石川製作所 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

石川製作所 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場。段ボール製函印刷機械等の「紙工機械」、機雷や航空機用電子機器等の「防衛機器」、「受託生産」の3事業を展開しています。当連結会計年度の業績は、売上高162億円(前期比19.2%増)、経常利益6.5億円(同154.7%増)と大幅な増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社石川製作所の有価証券報告書(第124期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 石川製作所ってどんな会社?


紙工機械、防衛機器、受託生産の3事業を柱とする機械メーカーです。特に防衛省向けの防衛機器事業が売上の過半を占めています。

(1) 会社概要


1921年に石井鉄工所として創業し繊維機械部品の製作を開始。1938年に石川製作所へ社名変更し、戦時中は海軍水中兵器を製造しました。1953年に大阪証券取引所へ上場し、翌年防衛機器製造の許可を取得。1964年には米国企業との提携により紙工機械へ参入しました。2017年に関東航空計器を完全子会社化しています。

同グループは連結526名、単体261名の従業員体制です。筆頭株主はその他の関係会社で主要販売先でもあるレンゴー(20.02%)です。第2位は日本生命保険相互会社(3.08%)、第3位は従業員持株会と思われる石川フレンド会(2.49%)となっています。

氏名 持株比率
レンゴー 20.02%
日本生命保険相互会社 3.08%
石川フレンド会 2.49%

(2) 経営陣


同社の役員は男性12名、女性0名の計12名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は小長谷育教氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
小長谷 育教 代表取締役社長 伊藤忠商事出身。同社静岡支店長を経て2006年に石川製作所入社。常務、専務、販売事業部長などを歴任し、2015年4月より現職。
野口 俊和 専務取締役社長補佐兼 開発部門長 1993年同社入社。営業統括部長、東京研究所副所長、企画管理部門長などを歴任。2024年6月より現職。
福本 出 常務取締役東京研究所所長 海上自衛隊出身。海将、幹部学校長を経て2014年同社入社。2018年6月より現職。
橋場 良春 常務取締役製造部門長 1985年同社入社。特機生産部長、製造部門長、コンポーネント部長などを歴任。2024年6月より現職。
辻 清志 取締役産機部門担当 1974年同社入社。紙工機械部長、営業部門長、事業部門長などを経て、2015年6月より取締役。2023年10月より現職。
水野 孝 取締役企画管理部門長 1981年同社入社。原価管理部長、企画開発部長、経営企画部長などを歴任。2024年6月より現職。


社外取締役は、前田盛明(レンゴー取締役)、竹森二郎(元アイ・ロジスティクス社長)、村上克宏(元AIメカテック取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「紙工機械」「防衛機器」「受託生産」および「その他」事業を展開しています。

(1) 紙工機械


段ボール製函印刷機械等の製造販売を行っています。主な製品には段ボールへの印刷や箱の成形を行う機械が含まれます。顧客はレンゴーなどの段ボールメーカーが中心です。

製品の販売代金や保守サービス料が収益源です。運営は主に石川製作所が行い、子会社のイッセイが機械加工部品の製造、イシメックスが制御盤など電装関係部品の製造を一部担当しています。

(2) 防衛機器


機雷や航空機用電子機器等の製造販売を行っています。防衛省や三菱重工業などが主な顧客であり、国の防衛に関わる重要装備品を提供しています。

製品の納入による代金が収益源です。運営は石川製作所および子会社の関東航空計器が行っており、イッセイやイシメックスが部品製造で協力する体制をとっています。

(3) 受託生産


他社からの依頼に基づき、各種機械の生産を受託しています。顧客の設計図面等に基づいて製造を行う事業です。

生産受託による加工賃等が収益源です。運営は石川製作所が主体となり、子会社のイッセイが機械加工部品、イシメックスが電装関係部品の製造の一部を行っています。

(4) その他


上記報告セグメントに含まれない事業として、電子機器や繊維機械等の製造販売を行っています。

製品販売による代金が収益源です。運営は石川製作所および関東航空計器が行うほか、子会社各社も部品製造等に関与しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に増加傾向にあります。特に当期は大幅な増収となり、利益面でも経常利益が大きく伸長しています。利益率は改善傾向にあり、当期は過去5期間で最も高い利益率を記録しました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 114億円 121億円 126億円 136億円 162億円
経常利益 2億円 2億円 2億円 3億円 6億円
利益率(%) 1.4% 1.6% 1.7% 1.9% 4.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 1億円 1億円 1億円 2億円 1億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も増加しています。営業利益率は前年の1.9%から4.3%へと改善しており、収益性が向上しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 136億円 162億円
売上総利益 19億円 25億円
売上総利益率(%) 13.7% 15.4%
営業利益 3億円 7億円
営業利益率(%) 1.9% 4.3%


販売費及び一般管理費のうち、その他経費が11億円(構成比61%)、給料及び手当が5億円(同27%)を占めています。売上原価においては、材料費や外注費などが主な構成要素となっています。

(3) セグメント収益


防衛機器セグメントが大幅な増収増益となり、全社の業績を牽引しました。一方、紙工機械セグメントは減収となり損失を計上しています。受託生産セグメントも減収減益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
紙工機械 34億円 30億円 -1億円 -1億円 -2.2%
防衛機器 80億円 111億円 8億円 13億円 11.7%
受託生産 15億円 13億円 1億円 1億円 6.1%
その他 7億円 8億円 1億円 2億円 21.2%
調整額 -0億円 -0億円 -6億円 -8億円 -
連結(合計) 136億円 162億円 3億円 7億円 4.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

石川製作所は、安定的な収益確保のため、従業員の技術研鑽と継承を徹底し、作業効率化や無駄なコスト削減による原価低減、製品信頼性向上による販売拡大を目指しています。

当連結会計年度は、営業活動による資金は減少しましたが、これは主に契約資産や売上債権の増加によるものです。投資活動では、固定資産の取得により資金が減少しました。一方、財務活動では、短期借入金や長期借入れにより資金が増加しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF -19億円 -22億円
投資CF -4億円 -6億円
財務CF 21億円 27億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、継続的かつ安定的な配当を行う上で収益力の強化を課題として掲げています。安定した経営基盤の確立を目指し、顧客ニーズに対応する製品開発を通じた受注拡大、経営効率化による原価低減、技術の研鑽と継承による品質向上に努めています。

(2) 企業文化


同社グループは、製造業として「技術の研鑽と継承」を重視する文化を持っています。品質向上に努めることで収益力の強化を図り、配当を通じて継続的に株主へ利益を還元することを目指しています。また、品質管理を安全管理に次いで重要と位置づけ、顧客満足を目指した確かな物づくりに取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、安定した経営基盤の確立と収益力の強化を目標としています。具体的な数値目標としては、継続的かつ安定的な配当の実施を掲げており、そのために収益力の強化が必要であるとしています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社グループは、安定的な収益確保のため、以下の施策に重点的に取り組んでいます。
* 顧客のニーズに対応する製品開発を通じた受注の拡大
* 経営の効率化による原価低減の徹底(作業効率化や無駄なコスト削減)
* 技術の研鑽と継承による品質向上と製品の信頼性向上

これらを通じて収益力を強化し、配当を通じた株主への利益還元を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、従業員が心身ともに健康で個々の能力を最大限に発揮できる職場環境の整備に努めています。また、仕事と家庭の両立支援も推進しています。課題である女性管理職の育成については、研修受講の促進や外部セミナーへの参加を通じ、キャリア意識の向上や次世代リーダーの育成に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 41.5歳 15.4年 5,944,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外手当を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 9.2%
男性育児休業取得率 85.7%
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 製品の不良発生リスク


同社グループは製品の品質管理を徹底していますが、製品に不良が生じた場合、補修や代替品に係る追加費用が発生する可能性があります。また、製品不良による事故で損害賠償責任が発生した場合、経営成績に影響を与える可能性があります。製品は受注生産で仕様が異なるため、不良発生の予測は困難です。

(2) 株価等の下落リスク


同社および一部の子会社は上場株式等の投資有価証券を保有しており、株価下落時に評価損を計上するリスクがあります。また、確定給付企業年金制度の年金資産運用が悪化した場合、退職給付費用が増加する可能性があります。株価下落時は早期売却等の検討を行い、年金資産は安定型商品を中心に運用することでリスク低減を図っています。

(3) 景気変動の影響


同社の事業は景気変動の影響を受ける可能性があります。特に設備投資意欲の減退や防衛予算の変動などが受注高や売上高に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、複数の事業セグメントを持つことでリスク分散を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。