※本記事は、神東塗料株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
神東塗料グループは、大日本塗料を親会社とする企業グループに属し、塗料、化成品の製造販売を主な事業としています。子会社7社と関連会社5社で構成され、幅広い分野で製品を提供しています。
単体従業員数は306名、連結従業員数は399名です。セグメントは塗料事業、化成品事業の2つです。
主な国内グループ会社は、大日本塗料、シントーファミリー(塗料事業)などです。
同社グループでは、連結子会社であるシントーファミリーは、販売力強化と業績改善のため、2026年度中に事業譲渡の上、解散する見通しです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
神東塗料は、塗料事業を通じて社会の発展に貢献するという企業理念を掲げ、環境に配慮した製品開発や事業活動を推進しています。中長期的な生産性向上と優良な人材の安定確保を人材戦略の基本とし、多様な働き方を支援する環境整備にも力を入れています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の定着を重視し、働きやすい環境整備に努めていることがうかがえます。平均勤続年数や平均年齢から、一定の経験を積んだ従業員が長く活躍している傾向が見られます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,440,000円 |
| 平均勤続年数 | 14.6年 |
| 平均年齢 | 43.9歳 |
| 単体従業員数 | 306人 |
| 連結従業員数 | 399人 |
| 単体のグループ内比率 | 76.7% |
同社グループは、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方の退職給付制度を採用しています。これらの制度は、同社および国内連結子会社を対象としています。
退職一時金制度があります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、2026年3月末時点の退職給付債務は12.0億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、中長期的な生産性向上を目指し、各組織の機能整備・効率化と職場レベルでの多能化による従業員相互のサポート体制強化を図っています。この方針に基づき、優良な人材を過不足なく安定的に確保することを人材戦略の基本としています。
採用においては、新規卒業者だけでなく、経験者採用や契約社員からの正社員登用など、多様なソースから通年での採用を実施しています。また、従業員の安定的な定着を図るため、フレックスタイム制や育児・介護事由での在宅勤務活用、寮・社宅の提供など、働きやすい環境整備に努めています。育成面では、OJTに加え、入社時研修、フォローアップ研修、管理社員研修などの層別集合研修や、技術講座、幹部候補者の選抜研修などを適宜実施しています。
従業員の給与や賞与、労働時間などの基本的労働条件については、その時々の社会情勢や同社業績の動向を踏まえ、労働組合と協議し、労使合意のもとで決定しています。また、多様性確保への取り組みとして、女性管理職比率の向上や経験採用者の管理職への登用促進を進めています。労働災害をなくすための従業員教育や危険予知(KY)活動にも積極的に取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。これらの指標は、女性活躍推進法および育児介護休業法に基づき算出されており、賃金には退職手当や通勤手当等は含まれていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 10.3% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 80.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 83.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 83.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用労働者) | 77.1% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率(目標) | 10.0% |
| 経験者採用者の管理職への登用率 | 20.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
神東塗料は、塗料と化成品を製造販売する企業グループです。大日本塗料株式会社を親会社とする企業グループに属し、塗料と化成品を主力事業としています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、塗料事業と化成品事業を主な事業としています。塗料事業はさらに、インダストリアル分野、インフラ分野、自動車用塗料分野、その他塗料分野に細分化されています。
当連結会計年度の売上高では、インフラ分野と自動車用塗料分野が増加しました。一方で、インダストリアル分野とその他塗料分野は減少しています。化成品事業の売上高は増加となりました。
同社グループの収益は、主に国内の顧客からの売上高が大部分を占めています。特定の顧客への販売実績としては、大東建託パートナーズ株式会社と神東アクサルタコーティングシステムズ株式会社への売上が大きな割合を占めています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、直近5年間で増加傾向にあります。経常利益は、過去には損失を計上していましたが、直近2期は黒字に転換しました。しかし、親会社株主に帰属する当期純利益は、5期連続で損失を計上しています。
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、福利厚生施設の売却に伴う減損損失を特別損失として計上したことが主な要因です。営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の支出から当連結会計年度は収入に転じており、本業でのキャッシュ創出能力を示しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 191億円 | 190億円 | 190億円 | 208億円 | 215億円 |
| 経常利益 | △2.4億円 | △11.5億円 | △4.6億円 | 4.7億円 | 3.9億円 |
| 経常利益率 | △1.3% | △6.0% | △2.4% | 2.3% | 1.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △18.2億円 | △18.1億円 | △5.0億円 | △59百万円 | △5.9億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △58.95 | △58.33 | △16.05 | △1.92 | △17.44 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期と比較して増加しています。これは、売上高の増加と連結従業員数の減少が影響していると考えられます。
一方で、従業員1人あたり営業利益は前期から横ばいとなっています。これは、売上高の増加に対して、原材料価格の高止まりなどコスト上昇圧力が続いていることが影響していると見られます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 51.3百万円 | 53.8百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.6百万円 | 0.6百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
神東塗料の財務状況は、本業で資金を生み出しつつ、将来に向けた投資も行っている状況を示しています。手元資金の状況やキャッシュフローの動きから、同社グループの経営の安定性を確認できます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
神東塗料の財務基盤を見ると、自己資本比率は前期からわずかに減少しましたが、42.0%となっています。これはプライム市場の製造業平均と比較するとやや低い水準です。ROE(自己資本利益率)は当期に△4.4%となり、前期の△0.4%からさらに悪化しています。手元資金である現金及び預金は増加しており、30.8億円を確保しています。これらの財務状況は、今後の事業展開や雇用・給与の安定性を検討する上で重要な要素となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 146億円 | 142億円 |
| 自己資本比率 | 42.5% | 42.0% |
| ROE(自己資本利益率) | △0.4% | △4.4% |
| 現金及び預金 | 27.2億円 | 30.8億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
神東塗料のキャッシュフローを見ると、当期は営業活動によるキャッシュフローが9.2億円の収入となりました。これは減価償却費や減損損失、売上債権の減少などが主な要因となっています。投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得による支出が主な要因で△4.2億円の支出となりました。その結果、本業で得た資金で投資を賄い、自由に使える資金を示すフリーキャッシュフローは5.0億円のプラスとなっています。財務活動によるキャッシュフローは、短期借入金の純減少により△1.6億円の支出となりました。
本業で資金を生み出し、投資活動も行っている状況ですが、親会社株主に帰属する当期純損失が継続している点や借入金が高水準である点も考慮すると、今後の収益改善と財務体質の強化が、雇用や給与の安定性、そして会社の成長性にとって重要であると言えます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △0.3億円 | 9.2億円 |
| 投資CF | △3.6億円 | △4.2億円 |
| 財務CF | △3.7億円 | △1.6億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △3.9億円 | 5.0億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
神東塗料は、当連結会計年度に親会社株主に帰属する当期純損失を計上し、借入金残高も高水準となっています。また、過去の不適切行為に関連する補償費用が発生する可能性があり、これらの事象により継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような状況が存在しています。同社は生産合理化や固定費削減、親会社とのシナジー効果の早期実現、品質体制強化、財務基盤の安定化に取り組んでおり、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しています。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、新製品の研究開発が期待通りに進捗しない場合や、製品の品質問題が発生した場合に競争力低下や多額のコスト発生のリスクを抱えています。特に、過去の不適切行為に関連する補償費用が発生する可能性があり、訴訟を提起されている状況です。また、原材料価格の変動や需給バランスの逼迫、他社との競合や価格競争も、同社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、製造・販売・研究開発・管理における専門性を有する優秀な人材の確保・育成に努めています。しかし、労働市場における人材獲得競争の厳しさから、想定通りに採用・教育が進まない場合、同社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
神東塗料は、高い技術水準と顧客志向を基本方針とし、塗料事業を通じて社会の発展に貢献することを目指しています。堅実と信用を重んじ、社員が誇りを持てる会社であり続けることを大切にしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
神東塗料は、高い技術水準に基づいた高品質、高機能、環境対応型の塗料製品・コーティング材料とサービスを、顧客志向の組織を通じて真心こめて提供することを基本方針としています。
同社グループの企業理念は、「塗料事業を通じて社会の発展に貢献する」こと、「堅実と信用を第一に、お客様に信頼される会社であり続ける」こと、そして「社員が愛着を持ち、より誇りの持てる会社を目指す」ことです。これらの理念を経営の基本として、持続的な成長と社会貢献を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
神東塗料は、社員一人ひとりが相互に啓発し合い、安心して相談できる職場風土の醸成に努めています。これにより、製品・技術における確固たる品質コンプライアンスを確立し、顧客や社会からの信頼を高めることを目指しています。
また、企業理念に基づき、サステナブルな社会の実現に真摯かつ継続的に取り組むことを重視しています。原料の選定から製品の使用まで、各局面で環境に配慮した対応を進め、環境配慮塗料の開発やカーボンニュートラルの実現を推進しています。
リスク管理体制も重視しており、リスク管理委員会を設置し、リスクの洗い出し、分析、対策を継続的に実施することで、経営やリスク監視の強化を図っています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
神東塗料は、継続企業の前提に関する重要な疑義を解消することを経営課題としています。そのために、塗料設計・製造技術を事業展開のコアとし、取引先に安心と信頼を提供できる製品を最優先で提供することを目指しています。
また、データを活用した良品率の向上、業務の標準化、組織の簡素化を通じて生産性向上に取り組んでいます。さらに、品質管理体制の信頼性向上をはじめ、コンプライアンス・ガバナンス体制の一層の強化に全社一丸となって取り組むことを重点テーマとしています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
神東塗料は監査役会設置会社であり、業務執行の明確化と意思決定の迅速化のため執行役員制度を導入しています。経営の透明性を高めるため、社外取締役や社外監査役による客観的な監督体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
神東塗料の株主構成を見ると、筆頭株主は大日本塗料であり、同社グループの連結子会社であることが示されています。その他、取引先持株会や複数の個人株主が上位に名を連ねています。特定の事業会社が主要な株主として経営を支えている構造です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 大日本塗料 | 50.10% |
| 神東塗料取引先持株会 | 4.63% |
| 中 島 和 信 | 2.62% |
| 阪 本 重 治 | 2.34% |
| 神東塗料社員持株会 | 1.53% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性9名・女性1名)で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長執行役員は小坂伊知郎氏が務めています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 小坂 伊知郎 | 代表取締役社長執行役員 | 1986年住友化学工業(現住友化学)入社後、化成品事業部長、執行役員、常務執行役員を歴任。2024年4月同社顧問を経て、同年6月より同社代表取締役社長執行役員に就任し現職。 |
| 上鶴 茂喜 | 代表取締役 顧問 | 1981年住友化学工業(現住友化学)入社。2016年6月同社総務人事室部長、2018年6月取締役、2024年4月取締役常務執行役員を歴任。2026年4月より同社代表取締役顧問に就任し現職。 |
| 遠藤 聡 | 取締役執行役員尼崎工場、千葉工場担当 | 1991年同社入社後、技術開発本部研究開発室に配属。PT.Shinto Paint Manufacturing Indonesia副社長、千葉工場長、理事、執行役員を経て、2024年6月より同社取締役執行役員に就任し現職。 |
| 永野 達彦 | 取 締 役 | 1987年三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行。大日本塗料執行役員管理本部副本部長兼財務担当、管理本部長、取締役常務執行役員を歴任。2025年6月より同社取締役に就任し現職。 |
| 小野 順一郎 | 監査役(常勤) | 1987年住友化学工業(現住友化学)入社後、基礎原料事業部第二基礎原料部長、基礎原料事業部長を歴任。2023年6月同社顧問を経て、同年6月より同社監査役に就任し現職。 |
| 三浦 史朗 | 監査役 | 1993年三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行。大日本塗料管理本部経営企画室専任部長、室長、執行役員を歴任。2025年6月より同社監査役に就任し現職。 |
社外取締役は、樫尾昭彦氏(カシオ社会保険労務士事務所所長・指名・報酬委員会・独立役員委員会)、矢倉昌子氏(アスカ法律事務所パートナー弁護士・指名・報酬委員会・独立役員委員会)です。
社外監査役は、日潟一郎氏(ひがた公認会計士事務所所長・指名・報酬委員会・独立役員委員会)、桒山章司氏(ジオスター社外取締役・指名・報酬委員会・独立役員委員会)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役2名と社外監査役2名を選任しています。社外役員は客観的かつ独立した立場から、経営全般への助言や監督、監査の実効性向上に努めています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、基本報酬と賞与の2つで構成されています。基本報酬は月例の固定報酬として役位や職責に応じて決定され、賞与は連結経常利益を業績指標とした連結業績連動型です。報酬水準の客観性・適正性を確保するため、指名・報酬委員会が助言を行い、監査役の報酬は監査役会の協議によって決定されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 71百万円 | 17.8百万円 |
| 監査役(社外除く) | 2名 | 18百万円 | 9.0百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 17百万円 | 3.4百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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