ワイズホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ワイズホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場の金属製品メーカーです。ねじ等の金属製品や電子部品の製造販売、不動産賃貸を主な事業としています。直近の業績は、売上高122億円と増収を確保しましたが、原材料価格やエネルギーコストの高騰等が響き、営業利益は3億円、経常利益は4億円といずれも減益となりました。


#記事タイトル:ヤマシナ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、株式会社ヤマシナ の有価証券報告書(第149期、自 2023年4月1日 至 2024年3月31日、2024年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ヤマシナってどんな会社?


ねじ製品を中心とした金属製品や電子部品の製造販売を行うほか、不動産賃貸事業も展開する歴史ある企業です。

(1) 会社概要


同社は1917年に山科精工所として設立され、鋲螺(びょうら)の製造販売を開始しました。1962年に株式を上場し、2000年に現在の商号へ変更しました。2005年に三陽工業等を子会社化して事業領域を拡大し、2014年にはLADVIKを子会社化しました。2023年にはヤマヤエレクトロニクスを子会社化し、電子部品事業を強化しています。

2024年3月31日現在の従業員数は連結455名、単体97名です。筆頭株主は自動車ディーラー事業等を展開するVTホールディングスであり、第2位は個人株主、第3位は電気設備工事を行う前島電気工業社となっています。

氏名 持株比率
VTホールディングス 35.19%
久保  和喜 5.28%
前島電気工業社 3.20%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は堀直樹氏です。社外取締役比率は28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
堀      直  樹 代表取締役取締役社長 ホンダベルノ東海(現VTホールディングス)入社後、同社代表取締役社長、VTホールディングス取締役管理部長等を経て、2007年より現職。Y'sアセットマネジメント社長を兼任。
古  川  泰  司 取締役マーケティング本部長 2007年同社入社。経営管理部長、マーケティング本部長を経て2014年より現職。中国山科サービス代表取締役社長を兼任。
平 本 幸 弘 取締役生産本部長 1989年同社入社。製造部長、品質保証部長兼生産管理部長を経て、2018年取締役生産本部長に就任。2024年より現職。
村 澤 快 津 取締役管理本部長 2023年同社入社。管理本部付担当部長を経て、2024年より現職。
長 橋 章 之 取締役(監査等委員) 1986年同社入社。総合企画次長、内部監査室室長を経て、2020年より現職。


社外取締役は、伊藤誠英(VTホールディングス専務取締役)、山内一郎(VTホールディングス常務取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「金属製品事業」、「電子部品事業」、「不動産事業」、「化成品事業」および「その他の事業」を展開しています。

(1) 金属製品事業


自動車、産業機器、精密機器及び建材等に使用されるねじ製品のほか、精密ばね部品やその関連品の製造、販売、加工を行っています。また、ねじ、プレス品、樹脂成形品等の仕入販売も行っています。主要な顧客は自動車業界や産業機器メーカー等です。

収益は、顧客への製品販売や加工サービスの対価として得ています。運営は、国内ではヤマシナ、山添製作所、中国山科サービス、LADVIKが、海外ではYAMASHINA BANGKOK FASTENING Co.,LTD.、LADVIK(THAILAND) Co.,LTD.が行っています。

(2) 電子部品事業


産業機器用、通信用、輸送用、音響機器用等の電線・ケーブルの製造販売や端末加工を行っています。また、半導体・電子部品等の仕入販売も行っています。2024年3月期より、報告セグメントの名称を「電線・ケーブル事業」から変更しました。

収益は、製品の販売対価として得ています。運営は、三陽工業、三陽電線加工、三陽工業有限公司、および新たに子会社化したヤマヤエレクトロニクスが行っています。

(3) 不動産事業


同社が保有する不動産を活用した賃貸事業を行っています。

収益は、テナントからの賃貸料収入です。運営は主にヤマシナが行っています。

(4) 化成品事業


化成品素材等の加工および販売を行っています。

収益は、製品の販売対価として得ています。運営は、LADVIKが行っています。

(5) その他の事業


保有不動産の有効活用を目的とした売電事業を行っています。

収益は、電力会社等への売電収入です。運営はヤマシナが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は増加傾向にあり、特に2022年3月期以降は100億円台で推移しています。一方、利益面では2022年3月期をピークに減少傾向が見られます。2024年3月期は、増収を確保したものの、利益率は低下しており、経常利益、当期純利益ともに前期を下回る結果となりました。

項目 2020年3月期 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期
売上高 95億円 93億円 110億円 119億円 122億円
経常利益 4億円 5億円 8億円 7億円 4億円
利益率(%) 4.2% 5.9% 7.1% 5.7% 3.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 1億円 1億円 2億円 2億円 2億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は増加しましたが、売上原価の増加率が売上高の伸びを上回り、売上総利益は減少しました。販売費及び一般管理費も増加しており、これらの要因により営業利益は前期比で大きく減少しています。利益率の低下が課題となっています。

項目 2023年3月期 2024年3月期
売上高 119億円 122億円
売上総利益 24億円 22億円
売上総利益率(%) 20.4% 18.0%
営業利益 6億円 3億円
営業利益率(%) 5.4% 2.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が6億円(構成比33%)、荷造運送費が2億円(同10%)を占めています。売上原価については、製品製造原価等の詳細な内訳記載はありませんが、原材料費や外注費の高騰が影響しています。

(3) セグメント収益


金属製品事業は微減収となり、コスト増により大幅な減益となりました。電子部品事業はM&A効果等で増収となりましたが、費用増により減益でした。不動産事業と化成品事業は増収増益となりました。全体としては、主力である金属製品事業の利益減少が連結業績に大きく影響しています。

区分 売上(2023年3月期) 売上(2024年3月期) 利益(2023年3月期) 利益(2024年3月期) 利益率
金属製品事業 79億円 79億円 5億円 3億円 3.4%
電子部品事業 16億円 16億円 1億円 0億円 1.9%
不動産事業 2億円 2億円 1億円 1億円 47.0%
化成品事業 21億円 23億円 2億円 2億円 7.4%
その他 1億円 1億円 0億円 0億円 3.0%
調整額 0億円 0億円 -2億円 -3億円 -
連結(合計) 119億円 122億円 6億円 3億円 2.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は「積極型」です。本業で得た資金(営業CFプラス)と借入等による調達資金(財務CFプラス)を合わせ、設備投資やM&Aなどの投資活動(投資CFマイナス)に積極的に振り向けている状態です。

項目 2023年3月期 2024年3月期
営業CF 5億円 10億円
投資CF -10億円 -6億円
財務CF -2億円 4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は63.6%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「不可能を可能に変える斬新で安全な技術を、世界の産業に広く安定供給し、すべての人のすばらしい未来と豊かな生活に貢献する」を経営理念として掲げています。モノづくりを通じて社会の課題解決に貢献し、グループの持続的な成長を通じてサステナビリティへの貢献を実現することを目指しています。

(2) 企業文化


「経営基盤確保と新規分野への展開」を基本方針とし、過去の慣例にとらわれない生産管理体制の構築や、常に改善に取り組む姿勢を重視しています。市場ニーズの把握や技術研究開発を進めるとともに、挑戦的な製造技術の開発により顧客対応力を高めることを目指す文化があります。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、製造業本来のものづくりによる収益力確保の観点から、売上高営業利益率を重要な経営指標と捉えています。当面の目標として、この指標を安定して5%以上確保できるよう努めています。

(4) 成長戦略と重点施策


新製品・新市場開発による事業拡大と、生産効率改善による高収益体質の実現を進めています。金属製品、電子部品、化成品事業において、顧客のコスト削減に寄与できる技術開発を進め、市場優位性を築く方針です。また、市場のグローバル化に対応できる経営管理能力の確立や、M&Aによる電子部品事業の拡充など、新規分野への展開も図っています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「人的資本」を持続的成長に不可欠な要素と位置づけています。教育制度として社内外の研修や資格取得支援、ジョブローテーションを実施し、個人のキャリア開発を支援しています。また、高い専門性を持つキャリア人材の採用や、ダイバーシティ&インクルージョンの推進、健康経営による働きやすい職場環境づくりに注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2024年3月期 46.2歳 19.8年 4,706,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は提出会社および連結子会社(LADVIK)が公表義務の対象ですが、有価証券報告書では法定項目以外の項目を公表しているため、法定開示項目の記載を省略しています。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、キャリア人材の採用人数(3年間で累計25人)、次世代リーダー教育の受講率(実績57%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済環境の変化


日本およびアジアで事業を展開しており、世界各国の景気変動や、取引先の海外展開に伴う現地の法令・経済環境の変化が業績に影響を与える可能性があります。特に主要取引先である自動車業界における海外生産化やグローバル調達の強化等は、同社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原材料・資材調達等原価の上昇


製造・加工に必要な原材料や資材の価格が上昇した場合、業績に悪影響が及ぶ可能性があります。生産効率の向上や原材料の効率的な使用などの対策を講じていますが、リスクを完全に排除することは困難です。仕入先との連携強化や受注予測の精度向上などで対策を進めています。

(3) 品質管理リスク


厳格な品質管理を行っていますが、製品に欠陥等の問題が生じた場合、損害賠償や信用の低下により業績に悪影響が及ぶ可能性があります。独自の品質基準による向上や関連法規の遵守、賠償責任保険への加入等によりリスク低減を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。