高松機械工業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

高松機械工業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

高松機械工業はスタンダード市場に上場し、工作機械、IT関連製造装置、自動車部品加工事業を展開しています。主力の工作機械ではCNC旋盤等を製造販売し、自動車関連向け需要の影響を受けやすい特徴があります。直近の業績は、設備投資需要の低迷等から減収となり、営業赤字が続いていますが、赤字幅は縮小傾向にあります。


※本記事は、高松機械工業株式会社の有価証券報告書(第65期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 高松機械工業ってどんな会社?


同社は工作機械のメーカーとして、CNC旋盤などの製造・販売やIT関連製造装置の製造を行っています。

(1) 会社概要


同社は1961年に設立され、工作機械事業を開始しました。1996年には米国に子会社を設立して海外展開を本格化し、2001年に自動車部品加工事業を開始しています。その後、株式の上場を果たし、現在はグローバルに事業を展開する機械メーカーとして成長を続けています。

同社グループは連結で524名、単体で469名の従業員を擁しています。大株主については、筆頭株主が取引先による高松機械工業取引先持株会で、第2位は関連会社とみられるタカマツ、第3位は北國総合リースとなっており、取引先や関連企業との強固な資本関係が特徴です。

氏名 持株比率
高松機械工業取引先持株会 11.26%
タカマツ 8.87%
北國総合リース 4.01%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は髙松宗一郎氏が務めており、社外取締役の比率は27.3%となっています。

氏名 役職 主な経歴
髙松喜与志 代表取締役会長 1979年同社入社。1984年取締役、1996年代表取締役社長を経て、2018年より現職。
髙松宗一郎 代表取締役社長 2000年同社入社。2010年取締役、2014年代表取締役副社長を経て、2018年より現職。
徳野穣 専務取締役工作機械事業担当 1979年同社入社。2006年取締役、2021年常務取締役営業本部長を経て、2026年より現職。
磯部稔 常務取締役新分野事業部・部品事業部・杭州友嘉高松機械担当 1981年同社入社。2014年取締役、2020年常務取締役生産本部長等を経て、2023年より現職。
四十万尚 常務取締役管理本部長兼品質保証部担当 1989年同社入社。2014年執行役員、2016年取締役、2021年常務取締役管理本部長を経て、2022年より現職。


社外取締役は、中西祐一(中西祐一法律事務所開設)、池元ことみ(池元取締役)、髙田英美(髙田産業取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「工作機械事業」「IT関連製造装置事業」および「自動車部品加工事業」を展開しています。

工作機械事業


CNC旋盤等の工作機械や同周辺装置等の製造、販売、サービス・メンテナンスを行っています。金属加工を行う自動車関連業界などの製造業向けに、ニーズに合わせた自動化システムなどを提供しています。

顧客への工作機械本体や部品の販売、およびサービス・メンテナンスの費用から収益を得ています。運営は同社のほか、米国、タイ、欧州などの海外子会社が各地域の販売・サービスを担当しています。

IT関連製造装置事業


IT関連分野向けの製造装置の製造を行っています。具体的には、液晶基板や半導体などに関連する製造装置を顧客企業の仕様に合わせて提供しています。

既存および新規の取引先に対して、IT関連製造装置を販売することによる対価から収益を得ています。当事業は同社が単独で運営を行っています。

自動車部品加工事業


自動車部品等の加工生産を行っています。自動車メーカーや部品メーカーなどの関連業界に対して製品を供給しています。

顧客企業向けに部品の加工生産を行い、その対価から収益を得ています。当事業についても同社が単独で運営を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績推移を見ると、前半は売上高160億円台で推移し利益も確保していました。しかし、後半にかけて顧客の設備投資需要の低迷等の影響により売上高が減少し、経常赤字を計上しています。直近ではコスト削減等の効果もあり、赤字幅は縮小傾向にあります。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 167億円 167億円 142億円 139億円 127億円
経常利益 12億円 6億円 -6億円 -1億円 -1億円
利益率(%) 7.1% 3.7% -4.3% -0.7% -0.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 6億円 5億円 1億円 -6億円 -2億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で減少していますが、原価低減等の取り組みにより売上総利益は同水準を維持し、売上総利益率が改善しています。その結果、営業赤字の幅が縮小しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 139億円 127億円
売上総利益 33億円 33億円
売上総利益率(%) 23.5% 25.9%
営業利益 -2億円 -1億円
営業利益率(%) -1.2% -0.5%

(3) セグメント収益


工作機械事業は自動車向け需要の回復が緩やかで売上が減少しました。IT関連製造装置事業は一部顧客の生産調整の影響を受け微減となりました。自動車部品加工事業も売上が減少しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
工作機械事業 123億円 112億円
IT関連製造装置事業 14億円 13億円
自動車部品加工事業 2億円 2億円
連結(合計) 139億円 127億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型のキャッシュ・フロー状況となっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 14億円 6億円
投資CF -0億円 -8億円
財務CF 7億円 -6億円


企業の収益力を測るROEは-1.0%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は78.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は『高松機械は「社会に貢献」する』という経営理念を掲げています。お客様には安全でメリットのある商品を、従業員には生活の安定と希望を、株主には適切な配当を提供するとともに、協力企業とも共存共栄の精神をもって、社会の発展に積極的に貢献することを社会的意義として定めています。

(2) 企業文化


社員の指針となるバリュー(行動指針)として、課題やニーズに徹底的に向き合いチャレンジし続けること、『稼ぐ機械』を提供しお客様のモノづくりに貢献すること、ともに働く仲間を尊重し力を結集して組織として最高のパフォーマンスを発揮することを重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は『「自動化技術×複合加工技術」でお客様のモノづくりを支え続けるグローバル・ソリューション・カンパニーへ!』を長期ビジョンとしています。2026年3月期を初年度とする3ヵ年の中期経営計画「中期計画2027」において、以下の数値を目標として掲げています。

* 連結売上高180億円
* 連結営業利益率5%以上
* 連結ROE4.3%以上

(4) 成長戦略と重点施策


中期計画2027では、「経営基盤強化と成長戦略の実行による収益性の改善」を基本方針としています。黒字化に向けた組織体制強化やコスト削減などの経営基盤強化を進めるとともに、中長期的な成長に向けてグローバル戦略の再構築や技術・研究開発の強化を図ります。主力事業において営業力および生産対応力を強化する方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材戦略の基本理念として「一人ひとりの挑戦と成長が、会社の未来をつくる」を掲げています。チャレンジする人材育成、チームで成果を出せる組織文化の醸成、誇りを持って働ける会社づくりの3つを柱とし、女性活躍などの多様な人材が活躍できる環境整備やワークライフバランスの推進に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。専門性や創出価値に応じた給与水準とする新たな人事給与制度を導入し、若手の挑戦や成果が早期に報酬へ反映される仕組みを構築しています。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 40.2歳 15.3年 5,075,320円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 1.7%
男性育児休業取得率 85.7%
男女賃金差異(全) 74.8%
男女賃金差異(正規) 73.8%
男女賃金差異(非正規) 64.0%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 他社との競合に関する影響


同社が属する工作機械業界は多数のメーカーが存在し、競争が激しい環境にあります。自動化システムの提案等による差別化を図っていますが、需要の縮小期において過当競争となり価格競争が激化した場合、同社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原材料等の調達及び価格に関する影響


サプライヤーとの連携強化等により適正な調達に努めていますが、取引先の変更が困難な部品において供給が中断した場合には生産に著しい影響を受けます。また、原油価格の高騰などで原材料価格が急騰した場合、製造コストが増大するリスクがあります。

(3) 海外展開に関する影響


北米、アジア、欧州などで海外事業を展開していますが、現地における予期せぬ法規制の変更、社会的混乱、急激な経済悪化などが発生するリスクがあります。為替相場の変動により円高が進行した場合、価格競争力の低下を通じて業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) ディーラに関する影響


同社製品は主にディーラを通じて販売されており、ディーラの経営悪化による代金回収リスクが存在します。また、ディーラは競合製品も取り扱うため、経営方針の変化により同社製品の取り扱いが優先されなくなった場合、売上や利益に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。