タクマ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

タクマ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所プライム市場に上場し、環境・エネルギー分野を中心に各種ボイラや廃棄物・水処理プラントの建設およびアフターサービスを展開しています。直近の業績では、ごみ処理プラント等の受注が堅調に推移し、売上高および経常利益ともに過去最高を更新するなど、増収増益のトレンドを維持しています。


※本記事は、株式会社タクマの有価証券報告書(第122期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月17日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. タクマってどんな会社?


環境保全とエネルギー活用の分野で、各種ボイラや廃棄物処理プラントを提供するリーディングカンパニーです。

(1) 会社概要


1938年にボイラの製造販売を目的に田熊汽罐製造として設立されました。1949年に東京・大阪の両証券取引所に株式を上場しました。1962年には環境衛生設備の事業を追加し、水処理分野へも事業を拡大しました。1972年に現在のタクマへ社名を変更し、環境とエネルギー分野で事業展開を進めています。

同社グループの従業員数は連結で4,504名、単体で1,117名です。筆頭株主ならびに第2位、第3位の株主は、いずれも信託業務等を担う金融機関(信託銀行)が名を連ねており、機関投資家が高い持株比率を有していることが特徴です。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 11.03%
STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001(常任代理人 みずほ銀行 決済営業部) 7.80%
日本カストディ銀行(信託口) 5.30%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長兼社長執行役員は濵田州朗氏が務めており、社外取締役比率は36.4%です。

氏名 役職 主な経歴
濵田州朗 代表取締役社長兼 社長執行役員 1990年7月入社。経営企画本部副本部長や同本部長を経て2021年6月に取締役就任。常務執行役員などを経て2025年4月より現職。
南條博昭 取締役兼 会長執行役員 1982年4月入社。エンジニアリング統轄本部長や代表取締役社長兼社長執行役員などを歴任し、2025年4月より現職。
西山剛史 取締役兼 副社長執行役員 営業統轄本部長兼 事業管理本部長 1985年4月入社。経営企画本部長などを経て2016年6月に取締役就任。専務執行役員や営業統轄本部長などを歴任し、2025年4月より現職。
竹口英樹 取締役兼 副社長執行役員 エンジニアリング統轄本部長 1985年4月入社。エンジニアリング統轄本部プロジェクトセンター長等を経て2016年6月に取締役就任。専務執行役員等を経て2025年4月より現職。
大石裕 取締役兼 常務執行役員 コーポレート・サービス本部長兼 コンプライアンス・CSR推進本部長 1988年4月第一勧業銀行入行。みずほフィナンシャルグループを経て2019年8月に同社執行役員就任。取締役などを歴任し、2025年4月より現職。
田中康二 取締役 1986年4月入社。コンプライアンス・CSR推進本部長や法務部長などを経て2017年6月に取締役就任。常務執行役員などを歴任。
真杉敬蔵 取締役(監査等委員)(常勤) 2001年1月入社。2021年4月に監査等委員会室参与を経て、同年6月より現職。


社外取締役は、藤田知美(弁護士法人イノベンティア創業パートナー弁護士)、金子哲哉(元有終コーポレーション代表取締役社長)、永塚誠一(シャープ社外取締役)、遠藤眞廣(遠藤公認会計士事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、環境・エネルギー(国内)事業、環境・エネルギー(海外)事業、民生熱エネルギー事業、設備・システム事業を展開しています。

環境・エネルギー(国内)事業


自治体向けのごみ処理プラントや下水処理プラント、民間事業者向けのバイオマス発電プラント等の建設(EPC事業)およびアフターサービスを提供しています。

収益源は、プラントの建設請負代金や、稼働後におけるメンテナンス、運転管理、運営、電力小売事業等のサービス料です。運営は同社のほか、タクマテクノスやタクマエナジーなどの子会社が行っています。

環境・エネルギー(海外)事業


タイおよび台湾の現地法人を拠点として、東南アジアを中心にバイオマス発電プラントや廃棄物発電プラントの建設およびメンテナンスを展開しています。

現地顧客からのプラント建設に関する設備提供や工事の請負代金、および保守サービス料が主な収益源です。運営は現地の合弁会社や子会社を通じて行っています。

民生熱エネルギー事業


商業施設や工場などの熱源装置として利用される小型貫流ボイラ、真空式温水発生機など、汎用ボイラの製造、販売、およびメンテナンスを行っています。

製品の販売代金や更新需要に応じた機器販売、および定期的な保守サービス料から収益を得ています。日本サーモエナーやIHI汎用ボイラ等の子会社が事業の主体を担っています。

設備・システム事業


空調設備や給排水設備など建築設備の設計・施工と、クリーン機器や洗浄装置など半導体産業用設備の製造、販売、メンテナンスを行っています。

建築需要に応じた設備工事代金や産業用装置の販売代金から収益を得ています。サンプラントなどの子会社が本事業を展開しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績は、売上高が継続して成長しており、堅調な推移を見せています。経常利益は一時的な変動があるものの、足元では増益基調にあり、収益力も安定しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1341億円 1427億円 1492億円 1512億円 1656億円
経常利益 106億円 147億円 112億円 141億円 163億円
利益率(%) 7.9% 10.3% 7.5% 9.3% 9.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 55億円 77億円 64億円 82億円 114億円

(2) 損益計算書


前期から当期にかけて売上高が順調に拡大し、それに伴い売上総利益および営業利益も増加しました。利益率も改善傾向にあり、本業の稼ぐ力が高まっていることが伺えます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1512億円 1656億円
売上総利益 337億円 393億円
売上総利益率(%) 22.3% 23.7%
営業利益 135億円 154億円
営業利益率(%) 8.9% 9.3%

(3) セグメント収益


主力である国内事業が堅調に推移し、全社の増収をけん引しました。民生熱エネルギー事業も子会社化などの影響で大きく伸びた一方、海外事業や設備・システム事業では売上が減少しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
環境・エネルギー(国内)事業 1133億円 1267億円
環境・エネルギー(海外)事業 55億円 36億円
民生熱エネルギー事業 198億円 268億円
設備・システム事業 126億円 85億円
連結(合計) 1512億円 1656億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -41億円 247億円
投資CF 13億円 -17億円
財務CF 9億円 -258億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.4%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も59.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「世の中が必要とするもの、世の中に価値があると認められるものを生み出すことで、社会に貢献し、企業としての価値を高め、長期的な発展と、すべてのステークホルダーの満足を目指す」という経営理念を掲げています。再生可能エネルギーと環境保全のリーディングカンパニーとして社会に必須の存在となることを目指しています。

(2) 企業文化


「技術を大切に 人を大切に 地球を大切に」という社是のもと、創業者の「汽罐報国」の精神を継承しています。あらゆるステークホルダーとの信頼関係を重んじ、「お客様の良きパートナー」として不屈の発明家精神(イノベーション)による有益な技術とサービスを社会に提供していく文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


「長期ビジョン(Vision2030)」に基づき、ESG経営を推進しながら持続的成長を図る計画です。第14次中期経営計画(2024~2026年度)を策定しており、定量的な財務目標として以下を掲げています。

* 計画期間累計の連結経常利益450億円
* 連結受注高累計7,000億円以上
* 2027年3月期ROE11.5%以上

(4) 成長戦略と重点施策


「経営基盤の強化」「従来ビジネスの一層の強化」「将来の環境変化への対応」をテーマとし、一般廃棄物処理プラントの更新や基幹改良と、ストックを最大限活用した収益モデルの確立に経営資源を投入します。働きやすい社内環境の整備やデジタル化の推進を通じた生産性向上を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


市場環境の変化や顧客ニーズを捉え、社会に貢献し続けるため、多様な価値観を持つ人材を確保・育成する方針です。新卒・キャリア採用を推進し、個々のキャリア形成支援や階層別研修による育成システムの構築を進めています。また、育児や介護など生活との両立を図れるよう、働きやすい社内環境の整備に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 42.2歳 14.3年 9,171,677円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 1.9%
男性育児休業取得率 69.6%
男女賃金差異(全労働者) 66.7%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 67.0%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 67.5%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性総合職・基幹職採用者数(52名)、育児支援制度利用率(53%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 資機材および工事価格の高騰


各種プラントの建設事業は受注から納入まで長期間を要し、経済情勢による資機材や工事価格の上昇が請負金額に反映しきれない場合、プロジェクトの採算が悪化し業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 製品・サービスの瑕疵等


提供する製品やサービスの瑕疵、設計・施工上の問題により重大な事故等が生じた場合、修復費用の負担や損害賠償責任が発生し、社会的評価の低下とともに業績に悪影響を与えるリスクがあります。

(3) 事業環境の変化


国の政策変更や助成制度の縮小、民間設備投資の低迷により新設・更新需要が減退した場合や、需要減退に伴う競合との価格競争が激化した際、受注価格の下落が経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 気候変動への対応


自然災害の激甚化による工事遅延やサプライチェーン分断のほか、脱炭素社会に向けた法規制の強化や市場変化への対応が遅れた場合、事業コストの増加により業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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