木村化工機 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

木村化工機 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場し、化学プラント等のエンジニアリング事業、化工機事業、エネルギー・環境事業を展開しています。2025年3月期の業績は、売上高264億円(前期比7.1%増)、経常利益31億円(同40.0%増)と増収増益を達成しました。


#木村化工機転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、木村化工機株式会社 の有価証券報告書(第78期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 木村化工機ってどんな会社?


化学機械装置や原子力関連機器の設計・製作・工事を一貫して手掛ける総合エンジニアリング企業です。

(1) 会社概要


同社は1924年11月に木村鉛工所として創業し、鉛工事の請負および硬鉛製機器の製造を開始しました。1961年に大阪証券取引所市場第二部へ上場し、1971年には東京証券取引所市場第一部へ上場を果たしました。2022年4月の市場区分見直しに伴い、現在はスタンダード市場に移行しています。2024年1月には創業100周年を迎えました。

現在の従業員数は連結411名、単体403名です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位も同様に信託銀行です。第3位には同社の関連グループ持株会が入っており、従業員持株会や取引先企業、創業家出身者も大株主として名を連ねています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.67%
日本カストディ銀行(信託口) 6.20%
木村化工機関連グループ持株会 5.52%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性0名の計11名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役取締役会長兼取締役社長は小林康眞氏です。社外取締役比率は18.2%です。

氏名 役職 主な経歴
小林康眞 代表取締役取締役会長兼取締役社長 1972年3月同社入社。専務取締役等を経て2007年6月社長に就任。2021年6月より現職。
佐伯博 専務取締役 1975年4月同社入社。化工機事業部長、エンジニアリング事業部管掌、調達部担当。2025年6月より現職。
井城逸雄 常務取締役 住友信託銀行(現三井住友信託銀行)出身。業務監査室、内部統制、法務室担当。2022年6月より現職。
重洋一 取締役 1986年4月同社入社。エンジニアリング事業部長兼人材開発部長。2020年6月より現職。
尾崎真司 取締役 日本通運等を経て1999年同社入社。エネルギー・環境事業部長兼同事業部営業部長。2022年6月より現職。
谷口直彦 取締役 1996年3月同社入社。製造部門長兼尼崎工場長。2023年6月より現職。
藤井克祐 取締役 尼崎経営者協会専務理事等を経て2023年同社入社。管理部門長兼総務部長。2023年6月より現職。
正木惠之 取締役 三菱化工機技術開発・生産統括本部フェロー等を経て2025年同社入社。開発部長。2025年6月より現職。
粂芳明 取締役(監査等委員)常勤 シャディを経て2007年同社入社。上席執行役員管理部門副部門長等を経て2023年6月より現職。


社外取締役は、嶋野修司(弁護士法人色川法律事務所パートナー)、濱田隆祐(濱田会計事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「エンジニアリング事業」、「化工機事業」および「エネルギー・環境事業」の3つの報告セグメントと、「その他」事業を展開しています。

(1) エンジニアリング事業


蒸発装置、蒸留装置、晶析装置、洗浄装置、攪拌機、圧力容器タンク、各種配管工事等の設計、製作、加工、販売および設置工事を行っています。主な顧客は化学、医薬、食品業界などの製造業です。

製品の販売および設置・付帯工事の対価を収益源としています。運営は主に木村化工機(同社)が行っています。

(2) 化工機事業


プラント設備・機器類の関連工事(製作、既設撤去、据付、配管、塗装、保温、試運転調整)およびメンテナンス工事等の管理、請負施工を行っています。顧客工場の安定稼働や能力増強を支援しています。

工事請負契約に基づく施工および管理の対価を顧客から受け取ります。運営は主に木村化工機(同社)が行っています。

(3) エネルギー・環境事業


核燃料輸送容器・格納装置、核燃料濃縮関連機器、放射性廃棄物処理装置、放射線遮蔽設備、実験設備等の設計、製作、加工、販売および設置工事を行っています。電力会社や研究機関等が主な顧客です。

製品販売および工事代金を収益源としています。運営は木村化工機(同社)および連結子会社のフォレコが行っています。

(4) その他


上記の報告セグメントに含まれない事業として、不動産賃貸等を行っています。

賃貸料収入等を収益源としています。運営は木村化工機(同社)が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は変動があるものの、直近では増加傾向にあります。経常利益も波がありますが、直近の2025年3月期は30億円を超え、利益率も11%台後半と高い水準を記録しました。当期利益も増益基調で推移しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 215億円 246億円 216億円 247億円 264億円
経常利益 20億円 28億円 18億円 22億円 31億円
利益率(%) 9.1% 11.3% 8.3% 8.9% 11.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 13億円 19億円 10億円 15億円 23億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益ともに大きく伸長しました。売上総利益率は22.0%に向上し、営業利益率は11.4%に達しています。収益性が改善傾向にあります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 247億円 264億円
売上総利益 46億円 58億円
売上総利益率(%) 18.8% 22.0%
営業利益 21億円 30億円
営業利益率(%) 8.5% 11.4%


販売費及び一般管理費のうち、給料が7億円(構成比24%)、その他経費が7億円(同24%)を占めています。売上原価については、206億円が計上されています。

(3) セグメント収益


全セグメントで黒字を確保しています。エンジニアリング事業は減収ながらも大幅な増益となりました。化工機事業は安定的に推移し増益。エネルギー・環境事業は売上高、利益ともに大幅に増加し、全体の業績を牽引しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
エンジニアリング事業 75億円 73億円 2億円 4億円 5.7%
化工機事業 119億円 120億円 13億円 15億円 12.7%
エネルギー・環境事業 53億円 71億円 6億円 11億円 15.1%
その他 - - - - -
調整額 - - - - -
連結(合計) 247億円 264億円 21億円 30億円 11.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

木村化工機は、営業活動によるキャッシュ・フローが大幅に増加し、資金創出力が高まりました。これは主に売上債権の減少によるものです。一方、投資活動では有形固定資産の取得支出が増加したため、資金は減少しました。また、財務活動においても長期借入れによる収入の減少などにより、資金は減少しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 10億円 26億円
投資CF -2億円 -4億円
財務CF -1億円 -6億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「努力・調和・忍耐」を社是とし、「価値ある技術・製品・サービスを提供することによって顧客のニーズと期待に応え、健全な企業活動を通じて社会の発展に貢献する。」ことを企業理念として掲げています。

(2) 企業文化


同社は「顧客第一、人間尊重、変革への挑戦、法の遵守 ~すべては、すべてのために~」を行動指針としています。また、製品の研究開発からメンテナンスに至るまでの全段階において、顧客・従業員・環境の安全性確保に最大限の努力を傾注することを製品安全に関する基本理念として活動しています。

(3) 経営計画・目標


同社は2025年度から2027年度までの第14次中期経営計画のスローガン「地球と未来を考える。一丸となって目指そう3・3・4!」のもと、最終年度となる2027年度の数値目標を掲げています。

* 売上高:300億円
* 営業利益:30億円
* 従業員:400名以上の維持および増員

(4) 成長戦略と重点施策


第14次中期経営計画の目標達成に向け、「脱炭素社会への貢献」「品質マネジメントの深化」「人的資本の強化」「強固な経営基盤の構築」を重要課題(マテリアリティ)と特定し取り組んでいます。各事業においては、プラントエンジニアリング(EMPC方式)の拡大や省エネ型装置の開発、メンテナンスエリアの確保、原子力・廃炉関連の受注注力などを推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「人的資本の強化」を経営の重要課題の一つとしており、多様な人材確保のためのキャリア採用強化や、社員の自主・自律的な成長を促す人事制度改革に取り組んでいます。男性の育児休業取得推奨や復職環境の整備など、働き甲斐のある職場づくりを通じて、全社員が活躍できる環境整備を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 45.9歳 17.1年 7,961,836円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.5%
男性育児休業取得率 33.3%
男女賃金差異(全労働者) 72.8%
男女賃金差異(正規雇用) 77.3%
男女賃金差異(非正規) 56.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、時間外平均労働時間(17.4時間/月)、入社3年後定着率(83.0%)、平均有休消化率(73.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 市場環境リスク


主要な受注先である化学・繊維・医療・食品関連業界等の経済情勢や国内の設備投資動向の影響を受けます。特に設備投資計画の延期や中止は、同社グループの経営成績および財務状況に影響を与える可能性があります。

(2) 主要事業に関するリスク


プラントエンジニアリング事業では、案件が大規模かつ長期間に及ぶ場合があり、工期遅延や労働者確保の困難、コスト増加、技術的問題等のリスクがあります。また、エネルギー・環境事業(原子力分野)は国の政策や世論の影響を受けやすく、国策変更等により業績が影響を受ける可能性があります。

(3) 品質保証及び製造物賠償責任に関するもの


品質管理体制を整備していますが、予期せぬ重大な品質問題が発生する可能性はゼロではありません。万が一、重大な品質問題が発生した場合、同社グループの経営成績および財務状況に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。