【平均年収702万円】旭ダイヤモンド工業 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

【平均年収702万円】旭ダイヤモンド工業 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

旭ダイヤモンド工業は、電子・半導体業界や輸送機器業界など幅広い産業向けにダイヤモンド工具の製造・販売をグループ全体で展開しています。連結従業員数は二千名を超え、直近期は増収減益となりました。


目次

※本記事は、旭ダイヤモンド工業株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。

1. 企業概要:どんな会社?


旭ダイヤモンド工業は、主に電子・半導体業界、輸送機器業界、機械業界、石材・建設業界向けに、ダイヤモンド工具(CBN工具および砥石を含む)の製造・販売を手掛けています。同社グループは、これらの業界に特化した製品を提供し、幅広い産業を支えています。

単体従業員数は1,016名、連結従業員数は2,040名です。同社グループの事業セグメントはダイヤモンド工具事業の単一セグメントとなっています。

主な国内グループ会社は、山梨旭ダイヤモンド工業、是村旭ダイヤモンド工業、AAダイヤモンドテクノロジーなどです。

2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?


旭ダイヤモンド工業は、ダイヤモンド工具という専門性の高い製品を扱う企業として、技術力と人材育成に力を入れています。持続可能な社会の実現に向けたサステナビリティへの取り組みも積極的に行っており、従業員が長期的に安心して働ける環境づくりを目指しています。

■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢


同社は、平均勤続年数が長く、平均年齢も高めであることから、従業員が長期にわたってキャリアを築いている傾向が見られます。経験豊富な人材が多数在籍し、安定した組織基盤を形成していることがうかがえます。

項目 数値
平均年間給与 7,019,000円
平均勤続年数 20.97年
平均年齢 44.9歳
単体従業員数 1,016人
連結従業員数 2,040人
単体のグループ内比率 49.8%


同社および一部の連結子会社は、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方の退職給付制度を設けています。退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。当連結会計年度末における退職給付債務は104億円、年金資産は83.5億円となっています。

■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方


同社の人材戦略は、経営理念「モノづくりをもっと面白く」を実践し、事業を通じて社会に貢献しながら持続可能な成長を実現することを目指しています。人事制度は等級と役職を連動させ、勤続年数にとらわれずに職責に見合った処遇を実現する方針です。給与は1年間の個人評価に応じて昇給額が決定され、賞与は半期ごとの営業利益率と個人評価に基づいて支給額が決まる仕組みです。

多様な人材の獲得にも注力しており、団塊世代の定年退職がピークを迎える中で、年間50名以上の正社員採用を目標に掲げています。新卒向けインターンシップの活用や中途採用の強化、SNSでの情報発信など、幅広い年代や性別の採用を目指しています。人材育成においては、職場での多様な業務経験を通じて自律的な成長を促すことを基本とし、上司が部下の特性を把握し「挑戦する場」を提供することを重視しています。自己申告制度や工場研修、書籍代・資格取得・語学学習支援といった主体的な学びの支援、360度フィードバックや階層別研修による「気付きの機会」の提供も行っています。

働きがいの向上と離職率の低減にも取り組んでおり、経営理念を実践した取り組みを「もっと面白く大賞」として表彰し、理念の浸透を図っています。2023年4月の人事制度改定時には人事制度委員会を設置し、多様な社員を巻き込みながら制度の新設・見直しを進めています。また、人事担当者による面談や自己申告制度を活用した人事異動を通じて、離職に繋がりかねない問題の早期発見と個別対応に努めています。

■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標


有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。

法定開示


提出会社単体の法定開示データです。

指標 数値
管理職に占める女性労働者の割合 2.3%
男性労働者の育児休業取得率 77.8%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 73.4%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) 76.0%
労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) 77.8%

人的資本に関する指標


これらの指標は、提出会社単体の数値です。

指標 数値
正社員採用数 49名
離職率 2.5%
男性労働者の育児休業取得率 77.8%
労働者の男女の賃金の差異 76.0%
採用者に占める女性比率 30.6%
有給休暇取得率 74.2%
管理職に占める女性労働者の割合 2.3%

3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?


旭ダイヤモンド工業は、ダイヤモンド工具の製造・販売をグローバルに展開している会社です。幅広い産業分野の顧客に製品を提供し、収益を上げています。

■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか


同社グループは、電子・半導体業界、輸送機器業界、機械業界、石材・建設業界といった多様な顧客層向けに、ダイヤモンド工具(CBN工具および砥石を含む)の製造・販売を主軸としています。収益は、これらのダイヤモンド工具の製造・販売から得ています。

国内では、旭ダイヤモンド工業が日本、アジア・オセアニア、欧州、北米地域へ販売し、山梨旭ダイヤモンド工業が製品供給を担っています。是村旭ダイヤモンド工業も日本およびアジア・オセアニア地域で販売を行っています。

海外では、欧州、アジア・オセアニア、北米、中米など世界各地に製造販売子会社や販売子会社を展開し、グローバルな供給体制を構築しています。特に電子・半導体業界や機械業界向けの売上が伸長している傾向が見られます。一方で、輸送機器業界や石材・建設業界向けの売上は減少傾向にあります。

同社グループはダイヤモンド工具事業の単一セグメントで事業を展開しています。

■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移


同社グループの売上高は、直近5年間で増加傾向にあります。経常利益も同様に増加傾向を示していますが、親会社株主に帰属する当期純利益は直近で減少しています。これは、事業環境の不透明さや特定の業界における需要の変動が影響していると考えられます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 372億円 393億円 387億円 410億円 420億円
経常利益 36.5億円 32.8億円 24.1億円 30.7億円 33.5億円
経常利益率 9.8% 8.3% 6.2% 7.5% 8.0%
親会社株主に帰属する当期純利益 32.9億円 27.6億円 21.1億円 24.9億円 20.1億円
1株当たり当期純利益(円) 59.23 50.88 40.57 48.36 40.92

■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る


従業員1人あたり売上高は前期から増加しており、同社グループの生産性が向上している傾向が見られます。従業員1人あたり営業利益も前期から増加しており、従業員一人ひとりが生み出す利益が増えていることを示しています。これらの指標の改善は、組織全体の効率化や事業活動の成果が従業員一人あたりの貢献度として表れていることを示唆しています。

指標 2025年3月期 2026年3月期
従業員1人あたり売上高(連結) 19.9百万円 20.6百万円
従業員1人あたり営業利益(連結) 1.1百万円 1.2百万円

4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?


同社グループの財務状況は、事業活動で安定的に資金を生み出し、将来に向けた投資も行っていることを示しています。これにより、経営の安定性と成長への取り組みがうかがえます。

■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み


同社グループの財務基盤は、高い自己資本比率と潤沢な手元資金によって安定している状況です。自己資本比率はプライム市場の製造業平均と比較して高い水準を維持しており、強固な財務体質を示しています。ROEはプライム市場平均を下回っていますが、事業活動に必要な資金を確保し、不況時にも耐えうる体制が整っていると言えます。

指標 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
純資産 636億円 641億円
自己資本比率 80.7% 78.5%
ROE(自己資本利益率) 4.0% 3.2%
現金及び預金 148億円 161億円

■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ


同社グループのキャッシュフローは、本業で安定的に資金を生み出し、投資活動も行っている状況を示しています。営業活動によるキャッシュフローはプラスを維持しており、本業で着実に資金を稼ぎ出していることがうかがえます。これは税金等調整前当期純利益や減価償却費などが主な要因となっています。

投資活動によるキャッシュフローはマイナスですが、前期に比べて支出が減少しています。これは有形固定資産や投資有価証券の取得による支出があった一方で、投資有価証券の売却による収入も影響しています。財務活動によるキャッシュフローは、長期借入れによる収入があったものの、自己株式の取得や配当金の支払いにより支出が前期から増加しています。

結果として、フリーキャッシュフローはプラスであり、事業活動で得た資金が投資を上回っている優良な状態です。この資金は、返済や配当、さらなる再投資の余力があることを示しており、経営の安定性につながると考えられます。

項目 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
営業CF 57.7億円 54.1億円
投資CF △38.2億円 △21.2億円
財務CF △2.1億円 △18.8億円
フリーCF(営業CF+投資CF) 19.5億円 32.9億円

■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント

① 継続企業の前提に関するリスク

継続企業の前提に関する特記事項はありません。

② 事業構造・収益性に関するリスク

同社グループは、日々競合他社との技術・納期・価格競争が行われる中で事業を展開しています。競争に対して迅速かつ適切に対応できない場合、十分な収益性が確保できなくなる可能性があります。

また、国内だけでなく海外でもグローバルに事業を展開しており、政情不安や法的規制の変更、急激な為替レートの変動などが財政状態や経営成績に影響を及ぼすリスクがあります。

③ 人材・組織に関するリスク

同社グループは、従業員の健康と安全を第一に衛生管理の徹底や時差出勤等の対応を行っています。しかし、予期しないウイルス感染等が発生し、生産・営業活動が制限される事態が生じた場合、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 雇用安定性・リストラ

同社グループは、連結子会社である旭ダイヤモンドインダストリアルヨーロッパSASにおいて事業構造改善を実施しており、製造拠点の統合により発生する費用等を見積もり、事業構造改善引当金として計上しています。この費用は事業再編・拠点統廃合・人員削減等に伴うものであり、転職先を検討する際に留意すべき情報です。

5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?


旭ダイヤモンド工業は、「モノづくりをもっと面白く」という経営理念を掲げ、お客様とともに社会の発展に貢献することを目指しています。唯一無二の技術と働きがいを追求する企業風土が特徴です。

■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか


旭ダイヤモンド工業は、「モノづくりをもっと面白く」を経営理念としています。テクノロジーの進化が加速するモノづくりの現場で、お客様とともに困難な問題に取り組み、社会の発展に貢献することを目指しています。

目指す姿として「唯一無二」「永続的な成長」「働きがい」を掲げています。2030年までのあるべき姿として『VISION2030“世界のモノづくりを支えるグローバルニッチトップメーカーへ”』を掲げ、その実現に向けた中期経営計画を策定しています。

■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー


同社グループは、行動指針として「Challenge(チャレンジ)」「Customer(顧客志向)」「Cooperation(ボーダレスな連携)」「Character(持ち味を活かす)」「Speed(スピード)」の5つを掲げています。これらの指針に基づき、お客様志向と連携を重視した行動が求められます。

人事制度では、勤続年数にとらわれず職責に見合った処遇を目指し、等級と役職を連動させています。上司と部下の日頃からの意見交換や半期毎の面談を通じて、個々のモチベーション向上と成長を促進する企業風土があります。

職場環境においては、安全と健康の確保、快適な労働環境の整備に努めています。経営理念を実践した取り組みを「もっと面白く大賞」として表彰し、理念の浸透を図っています。

■(3) 経営課題と今後の重点テーマ


同社グループは、中期経営計画2030において「投資の活用」と「利益体質への改善」をテーマに掲げています。将来成長を支える開発力、人材、経営基盤の強化を重点施策として推進しています。

具体的には、安定調達・安定供給を可能とするサプライチェーンの構築や、製品開発の選択と集中による開発スピード向上に取り組んでいます。また、新基幹システムの活用による業務改革推進も進めています。

人的資本経営の深化として、働きがい向上、人材採用強化、福利厚生の拡充、教育訓練拡充に注力しています。サステナビリティの重要課題として、社会課題解決、環境負荷削減、ガバナンス強化、働きがいのある職場づくりを掲げています。

6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?


旭ダイヤモンド工業は、取締役会が経営の意思決定と業務執行の監督を担っています。また、監査役制度と執行役員制度を導入し、経営の迅速化と業務執行の適正化を図る体制です。

■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か


同社の株主構成を見ると、筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)であり、機関投資家が上位を占める傾向にあります。また、旭ダイヤモンド社員持株会が上位株主として名を連ねており、従業員による持株も一定の割合を占めていることが特徴です。

株主名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.29%
旭ダイヤモンド社員持株会 4.15%
株式会社日本カストディ銀行(信託口) 3.49%

■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか


同社の役員は12名(男性10名・女性2名)で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は片岡和喜氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
片 岡 和 喜 代表取締役社長 1976年同社入社、営業本部技術部長、取締役営業本部副本部長、常務取締役経営戦略企画本部長兼営業本部副本部長、代表取締役専務営業本部長を経て、2015年より代表取締役社長。
原 智 彦 代表取締役常務生産本部長兼 三重工場長 1980年同社入社、玉川工場第二製造部長、海外事業部長、執行役員P.T.旭ダイヤモンドインダストリアルインドネシア社長、取締役三重工場長、取締役生産本部長兼三重工場長を経て、2022年より代表取締役常務生産本部長兼三重工場長。
萩 原 利 昌 取締役営業本部長兼東日本統括 1982年同社入社、執行役員名古屋支店長、取締役名古屋支店長、取締役中国統括、取締役海外事業本部中国・台湾統括、取締役グローバル事業統括本部中国・台湾統括、取締役、取締役営業本部副本部長兼東日本統括を経て、2022年より取締役営業本部長兼東日本統括。
阿 部 英 夫 取締役技術本部長兼千葉工場長 1980年同社入社、玉川工場第一製造部長、執行役員玉川工場長、取締役玉川工場長、取締役玉川工場長兼技術開発センター長を経て、2021年より取締役技術本部長兼千葉工場長。
松 田 順 一 取締役海外事業本部長兼経営戦略本部長 1986年同社入社、技術研究所長、執行役員技術研究所長、執行役員経営戦略企画本部長、執行役員経営戦略本部長兼海外事業部長、執行役員経営戦略本部長、執行役員経営戦略本部長兼グループ会社統括本部海外事業部長、取締役グループ会社統括本部長兼海外事業部長を経て、2024年より取締役海外事業本部長兼経営戦略本部長。
川 合 宏 明 取締役 中日本統括兼名古屋支店長 1990年同社入社、厚木営業所副部長、東京営業部長、執行役員営業本部中日本統括兼名古屋支店長を経て、2025年より取締役営業本部中日本統括兼名古屋支店長。


社外取締役は、小山修氏(学校法人国際大学監事・指名・報酬諮問委員会委員)、市川祐子氏(マーケットリバー代表取締役・指名・報酬諮問委員会委員長)、川尻恵理子氏(ハロー法律事務所弁護士・指名・報酬諮問委員会委員)です。

同社は監査役会設置会社です。社外取締役3名、社外監査役2名で構成されており、社外役員は経営の監督や助言を通じてガバナンスの充実に貢献しています。

■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計


同社では、社外取締役を除く取締役の報酬を固定報酬、業績連動報酬、株式報酬で構成しています。社外取締役の報酬は、その役割と独立性を考慮し固定報酬のみです。監査役の報酬は、厳正な監査の責務を果たすための固定報酬を基本としています。

区分 人数 総額 1人あたり平均
取締役(社外除く) 7名 1.5億円 21.3百万円
監査役(社外除く) 1名 16百万円 16.0百万円
社外役員 5名 36百万円 7.2百万円


なお、取締役に対する役員報酬には、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれていません。

※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。