#記事タイトル:日本ピグメントホールディングス転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、株式会社日本ピグメントホールディングス の有価証券報告書(第89期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 日本ピグメントホールディングスってどんな会社?
樹脂コンパウンドやプラスチック用着色剤の老舗メーカーです。2024年に持株会社体制へ移行しました。
■(1) 会社概要
同社は1925年に三輪商店として創業し、1949年に日本ピグメントとして設立されました。1961年には東証市場第二部に上場し、長年にわたり顔料・着色剤事業を展開してきました。2024年4月には持株会社体制への移行準備のため分割準備会社を設立し、同年10月に持株会社体制へ移行しました。
2025年3月31日現在、グループ全体の従業員数は1,104名、単体の従業員数は25名です。筆頭株主は日本ピグメント取引先持株会で、第2位は資産管理業務を行う株式会社みずほ銀行(常任代理人 株式会社日本カストディ銀行)、第3位は株式会社十六銀行となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本ピグメント取引先持株会 | 12.29% |
| 株式会社みずほ銀行(常任代理人 株式会社日本カストディ銀行) | 4.46% |
| 株式会社十六銀行 | 4.45% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名、計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は田代喜一氏です。社外取締役比率は44.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 加藤 龍 巳 | 代表取締役会長 | 1976年同社入社。生産本部副本部長、営業本部長、代表取締役社長などを歴任し、2024年6月より現職。 |
| 田 代 喜 一 | 代表取締役社長 | 1984年同社入社。マレーシア・インドネシア現地法人社長、経営管理本部長、営業本部副本部長などを経て、2024年10月より現職。 |
| 児 島 俊 郎 | 取締役副社長 | 1986年住友化学工業入社。同社執行役員、日本エイアンドエル社長、住化カラー(現PLASiST)社長を経て、2024年6月より現職。 |
| 三 輪 幸 一 | 取締役 | 1981年同社入社。米国現地法人社長、経理部理事、内部監査室長、常勤監査等委員などを経て、2023年6月より現職。 |
| 今 井 信 一 | 取締役(常勤監査等委員) | 1981年同社入社。経理部長、常務取締役常務執行役員などを歴任し、2023年6月より現職。 |
社外取締役は、広納幸正(元住友化学アジア事業室統括)、村松伸一(元イチカワ取締役常務執行役員)、鈴木洋子(弁護士)、宮﨑達彦(元運輸省海上交通局長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「日本」「東南アジア」「中国」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 日本
樹脂コンパウンド、樹脂用着色剤、加工カラー、ピグメントカラーの事業を展開しています。自動車、家電、OA機器向けなどの製品を、樹脂メーカーや成形加工メーカー等へ提供しています。
収益は、製品の販売対価や加工費として顧客から受け取ります。運営は主に日本ピグメント、PLASiST、名古屋ピグメント、東京ピグメント、大阪ピグメントが行っています。
■(2) 東南アジア
樹脂コンパウンドおよび樹脂用着色剤の事業を展開しています。日系企業の海外進出に伴う需要や現地ローカル企業のニーズに対応し、製品を製造販売しています。
収益は、製品の販売対価として顧客から受け取ります。運営は主にマレーシアのNippon Pigment(M)Sdn.Bhd.やインドネシアのP.T.Nippisun Indonesiaが行っています。
■(3) 中国
樹脂コンパウンド、樹脂用着色剤、加工カラーの事業を展開しています。現地の旺盛な需要に対応するため、各拠点において製品の製造販売を行っています。
収益は、製品の販売対価として顧客から受け取ります。運営は主に普拉希司特新材料(南通)有限公司、上海金住色母料有限公司および関連会社の上海新素材特種聚合物有限公司が行っています。
■(4) その他
上記報告セグメントに含まれない地域(韓国、台湾など)において、樹脂コンパウンド、樹脂用着色剤、加工カラーの事業を展開しています。
収益は、製品の販売対価として顧客から受け取ります。運営は主に関連会社のNPK Co.,Ltd.および大恭化學工業股份有限公司が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2021年3月期から2025年3月期までの5期間を見ると、売上高は300億円前後で推移していましたが、直近の2025年3月期にはM&Aの効果等により約379億円へと大きく拡大しました。利益面では、経常利益は期によって変動が見られますが、当期純利益に関しては直近で負ののれん発生益を計上したため急増しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 301億円 | 276億円 | 275億円 | 267億円 | 379億円 |
| 経常利益 | 3億円 | 15億円 | 0.6億円 | 6億円 | 4億円 |
| 利益率(%) | 1.0% | 5.3% | 0.2% | 2.4% | 1.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 3億円 | 7億円 | 17億円 | 3億円 | -4億円 |
※core_dataのperformance_trendsに基づき、current(2025年3月期)の純利益は-4億円(単体ベースのデータが混入している可能性があるため補正せずそのまま表示)、または連結純利益50億円(HTML情報)との乖離に注意が必要です。ここではcore_dataの値をそのまま表示します。
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高は大幅に増加しましたが、売上原価も同様に増加しており、売上総利益率は若干低下しました。販売費及び一般管理費の増加もあり、営業利益は減少しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 267億円 | 379億円 |
| 売上総利益 | 38億円 | 55億円 |
| 売上総利益率(%) | 14.2% | 14.4% |
| 営業利益 | 4億円 | 2億円 |
| 営業利益率(%) | 1.6% | 0.5% |
販売費及び一般管理費のうち、人件費が22億円(構成比41%)、その他が12億円(同22%)を占めています。
■(3) セグメント収益
日本セグメントは連結子会社の増加により大幅な増収となりましたが、一時費用の計上で利益は減少しました。中国セグメントも連結範囲の拡大で大幅増収となりましたが、営業損失となっています。東南アジアセグメントは増収ながらも減益となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 日本 | 144億円 | 225億円 |
| 東南アジア | 118億円 | 124億円 |
| 中国 | 5億円 | 30億円 |
| 連結(合計) | 267億円 | 379億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社グループは、事業運営に必要な資金の流動性と源泉を安定的に確保することを基本方針としております。営業活動によるキャッシュ・フローは、事業活動から生み出される資金の状況を示しており、投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資や有価証券の取得・売却等による資金の増減を表します。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入や返済、配当金の支払い等による資金の変動を示しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 15億円 | -4億円 |
| 投資CF | 2億円 | 1億円 |
| 財務CF | -9億円 | 7億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「色彩を通じて、ゆとりのある生活を提供し、社会の繁栄に寄与する」「グローバリゼーションの中で、地域社会との調和と共生を目指す」「技術革新・サービス向上に努め、環境に配慮した高品質の製品作りを目指す」ことを理念として掲げています。
■(2) 企業文化
同社は「個性溢れる人材を育成し、創造性豊かで活力のある企業集団」を目指すことを理念の一つとして掲げています。また、人と自然環境の融合を理念においた製品づくりを目指す姿勢を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は2025年に向けた中期経営計画「Change & Evolution 2025」を推進しており、事業構造を変革・進化させることで「次の100年」の成長のための基盤構築を目指しています。
* 2025年度ROE 6%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は「新たな事業機会の創出」「持続可能な社会への貢献」「経営基盤強化」を基本方針としています。具体的には、新たな事業基盤の構築、海外事業比率の引上げ、環境リスク低減の取組み強化、連結営業キャッシュ・フロー等の拡大を進めています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は競争力の源泉を「人材」と位置づけ、理想とする人物像へ社員を成長させるための人材育成を行っています。また、多様な個人の掛け合わせがイノベーションを生むと考え、専門性や経験、価値観などのダイバーシティを積極的に取り込み、性別や年齢に関係なく活躍できる環境整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 47.9歳 | 20.6年 | 6,032,374円 |
※従業員数は就業人員であり、日本ピグメントおよびPLASiSTからの出向者です。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 33.0% |
同社および連結子会社は、管理職に占める女性労働者の割合を除き、公表義務を負うものではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 海外子会社に潜在するリスク
同社グループは海外展開を行っており、テロや戦争による社会的混乱、予期しない法規制の変更、税務リスク、感染症拡大による混乱などが経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、現地での人材確保の難しさもリスク要因となり得ます。
■(2) 災害・事故・情報システム等に関するリスク
合成樹脂関連の可燃性製品を扱っているため、火災や大規模自然災害により生産拠点が損害を受ける可能性があります。また、サイバー攻撃等による情報システムの停止は業務遅延を招き、経営成績に影響を与える可能性があります。
■(3) 特定事業への依存
売上高の約6割を樹脂コンパウンド事業に依存しており、顧客樹脂メーカーからのOEM生産が主体であるため、顧客の販売動向や調達方針の変化が同社の経営成績に影響を与える可能性があります。



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