ヤマザキ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ヤマザキ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ヤマザキはスタンダード市場に上場し、工作機械及び輸送用機器等の製造・販売を行う企業です。直近の業績は売上高30.9億円(前期比24.0%増)、経常利益0.8億円、当期純利益0.6億円となり、前期の赤字から増収黒字転換を果たしました。


※本記事は、株式会社ヤマザキ の有価証券報告書(第65期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ヤマザキってどんな会社?


工作機械と輸送用機器部品の製造・販売を両輪とし、自社設備を自社生産に活かす相互連携が特徴です。

(1) 会社概要


同社は1946年に山﨑鉄工所として創業し、1960年に法人改組しました。1972年に現社名へ変更し、2004年にジャスダック証券取引所へ上場しています。2022年の市場区分見直しに伴い、東京証券取引所スタンダード市場へ移行しました。長年にわたり、二輪・四輪車部品の製造と専用工作機械の開発を手掛けています。

現在の従業員数は連結で318名、単体で144名です。大株主構成を見ると、筆頭株主は代表取締役社長の山﨑好和氏で、第2位は損害保険代理業を行う大同興産、第3位は真栄会となっています。

氏名 持株比率
山﨑好和 22.23%
大同興産 15.44%
真栄会 9.42%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性0名の計11名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長執行役員には山﨑好和氏が就任しています。社外取締役比率は36.4%です。

氏名 役職 主な経歴
山﨑好和 代表取締役社長執行役員 1985年同社入社。取締役、専務取締役などを経て2018年より社長を務める。2022年より現職。
川島浩孝 取締役常務執行役員 1987年同社入社。技術部長、常務取締役、精機本部副本部長などを歴任。2022年より営業・技術・品証部門統括として現職。
松本靖之 取締役常務執行役員 1983年同社入社。取締役、常務取締役、精機本部副本部長などを歴任。2022年より製造・開発部門統括として現職。
山本惣一 取締役上席執行役員 1985年同社入社。工機部次長を経て2017年に工機部長に就任。2022年より工機部長として現職。
今場浩和 取締役上席執行役員 1999年同社入社。総務部次長、内部監査室長を経て2022年に総務部長に就任。同年より総務部長として現職。
矢野哲哉 取締役上席執行役員 2003年同社入社。営業部長、執行役員営業部長を経て、2025年より営業部長として現職。
加藤勉 取締役監査等委員 静岡銀行審査部審査第一グループBP、静銀カード総務部長、同社監査役などを経て2025年より現職。


社外取締役は、浅田和則(元IJTテクノロジーホールディングス取締役)、加藤敏純(元ヤマハ発動機常務執行役員)、伊藤博(税理士)、原道也(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「輸送用機器事業」「工作機械事業」を展開しています。

(1) 輸送用機器事業


主に二輪自動車や四輪自動車向けの変速・制御装置部品、エンジン部品などの製造・販売を行っています。自動車産業を主要な顧客とし、量産部品の供給を担っています。

収益は、顧客である自動車メーカー等への製品販売代金から得ています。運営は、国内では同社が担当し、海外ではベトナムの子会社であるYAMAZAKI TECHNICAL VIETNAM CO.,LTD.が製造・販売を行っています。同社は子会社に対し技術援助を行っています。

(2) 工作機械事業


インデックスマシンなどの各種専用工作機械や、ボーリングヘッドなどの省力化設備ユニットの製造・販売を行っています。顧客のニーズに合わせた生産設備の最適化を提案し、省人化・省力化に貢献する製品を提供しています。

収益は、顧客企業への機械設備の販売および据付完了後の検収に基づき計上されます。運営は同社が行っており、開発した設備を自社の輸送用機器事業の生産ラインでも活用することで、製品の改良につなげています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は23億円から31億円の範囲で推移しています。2021年3月期から2024年3月期までは経常損失が続いていましたが、2025年3月期には売上高が30.9億円に拡大し、経常損益および当期純損益ともに黒字転換を果たしました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 23.2億円 26.3億円 26.6億円 25.0億円 30.9億円
経常利益 -3.7億円 -2.2億円 -2.1億円 -0.9億円 0.8億円
利益率(%) -15.9% -8.4% -8.1% -3.5% 2.7%
当期利益(親会社所有者帰属) -3.8億円 -1.4億円 -1.1億円 -0.3億円 0.6億円

(2) 損益計算書


売上高は前期の25.0億円から当期は30.9億円へと増加しました。これに伴い、売上総利益も4.3億円から5.6億円へ増加し、利益率も改善しています。営業損益については、前期の赤字から当期は0.8億円の黒字へと転換し、収益性が回復傾向にあります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 25.0億円 30.9億円
売上総利益 4.3億円 5.6億円
売上総利益率(%) 17.4% 18.0%
営業利益 -1.0億円 0.8億円
営業利益率(%) -3.9% 2.5%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が1.7億円(構成比36%)、役員報酬が0.6億円(同12%)を占めています。売上原価は25.4億円で、売上高に対する構成比は82%となっています。

(3) セグメント収益


輸送用機器事業は二輪・四輪車部品の販売増により増収増益となり、黒字を確保しました。一方、工作機械事業は専用工作機械の販売増で大幅な増収となりましたが、一部案件での納期対応費用などにより損失を計上しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
輸送用機器事業 13.2億円 15.2億円 -0.3億円 1.1億円 7.0%
工作機械事業 11.7億円 15.7億円 -0.8億円 -0.3億円 -2.0%
調整額 -0.5億円 -0.2億円 0.1億円 0.0億円 -
連結(合計) 25.0億円 30.9億円 -1.0億円 0.8億円 2.5%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、各金融機関との良好な関係に基づき必要資金を調達しています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、減価償却費が棚卸資産の増加を上回ったことで収入となりました。
投資活動では、定期預金の預入や有形固定資産の取得が、預金の払戻しを上回ったため支出となりました。
財務活動では、長期借入金の返済が新規借入れを上回ったため支出となりました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 0.2億円 0.4億円
投資CF 0.4億円 -1.3億円
財務CF -3.8億円 -0.6億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「お客様に寄り添い、世界中で必要とされることで企業価値を発展させ、社員の幸福や社会への貢献」を目指すべき企業ビジョンとしています。自動車産業を中心とした顧客に対して、工作機械事業と輸送用機器事業を通じて価値を提供することを基本としています。

(2) 企業文化


工作機械部門で開発した設備を自社の生産現場で使用し、そこで得た知見を製品開発にフィードバックするという「相互連携」を重視しています。また、顧客の個別のニーズに対応しつつ、主要機械構成部を標準化することで、信頼性向上とコスト低減を両立させるものづくりを強みとしています。

(3) 経営計画・目標


具体的な数値目標は設定していませんが、顧客の生産システムの最適化を基本コンセプトに掲げ、株主視点での収益性向上のため、「株主資本利益率(ROE)」および「総資産利益率(ROA)」の改善を経営指標の目標としています。

(4) 成長戦略と重点施策


自動車業界の構造変化に対応するため、省人化・省力化設備の提供強化に加え、新たな市場への進出を進めています。具体的には、半導体製造装置の製造販売や超精密加工への挑戦、MMSビジネス(相手先ブランドによる供給)の推進を行っています。また、ベトナム子会社を拠点としたASEANでの取引拡大など、グローバル化への対応も優先課題としています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人材育成の促進」「多様な人材の活躍」「働きやすい環境づくり」を方針としています。具体的には、資格取得推奨やOJTによる技術伝承、女性役職者の育成、外国人採用の強化に取り組んでいます。特にベトナム子会社との連携を活かした外国人留学生の採用や、多言語対応などの環境整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 47.4歳 17.1年 4,664,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は、法定開示以外の指標として以下のようなデータも公開しています。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、従業員数に占める外国人材の割合(9.7%)などです。

なお、同社および連結子会社は女性活躍推進法等の規定による公表義務の対象ではないため、有報には女性管理職比率等の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 同業他社との競争激化


自動車産業の動向に左右される事業特性上、競合との価格競争や顧客離れが業績に影響する可能性があります。同社は開発部門の強化や標準ユニットの拡充、技術の見える化などを進め、高品質・高付加価値製品の提供により優位性の確保を図っています。

(2) 人材不足のリスク


競争優位性を保つためには有能な人材の確保と育成が不可欠ですが、人材確保が困難な場合、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、技能伝承の可視化や機械化による効率化、採用活動の強化などで対応しています。

(3) 検収遅延等による業績変動


工作機械事業は個別受注型であり、顧客企業の決算期である3月に売上が集中する傾向があります。そのため、顧客側の事情による検収遅延等が発生した場合、売上計上が期をまたぐことになり、短期的な業績変動要因となる可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。