オリエンタルチエン工業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オリエンタルチエン工業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オリエンタルチエン工業は東京証券取引所スタンダード市場に上場し、伝動用ローラチェーンや金属射出成形関連製品の製造販売を主力とする企業です。直近の業績は、価格転嫁や高付加価値製品の受注増により増収を達成した一方、物価高騰や原価増などの影響により営業減益となりました。


※本記事は、オリエンタルチエン工業株式会社の有価証券報告書(第107期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. オリエンタルチエン工業ってどんな会社?


伝動用チェーンや金属射出成形部品などの製造販売を手掛ける機械メーカーです。

(1) 会社概要


1947年8月に創立し、自転車用ローラチェーンの製造を開始しました。1949年に伝動用ローラチェーンの製造を始め、1961年10月には大阪証券取引所第二部に上場しました。2002年1月に金属射出成形に関する技術提携を行い、現在の事業基盤を構築。2025年12月には同業他社との4社間業務提携を締結しています。

従業員数は連結205名、単体190名です。筆頭株主は合同会社シーディーワンで、第2位は事業会社である片山チエンです。第3位はORCHID PLUS PTE.LTD.となっています。

氏名 持株比率
合同会社シーディーワン 10.89%
片山チエン 9.09%
ORCHID PLUS PTE.LTD. 5.91%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は杉山敏之氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
杉山敏之 代表取締役社長 1989年4月一成証券入社。ジーンズメイト、SFCGなどを経て、2012年10月合同会社シーディーワン代表社員。2025年6月より現職。
真中治 取締役副社長 1990年4月片山チエン入社。同社取締役、監査役を経て、2025年6月同社取締役に就任。2026年2月より現職。
石尾俊明 常務取締役品質保証室室長兼生産技術部部長 1986年4月同社入社。品質保証室室長などを経て、2019年6月同社取締役。2024年6月より現職。
三方浩允 取締役 2017年4月ボストンコンサルティンググループ入社。複数社の役員を経て、2021年10月アイム代表取締役。2025年12月より現職。


社外取締役は、米本光男氏(ティー・ピー・エス研究所取締役副社長)、柳本友幸氏(サステナジー副社長)、伊藤正喜氏(伊藤小池法律事務所代表弁護士)、福本翼氏(プラウド税理士法人代表社員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「チェーン事業」「金属射出成形事業」「不動産賃貸事業」および「その他」事業を展開しています。

チェーン事業


伝動用ローラチェーン、コンベヤチェーン、スプロケット類などの製造販売を行っており、国内外の各種産業機械メーカーなどを主な顧客としています。
収益は、顧客に対するチェーンや搬送装置などの製品販売代金から得ています。事業の運営は同社および子会社の寺田精工が行っています。

金属射出成形事業


金属粉末射出成形法を用いた金属部品などの製造販売を展開しており、自動車関連や医療機器関連のメーカーなどを主な顧客としています。
収益は、顧客への金属射出成形部品などの製品販売代金から得ています。本事業の運営は同社が行っています。

不動産賃貸事業


東京都江東区に所有する賃貸ビルの維持・管理や賃貸事業を展開しており、オフィス需要を持つ法人などを主な対象としています。
収益は、保有する不動産のテナントからの賃貸料から得ています。本事業の運営は同社が行っています。

その他


金地金などの保有・売買を行う投資事業などを展開しており、市場環境に応じた資産運用を行っています。
収益は、金地金などの投資商品の売買や運用に伴う利益などから得ています。運営は子会社のオリエンタルGBが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近の業績は、売上高が概ね横ばいで推移していますが、経常損益は原材料価格の高騰などの影響を受けて赤字に転落しています。一方、当期純利益については、投資有価証券の売却益を計上したことなどにより増益となっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 41億円 41億円
経常利益 1.5億円 -0.2億円
利益率(%) 3.6% -0.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.1億円 1.3億円

(2) 損益計算書


売上高は安定して推移しているものの、原価率の上昇により売上総利益は減少傾向にあります。これに加えて販売費及び一般管理費が増加したため、営業利益は前期と比較して大きく落ち込んでいます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 41億円 41億円
売上総利益 7.8億円 7.4億円
売上総利益率(%) 19.3% 18.1%
営業利益 1.4億円 0.2億円
営業利益率(%) 3.5% 0.4%


販売費及び一般管理費のうち、賃金及び賞与が2.0億円(構成比27.5%)、荷造発送費が1.3億円(同17.9%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力となるチェーン事業は、価格転嫁や独自製品の提案などにより増収を維持しています。金属射出成形事業は医療部品関連の受注増や自動車関連の安定推移により、前期比で売上高を伸ばしました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
チェーン事業 38.0億円 38.3億円
金属射出成形事業 2.2億円 2.5億円
不動産賃貸事業 0.4億円 0.4億円
連結(合計) 40.6億円 41.1億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローがプラス、投資活動と財務活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業の健全型を示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -0.1億円 3.4億円
投資CF -5.8億円 -1.4億円
財務CF 5.0億円 -0.7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.4%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は43.3%であり、いずれも市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「社会から信頼される製品、信頼される会社をつくります」という企業理念のもとに、伝動用ローラチェーンなどを主体とした各種チェーンの製造・販売を通して国内外の産業に貢献する「伝動と搬送の総合メーカー」を目指しています。多様化する顧客ニーズを捉え、世界一の品質に向けた探求を続けています。

(2) 企業文化


企業としての責務である企業倫理、法令遵守、環境保護活動への取り組みを強化し、社会の信頼に応える姿勢を重んじています。また、個人の人格や人権を尊重し、性別や信条などによる不当な差別を行うことなく、全ての従業員が持てる能力を最大限に発揮できる企業環境の実現を目指しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、2026年度から2028年度の3年間に係る「第8次中期経営計画」を策定し、事業を推進しています。財務の健全性を維持しつつ持続的な成長を実現するため、売上高成長率および営業利益率を重要な経営指標として位置付け、利益を伴う売上成長と安定した配当を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


製造面では独自の技術力を基盤に、大形チェーン分野で世界一の品質・供給体制と新たな生産管理システムによるコスト最適化を図ります。販売面では同業他社との業務提携を深め、特殊用途市場で高付加価値製品メーカーとしての地位獲得や海外販売網の強化を目指し、未開拓市場への進出を推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、高度な専門人材の採用および育成、ならびにエンゲージメントの向上と定着を人材戦略の中核に位置付けています。職場でのOJTを通じた教育に加え、能力や専門性の向上を目的とした研修を展開し、出産・育児などのライフイベントに柔軟に対応できる働き方の導入により、安心して就業できる環境の整備に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 43.8歳 12.6年 4,921,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -
男性育児休業取得率 66.7%
男女賃金差異(全労働者) 64.0%
男女賃金差異(正規雇用) 65.2%
男女賃金差異(非正規雇用) 61.5%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 為替変動のリスク


同社グループの事業は海外市場に対して売上高の15%程度を販売しており、為替相場の変動に影響を受けます。取引の多くがドル建てで行われているため、外国為替リスクを回避・軽減するための対策を講じていますが、為替相場の急激な変動が発生した場合には、同社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 品質不良のリスク


同社グループは製造業を営んでおり、製品の品質管理には万全を期していますが、万が一製品のクレームやリコールなどが発生した場合の損害について、製造物責任保険などで補填できない事態が生じた際には、事業活動や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 繰延税金資産に関するリスク


同社グループは、将来の課税所得の十分性などを検討した上で繰延税金資産を計上しています。しかし、業績や経営環境の著しい変化によって繰延税金資産の回収可能性がないと判断された場合や、税率変更を含む税制改正などがあった場合には繰延税金資産が減額され、同社グループの経営成績や財務状況に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。