※本記事は、株式会社パイオラックス の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
パイオラックスグループは、自動車関連製品の製造販売を主な事業内容としています。工業用ファスナーや精密ばねの製造販売を中心に、医療機器分野でも事業を展開しています。
単体従業員数は582名、連結従業員数は2,784名です。セグメントは自動車関連等、医療機器の2つです。
主な国内グループ会社は、パイオラックスエイチエフエス(自動車・関連等)、パイオラックスメディカル デバイス注2(医療・機器)などです。
パイオラックスグループでは、2025年10月1日付でパイオラックス ビジネスサービスをケーエッチケー販売へ吸収分割し、パイオラックスへ吸収合併しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
パイオラックスは、自動車関連事業を主軸にグローバルに事業を展開する製造業です。同社グループでは、従業員の長期的なキャリア形成を支援し、多様な人材が活躍できる職場環境の整備に力を入れています。安定した環境で専門性を高めながら働きたいと考える方にとって、同社グループの働き方は魅力的な選択肢となるでしょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
パイオラックスの単体従業員は、平均年齢が42.0歳、平均勤続年数が16.2年となっており、比較的長期にわたって勤務する従業員が多い傾向が見られます。これは、従業員が腰を据えてキャリアを築ける環境が整っていることを示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,186,246円 |
| 平均勤続年数 | 16.2年 |
| 平均年齢 | 42.0歳 |
| 単体従業員数 | 582人 |
| 連結従業員数 | 2,784人 |
| 単体のグループ内比率 | 21.0% |
退職給付制度として、同社および一部の連結子会社は確定給付型と確定拠出型の両方の制度を設けています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。確定給付制度における退職給付債務は10.0億円、年金資産は5.5億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
パイオラックスグループは、社員を「人財」と捉え、企業理念「パイオラックス ウェイ」に基づいた「パイオラックスグループ人財基本方針」を定めています。変化の速い時代において、必要な人財を計画的に確保・育成することが重要な経営課題であると考えています。従来の教育プログラムに加え、能力や適性に応じた柔軟な人材配置も検討を進めています。
従業員の給与その他の給付の額および内容については、職務・役割、成果、能力、ならびに外部水準等を総合的に勘案し、公正かつ競争力のある水準で決定しています。給与額はグループ各社で有する規程やルール等に基づき決定される方針です。
同社グループは「安心して働ける活気ある職場づくり」を重点
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
パイオラックスは、自動車関連製品の製造販売を主軸とし、医療機器分野も手掛ける企業グループです。グローバルに事業を展開し、多岐にわたる製品を提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、主に自動車関連製品の製造販売を事業の核としています。これに加えて、医療機器の製造販売も行い、幅広い分野で事業を展開しています。収益は主に製品の製造販売から得られており、グローバルな拡販活動を継続的に推進しています。
同社グループの事業は「自動車関連等」と「医療機器」の二つの報告セグメントで構成されています。地域別の売上高を見ると、日本以外の地域からの収益が全体の過半数を占めており、海外市場での事業展開が活発であることがうかがえます。また、日産自動車株式会社が主要な顧客の一つとなっています。
自動車関連等
このセグメントでは、主に工業用ファスナー(車の内装及び外装の結束具)や精密ばねといった自動車関連製品の製造販売を行っています。収益は、日産自動車株式会社をはじめとする自動車会社や関連会社、その他の顧客への製品販売から得ています。運営は、パイオラックス、パイオラックス エイチエフエス、ピーエヌエス、パイオラックス九州、ケーアンドケー、ケーエッチケー販売、パイオラックス コーポレーション、パイオラックス リミテッド、パイオラックス(韓国)、パイオラックス(タイランド)リミテッド、東莞百楽仕汽車精密配件有限公司、武漢百楽仕汽車精密配件有限公司、百奥来仕(中国)投資有限公司、パイオラックス インディア プライベート リミテッド、パイオラックス メキシカーナ、ピーティー パイオラックス インドネシアが行っています。当連結会計年度の売上高は前期と比較して減少しています。
医療機器
このセグメントでは、医療に関する製品の製造販売を手掛けています。IVR(血管内治療)、内視鏡治療、整形治療機器などが主な製品です。収益は、医療機関への製品販売から得ています。運営は、パイオラックス メディカル デバイスが行っています。当連結会計年度の売上高は前期と比較して増加しています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 自動車関連等 | 582億円 | 568億円 |
| 医療機器 | 51.7億円 | 52.7億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は直近の2期間で減少傾向にあります。経常利益も直近の期間で大きく減少しており、親会社株主に帰属する当期純利益は当連結会計年度において損失を計上する結果となりました。この当期純損失は、主に海外子会社の減損損失計上が要因となっています。
一方で、営業活動によるキャッシュ・フローは当連結会計年度もプラスを維持しており、本業からのキャッシュ創出力は継続している状況です。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 551億円 | 584億円 | 646億円 | 634億円 | 620億円 |
| 経常利益 | 57.8億円 | 48.7億円 | 56.5億円 | 34.0億円 | 14.5億円 |
| 経常利益率 | 10.5% | 8.3% | 8.8% | 5.4% | 2.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 42.2億円 | 33.8億円 | 40.1億円 | 17.9億円 | △21百万円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 121.71 | 99.15 | 117.88 | 52.67 | △0.85 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期と比較して増加しています。これは、従業員一人ひとりの売上貢献度が高まっている傾向を示しています。
一方で、従業員1人あたりの営業利益は、前期と比較して減少しています。これは、売上高の減少やコスト上昇が影響していると考えられます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 21.9百万円 | 22.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.8百万円 | 0.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で得た資金を上回る投資を行っており、将来に向けた成長投資フェーズにあることがうかがえます。財務基盤や資金の流れから、同社グループの現在地を確認できます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は前期と比較して減少していますが、プライム市場の製造業平均(46.8%)を上回る水準を維持しています。ROE(自己資本利益率)は当期にマイナスとなっており、前期と比較して低下しています。手元資金である現金及び預金は前期から減少しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 918億円 | 661億円 |
| 自己資本比率 | 85.8% | 63.9% |
| ROE(自己資本利益率) | 1.8% | -0.0% |
| 現金及び預金 | 349億円 | 262億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加等により前期と比較して減少しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出の増加や定期預金の払戻による収入の減少等により、前期の収入から当期は支出に転じています。フリー・キャッシュ・フローは当期にマイナスとなっています。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入れによる収入の増加等により、前期と比較して支出が減少しています。同社グループは本業で資金を生み出しているものの、それを上回る投資を行っている状況です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 81.2億円 | 30.0億円 |
| 投資CF | 33.4億円 | △75.6億円 |
| 財務CF | △64.7億円 | △31.4億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 114.6億円 | △45.6億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの売上高は90%超が自動車産業向けであり、日系自動車メーカーの生産・販売動向に大きく影響を受ける可能性があります。電動化の加速による従来の燃料系・駆動系部品の中長期的な需要減少リスクを認識しています。
また、日産自動車株式会社とそのグループ会社及びサプライヤーへの販売比率が相対的に高く、同グループの生産・販売計画や調達方針の変動が業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループの持続的成長には、有能な人財の採用・育成・定着が不可欠です。労働市場における人財獲得競争の激化や労働力人口の構造変化、働き方・価値観の多様化により、必要な人財を適時に確保できない、あるいは育成が遅延する場合には、研究開発・生産性・品質・事業推進に影響が生じる可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
パイオラックスグループは、創業以来培ってきた技術力を基盤に、人と社会、そしてサステナビリティの可能性を追求し、新しい価値創造を目指している会社です。多様なステークホルダーの期待に応え、心弾む未来の実現を経営の基本方針としています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、創業90周年を機に新しい企業理念「パイオラックス ウェイ」を策定しました。パーパスとして「人と社会を技術でつなぎ、心弾む未来を実現する」ことを掲げています。
ビジョンは「新しい価値の創造 -弾性を創造するパイオニアからその先へ-」です。金属や樹脂をはじめとするあらゆる素材の「弾性(Elasticity)」を追求するだけでなく、人や社会、サステナビリティなど多様な可能性を追求し、新しい価値を創造することを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、「パイオラックス ウェイ」のバリューとして、「パイオニアを志し、挑戦と変化を続ける」「最良を目指し、熱意と信頼を以て協調する」「創造性を尊び、自由にしなやかに発想する」の3つを掲げています。また、社是は「至誠・協力・奉仕」です。
サステナビリティ経営においては、パーパスに基づき、全てのステークホルダーと協力して持続可能な社会に貢献することを重視しています。社員を「人財」と表現し、多様な人財が安心して活躍できる職場づくりを推進しています。グループ全体で「パイオラックスグループ行動規範」を定め、役員・社員が高い倫理観をもって業務を遂行するよう努めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、中期経営計画に基づき、「自動車生産台数だけに頼らない経営推進」を方針として掲げています。需要変動下でも安定的に収益を確保できる組織構造への転換を最優先課題と位置付けています。
対処すべき課題として、収益構造改革を推進しており、製造現場だけでなく間接部門を含めた全社的な生産性向上を目指しています。開発・生産準備・量産に至る業務プロセスの見直しと標準化、部門横断での連携強化、適正なリソース配分により収益力改善を進める方針です。
また、サステナビリティに関する取り組みも重点テーマです。「PIOLAX ESG Vision 2030」のもと、2050年カーボンニュートラルの達成に向けたCO₂排出量削減や、多様な人財が安心して活躍できる職場づくり、取締役会の実効性向上等を通じたガバナンス強化に取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
パイオラックスは監査等委員会設置会社であり、取締役会が経営の意思決定と監督を担っています。独立社外取締役が取締役会の過半数を占める体制で、透明性の高いガバナンスを目指しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
パイオラックスの株主構成を見ると、筆頭株主は事業会社である佐賀鉄工所です。その他、信託銀行や個人株主、取引先持株会などが上位に名を連ねています。特定の株主グループが上位を占めることで、安定した経営基盤を形成していることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 佐賀鉄工所 | 19.83% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 9.22% |
| 加藤 一彦 | 4.50% |
| パイオラックス取引先持株会 | 3.31% |
| 合同会社はつき | 2.70% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性7名・女性2名)で構成され、女性役員比率は22.0%です。代表取締役社長は山田聡氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山田 聡 | 代表取締役社長 | 1987年3月同社入社。2018年4月パイオラックス メキシカーナ取締役社長。2024年6月代表取締役社長・社長執行役員より現職。 |
| 島津 幸彦 | 取締役会長 | 1981年3月同社入社。2010年4月代表取締役社長。2025年6月取締役会長・百奥来仕(中国)投資有限公司董事長より現職。 |
| 梶 雅昭 | 常務取締役 | 1985年4月日本開発銀行(現 ㈱日本政策投資銀行)入行。2014年4月同社入社。2024年6月常務取締役・常務執行役員より現職。 |
| 増田 茂 | 常務取締役 | 1987年3月同社入社。2020年8月取締役・上席執行役員。2025年6月常務取締役・常務執行役員より現職。 |
| 落合 宏行 | 取締役 | 1979年4月トヨタ自動車工業㈱入社。2013年6月㈱FTS代表取締役社長。2022年6月同社社外取締役より現職。 |
| 赤羽 真紀子 | 取締役 | 1993年4月㈱三菱銀行(現 ㈱三菱UFJ銀行)入行。2010年4月CSRアジア㈱代表取締役。2022年6月同社社外取締役より現職。 |
社外取締役は、落合宏行氏(社会福祉法人とよた光の里理事長)、赤羽真紀子氏(CSRアジア代表取締役)、石川元一氏(佐賀鉄工所社外監査役)、小宮山榮氏(イマニシ税理士法人社員)、廣渡鉄氏(廣渡法律事務所代表)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会が経営の意思決定と監督機能を担っています。独立社外取締役が取締役会の過半数を占めることで、監査監督機能の強化と透明性の向上を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
パイオラックスの役員報酬は、基本報酬、短期インセンティブとしての金銭賞与、長期インセンティブとしての業績連動型株式報酬で構成されています。業務執行取締役にはこれら全てが支給され、社外取締役および監査等委員である取締役には基本報酬のみが支給される仕組みです。目標業績達成時の報酬比率は、概ね固定報酬60%、業績連動報酬20%、株式報酬20%となっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 4名 | 1.6億円 | 39.2百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 23百万円 | 23.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 40百万円 | 10.0百万円 |
役員報酬の総額は2.20億円であり、報酬の支給対象となった役員は合計9名です。業績連動報酬の業績指標には連結営業利益と単体営業利益が用いられており、企業業績との連動性を高める目的があります。また、報酬等の額には支給予定の役員賞与金が含まれています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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