※本記事は、株式会社加地テック の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
加地テックは、圧縮機の製造販売を主たる事業としています。空気及びガス圧縮機等の風水力機械、産業機械、その他諸機械の製造販売、圧縮充填、機械器具設置工事、電気工事、とび・土工工事、管工事の請負等、幅広い事業を展開しています。
単体従業員数は207名です。事業セグメントは圧縮機事業の1つです。
同社の主要な国内関係会社は、株式会社三井E&S(製造業)です。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
加地テックは、産業機械の製造を主軸とする「ものづくり」企業として、専門性の高い技術とノウハウを強みとしています。社員の皆さんがどのような環境で働き、キャリアを築いているのか、給与水準や人材育成の取り組みから見ていきましょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の皆さんが長期的にキャリアを形成し、安定して働き続ける傾向が見られます。経験豊富な人材が多数在籍しており、培われた技術や知識が組織の強みとなっていることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,023,000円 |
| 平均勤続年数 | 15.34年 |
| 平均年齢 | 42.18歳 |
| 単体従業員数 | 207人 |
同社は確定給付型の退職給付制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)を採用しており、国内の同社を対象としています。退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
加地テックは、人材を重要な経営資源と位置付け、成長戦略の実現において不可欠であると考えています。一人ひとりが顧客視点を持ち、技術力の向上を図り、当事者意識と相互支援を通じて組織力を高めることが、持続的な成長を担保するとの方針です。
持続的に有能な人材を確保・採用できる処遇の実現を目指しており、従業員の給与その他の給付の額及び内容は、持続的な成長と適切な成果の配分を労使交渉に基づき決定しています。
同社は『KAJI 2030 VISION』達成に向けた人材育成を重要課題と位置付けており、人材ビジョンとして「顧客志向」「技術志向」「フォア・ザ・チーム」を掲げています。このビジョンに基づき、各階層・各職種での教育・研修を実施し、その強化を進めていくものとしています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男性労働者の育児休業取得率は100.0%です。男女の賃金の額の差異に関して、正規労働者・課長相当職での割合は100%であり、同等の職責において実質的に男女の賃金の額の差異はありません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 2.4% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 76.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 75.3% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(非正規雇用労働者) | 87.1% |
人材育成・エンゲージメント
対象は人事総務部主催研修を対象に算定されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 階層に応じた教育・研修プログラムに関する一人当たりの年間受講時間 | 7.8時間 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
加地テックは、圧縮機の製造販売を主軸とする事業を展開しています。長年にわたり培ってきた技術力とノウハウを活かし、幅広い産業分野に貢献しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
加地テックは、圧縮機の製造販売を主要な事業としています。主力製品である空気及びガス圧縮機をはじめとする風水力機械、産業機械、その他諸機械の製造販売を手掛けています。また、空気及びガスの圧縮充填や販売、機械器具設置工事、電気工事、とび・土工工事、管工事の請負工事も行っています。
同社は株式会社三井E&Sの子会社であり、親会社及びその子会社との間で製品の販売や部品の仕入れ、資金取引を行っています。これらの取引は、一般の取引先と同様の条件で公正かつ適正に決定されており、同社の事業運営に影響を与えるものではないとしています。同社の事業は、多岐にわたる機械の製造と関連工事の請負を通じて収益を得るモデルとなっています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の直近の業績は、売上高と各利益項目において増加傾向を示しています。特に、水素モビリティ関連やカーボンニュートラル関連の大口案件が複数あり、圧縮機本体の販売が堅調に推移しました。アフターサービス事業の販売も好調に推移し、業績に貢献しています。
売上高の増加に加え、原価低減への取り組みも進められたことで、売上総利益も増加しました。一方で、人件費の増加等により販売費及び一般管理費は増加しましたが、売上総利益の増加がこれを上回り、営業利益、経常利益、当期純利益ともに増加となりました。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社の従業員数は207名です。生産性に関する具体的な数値は開示されていませんが、同社は圧縮機事業を主軸とし、堅調な業績を維持しています。このような事業構造は、組織全体の効率的な運営と持続的な成長への取り組みを示唆しています。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
加地テックは、安定した財務基盤を築き、本業で着実に資金を生み出しています。事業活動で得た資金を将来への投資に充てながらも、手元資金を確保している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の自己資本比率は68.9%となっており、プライム市場の製造業平均(46.8%)と比較して高い水準を示しています。手元資金である現金及び預金等は2,071百万円に増加しており、財務の安定性がうかがえます。これらの状況は、事業運営における安定性につながるものと考えられます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | - | 68.9% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び預金等 | 1,673百万円 | 2,071百万円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益の計上や減価償却費の計上、棚卸資産の減少などにより、当期は10.3億円の増加となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の増加額や有形固定資産の取得による支出などにより、当期は△4.8億円の減少となっています。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済や配当金の支払いにより、当期は△1.5億円の減少を示しています。
これらの結果、事業活動で得た資金が投資活動による支出を上回るフリーキャッシュ・フローは、当期5.5億円のプラスとなりました。本業で安定的に資金を生み出し、将来に向けた投資も行いつつ、手元資金を確保している状況は、事業の持続的な成長と安定した雇用環境を支える基盤となっています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 5.4億円 | 10.3億円 |
| 投資CF | △2.5億円 | △4.8億円 |
| 財務CF | △1.5億円 | △1.5億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 3.0億円 | 5.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、主に製造販売する特殊高圧圧縮機及びサービスの販売動向が、顧客となる企業の設備投資状況に影響を受けるリスクを認識しています。また、製品によっては他社との競合により受注価格の下落を招き、経営成績等に影響を及ぼす可能性も示されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、高度な技術開発力や精緻な技術力に支えられた製品を製作しており、これら技術に立脚した事業を維持するために必要な人材の採用・育成が課題となっています。専門的技術・知識・資格を持つ人材の採用・育成が計画通りに進まない場合、競争力が低下し経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
加地テックは、超高圧技術を核に、カーボンニュートラル社会の実現に貢献する「モノづくり」と「ソリューションサービス」を目指す企業です。技術革新とグローバル展開を通じて、持続的な成長と社会貢献を追求する姿勢が特徴です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は、技術に立脚し、社会が求める優れた商品とサービスを提供することで、全てのステークホルダーの繁栄と経済・社会の発展に貢献することを経営の基本方針としています。また、常に技術の研究開発に努め、グローバル化に対応した国際競争力のある企業体質を涵養し、世界の企業として発展することを目指しています。
2030年に向けた長期経営計画「KAJI 2030VISION」では、「超高圧技術でカーボンニュートラル社会の実現に貢献する『モノづくり』&『ソリューションサービス』企業」を2030年のありたい姿として掲げています。このビジョンに基づき、超高圧技術を活用した製品開発やアフターサービスの拡大、海外市場での存在感向上を基本方針としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は、企業理念実現のための人材ビジョンとして、三つの要素を掲げています。一つ目は「顧客志向」であり、顧客の視点で考え、自らタイムリーに行動できる人材を求めています。二つ目は「技術志向」で、技術革新に向け常に技術力向上に努める人材を重視しています。
三つ目は「フォア・ザ・チーム」として、組織目標達成に向け当事者意識を持って相互支援ができる人材を大切にしています。同社は、一人ひとりが顧客視点を持ち、技術力を向上させ、組織の力を高めることが持続的な成長を担保すると考え、人材と組織の成長を経営上の重要な戦略と位置付けています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、新中期経営計画「26中計」において、三つの「化」(トランスフォーメーション)を重点テーマとして掲げています。その一つである「稼ぐ力の“最大化”」では、品質プロセス改革やコスト力強化を通じて、顧客視点での品質問題の最小化と生産におけるコスト最適化に取り組んでいます。
また、「圧縮機事業の“次世代化”」では、水素領域のブランド化や高効率化開発の推進、カーボンニュートラル関連市場を中心とした新市場開発を進めています。さらに、「経営基盤の“進化”」として、DXによる生産性革新、組織に“ゆらぎ”を与え人的資本投資を強化する組織風土改革、そして資本効率経営の推進を通じて、社会から継続的に評価される企業を目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は監査役会設置会社として、取締役会と監査役会を企業統治の根幹としています。経営の監視・監督機能の強化のため、社外取締役を主要な構成員とする人事・報酬委員会を設置し、執行役員制度を導入しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の筆頭株主は事業会社である三井E&Sです。同社の資本構成は、特定の事業会社によって支えられている特徴があります。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 三井E&S | 51.06% |
| 加地取引先持株会 | 2.18% |
| 早川 直希 | 0.91% |
| 桜井 昭一 | 0.86% |
| 東京短資 | 0.79% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は松岡克憲氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 松岡 克憲 | 代表取締役社長 | 2006年三井造船(現三井E&S)入社後、企画管理部企画グループ長、戦略企画室長、執行役員戦略企画室長などを歴任。2021年同社取締役執行役員、2022年同社CCO取締役執行役員に就任。2023年6月より同社代表取締役社長 最高経営責任者(CEO)兼人事・報酬委員会副委員長より現職。 |
| 塩口 修治 | 取締役 | 2002年三井造船(現三井E&S)入社後、経営企画部主管、財務経理部主管などを務める。2023年同社へ出向し執行役員経営企画室・財務経理部担当に就任。2025年4月より取締役執行役員経営企画室・財務経理部担当兼経営企画室長より現職。 |
| 田邉 雄三 | 取締役 | 1994年同社入社後、技術部、生産管理部資材課長、生産管理部長などを歴任。2020年執行役員生産部・生産管理部担当兼生産部長に就任。2025年6月より取締役執行役員アフターサービス部担当兼アフターサービス部長兼人事・報酬委員会委員より現職。 |
| 桑田 和正 | 取締役 | 1993年三井造船(現三井E&S)入社後、エネルギープラント事業部設計部、三造テクノサービスへ出向。三井E&Sマシナリー(現三井E&S)テクノサービス事業部プラント機械サービス部長兼営業グループ長などを歴任。2025年6月より同社取締役(非常勤)より現職。 |
社外取締役は、中塚秀聡氏(中塚秀聡税理士事務所代表者・人事・報酬委員会委員)、寺本真裕美氏(寺本社会保険労務士事務所代表者・人事・報酬委員会委員)です。
同社は監査役会設置会社を採用しています。社外取締役は、豊富な経験や見識、高度な専門性を活かし、客観的な意見や助言を経営に反映させる役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社は、役員の報酬を役割と責務に即した水準とし、業績と企業価値の向上への動機付けとなる業績連動型を採用しています。上位の役位ほど業績連動のウェイトが高まる構成です。監査役の報酬は、取締役から独立した立場での監査という役割に鑑み、業績連動型を採用せず固定報酬としています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 72百万円 | 18.0百万円 |
| 社外取締役 | 3名 | 6百万円 | 2.0百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 12百万円 | 12.0百万円 |
| 社外監査役 | 4名 | 5百万円 | 1.2百万円 |
役員報酬の総額は95百万円であり、報酬対象となった役員の合計人数は12名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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