※本記事は、日本通信株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、「安全・安心にビットを運ぶ」という使命のもと、携帯電話事業者のモバイル通信ネットワークを活用したモバイル通信サービスおよびモバイル・ソリューション事業を展開しています。FPoS事業も展開していますが、現在の規模はまだ小さいです。
単体従業員数は135名、連結従業員数は156名です。セグメントはモバイル通信サービス及びモバイル・ソリューションの1つです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
日本通信は、電気通信事業に公正な競争をもたらすことを使命とし、新たな事業領域を開拓している企業です。従業員一人ひとりの能力と意欲を重視し、多様な経験を通じて成長できる環境を提供しています。給与水準や働き方については、専門性とマルチタレント性を育む独自の制度が特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員が幅広い業務を経験し、高度な判断力を身につけることを重視する人事制度を採用しています。組織の階層を少なくすることで、個人の意欲と能力に応じた責任ある業務への挑戦を促し、社内業務の横断的な理解を深める機会を提供しています。このような環境は、従業員の定着と成長を支援する傾向にあると言えるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,022,000円 |
| 平均勤続年数 | 8.9年 |
| 平均年齢 | 39.4歳 |
| 単体従業員数 | 135人 |
| 連結従業員数 | 156人 |
| 単体のグループ内比率 | 86.5% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、マネジメント人材、卓越した専門知識を持つプロフェッショナル人材、そして幅広い事業領域を理解するマルチタレント人材の育成を重視しています。年齢、性別、学歴、経験、長時間勤務の可否等ではなく、能力、実績、ポテンシャルによって人材を評価する方針です。
人事制度は組織の階層を少なくし、従業員が意欲と能力に応じて多くの責任を担い、自己の主要業務以外の業務も担当できる設計です。これにより、社内業務を横断的に理解し、幅広い経験を通じて高度な判断ができる人材への成長を期待しています。給与は新卒者を中心に一般的な企業水準を下回らないように設定され、経験者は前職給与や能力に応じて決定されます。退職金や賞与の制度はありませんが、その分給与として配分できる額は多くなると説明されています。黒字化以降は原則として毎年昇給を実施していますが、時期は特定せず、会社が必要と判断した時期に実施しています。また、執行役員等への譲渡制限付株式報酬制度や、従業員持株会制度を導入し、企業価値向上へのインセンティブと財産形成支援を行っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
当社及び当社連結子会社は、女性活躍推進法および育児介護休業法に基づく公表義務の対象事業主ではないため、法定開示データは開示されていません。
健康・安全
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 全従業員の月平均時間外勤務時間(2026年3月期) | 7.76時間 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
日本通信は、モバイル通信サービスとモバイル・ソリューションを主軸に事業を展開しています。加えて、本人性と真正性を担保する通信・認証基盤を提供するFPoS事業も手掛けています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、「安全・安心にビットを運ぶ」というミッションのもと、携帯電話事業者のモバイル通信ネットワークを活用したサービスを提供しています。事業は主にモバイル通信サービスとモバイル・ソリューションの2つで構成されており、FPoS事業は現在のところ規模が小さいとされています。
モバイル通信サービスは、MVNO(仮想移動体通信事業者)またはMVNE(仮想移動体通信事業者支援事業者)として日本国内で展開しています。個人向けには「日本通信SIM」や「bモバイル」ブランドでサービスを提供し、MVNOパートナーに対しては、モバイル通信サービスの企画・開発から運用支援まで幅広くサポートしています。
モバイル・ソリューションは、日本国内および米国で法人顧客やパートナー向けに提供されています。モバイル専用線によるセキュアなネットワーク、複数の携帯電話事業者の回線を活用したデュアル・ネットワーク製品、ローカル5G向けのSIMなど、多様なソリューションを展開しています。米国では連結子会社であるJCI US Inc.が、金融機関等向けにVPNを使用しないモバイル専用線サービスを提供し、ATMやPOS端末などでの利用を拡大しています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5年間で売上高が継続的に増加傾向にあります。経常利益も概ね増加しており、事業の成長がうかがえます。当連結会計年度においては、売上高は前期から増加しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は減少となりました。これは、連結子会社における固定資産の減損損失を特別損失として計上したことによるものです。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 46.3億円 | 60.7億円 | 74.0億円 | 92.4億円 | 116億円 |
| 経常利益 | 3.0億円 | 7.8億円 | 11.8億円 | 10.0億円 | 11.2億円 |
| 経常利益率 | 6.5% | 12.8% | 16.0% | 10.8% | 9.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2.9億円 | 6.9億円 | 13.7億円 | 8.5億円 | 7.6億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 1.79 | 4.19 | 8.27 | 5.12 | 4.58 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期から当期にかけて増加しています。また、従業員1人あたりの営業利益も同様に増加しており、組織全体の生産性が向上している傾向が見られます。これらの指標の改善は、事業規模の拡大とともに効率的な運営が進んでいることを示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 64.6百万円 | 74.6百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 6.7百万円 | 7.3百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
日本通信の財務状況は、事業活動で得た資金を将来の成長に向けた投資に積極的に充てている段階を示しています。これにより、事業拡大への意欲がうかがえる財務基盤となっています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
日本通信の財務基盤を見ると、2026年3月期末の自己資本比率は37.6%となっています。これは前連結会計年度末の50.4%から減少しています。プライム市場の非製造業平均(24.2%)と比較すると、引き続き高い水準を維持しています。
ROE(自己資本利益率)は18.6%であり、前連結会計年度の26.3%から減少していますが、プライム市場平均(9.4%)を上回る水準を示しています。現金及び預金は71.1億円と、前連結会計年度末の43.0億円から増加しています。この手元資金の厚みは、事業運営における安定性につながる要素です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 38.7億円 | 46.4億円 |
| 自己資本比率 | 50.4% | 37.6% |
| ROE(自己資本利益率) | 26.3% | 18.6% |
| 現金及び預金 | 43.0億円 | 71.1億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
日本通信のキャッシュフローを見ると、2026年3月期における営業活動によるキャッシュフローは13.2億円の収入となり、前連結会計年度から増加しています。これは主に税金等調整前当期純利益、減価償却費、減損損失の計上によるものです。
投資活動によるキャッシュフローは△21.6億円の支出となり、前連結会計年度から支出が増加しています。これは主に有形固定資産の取得による支出と無形固定資産の取得による支出によるものです。財務活動によるキャッシュフローは36.4億円の収入となり、前連結会計年度から収入が増加しています。これは主に社債の発行による収入によるものです。
結果として、フリーキャッシュフローは△834百万円の支出となっています。同社グループは本業で資金を創出しつつ、事業拡大のための投資を積極的に行い、その資金を社債発行による財務活動で賄っている状況です。これは、将来の成長に向けた投資を重視している姿勢を示しており、事業の成長性への期待につながります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 9.3億円 | 13.2億円 |
| 投資CF | △11.0億円 | △21.6億円 |
| 財務CF | 19.6億円 | 36.4億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △175百万円 | △834百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、モバイル通信市場における技術の進歩や制度の整備が停滞または遅延した場合、市場規模の拡大が停滞または遅延する可能性があると認識しています。
また、携帯電話事業者やMVNO、SIとの競争激化により、同社グループの競争力が低下したり、価格競争による売上高の減少が生じたりするリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、少子高齢化による生産年齢人口の減少に伴い、必要な人材を確保できない可能性があると認識しています。また、事業が少数の個人の経験、スキル、ノウハウに負うところが大きく、確保した人材を失うことで事業に悪影響が及ぶ可能性も指摘されています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
日本通信は、「安全・安心にビットを運ぶ」という使命のもと、通信サービスとデジタルトラスト事業を通じて社会の発展に貢献することを目指しています。公正な競争環境の実現を追求し、新たな価値創造に挑戦する企業文化を持っています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、電気通信事業に公正な競争を持ち込み、その健全な発展を実現するために創業しました。近年では、「安全・安心にビットを運ぶ」ことを自らの使命(ミッション)として事業を展開しています。2030年度を見据えた中長期的な経営方針として「ビジョン2030」を策定しました。このビジョンに基づき、通信サービス事業とデジタルトラスト事業の両方を成長させることを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、組織の階層を少なくし、従業員が自己の主要な業務以外に別の業務を担当できる人事制度を採用しています。これにより、社内業務の透明性が高く、各部門が閉鎖的に細分化されない就業環境が特徴です。性別、国籍、新卒・中途採用等の区別なく、能力と適性に応じた公正・適切な処遇を重視しています。従業員は幅広い経験を積むことで、より高度な判断ができる人材へと成長することが期待されています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、公正な競争環境の確保のための取り組みを重要な課題と認識しています。MVNO事業モデルの進化による安定的な収益確保も目指しており、「日本通信SIM」ブランドの競争力維持と利便性向上に努めています。中長期的成長のためには、FPoS事業とローカル携帯網による通信(ローカル4G/5G)事業に注力しています。また、これらの取り組みを担う優秀な人材の確保と育成も極めて重要な課題としています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は監査役会設置会社であり、指名委員会等設置会社やそのモデルとされた米国型のコーポレート・ガバナンス構造も取り入れ、経営監督機能を強化した体制をとっています。取締役会の過半数を社外取締役で構成することで、経営の透明性と効率性の向上に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)であり、機関投資家が上位に名を連ねています。また、MLPFS CUSTODY ACCOUNT名義の株式は、代表取締役会長である三田聖二氏が実質的に保有しており、特定の株主が経営に影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口)(注2、3) | 8.91% |
| NATIONAL FINANCIAL SERVICES LLC(注4) (常任代理人 シティバンク、エヌ・エイ東京支店) | 7.75% |
| MLPFS CUSTODY ACCOUNT(注5) (常任代理人 BOFA証券株式会社) | 7.57%
なお、前事業年度末において主要株主であった日本マスタートラスト信託銀行は、当事業年度末現在では主要株主ではなくなりました。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は12名(男性10名・女性2名)で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長兼CEOは福田尚久氏が務めています。社外取締役比率は62.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 三田 聖二 | 取締役会長 (代表取締役) | 1973年カナダ国鉄入社後、シティバンク、メリルリンチ証券を経てモトローラ、アップルコンピュータで要職を歴任。1996年同社設立、代表取締役社長に就任し、2015年より代表取締役会長を務めています。 |
| 福田 尚久 | 取締役社長兼CEO (代表取締役) | 1986年東京大学文学部卒業後、アンダーセンコンサルティング、アップルコンピュータを経て2002年同社上席執行役員に就任。2015年より代表取締役社長、2025年より代表取締役社長兼CEOを務めています。 |
| 加藤 明美 | 常務取締役 (代表取締役) | 1989年東京都立大学法学部卒業後、法律事務所、司法書士事務所を経て1996年同社入社。法務・IR部門の要職を歴任し、2025年より代表取締役常務を務めています。 |
社外取締役は、寺本振透氏(九州大学大学院法学研究院 教授)、山田喜彦氏(元パナソニックホールディングス 代表取締役副社長)、森葉子氏(銀座三丁目法律事務所開設)、田中仁氏(ジンズホールディングス 代表取締役会長CEO)、團宏明氏(通信文化協会 会長)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会の過半数を社外取締役が占める体制をとっています。また、監査役は全員が社外監査役であり、経営の監督機能の強化を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の業務執行取締役の報酬は、金銭報酬(給与)、業績連動型報酬、社宅、譲渡制限付株式で構成されています。社外取締役の報酬は、金銭報酬(給与)、社宅、譲渡制限付株式で構成され、監査役の報酬は金銭報酬(給与)とストックオプションで構成されています。業績連動型報酬の指標は、連結売上高の成長率および連結営業利益の成長率に応じて設定されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 7.8億円 | 2.61億円 |
| 社外取締役 | 6名 | 56百万円 | 9.4百万円 |
| 監査役 | 5名 | 52百万円 | 10.3百万円 |
当事業年度における役員報酬等の総額は8.9億円であり、対象となる役員は14名です。
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。また、総額には期中に退任した役員の報酬が含まれます。
個人別報酬が開示されている役員は、三田聖二氏(4.55億円)、福田尚久氏(2.84億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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