※本記事は、株式会社東京機械製作所 の有価証券報告書(第168期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年06月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 東京機械製作所ってどんな会社?
新聞用輪転機で国内トップクラスの歴史を持つメーカーです。現在はFA事業や部品加工など新規事業も展開しています。
■(1) 会社概要
1888年に創立された農機具工場を起源とし、1906年に国産初の新聞輪転印刷機を完成させました。1949年に東京証券取引所へ上場し、長年にわたり新聞製作を支える技術を提供しています。2011年には千葉県木更津市にかずさテクノセンターを稼働させ生産拠点を集約、2024年には子会社の東機システムサービスを吸収合併しました。
連結従業員数は286名、単体では216名です。筆頭株主は主要顧客でもある読売新聞東京本社で、発行済株式の27.02%を保有しています。第2位株主は個人投資家の大田昭彦氏、第3位は損害保険ジャパンです。安定した株主構成のもと、新聞社との強固な関係を維持しています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 読売新聞東京本社 | 27.02% |
| 大田 昭彦 | 9.75% |
| 損害保険ジャパン | 6.19% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.0%です。代表取締役社長執行役員は都並清史氏が務めています。社外取締役は3名選任されており、取締役会における比率は約43%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 都並 清史 | 代表取締役社長執行役員営業担当 | 1982年入社。国内事業部長、KKS代表取締役等を経て2021年より現職。 |
| 中野 実 | 取締役常務執行役員管理本部長兼社長室長 | 元損害保険ジャパン東京業務部担当部長。2016年入社、総務部長等を経て2025年より現職。 |
| 米本 裕至 | 取締役常務執行役員FA本部長兼経営戦略室長 | 元損害保険ジャパン品質コンプライアンス部特命部長。2020年入社、営業本部長等を経て2025年より現職。 |
社外取締役は、竹田いさか(弁護士)、戸山幹夫(元ニホンフラッシュ東京支店営業推進部長)、大山敬三(元損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険常勤監査役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「印刷機械関連」および「その他」事業を展開しています。
■印刷機械関連事業
新聞用輪転機をはじめとする印刷機械の製造販売および保守サービスを主力としています。主な顧客は国内外の新聞社や印刷会社であり、新聞製作現場のニーズに応じた製品を提供しています。また、子会社のKKSでは、新聞発送システムなどの印刷機械周辺装置の製造販売を行っています。
収益は、新聞社等への機器販売代金および保守・メンテナンス料などから得ています。近年は新規事業として、工場や倉庫向けのAGV(無人搬送車)などのFA事業や、部品加工を行う加工組立事業にも注力しています。運営は主に東京機械製作所と、子会社のKKSが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は変動しており、当期は前期比で減少しました。利益面では、経常利益は安定して黒字を維持しており、当期は増益となりました。当期利益も黒字を確保しており、回復傾向にあります。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 109億円 | 69億円 | 88億円 | 93億円 | 74億円 |
| 経常利益 | 4.0億円 | -3.8億円 | 8.2億円 | 6.5億円 | 7.5億円 |
| 利益率(%) | 3.6% | -5.6% | 9.4% | 7.0% | 10.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2.5億円 | -9.3億円 | 1.6億円 | 3.0億円 | 14億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は減少しましたが、売上総利益率は改善しています。営業利益および営業利益率は上昇傾向にあり、収益性が向上しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 93億円 | 74億円 |
| 売上総利益 | 19億円 | 19億円 |
| 売上総利益率(%) | 19.9% | 25.5% |
| 営業利益 | 6.1億円 | 6.4億円 |
| 営業利益率(%) | 6.6% | 8.7% |
販売費及び一般管理費のうち、事務員給与手当及び賞与が4.8億円(構成比38.6%)、役員報酬が1.4億円(同11.1%)を占めています。売上原価では、材料費や外注加工費などが主な構成要素となっています。
■(3) セグメント収益
同社は印刷機械関連事業の単一セグメントであるため、全社的な業績変動がそのままセグメント業績に反映されます。当期は輪転機の売上が減少しましたが、保守サービスや子会社の利益貢献により、利益面では底堅く推移しました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 印刷機械関連 | 93億円 | 74億円 |
| 連結(合計) | 93億円 | 74億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
東京機械製作所の当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動で資金を使用し、投資活動および財務活動でも資金が流出しました。営業活動では、契約負債の増加が資金増加に寄与したものの、仕入債務の減少が主な資金流出要因となりました。投資活動では、有形・無形固定資産の取得による支出が資金流出を招きました。財務活動では、リース債務の返済が資金流出の主な要因となりました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 23億円 | -9億円 |
| 投資CF | -0.2億円 | -0.7億円 |
| 財務CF | -0.1億円 | -0.1億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「顧客の課題に向き合い、柔軟なカスタマイズ力により新たな価値を創造し、課題解決をサポートする」ことを目指す姿として掲げています。創業以来の伝統である「真の物づくり」を通じて、長期的に公共社会へ貢献することを基本方針としています。
■(2) 企業文化
新聞社との親密感だけでなく、顧客満足を追求して対価を得る経営を重視しています。また、自社の強みを再定義し、不足する力は外部に求める柔軟な姿勢や、グループ内各社が対等な関係でシナジーを創出することを推奨しています。痛みの伴う構造改革を断行し、収益体質を構築する姿勢を持っています。
■(3) 経営計画・目標
中期経営計画において、2027年3月期に向けた以下の経営目標数値を掲げています。
* 売上高:100億円
* 営業利益:7億円~8億円
* ROE:6~8%
■(4) 成長戦略と重点施策
「輪転機事業」「新規事業」「ICTプラットフォーム事業」の3区分で事業を再構築し、複線化を進めています。輪転機事業では次世代機「COLOR TOP ECOWIDE Ⅲ」の拡販を進め、新規事業ではFA事業(AGV開発等)や加工組立事業を拡大させています。財務面では、支払い条件を重視した受注判断やグループCMSの導入検討により、効率的な財務戦略を推進しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
持続的な事業運営と成長を実現するため、従業員への支援体制の整備・拡充に力を入れています。人材育成においては、OJTによる実務経験を中心に、外部セミナーの受講や資格取得支援などを通じて、一人ひとりがスキル向上を図ることを方針としています。また、女性が働きやすい環境整備や、製品開発表彰制度などによるモチベーション向上にも取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 46.1歳 | 23.2年 | 6,625,167円 |
※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含んでいます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | - |
| 労働者の男女の賃金の差異 | - |
※男性労働者の育児休業取得率は該当者がいなかったためデータがありません。労働者の男女の賃金の差異については、同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 新聞輪転機市場の縮小
インターネットの普及に伴い、新聞購読者数や広告収入が減少しており、新聞社の設備投資意欲が低下しています。これにより、同社グループの主力である新聞用オフセット輪転機の市場が縮小傾向にあり、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 売上構成の偏り
売上高は国内外の新聞社を中心とした受注生産により構成されています。個々の契約金額が大きく、顧客の設備投資決定や納期のタイミングによって、年度ごとの売上高が大きく変動する可能性があります。これにより、財政状態や業績に影響を与えるリスクがあります。
■(3) 新規事業の不確実性
FA事業などの新規事業に注力していますが、これらの市場は発展途上で競合も多く存在します。技術革新に対応するための研究開発投資が不可欠であり、競争激化や開発の遅れなどが生じた場合、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。



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