※本記事は、明治機械株式会社 の有価証券報告書(第150期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 明治機械ってどんな会社?
1899年創業の老舗産業機械メーカーです。製粉・飼料プラントの製造・施工を主力とし、日本の食と農を支えています。
■(1) 会社概要
同社は1899年、山越秀太郎氏により山越工場として創立され、1905年には日本初の国産ロール式製粉プラントを製作納入しました。1949年の東証再開時に株式を上場し、2022年の市場区分見直しに伴い東証スタンダード市場へ移行しました。2024年には株式会社デジサイン等を子会社化し、デジタル分野への展開も進めています。
現在の従業員数は連結218名、単体160名です。大株主構成を見ると、筆頭株主は同社と資本業務提携を結んでいるAbalanceで、3割超の株式を保有しています。次いで法人株主のアンプロモーシヨン、個人株主が続きます。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| Abalance | 36.83% |
| アンプロモーシヨン | 6.05% |
| 黒岩 初美 | 3.73% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は29.0%です。代表取締役社長は日根年治氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 日根 年治 | 代表取締役社長 | 2000年同社入社。営業部長、経営企画部長などを経て、2019年常務取締役産業機械事業本部管掌。2021年6月より現職。 |
| 藤澤 元晴 | 常務取締役 | 東京相和銀行(現東京スター銀行)出身。シティファイナンシャルジャパン本部長などを経て、Abalance常務執行役員などを歴任。2022年7月より現職。 |
| 阿部 文則 | 取締役エンジニアリング部長開発部長 | 1990年同社入社。プラント機工部長、プラント部長、設計部長などを経て、2024年4月上席執行役員。2024年6月より現職。 |
| 小澤 淳一 | 取締役足利事業所長総務部長財務経理部長 | 1989年同社入社。生産管理部長、営業部長、産業事業部長などを経て、2025年4月上席執行役員。2025年6月より現職。 |
社外取締役は、六川浩明(弁護士・内幸町国際総合法律事務所代表パートナー)、日下部笑美子(株式会社オープンシティ研究所共同代表)、小山貴子(社会保険労務士・株式会社フォーアンド代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「産業機械関連事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
■(1) プラント・産業機械事業
製粉工場や飼料工場の新設・増設・改修工事などのプラント建設請負、および製粉製造設備(ロール機、石臼等)や配合飼料製造設備(ハンマーミル、ペレット製造装置等)の製造販売を行っています。主な顧客は飼料、製粉、食品・飲料メーカーで、日本の「食」のインフラを支える事業です。
収益は、顧客からの工事請負代金や機械設備の販売代金によって構成されています。運営は主に明治機械が担い、連結子会社の明治機械(徳州)有限公司が製粉用ロールの製造販売を、柳原製粉機が製粉機械等の製造販売を行っています。
■(2) その他周辺事業
環境資材(GAINA、光触媒)の施工・販売や、バイオマス発電等のバルクハンドリングエンジニアリングの設計・施工、海外でのプラント建設などを展開しています。
これらの事業においても、製品販売や工事施工による対価を収益源としています。同社およびグループ会社が連携して運営を行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は変動がありつつも直近では回復傾向にあります。利益面では、経常利益が黒字で推移していますが、当期純利益は特別損失の計上などにより変動が見られます。直近の2025年3月期は増収となり、経常利益も増加しましたが、最終利益は減少しました。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 129億円 | 76億円 | 63億円 | 49億円 | 65億円 |
| 経常利益 | -6億円 | 0.9億円 | 2億円 | 3億円 | 3億円 |
| 利益率(%) | -4.4% | 1.2% | 3.7% | 5.4% | 4.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -11億円 | -1億円 | 18億円 | 3億円 | 1億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期の49億円から65億円へと大幅に増加しました。売上総利益も増加しましたが、原価率の上昇等により売上総利益率は若干低下しています。販売管理費の増加を吸収し、営業利益は増益となりました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 49億円 | 65億円 |
| 売上総利益 | 14億円 | 15億円 |
| 売上総利益率(%) | 28.7% | 23.3% |
| 営業利益 | 2億円 | 3億円 |
| 営業利益率(%) | 5.1% | 4.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が5億円(構成比39%)、役員報酬等の人件費関連が大きな割合を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は単一セグメントですが、大型案件の完工や提案型営業の奏功、各種機械製品の受注強化などにより、全社的に売上高が伸長しました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 産業機械関連事業 | 49億円 | 65億円 |
| 連結(合計) | 49億円 | 65億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、運転資金及び投資等の資金需要に対し、自己資金を充当することを基本方針としています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の減少や仕入債務の増加があったものの、売上債権の増加や前受金の減少等により、支出となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得や関係会社貸付金の増加、子会社株式の取得等により、支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の借入による収入があったものの、短期借入金の減少や長期借入金の返済、自己株式の取得等により、収入となりました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 10億円 | -4億円 |
| 投資CF | -5億円 | -8億円 |
| 財務CF | -3億円 | 2億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
お客様に信頼され満足される商品・サービスを提供する「CS経営」を重視しつつ、環境や資源に配慮し社会貢献とガバナンス強化を図る「ESG経営」にも取り組むことを企業理念としています。技術を通じて日本の「食」「農」を支え、人々の食生活の安定と可能性を追求し続けることを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は「自律」「信頼」「共創」を人材戦略の基本方針として掲げています。業務に真摯に向き合い自ら問題解決を行う姿勢、互いを認め合い誠実に対応する信頼関係、そして自由闊達な対話を通じて未来を共に創る文化を重視しています。また、SDGs推進委員会を通じて全従業員へのESG・SDGsの浸透を図っています。
■(3) 経営計画・目標
創業130年超えとなる2030年に向けて、伝統を大切にしつつ変革へチャレンジすることを掲げています。具体的な数値目標としてのKPI等は有価証券報告書内には記載されていませんが、中長期的な企業価値向上を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
収益基盤の確立・向上、成長事業領域の探求、財務体質の強化、働きがいのある企業への変容、SDGs・ESGへの取り組みを戦略として掲げています。具体的には、強みへの磨き込みによる競争優位性の確立、顧客ポートフォリオの分散、Abalanceグループとの連携、新製品・新分野の研究開発、企業風土や人事制度の改革等に取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「働きがいのある企業への変容」を経営戦略の一つに掲げ、企業風土変革や人事制度改革による納得感のある体制構築を目指しています。また、エンジニアリング人材の厚み確保や技術伝承の仕組み整備、個々の能力を引き出し価値創造につなげる仕組み作りを重点施策としています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 45.1歳 | 12.7年 | 5,392,000円 |
※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 8.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | -% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 93.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) | 85.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(非正規) | -% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 顧客の設備投資動向
主力事業であるプラント工事請負や産業機械製造販売は、主要顧客である飼料・製粉業界の設備投資動向に大きく依存しています。顧客の設備投資が減少した場合、同社グループの受注高や売上高が減少し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 競争激化による影響
競合他社が競争力のある価格設定や高付加価値の新製品・サービスを提供した場合、同社グループの競争力が相対的に低下する可能性があります。これにより市場シェアや収益性が損なわれ、業績に悪影響を与えるリスクがあります。
■(3) 原材料価格の高騰とサプライチェーン
請負・受注契約締結後に鋼材価格や原材料費等が予算を超えて上昇し、価格転嫁が困難な場合、利益を圧迫する可能性があります。また、サプライチェーンの混乱により原材料調達が困難になった場合も、業績に影響を与える可能性があります。
■(4) 海外展開のリスク
中国に製造拠点を有しており、海外への輸出強化も想定されています。海外の政治・経済情勢の変化、為替変動、法的規制の変更、テロや紛争、労務費の上昇などが生じた場合、海外事業の運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。



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