※本記事は、高松機械工業株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
高松機械工業は、工作機械及びその周辺装置の製造・販売・サービスメンテナンスを主軸に、IT関連製造装置の製造、自動車部品の加工を手掛けています。同社グループは、グループ各社とともに多角的な事業を展開しています。
単体従業員数は469名、連結従業員数は524名です。セグメントは工作機械事業、IT関連製造装置事業、自動車部品加工事業の3つです。
主な国内グループ会社は、当社、エフ・ティ・ジャパン、(会社総数10社)、(会社総数1社)などです。
なお、TP MACHINE PARTS CO., LTD.は現在清算手続き中となっています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
高松機械工業は、従業員の成長と働きがいを重視し、長期的なキャリア形成を支援する環境づくりに注力しています。給与水準は業界や事業特性によって異なりますが、社員一人ひとりの挑戦と成果を評価する制度を導入し、働きやすい職場環境の整備を進めていることが特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均勤続年数が比較的長く、平均年齢も安定していることから、従業員が腰を据えて長く働ける環境が整っている傾向が見られます。これは、社員の成長を支える制度や職場環境の整備に力を入れている同社の姿勢を反映していると言えるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,075,320円 |
| 平均勤続年数 | 15.3年 |
| 平均年齢 | 40.2歳 |
| 単体従業員数 | 469人 |
| 連結従業員数 | 524人 |
| 単体のグループ内比率 | 89.5% |
同社は、従業員の退職給付に充てるため、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の制度を採用しています。これらの制度は、当社および一部の連結子会社に適用されています。
退職一時金制度があり、退職給付として給与と勤務期間に基づいた一時金が支給されます。確定給付制度における退職給付債務は21.7億円、年金資産は26.1億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、持続的な企業価値の向上と経営理念・長期ビジョンの実現に向けて、人的資本の強化が重要であり、人材の育成・能力の開発が企業経営の根幹であると認識しています。人材戦略の基本理念は「一人ひとりの挑戦と成長が、会社の未来をつくる」であり、「チャレンジする人材育成」「チームで成果を出せる組織文化の醸成」「誇りを持って働ける会社づくり」の3つの戦略を柱としています。
新たな人事給与制度の運用を2025年10月より開始しており、営業や新製品開発、ユーザ設計やユーザ組立等の付加価値創出の中核を担う従業員を基幹職として位置付け、その専門性及び創出価値に応じた給与水準としています。また、高度な専門性を軸とするキャリアを選択できる制度を整備することで、社員一人ひとりの能力が発揮できる環境を構築し、組織能力の強化を図っています。給与レンジの見直しも行い、初期段階では昇給幅を大きく設定して挑戦や成果が早期に報酬へ反映される仕組みとするとともに、一定水準到達後は昇給を緩やかにすることで、役割拡大や昇格への動機付けを高めました。
人材の育成・能力の開発が企業経営の根幹であることを認識しており、社員の知識・技術・技能を向上させ、企業目的を達成するに足りうる企業人を育成することを目的としています。年度初めに階層別・専門教育を計画し、社員のスキルアップに努めています。職場環境につきましても、仕事や育児・介護の両立に向けた支援制度、有給休暇取得率の向上をはじめとした働き方改革の実現など、社員が働きやすさと働きがいを感じられるように整備を進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男女の賃金の差異は、主に男女間の管理職比率及び雇用形態の差異によるものです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 1.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 85.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 74.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 73.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 64.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
高松機械工業は、工作機械事業を主軸に、IT関連製造装置事業、自動車部品加工事業を展開しています。多岐にわたる製造業の基盤を支える技術と製品を提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、工作機械やその周辺装置の製造・販売・サービス・メンテナンス、IT関連製造装置の製造、自動車部品の加工を主な事業としています。これらの事業を通じて、顧客の生産性向上や課題解決に貢献しています。
工作機械事業
工作機械及び同周辺装置等の製造、販売、サービス・メンテナンスを行っています。収益は、国内外の製造業向けに製品を販売し、アフターサービスを提供することから得ています。同社グループの主力事業であり、海外市場にも展開しています。
IT関連製造装置事業
液晶基板や半導体などに関する製造装置の製造を行っています。収益は、IT関連産業の顧客に製造装置を提供することから得ています。
自動車部品加工事業
自動車部品等の加工生産を行っています。収益は、自動車産業向けに部品加工サービスを提供することから得ています。
同社グループの売上高は、前連結会計年度に比べて減少しています。工作機械事業では、国内向け受注が増加した一方で、アジア向けや北米向けの受注が減少しました。売上高ではアジア向けが増加したものの、国内向け、北米向け、ヨーロッパ向けが減少しています。外需比率は前連結会計年度から減少傾向にあります。また、営業外損益において為替差益や為替差損が変動要因となることから、為替の動向が経営成績に影響を与える可能性があります。
特定の顧客への売上集中も見られ、当連結会計年度では山下機械株式会社とユアサ商事株式会社が主要な顧客となっています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 工作機械事業 | 123億円 | 112億円 |
| IT関連製造装置事業 | 13.8億円 | 13.4億円 |
| 自動車部品加工事業 | 1.8億円 | 1.7億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績を見ると、売上高は減少傾向にあります。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、直近3期連続で損失を計上していますが、当連結会計年度においては、前連結会計年度と比較して損失幅が縮小しています。営業活動によるキャッシュ・フローは、当連結会計年度に資金流入を確保しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 167億円 | 167億円 | 142億円 | 139億円 | 127億円 |
| 経常利益 | 11.8億円 | 6.2億円 | △6.1億円 | △1.0億円 | △70百万円 |
| 経常利益率 | 7.1% | 3.7% | △4.3% | △0.7% | △0.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 8.0億円 | 4.9億円 | △5.7億円 | △6.5億円 | △1.6億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 73.03 | 45.21 | △52.26 | △59.95 | △15.29 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、前連結会計年度から減少しています。一方で、従業員1人あたり営業利益は、前連結会計年度と比較して損失幅が縮小しており、改善の傾向が見られます。これらの指標は、同社グループの生産性や収益体質の変化を示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 25.4百万円 | 24.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △0.3百万円 | △0.1百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
高松機械工業グループの財務状況は、事業活動で得た資金を将来への投資に充てている状況を示しています。これにより、事業の安定性と成長性への取り組みが見られます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率が78.1%と高い水準にあり、安定した経営基盤を構築していることがうかがえます。ROE(自己資本利益率)は△1.0%となっており、当期は損失を計上しています。手元資金である現金及び預金は55.6億円を確保しており、不測の事態への耐性も備えている状況です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 163億円 | 163億円 |
| 自己資本比率 | 74.3% | 78.1% |
| ROE(自己資本利益率) | △3.9% | △1.0% |
| 現金及び預金 | 53.5億円 | 55.6億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュフローは5.5億円の資金流入となりました。これは売上債権の減少や棚卸資産の減少などがあったことによるものです。投資活動によるキャッシュフローは、定期預金の預入による支出や有形固定資産の取得による支出等により、△8.4億円の資金流出となっています。
財務活動によるキャッシュフローは、長期借入金の返済による支出や配当金の支払等により、△5.8億円の資金流出となりました。これらの結果、フリーキャッシュフローは△2.9億円の資金流出となっており、本業で得た資金を投資に充てている状況がうかがえます。前期はフリーキャッシュフローがプラスでしたが、当期はマイナスに転じており、将来に向けた投資を積極的に行っている段階にあることが示されています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 14.5億円 | 5.5億円 |
| 投資CF | △0.2億円 | △8.4億円 |
| 財務CF | 6.5億円 | △5.8億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 14.3億円 | △2.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの主たる事業である工作機械事業は、民間設備投資動向に大きく影響を受けます。特に自動車関連業界が販売先の半分以上を占めるため、自動車関連業界の設備投資動向が経営成績に影響を与える可能性があります。また、工作機械業界は競合が激しく、需要縮小期には過当競争や価格競争の激化により、経営成績に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループが企業成長を実現し、安定的な経営体制を確立するためには、人的資本の充実が不可欠です。近年は多くの企業で人材不足が顕在化しており、特に新卒採用市場における競争が激化しています。求める人材を十分に確保できない場合や退職者が著しく増加した場合には、同社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
高松機械工業は、工作機械メーカーとして社会貢献を経営理念に掲げ、お客様、従業員、株主、協力企業との共存共栄を目指しています。モノづくりを通じて社会課題の解決に貢献し、持続可能な社会の実現を目指す企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループの経営理念は「高松機械は『社会に貢献』する」です。お客様への安全でメリットのある商品提供、従業員への生活の安定と希望、株主への適切な配当、協力企業との共存共栄を通じて社会の発展に貢献することを掲げています。
ミッション(私たちの使命、存在理由)は、「社会課題を解決する製品、技術、サービスの提供を通じて、日本、そして世界のモノづくりを支える」ことです。ビジョン(私たちが目指す姿、将来像)としては、「お客様や社会の課題を解決に導く、進化を続けるビジネスパートナー」と「社員が地域や社会、家族に誇れる会社」を目指しています。
長期ビジョンは「『自動化技術×複合加工技術』で、お客様のモノづくりを支え続けるグローバル・ソリューション・カンパニーへ!」と定めています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、社員と会社が共通のゴールに向かい共に成長できる会社を志向し、「ミッション・ビジョン・バリュー」を策定しています。バリュー(私たちの行動指針、判断基準)として、以下の3点を掲げています。
課題やニーズに徹底的に向き合い、チャレンジし続けること。『稼ぐ機械』を提供し、お客様のモノづくりに貢献すること。ともに働く仲間を尊重し、力を結集して、組織として最高のパフォーマンスを発揮することです。
サステナビリティ基本方針では、「TAKAMAZは、常に挑戦し続けるモノづくりを通じて、企業価値の向上と持続可能な社会の実現に貢献します」と表明しています。人材育成・能力開発を企業経営の根幹と捉え、社員の知識・技術・技能の向上を目的とした階層別・専門教育を計画し、スキルアップに努めています。
職場環境については、社員が働きやすさと働きがいを感じられるよう、仕事と育児・介護の両立支援制度や有給休暇取得率の向上、働き方改革の実現を進めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、工作機械事業において、2026年4月に工作機械営業本部と工作機械生産本部を新設しました。これにより、意思決定権限の明確化と現場判断の迅速化をはかり、営業力及び生産対応力の強化につなげています。
サステナビリティの実現に向け、ESGの観点から特定した5つの重要課題(マテリアリティ)に取り組んでいます。環境面では省エネ・省スペースな新製品開発やCO2排出量削減、社会面では製品の安定供給や地域社会への貢献、社員の成長支援、ガバナンス面ではIT活用や情報セキュリティ向上、最適な体制構築と強化を推進しています。
人的資本経営の一層の推進をはかるため、経営理念、MVV及び長期ビジョンに基づく人材戦略の策定に向けた検討を進めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
高松機械工業は監査役会設置会社であり、社外取締役と社外監査役を設置することで経営の透明性と健全性を確保しています。また、任意の経営諮問委員会を設置し、実効性の高いコーポレートガバナンスの実現に取り組んでいます。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
高松機械工業の株主構成を見ると、筆頭株主は高松機械工業取引先持株会です。その他、関連会社であるタカマツや、北國総合リース、北國銀行といった金融機関、日本生命保険相互会社などの機関投資家が上位に名を連ねています。また、高松機械工業社員持株会や創業家とみられる個人株主も主要な株主として存在しており、多様なステークホルダーによって支えられている資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 高松機械工業取引先持株会 | 11.26% |
| タカマツ | 8.87% |
| 北國総合リース | 4.01% |
| 北國銀行 | 3.78% |
| 日本生命保険相互会社 | 3.56% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性9名・女性2名)で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は髙松宗一郎氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 髙松 宗一郎 | 代表取締役社長 | 2000年4月同社入社、2010年6月取締役、2014年10月代表取締役副社長、2018年4月代表取締役社長、2023年4月より現職。 |
| 髙松 喜与志 | 代表取締役会長 | 1979年4月同社入社、1984年5月取締役、1996年6月代表取締役社長、2018年4月より現職。 |
| 徳野 穣 | 専務取締役工作機械事業担当 | 1979年4月同社入社、2006年6月取締役、2018年4月常務取締役、2023年4月専務取締役兼工作機械事業本部長、2026年4月より現職。 |
| 磯部 稔 | 常務取締役新分野事業部・部品事業部・杭州友嘉高松機械担当 | 1981年4月同社入社、2010年6月執行役員、2014年6月取締役、2018年4月常務取締役、2023年4月より現職。 |
| 四十万 尚 | 常務取締役管理本部長兼品質保証部担当 | 1989年1月同社入社、2014年4月執行役員、2016年6月取締役、2020年6月常務取締役、2022年4月より現職。 |
社外取締役は、中西祐一氏(弁護士)、池元ことみ氏(株式会社池元取締役)、髙田英美氏(髙田産業取締役)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会は社外取締役3名を含む8名で構成されています。社外取締役は多様な視点と客観的な立場から経営を監督する役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
高松機械工業の役員報酬は、持続的な企業価値向上を促すインセンティブとして設計されています。社外取締役を除く取締役の報酬は、基本報酬や業績連動賞与などの金銭報酬と、ストック・オプションや譲渡制限付株式などの非金銭報酬で構成されています。一方、社外取締役の報酬は基本報酬のみとなっており、客観的な立場からの監督機能を重視した設計です。業績連動報酬は単体当期純利益を基準とし、非金銭報酬は中長期的な企業価値向上を目的としています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 1.9億円 | 38.6百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 12百万円 | 12.0百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 7百万円 | 1.4百万円 |
なお、非金銭報酬等は譲渡制限付株式報酬に係る当事業年度の費用計上額であり、報酬総額には過年度に計上した役員退職慰労引当金の繰入額は含まれていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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