※本記事は、NTN株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月17日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
NTNグループは、軸受商品およびCVJアクスル商品などの製造販売を主な事業内容としています。アフターマーケット向け、産業機械市場向け、自動車市場向けに製品を提供しています。
単体従業員数は5,478名、連結従業員数は21,305名です。セグメントは日本、米州、欧州、アジア他の4つです。
主な国内グループ会社は、NTNセールスジャパン、NTN三重製作所(軸受製造)、NTN宝達志水製作所(〃)、NTN袋井製作所(等速ジョイント製造)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
NTNは、グローバルに事業を展開する企業として、従業員の成長と働きがいを重視した人的資本経営を推進しています。社会課題解決と企業価値向上を両立させる「なめらかな社会」の実現に向け、多様な人材が活躍できる環境づくりに注力していることが特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の長期的なキャリア形成を支援する傾向が見られます。平均勤続年数や平均年齢から、安定して働き続けられる環境がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,456,517円 |
| 平均勤続年数 | 19.6年 |
| 平均年齢 | 41.7歳 |
| 単体従業員数 | 5,478人 |
| 連結従業員数 | 21,305人 |
| 単体のグループ内比率 | 25.7% |
同社および一部の国内連結子会社、一部の海外連結子会社では、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する制度)の退職給付制度を設けています。退職給付債務は864億円、年金資産は871億円となっています。
退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
NTNは「豊かな人づくり」を掲げ、従業員が事業活動を通じて成長し、イキイキと働くことができる企業グループを目指しています。人的資本の価値を最大限引き出し、成長させることで持続的な企業価値向上を図る方針です。人材戦略の柱として、「変革に挑戦する次世代を担う人材の確保」「社員の多様性を尊重した働きがいのある環境づくり」「職場の学ぶ文化と育成する風土の醸成」「安全・健康に働きイノベーティブな発想ができる職場環境の実現」「人権の尊重」の5つを掲げています。
従業員への処遇は重要な人材投資と位置づけ、労働市場や物価動向を踏まえ、安心して長期的に働き、成長に挑戦できる環境を整える観点から賃金水準や処遇のあり方を検討しています。管理職については、2024年度よりポジションごとの役割の大きさや責任に基づく処遇体系を採用し、年功ではなく役割や成果への貢献度を重視した給与制度を導入しています。基本報酬は人事考課結果に応じた報酬テーブルに基づき決定され、賞与は連結営業利益率と連動する仕組みです。
一般職の給与は、年齢給と職能給を組み合わせた基本給が中心で、長期的な人材育成と雇用の安定を重視しています。人事考課の結果は賞与と昇給に反映され、賞与やベースアップは労働組合との協議を経て決定されます。同社では、ベースアップと定期昇給を合わせた賃金改定を2年連続で5%以上実施しています。
具体的な取り組みとして、2024年4月より管理職層の人事制度を人の能力基準から仕事基準へ変更し、マネジメント人材と特定分野・領域の専門性を磨くエキスパート人材のコースを設定しました。エキスパートコースの人数は増加傾向にあり、専門性を軸としたキャリア形成への理解が社内で広がりつつあります。また、若年層の段階から専門性を意識したキャリア形成を支援するため、初期配属職種確約型採用を推進し、入社時点から自身の専門領域を見据えてキャリアをスタートできる環境を整えています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男女間で賃金体系及び制度上の違いはありませんが、職種間の人員構成や管理職比率、等級別人員構成の男女差により賃金差異が生じています。男性育児休業取得率は、過年度に配偶者が出産した従業員が当事業年度に育児休業を取得することがあるため、100%を超えることがあります。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性従業員の割合 | 4.9% |
| 男性従業員の育児休業取得率 | 89.6% |
| 従業員の男女の賃金の差異(全従業員) | 79.7% |
| 従業員の男女の賃金の差異(従業員) | 79.9% |
| 従業員の男女の賃金の差異(非正規雇用従業員) | 84.4% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ 株式会社NTNセールスジャパン
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性従業員の割合 | 5.7% |
| 男性従業員の育児休業取得率 | 66.6% |
| 従業員の男女の賃金の差異(全従業員) | 84.7% |
| 従業員の男女の賃金の差異(従業員) | 86.0% |
| 従業員の男女の賃金の差異(非正規雇用従業員) | 74.8% |
▼ 株式会社NTN三重製作所
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性従業員の割合 | 2.7% |
| 男性従業員の育児休業取得率 | 84.6% |
| 従業員の男女の賃金の差異(全従業員) | 71.6% |
| 従業員の男女の賃金の差異(従業員) | 79.3% |
| 従業員の男女の賃金の差異(非正規雇用従業員) | 94.5% |
▼ 株式会社NTN宝達志水製作所
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性従業員の割合 | 0.0% |
| 男性従業員の育児休業取得率 | 100.0% |
| 従業員の男女の賃金の差異(全従業員) | 94.2% |
| 従業員の男女の賃金の差異(従業員) | 94.2% |
| 従業員の男女の賃金の差異(非正規雇用従業員) | - |
グループ全体(連結)
当社及び国内連結子会社を対象とした集計値です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性従業員の割合 | 4.7% |
| 男性従業員の育児休業取得率 | 86.2% |
| 従業員の男女の賃金の差異(全従業員) | 71.0% |
| 従業員の男女の賃金の差異(従業員) | 78.7% |
| 従業員の男女の賃金の差異(非正規雇用従業員) | 72.6% |
人材獲得と育成
エキスパートコース人数は、エキスパートコースとして認定され、就任を予定する人数です。従業員一人あたり研修時間・費用は提出会社単体の数値です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| エキスパートコース人数 | 12名 |
| サクセッションプラン候補者数 | 29名 |
| 従業員一人あたり研修時間 | 24.1時間 |
| 従業員一人あたり研修費用 | 33,108円 |
組織風土醸成
女性管理職比率、男性育児休業取得率、中途採用比率、障がい者雇用率は提出会社単体の数値です。従業員エンゲージメント調査は隔年で実施しており、2023年度および2025年度は一部の従業員を対象としたものです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 4.9% |
| 男性育児休業取得率 | 89.6% |
| 中途採用比率 | 19.4% |
| 障がい者雇用率 | 2.64% |
| 学びある失敗が許容される組織がある(肯定的回答率) | 56% |
| 新しい方法の提案が奨励される職場環境である(肯定的回答率) | 47% |
| 私は期待以上の成果を上げようと挑戦する(肯定的回答率) | 67% |
| NTNスピリットが実践されている(肯定的回答率) | 51% |
| 自分自身が働く意義を理解している(肯定的回答率) | 56% |
| お互いを尊重した部署間の協働がある(肯定的回答率) | 32% |
人権
人権教育受講者数は提出会社単体の数値です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 人権教育受講者数(延人数) | 2,673名 |
健康経営
適正な体重者の比率、高ストレス者の割合、労働災害(休業)発生件数は提出会社単体の数値です。労働災害(休業)発生件数の2025年度の集計対象期間は2024年12月16日から2025年12月15日です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 適正な体重者の比率(BMI18.5以上25未満の割合) | 65.4% |
| 高ストレス者の割合 | 8.9% |
| 労働災害(休業)発生件数 | 7件 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
NTNは、軸受商品とCVJアクスル商品を主力とする製造販売企業です。国内外の幅広い市場向けに製品を提供し、グローバルに事業を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、NTN株式会社と子会社73社、関連会社12社で構成されており、軸受商品およびCVJアクスル商品等の製造販売を主な事業内容としています。これらの商品は、アフターマーケット向け、産業機械市場向け、自動車市場向けに提供されています。収益は、これらの商品の製造・販売を通じて得られています。
同社グループの事業は「日本」「米州」「欧州」「アジア他」の4つの報告セグメントから構成されています。国内では主にNTNが製造・販売を行い、一部を国内製造関係会社や国内販売関係会社に委託しています。海外では、地区別に置かれた総支配人室が地域の事業活動を統括し、各地域の現地法人が事業戦略を策定・展開しています。海外売上高が全体の大部分を占めており、為替の変動が業績に影響を与える傾向にあります。
日本
軸受他事業ではアフターマーケット向けや産業機械向けで販売が増加しましたが、自動車向けでは減少しました。CVJアクスル事業では自動車向けで客先需要の低減により販売が減少しました。収益は軸受商品とCVJアクスル商品の製造販売から得ています。運営は主にNTNが行っています。
米州
軸受他事業は産業機械向け、CVJアクスル事業は自動車アフターマーケット向けで現地通貨ベースでは増加しました。しかし、為替の影響や自動車OEM向けでの客先需要低減の影響を受けました。収益は軸受商品とCVJアクスル商品の製造販売から得ています。運営は海外製造関係会社や海外販売関係会社が行っています。
欧州
軸受他事業は自動車向けで販売が減少しました。CVJアクスル事業においても、自動車OEM向けで客先需要の低減により販売が減少しました。収益は軸受商品とCVJアクスル商品の製造販売から得ています。運営は海外製造関係会社や海外販売関係会社が行っています。
アジア他
軸受他事業ではアフターマーケット向けおよび産業機械向けで販売が増加しましたが、自動車向けでは減少しました。CVJアクスル事業では自動車アフターマーケット向けで増加しましたが、自動車OEM向けで客先需要の低減により販売が減少しました。収益は軸受商品とCVJアクスル商品の製造販売から得ています。運営は海外製造関係会社や海外販売関係会社が行っています。
事業形態別では、CVJアクスル事業が軸受他事業よりも大きな売上高を占めています。当期は軸受他事業の売上高が前期から増加しましたが、営業利益は減少しました。一方、CVJアクスル事業の売上高は前期から減少しましたが、営業利益は大きく増加しました。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 米州 | 2,695億円 | 2,625億円 |
| 日本 | 2,152億円 | 2,164億円 |
| 欧州 | 1,863億円 | 1,936億円 |
| アジア他 | 1,545億円 | 1,539億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、直近5期間で増加傾向にあり、当期は前期からわずかに増加しました。経常利益は変動が見られるものの、当期は前期から大きく増加しています。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に損失を計上しましたが、当期は黒字に転換し、大幅な改善を示しました。営業活動によるキャッシュ・フローは堅調に推移しており、本業での資金創出力は維持されています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 6,420億円 | 7,740億円 | 8,363億円 | 8,256億円 | 8,263億円 |
| 経常利益 | 68.2億円 | 120億円 | 200億円 | 105億円 | 235億円 |
| 経常利益率 | 1.1% | 1.6% | 2.4% | 1.3% | 2.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 73.4億円 | 104億円 | 106億円 | △238億円 | 129億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 13.83 | 19.53 | 19.91 | △44.90 | 23.40 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの連結従業員数は前期から減少傾向にあります。従業員1人あたりの売上高は前期からわずかに増加し、従業員1人あたりの営業利益は前期から大きく増加しました。これは、売価転嫁や変動費の削減といった事業構造改革の実行が、従業員一人ひとりの稼ぐ力の向上に寄与していることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 37.5百万円 | 38.8百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.0百万円 | 1.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、事業活動で安定的に資金を生み出し、将来に向けた投資も行いながら、資金の余力を確保している状態です。これにより、経営の安定性が維持されていることが示されています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率が前期から上昇し、安定性を高めています。プライム市場の製造業平均と比較すると、自己資本比率は下回る水準です。ROE(自己資本利益率)は当期にプラスに転じましたが、プライム市場平均を下回っています。手元資金である現金及び預金は増加傾向にあり、事業運営における資金の安定性が確保されていることが示されています。これらの財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性を考える上で重要な要素となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 2,487億円 | 3,114億円 |
| 自己資本比率 | 27.2% | 33.8% |
| ROE(自己資本利益率) | -9.6% | 4.9% |
| 現金及び預金 | 1,315億円 | 1,326億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業の営業活動で安定的に資金を生み出しており、その規模は前期から増加しています。これは主に減価償却費や税金等調整前当期純利益、棚卸資産の増減による収入が寄与しています。投資活動では、主に有形固定資産の取得による支出があり、前期よりも支出が増加しました。財務活動では、長期借入金の返済や社債の償還による支出が、長期借入れによる収入を上回り、資金を使用する状況となっています。結果として、自由に使える資金であるフリーキャッシュフローは前期から増加しており、本業で稼いだ資金を投資に回しつつ、なお余剰資金を生み出している優良な状態を示しています。この資金の流れは、同社グループが安定した事業運営を継続し、将来の成長に向けた投資余力も確保していることを示唆しており、雇用や給与の安定性にもつながる要素です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 456億円 | 572億円 |
| 投資CF | △260億円 | △263億円 |
| 財務CF | △187億円 | △353億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 197億円 | 309億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、グローバルな競争環境の厳しさや新興国製品の台頭により、市場価格の低下圧力が財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、軸受部門および等速ジョイント部門において自動車業界への依存度が高く、自動車分野における急激な需要変動があった場合、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループはグローバルに事業を展開しており、海外での事業展開に伴う人材確保の困難性がリスクとして挙げられています。
④ 雇用安定性・リストラ
同社グループは当連結会計年度に構造改革費用として32億円を計上しています。この費用は事業再編や拠点統廃合、人員削減等に伴うものであり、転職先を検討する際に留意すべき情報です。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
NTNは、企業理念である「なめらかな社会」の実現を目指し、人権尊重とコンプライアンスを重視する企業です。社会から信頼され、必要とされる企業であり続けることを経営の基本方針としています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
NTNグループは、「なめらかな社会」(人と自然が調和し、人々が安心して豊かに暮らせる社会)の実現を経営の基本方針としています。企業理念として「新しい技術の創造と新商品の開発を通じて国際社会に貢献する」ことを掲げています。具体的には、独創的技術の創造、客先及び最終消費者に適合した付加価値技術及びサービスの提供を目指しています。また、着実な業績の伸長の下での社員の生活向上、株主への利益還元、社会への貢献、グローバリゼーションの推進と国際企業にふさわしい経営・企業形態の形成を追求しています。長期ビジョンとして、2035年度にはOEMとアフターマーケットの両輪で安定的に稼ぐ事業構造への変革、カーボンニュートラルの達成、豊かな人づくりの実現を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、ステークホルダーへの姿勢として、従業員の多様性と個性の尊重、安全で健康的な職場環境づくりに努めています。お客様に対しては、安全・安心で信頼性の高い商品・サービスを提供し、満足を追求する姿勢です。事業運営の柱となるポリシーとして「SQCCD」を掲げています。これはSafety(安全)、Quality(品質)、Compliance(法令遵守)、Cost(コスト)&Cash(キャッシュ)、Delivery(納期)&Development(開発)の頭文字を取ったものです。「創業者の精神」「企業理念」「NTNスピリット」に代表される企業理念体系を従業員に定着させ、全世界の従業員が日頃から身近な心構えとして活用できるように徹底しています。人的資本経営では、従業員が「成長」し「イキイキと働く」ことができる企業グループであり続けることを目指し、企業文化を育み、人事制度や職場環境を整えることで人的資本の価値を最大限引き出す方針です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、「なめらかな社会」の実現に向け、13項目のマテリアリティを特定し、対応施策の策定と進捗確認を行っています。中期経営計画「DRIVE NTN100」Finalでは、生産再編を中心とした事業構造改革と「SQCCD」の強化に注力しています。基本戦略として、AI等のデジタル技術と経営資源の融合による事業構造変革の加速を掲げています。サステナビリティ活動では、カーボンニュートラル、電動化、労働力不足、人権問題などのリスクと機会を分析し、マテリアリティに沿った対応策を講じています。人的資本経営では、「豊かな人づくり」を実現するため、人材確保、多様な働きがいのある環境づくり、学ぶ文化の醸成、安全・健康な職場環境、人権尊重の5つの柱を推進しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
NTNは、2019年6月25日に監査役会設置会社から指名委員会等設置会社へ移行しました。これは、迅速な意思決定と業務執行体制を構築し、経営の監督機能と透明性・公正性を強化することを目的としています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)が筆頭株主であり、次いで日本カストディ銀行(信託口)が続きます。機関投資家や信託銀行が上位に名を連ねる一方で、明治安田生命保険相互会社のような生命保険会社も主要株主となっています。また、NTN共栄会やNTN従業員持株会といった同社グループの関係者も上位株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 13.85% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 4.84% |
| 明治安田生命保険相互会社 | 3.57% |
| 野村信託銀行(投信口) | 3.17% |
| NTN共栄会 | 2.92% |
なお、JPモルガン証券、三菱UFJフィナンシャル・グループ、野村證券から変更報告書が提出されていますが、同社として2026年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができないため、上記大株主の状況は株主名簿に基づいて記載されています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は23名(男性21名・女性2名)で構成され、女性役員比率は8.6%です。代表執行役執行役社長CEOは鵜飼英一氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 鵜飼 英一 | 取締役 指名委員会委員 報酬委員会委員 | 1980年4月同社入社、品質管理部長、執行役員、常務執行役員を経て、2017年6月同社取締役、2021年4月同社執行役社長より現職。 |
| 山本 正明 | 取締役 報酬委員会委員 | 1986年4月同社入社、財務本部財務経理部長、経営戦略本部経営管理部長、中国地区副総支配人、執行役員を経て、2019年6月同社執行役、2022年6月同社取締役より現職。 |
| 木下 俊平 | 取締役 | 1988年4月同社入社、S.N.R. ROULEMENTS部長、NTN TRANSMISSIONS EUROPE副社長、中国地区副総支配人、経営戦略本部副本部長を経て、2022年4月同社執行役、2023年6月同社取締役より現職。 |
| 孝橋 宏二 | 取締役 | 1983年4月同社入社、経営戦略本部IR・広報部長、経営戦略本部副本部長、情報企画部長を経て、2022年4月同社執行役、2025年6月同社取締役より現職。 |
| 江上 正樹 | 取締役 監査委員会委員 | 1980年4月同社入社、要素技術研究所長、先端技術研究所長、環境・知財部長、商品開発研究所長、執行役員、常務執行役員を経て、2020年7月同社取締役より現職。 |
| 播磨 悦 | 取締役 指名委員会委員 監査委員会委員 | 1983年4月同社入社、品質管理部長、岡山製作所副所長、自動車事業本部副本部長、執行役員を経て、2025年6月同社取締役より現職。 |
社外取締役は、川上良氏(弁護士法人大阪西総合法律事務所代表社員・指名委員会委員・監査委員会委員)、小松百合弥氏(株式会社ドリームインキュベータ社外取締役・取締役会議長・報酬委員会委員)、村越晃氏(三菱商事株式会社常勤監査役・指名委員会委員長・報酬委員会委員)、木谷泰夫氏(元株式会社T&Tアド代表取締役社長・指名委員会委員・監査委員会委員長)、塔下辰彦氏(元伊藤忠丸紅鉄鋼代表取締役社長・監査委員会委員・報酬委員会委員長)、和田浩美氏(株式会社i-Golfスタジオ代表取締役・報酬委員会委員)です。
同社は指名委員会等設置会社であり、迅速な意思決定と業務執行、そして経営の監督機能強化と透明性・公正性の向上を目指しています。社外取締役は、業務執行者から独立した立場で経営を監督し、持続的な企業価値向上に貢献することが期待されています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、取締役(執行役兼務者を除く)に対しては固定報酬のみ、執行役に対しては固定報酬と業績連動報酬(年次インセンティブとしての賞与、中長期型インセンティブとしての株式報酬)で構成されています。固定報酬と業績連動報酬の割合は概ね5:5を標準としています。年次インセンティブは単年度業績を反映し、連結業績の投下資本利益率(ROIC)を基本に決定されます。中長期型インセンティブは中期経営計画の主要目標値(営業利益率、売上高など)の達成度に基づき、当社株式の交付(一部金銭給付)が行われます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役 | - | 1.6億円 | - |
| うち社外取締役 | - | 98百万円 | - |
| 執行役 | - | 4.9億円 | - |
なお、取締役を兼務する執行役の報酬は執行役の欄に記載されています。また、賞与の額は当期における役員賞与引当金繰入額であり、株式報酬の額は当期の業績に基づくポイントに係る費用計上額です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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