高松機械工業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

高松機械工業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、CNC旋盤を中心とした工作機械の製造販売、IT関連製造装置、自動車部品加工を展開しています。直近の連結業績は、売上高が減少(減収)し、経常損益は赤字幅が縮小したものの損失を計上しています。


※本記事は、高松機械工業株式会社 の有価証券報告書(第64期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 高松機械工業ってどんな会社?


石川県に本社を置き、自動車関連部品などの加工に用いられるCNC旋盤を主力とする工作機械メーカーです。

(1) 会社概要


1961年に石川県金沢市で設立され、1985年に現在の白山市へ本社工場を移転しました。2001年に日本証券業協会(JASDAQ)へ店頭登録を行い、2006年には東京証券取引所市場第二部へ上場を果たしました。その後、2022年の市場区分見直しに伴い、現在はスタンダード市場に上場しています。

連結従業員数は547名、単体では493名です。筆頭株主は高松機械工業取引先持株会で、第2位はタカマツ、第3位はリース事業を展開する北国総合リースです。上位株主には創業家関連とみられる法人や、取引関係のある企業、金融機関が名を連ねています。

氏名 持株比率
高松機械工業取引先持株会 10.93%
タカマツ 8.89%
北国総合リース 4.02%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は髙松宗一郎氏が務めています。社外取締役比率は約27.3%です。

氏名 役職 主な経歴
髙松宗一郎 代表取締役社長 2000年同社入社。取締役、代表取締役副社長を経て、2018年より社長を務める。2023年4月より現職。
髙松喜与志 代表取締役会長 1979年同社入社。常務、専務、副社長を経て1996年に社長就任。2018年4月より現職。
徳野穣 専務取締役工作機械事業本部長 1979年同社入社。取締役、常務を経て2023年4月より現職。工作機械事業本部を統括する。
磯部稔 常務取締役新分野事業部・部品事業部・杭州友嘉高松機械担当 1981年同社入社。執行役員、取締役を経て2018年常務就任。2023年4月より現職。
四十万尚 常務取締役管理本部長兼品質保証部担当 1989年同社入社。執行役員、取締役を経て2020年常務就任。2022年4月より現職。


社外取締役は、中西祐一(中西祐一法律事務所代表)、池元ことみ(池元取締役)、髙田英美(金沢彩の庭ホテル取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「工作機械事業」「IT関連製造装置事業」および「自動車部品加工事業」を展開しています。

工作機械事業


主にCNC旋盤(コンピュータ制御された旋盤)およびその周辺装置(コレットチャック、ローダ等)の製造、販売、サービス・メンテナンスを行っています。顧客は自動車関連業界が中心ですが、その他製造業全般にも製品を提供しています。

収益は、製品の販売代金およびアフターサービス料により構成されています。運営は、同社および海外子会社のTAKAMATSU MACHINERY U.S.A., INC.、TAKAMATSU MACHINERY (THAILAND) CO., LTD.などが各地域で行っています。

IT関連製造装置事業


液晶基板や半導体などに関する製造装置の製造を行っています。シリコンサイクル等の影響を受けやすい分野ですが、高度な技術力を活かした製品を提供しています。

収益は、製造装置の販売代金から得ています。運営は主に同社が行っています。

自動車部品加工事業


自動車部品の加工生産を行っています。自動車メーカーや部品メーカーに対して、同社の工作機械を使用した加工部品を供給しています。

収益は、加工部品の販売代金から得ています。運営は同社が行っています(なお、タイの子会社TP MACHINE PARTS CO., LTD.は清算手続き中です)。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は2022年3月期以降160億円台から130億円台へと推移しています。利益面では2022年3月期には黒字でしたが、2024年3月期以降は経常損失および当期純損失を計上しており、苦戦が続いています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上収益(または売上高) 134億円 167億円 167億円 142億円 139億円
税引前利益 / 経常利益 / 営業利益 2億円 12億円 6億円 -6億円 -1億円
利益率(%) 1.7% 7.1% 3.7% -4.3% -0.7%
当期利益(親会社所有者帰属) -0.7億円 6億円 5億円 1億円 -6億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は微減となりました。売上原価率は依然として高い水準にありますが、販管費の抑制などにより、営業損失および経常損失の幅は縮小傾向にあります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 142億円 139億円
売上総利益 32億円 33億円
売上総利益率(%) 22.5% 23.5%
営業利益 -4億円 -2億円
営業利益率(%) -2.7% -1.2%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が12億円(構成比35%)、減価償却費が1億円(同3%)を占めています。

(3) セグメント収益


工作機械事業は内需の減少等が響き減収となりましたが、IT関連製造装置事業は増収となりました。自動車部品加工事業は海外子会社の解散等により減収となっています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
工作機械事業 126億円 123億円
IT関連製造装置事業 13億円 14億円
自動車部品加工事業 3億円 2億円
連結(合計) 142億円 139億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社グループは、事業活動に必要な資金を営業活動から得たキャッシュ・フローを基本とし、必要に応じて借入等で調達しています。営業活動によるキャッシュ・フローは大幅な資金流入となり、前年度の流出から一転しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得等により資金流出となりましたが、その額は前年度より減少しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入等により大幅な資金流入となりました。これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は大きく増加しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF -2億円 14億円
投資CF -4億円 -0.2億円
財務CF -3億円 7億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「社会に貢献する」ことを基本理念とし、顧客には安全でメリットのある商品を、従業員には生活の安定と希望を、株主には適切な配当を提供することを目指しています。また、協力企業とも共存共栄の精神を持ち、社会の発展に積極的に貢献することを掲げています。

(2) 企業文化


同社は「ミッション・ビジョン・バリュー」を策定し、社員と会社が共通のゴールに向かうことを重視しています。バリュー(行動指針)として、課題やニーズに徹底的に向き合いチャレンジすること、「稼ぐ機械」を提供して顧客のモノづくりに貢献すること、仲間を尊重し組織として最高のパフォーマンスを発揮することを掲げています。

(3) 経営計画・目標


同社は長期ビジョンとして「グローバル・ソリューション・カンパニー」を目指し、2026年3月期を初年度とする3ヵ年の新中期経営計画「中期計画2027」を策定しました。

* 2028年3月期 連結売上高:180億円
* 2028年3月期 連結営業利益率:5%以上
* 2028年3月期 連結ROE:4.3%以上

(4) 成長戦略と重点施策


「中期計画2027」では、経営基盤強化と成長戦略の実行による収益性改善を基本方針としています。経営基盤強化では、価格決定プロセスの再構築や営業体制強化により黒字体質を構築します。成長戦略では、収益基盤の強化、グローバル戦略の再構築、技術・研究開発の強化、事業ポートフォリオの見直しを遂行し、持続的な成長基盤を強化します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材育成と能力開発を経営の根幹と位置づけ、階層別・専門教育を通じて社員のスキルアップを図っています。また、社員と会社が共に成長できる環境を目指し、仕事と育児・介護の両立支援や有給休暇取得率向上などの働き方改革を推進し、働きやすさと働きがいのある職場づくりを進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 39.6歳 14.8年 4,992,165円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.3%
男性育児休業取得率 58.8%
男女賃金差異(全労働者) 71.3%
男女賃金差異(正規雇用) 70.6%
男女賃金差異(非正規) 70.0%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済情勢に関する影響


同社グループの主力である工作機械事業は民間設備投資動向の影響を受けやすく、景気変動により需要が変動します。特に販売先の過半を占める自動車関連業界の設備投資動向が、同社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

(2) 他社との競合に関する影響


工作機械業界は多数のメーカーが存在し競合が激しく、需要縮小期には過当競争による価格競争が激化する可能性があります。同社は自動化システムの提案などで差別化を図っていますが、競争激化が財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

(3) 原材料等の調達及び価格に関する影響


一部の原材料等は代替品への切り替えが困難であり、供給中断や不足が発生した場合、生産に影響を及ぼす可能性があります。また、原材料価格の高騰が続いた場合、製造コストが増大し利益が減少する可能性があります。

(4) 海外展開に関する影響


アジア、ヨーロッパ、北米などで事業展開しており、海外売上高比率は35.5%です。各地域での法規制変更、政治的・経済的混乱、自然災害、円高進行による価格競争力低下などが、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。