ジャパンエンジンコーポレーション転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、ジャパンエンジンコーポレーションの有価証券報告書(第129期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ジャパンエンジンコーポレーションってどんな会社?
ジャパンエンジンコーポレーションは舶用内燃機関の製造販売を主力とし、環境対応エンジンの開発に注力しています。
■(1) 会社概要
1910年に創立し、1957年に三菱重工業と技術提携を結んでディーゼル機関の製造販売権を獲得しました。2013年に東京証券取引所市場第二部に上場し、2017年には事業承継に伴い現在のジャパンエンジンコーポレーションに商号を変更しました。近年は次世代燃料エンジンの開発を推進しています。
従業員数は単体で394名です。筆頭株主は事業会社の三菱重工業で、第2位も同じく造船業を展開する事業会社の名村造船所、第3位はシーケービーとなっています。主要株主である事業会社とは、研究開発や製品販売などで協力関係を築いています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 三菱重工業 | 14.83% |
| 名村造船所 | 10.01% |
| シーケービー | 5.69% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は川島健が務めています。社外取締役比率は30.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 川島健 | 取締役社長(代表取締役) | 1993年三菱重工業入社。2015年同社舶用エンジン事業部営業・SCM推進部長等を経て、同年ジャパンエンジンコーポレーション取締役。2017年代表取締役常務取締役を経て、2018年より現職。 |
| 進藤誠二 | 常務取締役(代表取締役) | 1986年三菱重工業入社。2015年三菱重工マリンマシナリ舶用ディーゼル事業部副事業部長等を経て、2017年ジャパンエンジンコーポレーション入社。2021年常務取締役等を経て、2023年より現職。 |
| 柴田健 | 常務取締役 | 1992年三菱重工業入社。2017年同社パワードメイン経営管理統括部企画管理部次長等を経て、同年ジャパンエンジンコーポレーション取締役。2021年執行役員管理統括部長等を経て、2023年より現職。 |
| 寺田明史 | 取締役執行役員製造統括部長 | 1985年三菱重工業入社。2021年同社防衛・宇宙セグメント艦艇・特殊機械事業部技師長等を経て、2022年ジャパンエンジンコーポレーション入社。執行役員製造統括部長を経て、2024年より現職。 |
社外取締役は、竹内郁夫(元赤阪鐵工所取締役執行役員営業本部長)、黒瀬久敏(元JALエービーシー代表取締役社長)、鈴木純(神戸大学大学院経済学研究科教授)です。
2. 事業内容
同社グループは、「舶用内燃機関及びこれらの付随業務」の単一セグメントで事業を展開しています。
■(1) 舶用内燃機関(主機関)の製造販売
最新鋭省エネ主機関であるLSHシリーズを中心に、船舶の推進動力となる舶用内燃機関を製造・販売しています。主な顧客は国内外の造船所であり、現在は温室効果ガス排出量削減の要請に応えるべく、次世代脱炭素燃料(アンモニア・水素など)エンジンの開発および製造にも注力しています。
顧客である造船所へのエンジン製品の引き渡しによって収益を獲得しています。事業の運営は主にジャパンエンジンコーポレーションが担っており、開発から設計、製造、販売までを一貫体制で手がけています。
■(2) 部品販売・修理(アフターサービス・ライセンス事業)
稼働中の船舶向けに、電子制御部品や燃焼室関連部品などのメンテナンス部品の供給や修理サービスを提供しています。また、世界シェアの拡大に向けて、国内外の造船市場におけるライセンス供与先に対する技術提供やビジネス展開のサポートも行っています。
アフターサービスでは部品販売や修理費用から収益を得ており、ライセンス事業では提携先からのロイヤリティー収入を獲得しています。運営はジャパンエンジンコーポレーションを中心に展開されています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高や経常利益の直近データは一部省略されていますが、当期利益の推移を見ると、直近5期間で継続的に利益が拡大していることがわかります。特に直近3期間での利益成長が著しく、順調に利益規模を拡大させている傾向が確認できます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 132億円 | - | - | - | - |
| 経常利益 | 6億円 | - | - | - | - |
| 利益率(%) | 4.7% | - | - | - | - |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 5億円 | 8億円 | 25億円 | 43億円 | 48億円 |
■(2) 損益計算書
売上総利益および営業利益は前期から当期にかけて増加しており、本業における収益性が高まっていることがうかがえます。売上高の数値は省略されていますが、利益面での成長が顕著に表れています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | - | - |
| 売上総利益 | 82億円 | 97億円 |
| 売上総利益率(%) | - | - |
| 営業利益 | 51億円 | 55億円 |
| 営業利益率(%) | - | - |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は経営理念として、「伝統と革新スピリットを融合」「社会と業界の発展に貢献」「総合力を発揮し、世界へ飛躍」「無災害職場の確立」を掲げています。また、経営ビジョンには「世界的視野に立ち、伝統と革新を融合させ、日の丸舶用エンジンをお客様とともに育て、次代を拓く」と定めており、環境対応と経済性を両立した技術で海運・造船業界に貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、永くに亘る歴史と伝統を基盤にしながら、革新的スピリットを融合させることで、機動的かつ柔軟な経営を推進する文化を大切にしています。また、社員の力を結集して一貫体制を構築し、世界に伍していく姿勢や、危険予知の徹底と闊達なコミュニケーションを通じて災害ゼロの無災害職場を確立する行動様式を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、第2次中期事業計画において「経常利益」を重視し、安定した収益体質の確立を目標として掲げています。具体的な数値目標として、2027年3月期の通期業績計画で以下の数値を設定し、過去最高の業績を4期連続で更新することを目指しています。
・売上高:327億円
・営業利益:59億円
・経常利益:69億円
・当期純利益:50億円
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は第2次中期事業計画のもと、環境対応への取り組み深化として、次世代脱炭素燃料(アンモニア・水素)エンジンの開発や社会実装を推進しています。また、中国を主軸とするライセンスビジネスのグローバル展開を通じて、エンジンの世界シェア拡大とアフターサービス事業の伸長を図り、企業価値の持続的な向上を目指しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は「人的資本への投資拡大、健康経営の推進」を基本方針に掲げ、多様な人材の確保と能力開発の支援に力を入れています。階層別研修や自己啓発支援による自律的な人材育成を進めるとともに、残業時間の削減や有給休暇の取得推進、各種両立支援制度の整備を通じて、社員が健康で活き活きと働き続けられる職場環境の構築を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 41.2歳 | 9.5年 | 7,021,196円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | - |
| 男性育児休業取得率 | 88.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 73.7% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 73.0% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 74.6% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員比率(14.0%)、外国籍社員比率(6.3%)、有給休暇取得率(76.5%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 海運・造船市場の受注環境の変動
今後の世界景気や船腹需給、海運市況の動向によっては、新造船需要やアフターサービス需要が変動する可能性があり、同社の受注や販売、ひいては経営成績が影響を受けるリスクがあります。
■(2) 特定供給元への調達依存
同社の主力製品である主機関の構成部品は多くを社外からの調達に依存しており、一部の主要部品は特定の供給元に依存しています。そのため、供給元の状況によっては部品の調達が不安定になるリスクがあります。
■(3) 原材料・購入部品価格の高騰
同社の製品は製造原価に占める原材料費や購入部品費の比率が高くなっています。継続的な調達コストの低減に取り組んでいますが、将来的に原材料や購入部品の価格が高騰した場合、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 売掛債権の回収遅延・貸倒リスク
同社は取引先に対して売掛債権を有しています。与信先の業況を常に把握して不良債権の発生を防ぐ対策を講じていますが、市場環境の急速な変化や突発的な信用不安が発生した場合、売掛債権の回収リスクが顕在化する可能性があります。



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