※本記事は、木村化工機株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
木村化工機は、エンジニアリング、化工機、エネルギー・環境の3つの事業を展開しています。化学機械装置の設計・製作からプラント設備・機器類の関連工事、原子力関連機器の設計・製作まで多岐にわたる製品とサービスを提供しています。
単体従業員数は434名、連結従業員数は442名です。セグメントはエンジニアリング事業、化工機事業、エネルギー・環境事業の3つです。
主な国内グループ会社は、フォレコ(エネルギー・環境事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
木村化工機は、100年を超える豊富な技術と実績を基盤とし、プラントエンジニアリング事業を中心に社会の発展に貢献している企業です。同社グループは、持続的な成長のために人材育成を重視し、人事制度改革や業績連動型の報酬制度を通じて、従業員のモチベーション向上と能力開発を支援しています。安定した技術基盤のもと、長期的なキャリア形成を目指せる環境がうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均年齢が比較的高く、平均勤続年数も長いため、従業員が長期にわたって安定して働き続ける傾向が見られます。これは、培ってきた技術やノウハウが社内で着実に継承されていることを示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,563,040円 |
| 平均勤続年数 | 16.3年 |
| 平均年齢 | 45.8歳 |
| 単体従業員数 | 434人 |
| 連結従業員数 | 442人 |
| 単体のグループ内比率 | 98.2% |
同社は、従業員の退職給付に充てるため、積立型の確定給付制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)を採用しています。退職一時金制度があり、給与と勤務期間に基づいた一時金が支給されます。
当連結会計年度末における退職給付債務は24.6億円、年金資産は24.4億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、第14次中期経営計画において「地球と未来を考える。一丸となって目指そう3・3・4!」をスローガンに掲げ、業績目標達成には従業員数の増加が不可欠であるとの認識のもと、人材戦略を推進しています。人材戦略は「従業員数の確保」と「従業員の育成」の二つの柱で構成されています。
従業員の確保に向けては、初任給を含む処遇改定、採用に特化した専門部署の新設、新卒採用に関する代行会社との委託契約を実施しています。従業員の育成においては、製造業および建設業で必要とされる有資格者の増加を目指し、資格取得および維持の推奨・義務化、OJTや外部研修を通じた人材育成を行っています。
報酬制度については、2014年に業績連動型冬夏年間賞与支給ガイドラインを制定し、業績に応じて年間の賞与支給月数を決定しています。また、2021年からは業績連動型定期昇給制度を導入し、賞与と同様に業績(利益)に応じて定期昇給額が増減する仕組みとしています。これにより、従業員のモチベーション向上と業績拡大に繋がっています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。各数値は、女性活躍推進法および育児介護休業法に基づき算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 4.6% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 75.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 72.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 80.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 50.5% |
健康・安全
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 時間外平均労働時間 | 16.8時間/月 |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 入社3年後定着率 | 87.5% |
| 平均有休消化率 | 73.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
木村化工機は、エンジニアリング、化工機、エネルギー・環境の3つの事業を展開し、多岐にわたる製品とサービスを提供しています。同社グループは、プラント設備や関連機器の設計、製作、据付、メンテナンスを一貫して手掛けています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
木村化工機グループは、エンジニアリング事業、化工機事業、エネルギー・環境事業の3つの事業を主軸としています。これらの事業を通じて、化学機械装置やプラント設備、原子力関連機器などの設計、製作、加工、販売、設置、付帯工事、メンテナンスを行っています。同社グループの収益は、主に顧客との契約に基づく工事や製品の販売から得ています。特に、工事契約においては、工事の進捗度に応じて収益を認識するモデルを採用しています。
エンジニアリング事業
当部門では、蒸発装置、蒸留装置、晶析装置、洗浄装置、攪拌機、圧力容器タンク、ステンレス・鉄・樹脂の配管工事などの設計、製作、加工、販売、設置、付帯工事を行っています。収益は、これらの化学機械装置の設計・製作・据付工事から得ています。
化工機事業
当部門では、プラント設備・機器類の関連工事(製作、既設撤去、据付、配管、塗装、保温、試運転調整)およびメンテナンス工事などの管理、請負施工を行っています。収益は、化学機械装置の現地工事やメンテナンス業務から得ています。
エネルギー・環境事業
当部門では、核燃料輸送容器および格納装置、核燃料濃縮関連機器、放射性廃棄物処理装置、放射線遮蔽設備、実験設備などの設計、製作、加工、販売、設置、付帯工事を行っています。収益は、原子力を含むエネルギー・環境関連機器の設計・製作・据付工事から得ています。
同社グループの売上高は、本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えており、国内市場が主要な収益源となっています。特定の顧客への収益集中も見られ、当連結会計年度では住友金属鉱山株式会社と富士電機株式会社が主要な顧客となっています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 化工機事業 | 120億円 | 124億円 |
| エネルギー・環境事業 | 71.2億円 | 84.0億円 |
| エンジニアリング事業 | 72.8億円 | 72.0億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は増加傾向にあります。経常利益も概ね増加傾向を示しており、親会社株主に帰属する当期純利益も同様の傾向が見られます。直近の当連結会計年度では、売上高は増加しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は減少となりました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 246億円 | 216億円 | 247億円 | 264億円 | 280億円 |
| 経常利益 | 27.7億円 | 18.0億円 | 22.0億円 | 30.8億円 | 31.0億円 |
| 経常利益率 | 11.3% | 8.3% | 8.9% | 11.7% | 11.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 19.7億円 | 10.0億円 | 15.5億円 | 23.1億円 | 22.6億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 99.43 | 50.75 | 78.47 | 116.61 | 115.10 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期からわずかに減少しています。一方、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期から減少しています。これらの指標は、同社グループ全体の生産性の傾向を示しており、組織の効率性や収益体質を測る上で参考となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 64.3百万円 | 63.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 7.3百万円 | 6.8百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
木村化工機グループの財務状況は、事業活動で安定した資金を生み出し、投資活動も行いながら、手元に資金を残している状況です。これにより、堅実な経営基盤を維持していることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率が前期から上昇し、61.0%となっています。これはプライム市場上場企業の製造業平均と比較して高い水準を示しており、安定した財務体質であると言えます。ROE(自己資本利益率)は前期からやや低下しましたが、プライム市場平均を上回る水準を維持しています。手元資金である現金及び預金も92.9億円と潤沢に確保されており、事業運営における資金の安定性がうかがえます。これらの財務指標は、同社グループが堅実な経営を行っており、長期的な視点での雇用や給与の安定性につながる要素であると考えられます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 191億円 | 206億円 |
| 自己資本比率 | 56.4% | 61.0% |
| ROE(自己資本利益率) | 12.6% | 11.4% |
| 現金及び預金 | 98.9億円 | 92.9億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは25.3億円のプラスとなっています。これは前期に比べてわずかに減少しましたが、前受金の増減額の減少が主な要因です。投資活動によるキャッシュフローは19.7億円のマイナスとなり、前期に比べて流出が増加しています。これは主に有形固定資産の取得や定期預金の預入による支出が増えたためであり、事業への投資を積極的に行っている状況がうかがえます。財務活動によるキャッシュフローは11.6億円のマイナスで、自己株式の取得による支出の増加が主な要因です。結果として、自由に使える資金を示すフリーキャッシュフローは5.7億円のプラスとなっており、本業で稼いだ資金を投資に回しつつも、余剰資金を生み出している状況です。この資金の流れは、同社グループが事業の成長に向けた投資を行いながらも、安定した資金繰りを維持していることを示しており、長期的な事業の安定性や成長性が期待できると言えます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 25.8億円 | 25.3億円 |
| 投資CF | △4.3億円 | △19.7億円 |
| 財務CF | △6.1億円 | △11.6億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 21.5億円 | 5.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、主要な受注先である化学・繊維・医療・食品関連等の業界の経済情勢の変動が業績に影響を及ぼす可能性を認識しています。特に国内の設備投資動向に左右され、設備投資計画の延期や中止が経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また、エネルギー・環境事業における原子力分野は、国家の政策による影響が大きく、事故の発生や世論の変化による国策の変更が経営成績及び財務状況に大幅な影響を与えるリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、技術者等の専門人材の確保と育成を重要な課題と認識しています。有為な人材の確保・育成に努めていますが、専門人材が不足した場合、事業の縮小や継続に支障が生じ、経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
木村化工機グループは、長年にわたり培ってきた技術力と顧客志向を基盤に、社会貢献を目指す企業です。ここでは、同社グループが大切にする価値観や、目指す組織像についてご紹介します。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
木村化工機グループは、「努力・調和・忍耐」を社是とし、「価値ある技術・製品・サービスを提供することによって顧客の期待とニーズに応え、健全な企業活動を通じて社会の発展に貢献する。」ことを企業理念としています。
同社グループは、2025年度から2027年度までの第14次中期経営計画において、「地球と未来を考える。一丸となって目指そう3・3・4!」をスローガンに掲げています。
将来的な脱炭素社会の実現に向け、「脱炭素社会への貢献」「品質マネジメントの深化」「人的資本の強化」「強固な経営基盤の構築」を重要課題(マテリアリティ)として特定し、これらの達成を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
木村化工機グループは、「顧客第一、人間尊重、変革への挑戦、法の遵守 ~すべては、すべてのために~」を行動指針としています。
製品安全に関する基本理念として、事業活動のあらゆる段階で顧客、従業員、環境の安全確保に最大限の努力を傾注しています。
また、2024年5月に定めた「木村化工機サステナビリティ基本方針」では、企業理念に基づき高品質な製品・サービスを提供し、顧客企業の「持続可能なものづくり」に貢献することを掲げています。
「当社グループコンプライアンス・マニュアル」に基づく人権尊重や環境保全の意識徹底、コンプライアンス委員会による企業風土の醸成を推進し、サステナビリティ経営の基盤強化に努めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
木村化工機グループは、第14次中期経営計画のスローガン「地球と未来を考える。一丸となって目指そう3・3・4!」のもと、従業員400名以上の維持及び増員に取り組んでいます。
将来的な脱炭素社会に向けて特定した重要課題(マテリアリティ)である「脱炭素社会への貢献」「品質マネジメントの深化」「人的資本の強化」「強固な経営基盤の構築」を重点テーマとしています。
具体的には、化工機事業において技術力や工事遂行能力の向上、協力会社との良好な関係構築、動員力の強化、有為な人材の確保と後継者の育成に努めています。
また、脱炭素・循環型社会の実現に向けた省エネ型装置の開発・改良にも積極的に取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
木村化工機は監査等委員会設置会社であり、社外取締役を含む取締役会が経営の意思決定と監督を担っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
木村化工機の株主構成を見ると、信託銀行が上位を占めており、安定的な資本基盤を形成しています。また、関連グループ持株会や従業員持株会、事業会社、個人株主も上位に名を連ねており、幅広い層に支えられていることが特徴です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本カストディ銀行(信託口) | 6.97% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 6.22% |
| 木村化工機関連グループ持株会 | 5.77% |
| 奥村組 | 4.70% |
| キムラ従業員持株会 | 4.68% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性11名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役取締役会長兼取締役社長は小林康眞氏が務めています。社外取締役比率は18.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 小林 康眞 | 代表取締役取締役会長兼取締役社長 | 1972年3月同社入社、2000年6月同社取締役、2007年6月同社代表取締役取締役社長、2021年6月同社代表取締役取締役会長兼取締役社長より現職。 |
| 佐伯 博 | 専務取締役化工機事業部長、エンジニアリング事業部管掌、調達部担当 | 1975年4月同社入社、2016年6月同社取締役、2021年6月同社常務取締役、2025年6月同社専務取締役より現職。 |
| 重 洋一 | 取締役エンジニアリング事業部長兼人材開発部長 | 1986年4月同社入社、2018年6月同社執行役員エンジニアリング事業部営業部長、2020年6月同社取締役より現職。 |
| 尾崎 真司 | 取締役エネルギー・環境事業部長兼同事業部営業部長、東京支店担当、品質保証部担当 | 1999年10月同社入社、2022年4月同社執行役員エネルギー・環境事業部営業部長、2022年6月同社取締役より現職。 |
| 谷口 直彦 | 取締役製造部門長兼尼崎工場長 | 1996年3月同社入社、2022年6月同社執行役員製造部門尼崎工場長、2023年6月同社取締役より現職。 |
| 藤井 克祐 | 取締役管理部門長兼総務部長、企画室担当、秘書室担当 | 2008年5月尼崎経営者協会専務理事、2023年6月同社入社、同社取締役より現職。 |
| 正木 惠之 | 取締役開発部長、情報システム部担当 | 1992年11月三菱化工機株式会社入社、2022年4月同社執行役員企画・管理統括本部長、2025年4月同社入社、2025年12月同社取締役開発部長、情報システム部担当より現職。 |
社外取締役は、嶋野修司氏(弁護士法人色川法律事務所パートナー)、濱田隆祐氏(はまだ税理士法人代表社員・クレアビズコンサルティング株式会社代表取締役)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、社外取締役が独立した立場で取締役の業務執行を監督し、専門的な見地から意見を表明することでガバナンスの強化を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
木村化工機の役員報酬は、固定報酬と業績連動型の株式報酬で構成されています。株主利益と連動した報酬体系により、企業価値の持続的な向上へのインセンティブを高めることを目指しています。監査等委員である取締役および独立社外取締役には、業務執行を行わないことから固定額の基本報酬のみが支給されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 8名 | 3.6億円 | 44.9百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 18百万円 | 18.0百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 9百万円 | 3.0百万円 |
取締役の報酬等の総額には、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれていません。
個人別報酬が開示されている役員は、小林康眞氏(1.05億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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