平河ヒューテック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

平河ヒューテック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証一部上場の平河ヒューテックは、電線・ケーブル技術を核に「電線・加工品」「電子・医療部品」事業を展開するメーカーです。2020年3月期は、エネルギー関連や放送機器が堅調でしたが、車載や産業機器向けが減少し、売上高249億円、経常利益22億円の減収減益となりました。


※本記事は、平河ヒューテック株式会社 の有価証券報告書(第79期、自 2019年4月1日 至 2020年3月31日、2020年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 平河ヒューテックってどんな会社?


電線・ケーブル技術を応用し、情報通信や放送、医療分野へ事業を展開する独立系電線メーカーです。

(1) 会社概要


1948年に平河電線として設立され、電線の製造販売を開始しました。1990年に現社名へ変更し、海外展開を加速させるとともに、2006年に東証二部へ上場、翌2007年には東証一部へ上場しました。2011年には四国電線を子会社化するなどグループを拡大し、現在は国内外に拠点を展開しています。

連結従業員数は2,194名、単体では341名です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位は社員持株会です。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.39%
平河ヒューテック社員持株会 5.18%
MLI FOR CLIENT GENERAL OMNI NON COLLATERAL NON TREATY-PB 4.75%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名、計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役 執行役員社長は篠祐一氏です。社外取締役比率は22.2%です。

氏名 役職 主な経歴
隅田 和夫 取締役会長 1971年同社入社。常務取締役営業本部長、専務取締役を経て、1993年より社長。2012年会長就任。2014年よりグループ代表および現職。
篠 祐一 代表取締役社長 1996年同社入社。管理本部長を経て、2016年執行役員社長就任。2017年より現職。
目黒 裕次 取締役 1975年同社入社。総務部長、管理本部長を経て、2012年社長就任。2016年代表取締役。2017年より現職。
宇梶 大 取締役 1973年同社入社。理事デバイス事業部長を経て、2001年取締役就任。2014年より現職。


社外取締役は、湯佐富治(公認会計士)、沼田恵(高周波熱錬常勤監査役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「電線・加工品」「電子・医療部品」および「その他」事業を展開しています。

(1) 電線・加工品


機器用電線、ファインケーブル、電源コード、ワイヤーハーネスなどを製造・販売しています。主な用途はデジタル機器、車載機器、半導体製造装置、携帯電話基地局、エネルギー関連など多岐にわたります。高機能・高精度のケーブル技術を強みとしています。

製品販売による収益が主となります。運営は同社および四国電線、株式会社新潟電子などの国内子会社に加え、福泰克(連雲港)電子有限公司、HIKAM AMERICA, INC.などの海外子会社が行っています。

(2) 電子・医療部品


放送用光中継器やネットワーク用光中継器、スイッチングHUBなどの伝送機器、および電線ケーブル技術を応用した医療用特殊チューブや加工品を取り扱っています。情報通信の高速化や医療分野のニーズに対応した製品群です。

製品販売による対価を収益源としています。運営は同社のほか、福泰克(連雲港)電子有限公司、HIKAM AMERICA, INC.、HEWTECH PHILIPPINES CORP.などが担当しています。

(3) その他


報告セグメントに含まれない事業として、転売品および不動産事業などを展開しています。

商品の転売による収益や不動産賃貸による収益を得ています。運営は同社などが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2016年3月期から2020年3月期までの5期間を見ると、売上高は240億円から280億円の範囲で推移しています。経常利益は20億円台前半から後半で安定的に確保しており、利益率は8%から10%程度を維持しています。2020年3月期は減収減益となりましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は黒字を継続しています。

項目 2016年3月期 2017年3月期 2018年3月期 2019年3月期 2020年3月期
売上高 279億円 245億円 260億円 269億円 249億円
経常利益 24億円 26億円 22億円 27億円 22億円
利益率(%) 8.5% 10.8% 8.4% 10.0% 9.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 15億円 21億円 18億円 20億円 17億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で減少しました。売上総利益も減少しましたが、売上総利益率は微増し25%台を維持しています。営業利益は減少したものの、営業利益率は9%台を確保しており、収益性は一定水準を保っています。

項目 2019年3月期 2020年3月期
売上高 269億円 249億円
売上総利益 68億円 64億円
売上総利益率(%) 25.1% 25.6%
営業利益 26億円 23億円
営業利益率(%) 9.7% 9.3%


販売費及び一般管理費のうち、給与賞与が12億円(構成比29%)、研究開発費が7億円(同18%)を占めています。売上原価については、売上原価合計の構成比で74%程度となっています。

(3) セグメント収益


主力の「電線・加工品」は、太陽光関連が堅調でしたが半導体製造装置や産業機器向けが減少し、減収減益となりました。「電子・医療部品」もネットワーク機器等の減少により減収となりましたが、高付加価値製品の増加により増益を確保しています。

区分 売上(2019年3月期) 売上(2020年3月期) 利益(2019年3月期) 利益(2020年3月期) 利益率
電線・加工品 221億円 205億円 25億円 23億円 11.0%
電子・医療部品 46億円 42億円 7億円 7億円 16.6%
その他 2億円 2億円 1億円 1億円 68.6%
調整額 - - -7億円 -8億円 -
連結(合計) 269億円 249億円 26億円 23億円 9.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

平河ヒューテックは、営業活動で資金を獲得し、事業活動に必要な投資を行い、財務活動で資金調達と返済を行っています。電子・医療部品事業の売上増加が、営業活動による資金獲得を支えました。投資活動では、定期預金の預け入れと払い戻しが主な要因となり、財務活動では、長期借入による収入と返済、配当金の支払いが影響しました。これらの活動の結果、同社の現金及び現金同等物は増加しました。

項目 2019年3月期 2020年3月期
営業CF 35億円 34億円
投資CF -20億円 -30億円
財務CF -4億円 10億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「世界水準の製品を創り出すことにより、持続的な成長を遂げ、永遠の存在を目指す」こと、および「有意義な製品とサービスを供給することにより社会に貢献する」ことを基本理念としています。また、国際社会の一員として法規遵守と環境保全に努め、全ての関係者に調和のとれた満足を提供することを目標としています。

(2) 企業文化


「互いの価値を認め合う人々の集団であり、熱意をもって向上・革新へ挑戦していく」ことを基本理念の一つとして掲げています。この理念に基づき、社員が互いを尊重し合いながら、高い意欲を持って技術や業務の革新に取り組む姿勢を重視する企業風土の醸成に努めています。

(3) 経営計画・目標


売上高、営業利益、経常利益等を重要な経営指標として位置付けています。具体的な数値目標としての記載はありませんが、製品ポートフォリオの改善や生産力の増強などを通じて、これらの指標の向上と持続的な成長を目指して経営を行っています。

(4) 成長戦略と重点施策


高速伝送技術や品質保証技術をさらに磨き、高性能・高信頼性が求められる伝送路市場へ製品を提供します。車載、産業機器、医療、5G等の重点分野へ技術開発投資を行うとともに、フィリピン新拠点構築など生産・供給体制を強化します。また、製品ポートフォリオの見直しや、市場ニーズに対応した業務プロセスの改善、SCMを意識した生産フローの最適化に取り組みます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


各事業の戦略に必要な人材の獲得と、事業戦略の底上げのための人材の多様化に努めています。組織面では、重点分野において部門横断的なビジネスユニット制を導入し、戦略策定力やマネジメント力の向上を図っています。また、国内外の関係会社との連携を進め、連結収益力の向上を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2020年3月期 46.8歳 25.8年 5,391,400円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 事業環境の変化と技術革新


情報通信や放送、医療分野における技術進歩は激しく、製品の多様化や短命化が進んでいます。顧客の購買政策の変化や海外製品の台頭による価格競争の激化が、同社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(2) 原材料価格の変動


製品の主原料である銅や石油化学製品の価格変動リスクがあります。銅価格はロンドン金属取引所の市況に基づき決定されるため、中長期的な市況価格の上昇は、同社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 為替レートの変動


海外売上や部材調達において外貨建て取引を行っているため、為替変動の影響を受けます。ヘッジ取引を行っていますが完全にリスクを回避することは困難であり、円換算後の価値変動が業績に影響を与える可能性があります。

(4) 中国における事業リスク


主要製品の生産の多くを中国拠点で行っているため、同国における法制度や税制の変更、為替政策などが生産活動や事業運営に支障をきたし、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。