J-MAX 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

 J-MAX 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態


J-MAX転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、株式会社J-MAXの有価証券報告書(第68期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

0. まとめ

J-MAXは東京証券取引所スタンダード市場等に上場する自動車部品メーカーです。主に日本、タイ、中国において、自動車用車体プレス部品や電動化プレス部品、金型等の製造販売をグローバルに展開しています。直近の業績は、中国での電動化部品の増産等により増収を達成し、各種利益においても黒字転換を果たしました。

1. J-MAXってどんな会社?

同社は自動車用車体プレス部品や金型等の製造販売をグローバルに展開する独立系のサプライヤーです。

(1) 会社概要

1960年に自動車部品用プレス金型の製作および販売を目的に設立されました。1994年にタイへ進出して東南アジアでの製造販売を開始し、2001年以降は中国市場へも展開しています。1999年に名古屋証券取引所市場第二部へ上場し、2021年に東京証券取引所市場第二部へ株式を上場しました。

従業員数は連結で1,081名、単体で278名です。筆頭株主は事業会社の東プレで、第2位は創業者の今川喜章氏、第3位は主要取引先である事業会社の本田技研工業です。

氏名 持株比率
東プレ 20.15%
今川喜章 8.69%
本田技研工業 8.41%


(2) 経営陣

同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長執行役員は山﨑英次氏が務めています。社外取締役の比率は28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
山﨑英次 代表取締役社長執行役員 1989年同社入社。広州丸順汽車配件有限公司総経理、同社企画本部長兼開発・営業本部長などを歴任し、2024年4月より現職。
猪熊篤俊 取締役専務執行役員 1991年同社入社。同社海外事業本部長、生産本部長、日本事業本部長などを歴任し、2025年6月より現職。
棚橋哲郎 取締役常務執行役員 2005年同社入社。同社企画管理本部長などを経て、2021年より広州丸順汽車配件有限公司等の董事長を歴任。2025年6月より現職。
松浦孝一郎 取締役 1995年東プレ入社。三池工業代表取締役社長等を経て、2025年6月より同社取締役。東プレ執行役員業務本部副本部長兼総務部長。
青山秀美 取締役(監査等委員) 1986年東海銀行入行。2014年同社参事、同社管理本部長兼経理財務部長などを歴任し、2025年6月より現職。


社外取締役は、竹内治彦(岐阜協立大学学長等を経て同大学教授)、澁谷英司(監査法人トーマツ代表社員等を経て公認会計士事務所所長)です。

2. 事業内容

同社グループは、「日本」「タイ」「中国」の各報告セグメントにおいて事業を展開しています。

日本

自動車用車体プレス部品や自動車用電動化プレス部品、精密プレス部品等の製品のほか、プレス用金型や溶接治具、検具等の設備を製造し、主に本田技研工業や東プレ向けに販売しています。電動化部品は今後の受注増が見込まれる分野です。

自動車メーカーとの共同開発から生産設備の調達、プレス、溶接までの一貫生産を行って収益を得ています。国内での事業運営は同社が主体となって行っています。

タイ

タイ国内において、自動車用車体プレス部品や自動車用精密プレス部品等の製品を製造し、本田技研工業や東プレの現地連結子会社などを主体に販売しています。

現地の自動車メーカー等へプレス成型部品などを供給して収益を得ています。運営は連結子会社のタイ・マルジュン社が担っています。

中国

自動車用車体プレス部品や電動化プレス部品等を製造し、塗装ラインも備えています。広汽本田汽車有限公司などの日系メーカーのほか、車載電池メーカーである寧徳時代新能源科技股份有限公司へも販売しています。

プレス用金型や溶接治具等の設備製造および部品供給を通じて収益を得ています。運営は広州丸順汽車配件有限公司や武漢丸順汽車配件有限公司などの現地子会社が行っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

直近5年間の業績推移を見ると、売上高は概ね450億円から540億円の間で推移しています。経常利益は一時赤字を計上したものの、直近では黒字に回復しました。利益率も改善傾向にあります。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 457億円 524億円 543億円 471億円 519億円
経常利益 27億円 27億円 7億円 -5億円 11億円
利益率(%) 5.9% 5.2% 1.3% -1.1% 2.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 14億円 10億円 7億円 6億円 5億円


(2) 損益計算書

直近2期間の損益状況を見ると、増収に伴い売上総利益率が大きく改善しています。これにより営業利益も大幅な増益を達成し、本業の収益力が向上していることが伺えます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 471億円 519億円
売上総利益 31億円 53億円
売上総利益率(%) 6.6% 10.3%
営業利益 0.2億円 19億円
営業利益率(%) 0.0% 3.6%


販売費及び一般管理費のうち、運搬費が15.3億円(構成比44.0%)、給料及び賞与が5.8億円(同16.5%)を占めています。

(3) セグメント収益

セグメント別の売上高を見ると、日本とタイは概ね横ばいから微減で推移していますが、中国セグメントにおいて電動化部品の大幅増産等により売上高が大きく伸長し、連結全体の増収を牽引しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
日本 190億円 191億円
タイ 61億円 59億円
中国 220億円 269億円
連結(合計) 471億円 519億円


(4) キャッシュ・フローと財務指標

営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがマイナスの「健全型」です。営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業の状態を示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 13億円 53億円
投資CF -65億円 -29億円
財務CF 54億円 -19億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は30.8%でこちらも市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社は「技術を磨き、お客様が望む優れた製品・部品を提供することで『従業員』『お客様』『地域社会』の満足と幸せを追求します」という企業理念を掲げています。また、「共創・努力・謙虚」を社是として設定しており、これらを実践することで中長期的な企業価値の向上を図ることを経営の基本としています。

(2) 企業文化

同社は、持続可能な100年企業を目指し、従業員をはじめとするステークホルダーと夢を共有する文化を大切にしています。ビジョンに「技術で夢を -Make our dreams by Technology-」を掲げ、既存事業の技術を磨き続けるとともに、新しい事業への探索と挑戦を通じて企業価値を高める姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標

事業規模拡大による持続的な成長と効率性の高い事業運営を目指しています。主要な経営指標として、売上高、営業利益、およびROA(総資産営業利益率)を掲げており、中長期5か年計画の達成に向けて収益力の向上に取り組んでいます。

(4) 成長戦略と重点施策

中長期5か年計画「J-VISION 30」において、「既存事業の強化」と「新事業の創出」を成長戦略の柱としています。自動車業界の電動化シフトに迅速に対応するため、電動化・軽量化に集中した電動化サプライヤーへの転換を図っています。

・ブランド力強化と新規顧客開拓による売上の拡大
・新事業確立に向けた新商品の開発
・次世代工場の構築と新しいモノづくりへのチャレンジ
・持続的な成長に向けた事業ポートフォリオの変革

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

同社の人材戦略は、地域の雇用創出を根幹に置いています。「個の力」の底上げや管理職のマネジメント能力向上による強固なチーム作りを推進し、グローバル人材やコア人材の育成・最適配置を目指しています。また、健康経営の推進やキャリア形成支援、外国人材雇用の促進等を通じて、多様な人材が活躍できる社内環境の整備を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 42.2歳 18.4年 5,413,045円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -
男性育児休業取得率 50.0%
男女賃金差異(全労働者) 83.1%
男女賃金差異(正規雇用) 73.3%
男女賃金差異(非正規雇用) 106.8%


※女性管理職比率については、有報上に「-」と記載されています。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、中途採用者管理職比率(14.29%)、外国人社員比率(3.15%)、障がい者雇用率(2.56%)などです。

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 自動車関係市場の変動

同社の売上高の大半は自動車関連市場に依存しています。脱炭素社会の実現に向けた電動化に伴う技術進化や、新興メーカーの台頭による競争激化など、自動車市場の動向や景気変動が同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 価格競争の激化

自動車部品業界は、サプライヤー間の提携や異業種の参入、海外新興メーカーの台頭等により価格競争が激化しています。この環境下で市場シェアの維持・拡大ができず、十分な利益を確保できないリスクがあります。

(3) 特定取引先への売上依存

同社の売上高は本田技研工業およびその関係会社への依存度が高く、当期における当該売上高は全体の約半数を占めています。そのため、主要取引先の業績変動や生産調整が同社の財政状態やキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。