 |
| 投資CF | -5億円 | -39億円 |
| 財務CF | -3億円 | 6億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「切磋琢磨して、斬新なアイデアを提供できる企業人となり、良品廉価を持って顧客に奉仕し、万人の食生活をますます豊かにすることに貢献する」ことを経営理念としています。また、人々の社会生活の多様化に対応した「食文化のコーディネーター」として、食生活に新たな価値を創造することを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、「とにかく一回やってみる」というチャレンジを歓迎する企業風土の醸成に努めています。従業員からの自発的なアイデアを収集する社内提案制度や、現場課題を解決するためのチャレンジ投資制度、社内留学・公募制度など、従業員の挑戦を推奨する仕組みを導入しています。役員自身も率先してアイデアを発案し、挑戦する姿勢を示しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、売上高、営業利益および経常利益を重要な経営指標として認識し、業績向上に取り組んでいます。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、学校給食や病院福祉給食などの既存市場に加え、食品加工業や外食産業等の成長市場への展開を強化しています。具体的には、人手不足に対応した省人化・自動化厨房システムの提案や、フードテックへの対応、環境に配慮した省エネ製品の開発に注力しています。また、群馬工場の増築や老朽化した拠点の移転・更新など、中長期的な設備投資も検討しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、従業員のキャリア形成支援や多様な人材の活躍推進を重視しています。社内公募や社内留学制度による人材流動性の向上、新卒採用の拡大と育成強化、専門性を評価する社内認定制度の導入などを進めています。また、健康経営への取り組みやクラブ活動支援などを通じて、従業員のウェルビーイング向上にも注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 40.9歳 | 12.3年 | 6,139,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 2.8% |
| 男性育児休業取得率 | 55.6% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 71.1% |
| 男女賃金差異(正規) | 76.3% |
| 男女賃金差異(非正規) | 51.9% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、育児休業後復帰率(100.0%)、資格手当支給人数(263人)、研修参加率(99.4%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 販売環境の変化
同社の製品は主に国内向けであり、国内の設備投資や公共事業の動向の影響を受けます。特に学校給食関連の大型案件は売上規模が大きいため、少子高齢化や人口減少による需要減退が進んだ場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 原材料調達と価格変動
製品の原材料価格は市況変動の影響を受けます。また、サプライヤーの被災や倒産等によるサプライチェーンの寸断で原材料の供給不足が発生した場合、生産活動に支障をきたし、業績に悪影響を与える可能性があります。
■(3) 災害等による影響
巨大地震や津波、大型台風などの自然災害が発生した場合、販売、生産、物流、本社機能に支障が生じる可能性があります。同社は拠点を東京・大阪、工場を奈良・群馬に分散させていますが、大規模災害時には業績に悪影響が及ぶ可能性があります。



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