※本記事は、株式会社中西製作所の有価証券報告書(第70期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 中西製作所ってどんな会社?
学校や病院向けの業務用厨房機器の製造・販売を展開し、厨房のトータルサポートを行う企業です。
■(1) 会社概要
1958年に業務用厨房機器の製造販売を目的に設立されました。1971年には日本マクドナルドと取引を開始し、1986年に奈良工場、2018年に群馬工場を開設して生産体制を拡充しています。1996年に株式を上場し、2022年に東京証券取引所スタンダード市場へ移行しました。
現在の体制として、従業員数は単体で669名です。筆頭株主は代表取締役社長の中西一真氏であり、第2位は事業提携関係にあるレック、第3位は中西製作所取引先持株会となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 中西 一真 | 9.87% |
| レック | 9.25% |
| 中西製作所取引先持株会 | 8.44% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性4名の計14名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長は中西一真氏が務めています。社外取締役は4名選任されています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 中西 一真 | 代表取締役社長 | 2008年同社入社。2016年管理部長、2017年代表取締役副社長を経て、2018年より現職。 |
| 平山 康雄 | 常務取締役 | 1983年同社入社。名古屋支店長、西日本ブロック長、執行役員営業統括などを経て、2023年より現職。 |
| 上村 辰也 | 常務取締役 | 1988年同社入社。中四国支店長、執行役員奈良工場長、取締役生産本部長などを経て、2023年より現職。 |
| 吉田 満 | 取締役生産本部長 | 1992年同社入社。九州支店長、執行役員西日本ブロック長を経て、2023年より現職。 |
| 鈴木 克也 | 取締役営業本部長 | 1992年同社入社。東北支店長、執行役員東日本ブロック長を経て、2023年より現職。 |
| 吉川 日出行 | 取締役経営・DX統括兼経営企画室長 | 2020年同社入社。執行役員経営企画室長を経て、2023年より現職。 |
社外取締役は、長昌ルミ(高等進学塾代表取締役)、森巌(日油経営企画室海外担当部長)、佐藤秀美(日本獣医生命科学大学客員教授)、秋吉忍(堂島総合法律事務所パートナー)です。
2. 事業内容
同社グループは、「業務用厨房機器製造販売事業」および「不動産賃貸事業」を展開しています。
■(1) 業務用厨房機器製造販売事業
学校給食センターや病院・福祉施設、社員食堂、食品加工工場、大手外食チェーンなどを主要顧客として、業務用厨房機器の製造・販売を行っています。主力製品には食器洗浄機、消毒保管機、連続炊飯機、過熱水蒸気調理機などがあり、提案から設計、施工、アフターサービスまで一貫して提供しています。
収益源は、自社工場(奈良工場・群馬工場)で製造した製品や仕入商品の販売代金、および施工に伴う工事代金です。事業の運営は主に中西製作所が行い、商品の仕入れや施工の大部分は外注業者に委託する体制をとっています。
■(2) 不動産賃貸事業
東京都中央区に保有する賃貸オフィスビルを活用した不動産賃貸事業を行っています。同社の東京本社オフィスとして使用する以外のフロアや駐車場などを、外部のテナントに対して賃貸しています。
収益源は、テナントから受け取る毎月の賃料収入です。事業の運営は同社が行っており、オフィスビルの空室状況や周辺の賃貸不動産市場の動向が収益に影響を与えるビジネスモデルとなっています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績は、一時的な減益はあったものの、全体として増収増益基調で推移しています。特に直近では、学校関連や外食産業向けの受注が好調に推移し、売上高が順調に拡大しました。また、物価高騰の影響を受けつつも生産効率の改善が進んだことで利益率も向上しており、安定した収益基盤の強化が図られています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 301億円 | 307億円 | 366億円 | 399億円 | 410億円 |
| 経常利益 | 18億円 | 12億円 | 21億円 | 28億円 | 32億円 |
| 利益率(%) | 5.8% | 3.9% | 5.7% | 7.0% | 7.7% |
| 当期純利益 | 11億円 | 8億円 | 15億円 | 18億円 | 22億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増加し、生産効率の改善によって売上総利益も順調に拡大しました。一方で、持続的な成長に向けた人的資本への先行投資を強化したため販売費及び一般管理費は増加しましたが、結果として堅調な営業増益を達成しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 399億円 | 410億円 |
| 売上総利益 | 99億円 | 108億円 |
| 売上総利益率(%) | 24.7% | 26.3% |
| 営業利益 | 26億円 | 30億円 |
| 営業利益率(%) | 6.6% | 7.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料が30億円(構成比38%)、福利厚生費が7億円(同9%)を占めています。売上原価については、当期製品製造原価が259億円(構成比86%)、当期商品仕入高が210億円(同70%)と大きな割合を占めており、期首・期末の棚卸高や他勘定振替高によって調整されています。
■(3) セグメント収益
主力の業務用厨房機器製造販売事業は、学校関連や外食産業の受注が好調に推移し、価格転嫁や生産効率の改善が進んだことで増収増益となりました。不動産賃貸事業は売上高が横ばいとなったものの、費用増によりわずかに減益となっています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 業務用厨房機器製造販売事業 | 398億円 | 409億円 | 26億円 | 30億円 | 7.3% |
| 不動産賃貸事業 | 1億円 | 1億円 | 1億円 | 0億円 | 46.7% |
| 合計 | 399億円 | 410億円 | 26億円 | 30億円 | 7.4% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 5億円 | 6億円 |
| 投資CF | -39億円 | -15億円 |
| 財務CF | 6億円 | 15億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.3%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は66.3%であり、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「切磋琢磨して、斬新なアイデアを提供できる企業人となり、良品廉価を持って顧客に奉仕し、万人の食生活をますます豊かにすることに貢献する」ことを経営理念として掲げています。世界一給食について真剣に考えている企業としての自覚と自負を持ち、人々の社会生活の多様化に対応した「食文化のコーディネーター」として新たな価値を創造することを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は創業以来、従業員の積極的な挑戦を推奨する企業文化を大切にしています。現場からの自発的なアイデアを収集する「社内提案制度」や、挑戦の結果として得られた専門性を評価する社内認定制度などを取り入れています。経営陣自らも率先垂範することで、「とにかく一回やってみる」というチャレンジを歓迎する企業風土を醸成し、従業員の自己成長を後押ししています。
■(3) 経営計画・目標
同社は2025年度から2027年度までの「中期経営計画」を策定しており、「さらなる飛躍への基盤づくり~人と組織の力を高め、新たな挑戦へ~」というビジョンを掲げています。長期的には「厨房エンジニアリングのリーディングカンパニー」となることを目指しており、以下の具体的な数値目標を掲げています。
* 2027年度 売上高:420億円
* 2035年度 売上高:500億円
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は中期経営計画において、「トップシェア領域でのリーダーポジションの確立」「チャレンジ領域への積極的なアプローチ」「人材確保・育成を中核に据えた組織力の向上」を成長戦略の柱としています。学校給食市場でのシェア拡大を図るほか、食品機械市場や海外市場など新たな領域への進出も推進し、持続的な企業価値の向上を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は人材を最も重要な経営資源と位置づけ、多様な人材が能力を最大限発揮できる環境整備に取り組んでいます。働き方改革の推進や柔軟な勤務制度の導入、エンゲージメントの向上により、生産性の向上と人材の定着を図っています。「社内公募」や「社内留学」制度を通じて人材の流動性を高め、集団的リスキリングの風土を醸成することで、組織全体のパフォーマンス向上を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 41.6歳 | 11.7年 | 6,271,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 1.7% |
| 男性育児休業取得率 | 95.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 65.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 67.8% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 67.9% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、育児休業後復帰率(100.0%)、障碍者雇用率(2.17%)、直近の離職率(5.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 災害等による影響
巨大地震に伴う津波や大型台風などの自然災害が発生した場合、同社の販売、生産、物流および本社機能に支障をきたし、財政状態や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。対策として、本社機能を東京と大阪に、生産・開発拠点を奈良県と群馬県に分散させています。
■(2) 国内設備投資・公共事業の動向
同社の製品の販売先はほとんどが国内であり、設備投資や公共事業の動向に強く影響を受けます。特に主要販売先である学校給食関連は一件当たりの売上金額が大きいため、少子高齢化や人口減少により需要が減退した場合、業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。
■(3) 原材料の市況変動と調達リスク
製品の原材料価格は市況変動の影響を受けます。また、サプライヤーの被災や倒産などによるサプライチェーンの途絶で原材料の供給中断や不足が発生した場合、同社の財政状態や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 製品の製造物責任
同社が製造販売する製品に重大な安全性の問題や品質問題が発生した場合、社会的評価が低下し、業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。これに対し、両工場に品質保証部を設置して品質管理体制を構築し、万が一に備えて製造物賠償責任保険(PL保険)に加入しています。



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