※本記事は、オリエンタルチエン工業株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
オリエンタルチエン工業は、チェーン関連製品や金属射出成形関連部品の製造販売を主軸とする事業活動を展開しています。伝動用・コンベヤチェーンやスプロケット類、搬送装置などを手掛けるほか、金属粉末射出成形法による金属部品の製造販売も行っています。
単体従業員数は190名、連結従業員数は205名です。同社グループの事業セグメントは、チェーン事業、金属射出成形事業、不動産賃貸事業、その他の4つです。
主な国内グループ会社は、寺田精工(チェーン事業)、オリエンタルGB(その他)などです。
オリエンタルチエン工業は、事業再編によりスプロケット事業部を廃止し、一部営業所を統廃合しました。また、連結子会社オリエンタルGBを新規設立しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
オリエンタルチエン工業は、産業を支えるチェーンメーカーとして、従業員が安心して長く働ける環境づくりに力を入れています。給与水準や人材育成、多様な働き方への支援を通じて、個々の能力を最大限に引き出し、企業全体の成長につなげることを目指しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、安定した環境でキャリアを築いている従業員が多い傾向が見られます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,921,000円 |
| 平均勤続年数 | 12.6年 |
| 平均年齢 | 43.8歳 |
| 単体従業員数 | 190人 |
| 連結従業員数 | 205人 |
| 単体のグループ内比率 | 92.7% |
同社グループは、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方の退職給付制度を採用しています。これらの制度は同社および一部の連結子会社に適用されます。
退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、退職給付債務は346百万円です。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
オリエンタルチエン工業グループは、「社会から信頼される製品、信頼される会社をつくります」という企業理念のもと、高度な専門人材の採用および育成、ならびにエンゲージメントの向上と定着を人材戦略の中核に位置付けています。経営戦略の柱である「組織力・人材力の強化」を支えるため、人的資本の価値を最大限に引き出す取り組みが不可欠であると認識しています。
従業員の給与は、固定報酬としての基本給を各人の職務内容や職責等を勘案して決定しています。賞与の配分にあたっては、同社グループの業績、部門業績、個人の業績(貢献度)といった定量的な要素に加え、人材育成への関与や組織への貢献等の定性的な要素も勘案し、中長期的な価値創出を促す設計としています。
人材育成においては、多様な従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮できるよう、職場でのOJTを通じた教育に加え、能力、知識や専門性の向上を目的とした研修を役割等に応じて展開しています。また、個人の人格・人権を尊重し、性別・信条・社会的身分などによる不当な差別なく、全ての従業員が能力を発揮できる企業環境を目指しています。
具体的には、障害のある従業員や女性従業員の活躍促進、出産・育児・介護に関する支援制度等のワークライフバランスに配慮した支援制度の整備、有給休暇取得の促進に取り組んでいます。さらに、「第8次中期経営計画」の管理体制戦略として、人材評価制度・教育制度の整備および次世代管理職の育成にも注力し、組織力・人材力の強化を図っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。提出会社単体の女性管理職比率は本記事では取得できていません。労働者の男女の賃金の差異については、男性の平均年齢が高いこと、男性の平均勤続年数が長いこと、男性の管理職比率が高いこと等が要因となっています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性育児休業取得率 | 66.7% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 64.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 65.2% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 61.5% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
オリエンタルチエン工業は、チェーン関連製品の製造販売を主軸に、金属射出成形や不動産賃貸など多角的な事業を展開しています。同社グループは、幅広い産業分野に製品とサービスを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
オリエンタルチエン工業グループは、主にチェーン関連製品の製造販売を通じて収益を上げています。その他、金属射出成形による金属部品の製造販売、東京都江東区に所有する賃貸ビルの維持・管理を行う不動産賃貸事業も展開しています。また、金地金事業も行っています。
同社グループの事業は、顧客の生産性向上や維持修繕コスト削減に貢献する製品の提案営業に注力しており、市場ニーズに応じた価格転嫁も積極的に実施しています。海外市場では、北米地域での販売が減少するなどの影響も受けています。
チェーン事業
伝動用ローラチェーン、コンベヤチェーン、スプロケット類、搬送装置などの製造販売を行っています。収益は、これらの製品の製造販売から得ています。国内向けではオリジナル製品の提案営業や不採算製品の見直し、価格転嫁を進めています。海外向けでは米国の通商政策の影響を受け、北米地域での販売が減少しました。
金属射出成形事業
金属粉末射出成形法による金属部品などの製造販売を行っています。収益は、自動車関連部品や医療部品関連の受注から得ています。市場ニーズが堅調な医療部品分野での提案営業を強化し、高付加価値製品の比率向上に努めています。
不動産賃貸事業
東京都江東区に所有する賃貸ビルの維持・管理を行っています。収益は、賃貸ビルの稼働による賃貸料収入から得ています。効率的な物件運用と維持管理コストの抑制により、安定した収益を維持しています。
その他
金地金等の保有・売買を行う事業です。収益は、金地金等の売買から得ています。運営は、連結子会社であるオリエンタルGBが行っています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| チェーン事業 | 38.0億円 | 38.3億円 |
| 金属射出成形事業 | 2.2億円 | 2.5億円 |
| 不動産賃貸事業 | 40百万円 | 37百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
オリエンタルチエン工業グループの直近の業績は、売上高が増加傾向にある一方で、利益面では変動が見られます。当連結会計年度の売上高は前期から増加しましたが、営業利益は大幅な減少となりました。経常利益は損失を計上しています。しかし、親会社株主に帰属する当期純利益は前期から増加しています。これは、投資有価証券売却益の計上が主な要因となっています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | - | 40.6億円 | 41.1億円 |
| 経常利益 | - | - | - | 1.5億円 | △17百万円 |
| 経常利益率 | - | - | - | 3.6% | △0.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | - | - | 1.0億円 | 1.3億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | - | - | 72.40 | 90.27 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
オリエンタルチエン工業グループの従業員1人あたりの売上高は前期から増加しており、生産性の向上が見られます。一方で、従業員1人あたりの営業利益は前期から減少しています。これは、当連結会計年度において営業利益が大幅に減少した影響を受けています。これらの数値は、同社グループが売上を伸ばしつつも、利益面での課題に取り組んでいる状況を示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 19.3百万円 | 20.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.7百万円 | 0.1百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務基盤は、事業活動で資金を生み出し、投資活動も行いながら、手元資金を厚くしている状況です。これにより、安定した経営状況がうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は前期から上昇し、当期は製造業のプライム市場平均に近づいています。ROEも前期から改善傾向にあり、効率的な経営がうかがえます。手元資金である現金及び預金も増加しており、不測の事態への耐性も高まっている状況です。これらの財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性にも影響を与える可能性があります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 18.6億円 | 21.5億円 |
| 自己資本比率 | 36.2% | 43.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 5.4% | 6.4% |
| 現金及び預金 | 3.6億円 | 4.8億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当期の営業活動によるキャッシュフローはプラスに転じ、主に減価償却費の計上、売上債権や棚卸資産の減少、仕入債務の減少が要因となっています。これは本業で安定的に資金を生み出している状況を示しています。投資活動によるキャッシュフローはマイナスですが、投資有価証券の売却収入があった一方で、有形固定資産の取得による支出が主な要因です。前期と比較すると投資活動による支出は減少しています。
財務活動によるキャッシュフローはマイナスとなっており、長期借入金の返済による支出が主な要因です。新株予約権の行使による収入もありましたが、全体としては借入金の返済を進めている状況です。結果として、本業で得た資金で投資を行いながらも、自由に使えるフリーキャッシュフローはプラスを確保しており、財務の健全性が高まっていると言えます。これは、将来の成長に向けた投資余力と、雇用や給与の安定性につながる基盤があることを示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △7百万円 | 3.4億円 |
| 投資CF | △5.8億円 | △1.4億円 |
| 財務CF | 5.0億円 | △74百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △5.9億円 | 2.0億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループのチェーン事業は成熟製品であり、安価なアジア製品の影響による受注価格の変動や輸入品の増加により、生産高減少に伴う付加価値が減少するリスクがあります。また、海外市場への売上高が全体の約15%を占めており、為替相場の変動によって業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
オリエンタルチエン工業は、国内外の産業に貢献する「伝動と搬送の総合メーカー」を目指しています。社会から信頼される企業として、持続可能な社会の実現に向けたESG経営を推進しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
オリエンタルチエン工業は、伝動用ローラチェーンを主体とした各種チェーンやスプロケット類等の製造・販売を通じて、国内外の産業に貢献する「伝動と搬送の総合メーカー」を目指しています。同社グループの企業理念は「社会から信頼される製品、信頼される会社をつくります」です。
顧客の多様な品質や用途のニーズを掌握し、十分な研究・開発を行った製品を供給することで、顧客から安心・安全な会社だと評価されることを目指しています。また、同社グループの製品は「世界一の品質」を目指し、グローバルな市場の要望に応えていく方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
オリエンタルチエン工業グループは、企業倫理、法令遵守、環境保護活動への取り組みを強化し、社会の信頼に応えることを重視しています。持続可能な社会の実現に向けて、環境・社会・ガバナンスを重視したESG経営を推進する方針です。
同社グループは、多様な従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮し、安心して働くことができる企業環境の実現を目指しています。個人の人格・人権を尊重し、不当な差別を行うことなく、全ての従業員がその能力を発揮できるような企業環境を目指しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
オリエンタルチエン工業グループは、国内ものづくり企業を取り巻く厳しい経営環境に対応するため、事業を支える財務基盤を強固にすることを重要課題としています。サステナビリティに関連するリスクについても、リスク管理委員会で審議し、適切な対応を実施する方針です。
環境面では、太陽光等の再生可能エネルギーの活用や生産工程における廃棄物の削減に取り組んでいます。また、「第8次中期経営計画」の管理体制戦略として、人材評価制度・教育制度の整備や次世代管理職の育成を通じて、組織力・人材力の強化を図っています。製造で使用した加工油のリサイクルについても検討を進める計画です。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
オリエンタルチエン工業は、監査等委員会設置会社として、経営の健全性と透明性を確保する体制を構築しています。取締役会は、代表取締役社長を議長とし、社外取締役を含む多様なメンバーで構成されています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
オリエンタルチエン工業の株主構成を見ると、筆頭株主は合同会社シーディーワンです。同社の代表取締役社長である杉山敏之氏が代表を務める会社であり、経営陣と密接な関係を持つ資本構成となっています。また、事業会社である片山チエンや海外法人も上位株主に名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 合同会社シーディーワン | 10.89% |
| 片山チエン | 9.09% |
| ORCHID PLUS PTE.LTD. | 5.91% |
| 楽天証券共有口 | 5.15% |
| 樋口尚子 | 4.82% |
発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合は、小数点以下第3位を切り捨てています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性8名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は杉山敏之氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 杉山 敏之 | 代表取締役社長 | 1989年一成証券入社後、ジーンズメイト、SFCGを経て、2012年合同会社シーディーワン代表社員に就任。2025年6月より同社代表取締役社長。 |
| 真中 治 | 取締役副社長 | 1990年片山チエン入社。同社取締役、監査役を経て、2025年6月より同社取締役、2026年2月より同社取締役副社長。 |
| 石尾 俊明 | 常務取締役 品質保証室室長兼 生産技術部部長 | 1986年同社入社。品質保証室室長、取締役、取締役(常勤監査等委員)を経て、2024年6月より同社常務取締役 品質保証室室長兼生産技術部部長。 |
| 三方 浩允 | 取締役 | 2017年ボストンコンサルティンググループ入社。Field Management、RenoSys、Minoruを経て、2021年アイム代表取締役。2025年12月より同社取締役。 |
社外取締役は、米本光男氏(ティー・ピー・エス研究所取締役副社長・監査等委員)、柳本友幸氏(サステナジー副社長・監査等委員)、伊藤正喜氏(伊藤小池法律事務所代表弁護士・ウェルディッシュ社外取締役監査等委員・監査等委員)、福本翼氏(福本翼公認会計士事務所所長・プラウド税理士法人代表社員・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員である取締役が取締役会における議決権を持つことで、監査・監督機能の強化を図っています。これにより、経営の透明性、公正性、迅速性の確保を目指しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
オリエンタルチエン工業の役員報酬は、株主総会で決議された報酬限度額の範囲内で、固定報酬と単年度の業績を踏まえた賞与として金銭が支給される体系です。業績連動報酬や非金銭報酬は支給されていません。役員の個人別の報酬額の決定は、代表取締役社長に一任されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 7名 | 55百万円 | 7.9百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 8百万円 | 1.3百万円 |
なお、取締役(監査等委員及び社外取締役を除く。)の支給額には、使用人兼務役員の使用人分給与は含まれていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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