※本記事は、オリエンタルチエン工業株式会社 の有価証券報告書(第106期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. オリエンタルチエン工業ってどんな会社?
石川県に本社を置く、伝動用ローラチェーンやコンベヤチェーンなどの製造販売を手掛けるメーカーです。
■(1) 会社概要
1947年に設立し、自転車用ローラチェーンの製造を開始しました。1961年に大阪証券取引所市場第2部に上場し、2013年には東京証券取引所市場第2部へ上場しました。2022年の市場区分見直しによりスタンダード市場へ移行しています。2024年7月には寺田精工の株式を取得し、連結子会社化しました。
2025年3月31日時点の従業員数は連結210名、単体193名です。筆頭株主は社長の資産管理会社である合同会社シーディーワン、第2位は同業の片山チエンです。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 合同会社シーディーワン | 18.45% |
| 片山チエン | 9.98% |
| 樋口尚子 | 5.28% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は杉山敏之氏です。社外取締役比率は57.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 杉山 敏之 | 代表取締役社長 | 元一成証券、合同会社シーディーワン代表社員を経て現職。 |
| 石尾 俊明 | 常務取締役品質保証室室長兼生産技術部部長 | 当社入社後、品質保証室室長、取締役(常勤監査等委員)を経て現職。 |
| 真中 治 | 取締役 | 片山チエン取締役、監査役を経て現職。 |
| 相良 健志 | 取締役 | 元DIRECTIONを経て現職。 |
| 米本 光男 | 取締役(監査等委員) | ティー・ピー・エス研究所取締役副社長より現職。 |
| 田中 祥介 | 取締役(監査等委員) | ヒック貿易代表取締役社長より現職。 |
| 梅林 邦彦 | 取締役(監査等委員) | 梅林邦彦税理士事務所所長より現職。 |
社外取締役は、相良健志(元DIRECTION)、米本光男(ティー・ピー・エス研究所取締役副社長)、田中祥介(ヒック貿易社長)、梅林邦彦(梅林邦彦税理士事務所所長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「チェーン事業」「金属射出成形事業」「不動産賃貸事業」の3つの報告セグメントで事業を展開しています。
■(1) チェーン事業
伝動用ローラチェーン、コンベヤチェーン、スプロケット類、搬送装置などの製造販売を行っています。標準型から特殊型、超小型チェーンまで幅広いラインナップを有し、国内外の産業向けに製品を供給しています。
収益は顧客への製品販売により獲得しています。運営は主にオリエンタルチエン工業が行っているほか、2024年に子会社化した寺田精工がスプロケット類の製造販売を、中国子会社の徳清澳喜睦鏈条が販売を担っています。
■(2) 金属射出成形事業
金属粉末射出成形法(MIM)を用いた金属部品等の製造販売を行っています。自動車、自動二輪車、医療機器、精密機器分野など、多様な業界向けに部品を供給しています。
収益は顧客への部品販売により獲得しています。運営はオリエンタルチエン工業が行っています。
■(3) 不動産賃貸事業
東京都江東区に所有する賃貸ビルの維持・管理を行っています。
収益はテナントからの賃貸料収入等により獲得しています。運営はオリエンタルチエン工業が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。なお、同社は2025年3月期より連結財務諸表を作成しているため、業績推移は当期のみを表示しています。
■(1) 業績推移
2025年3月期の売上高は41億円、経常利益は1.5億円となりました。連結初年度のため過去との比較はできませんが、チェーン事業を中心に事業基盤の強化を図っています。
| 項目 | 2025年3月期 |
|---|---|
| 売上高 | 41億円 |
| 経常利益 | 1.5億円 |
| 利益率(%) | 3.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.1億円 |
■(2) 損益計算書
2025年3月期の売上総利益率は19.3%、営業利益率は3.5%です。販売費及び一般管理費が利益を圧迫しないようコントロールされています。
| 項目 | 2025年3月期 |
|---|---|
| 売上高 | 41億円 |
| 売上総利益 | 7.8億円 |
| 売上総利益率(%) | 19.3% |
| 営業利益 | 1.4億円 |
| 営業利益率(%) | 3.5% |
販売費及び一般管理費のうち、賃金及び賞与が1.8億円(構成比29%)、荷造発送費が1.2億円(同18%)を占めています。
■(3) セグメント収益
チェーン事業が全社売上の大半を占めており、利益面でも最大の貢献をしています。金属射出成形事業と不動産賃貸事業も黒字を確保しており、全セグメントで利益を計上しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|
| チェーン事業 | 38億円 | 3.4億円 | 8.9% |
| 金属射出成形事業 | 2.2億円 | 0.3億円 | 14.5% |
| 不動産賃貸事業 | 0.4億円 | 0.3億円 | 64.3% |
| 調整額 | - | -2.5億円 | - |
| 連結(合計) | 41億円 | 1.4億円 | 3.5% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のCF状態は「勝負型」です。本業の営業CFはマイナスですが、借入等により資金を調達し、新工場建設などの積極的な投資を行っています。
| 項目 | 2025年3月期 |
|---|---|
| 営業CF | -0.1億円 |
| 投資CF | -5.8億円 |
| 財務CF | 5.0億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.4%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も36.2%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、伝動用ローラチェーンを主体とした各種チェーン、スプロケット類等の製造・販売を通じて、国内外の産業に貢献する「伝動と搬送の総合メーカー」を目指しています。多様化する顧客ニーズを掌握し、十分な研究・開発を行った製品を供給することで、グローバル市場の要望に応えることを方針としています。
■(2) 企業文化
顧客から「安心、安全な会社だ」と評価を受ける努力を続けるとともに、製品においては「世界一の品質」を目指して研究を行う文化があります。また、企業としての責務である企業倫理、法令遵守、環境保護活動への取り組みを強化し、社会の信頼に応える姿勢を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、経営方針および経営戦略等に則り、以下の目標を設定して企業価値の向上と安定した配当を目指しています。
* 2026年3月期:営業利益率3.7%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
チェーン事業基盤の強化を目的に、寺田精工および徳清澳喜睦鏈条を連結子会社化したほか、生産能力増強のために新工場を竣工しました。今後は経営資源を適切に集中させ、高付加価値製品の開発や多品種小ロット生産システムの構築を進めます。
* ナンバーワン・オンリーワン製品の積極的な開発
* 医療機器業界向け「中空MIM製法」製品のシェア拡大
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
多様な従業員が能力を最大限に発揮でき、安心して働ける環境の実現を目指しています。OJTによる教育に加え、役割に応じた研修を展開し、個人の人格・人権を尊重した企業環境づくりを進めています。障害のある従業員や女性の活躍促進、ワークライフバランスに配慮した支援制度の整備に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 42.9歳 | 13.0年 | 4,864,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | -% |
| 男性育児休業取得率 | 50.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 71.8% |
| 男女賃金差異(正規) | 74.3% |
| 男女賃金差異(非正規) | 64.7% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 為替変動のリスク
海外市場への売上高が全体の約18%を占めており、取引の多くがドル建てであるため、為替相場の変動による影響を受けます。為替リスク軽減策を講じていますが、想定以上の変動があった場合、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 品質不良のリスク
製造業として製品の品質には万全を期していますが、予期せぬ欠陥によるクレームやリコールが発生するリスクがあります。損害が製造物責任保険等で十分にカバーできない場合、多額のコスト発生や社会的信用の低下により、業績に悪影響を与える可能性があります。
■(3) 繰延税金資産に関するリスク
将来の課税所得の見積りに基づき繰延税金資産を計上していますが、業績や経営環境の変化により回収可能性がないと判断された場合、これを取り崩す必要があります。また、税制改正による税率変更等があった場合も、繰延税金資産が減額され、経営成績に影響を与える可能性があります。



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