※本記事は、株式会社テクノスマート の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
テクノスマートは機械器具製造業を営んでおり、フィルムや金属箔、紙などの基材に機能性を持たせる塗工乾燥装置を主力としています。各種乾燥機、熱処理機、化工機、その他産業機械の設計、製作、据付販売を手がけています。
単体従業員数は255名です。同社は機械器具製造業の単一セグメントで事業を展開しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
テクノスマートは、コーティング・乾燥技術を専門とする企業として、技術力の向上と人材育成に注力しています。従業員のワークライフバランスを重視し、働きやすい環境づくりにも取り組んでいることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、従業員が長期にわたって安定して勤務する傾向が見られます。これは、培われた技術やノウハウが社内で継承されやすい環境であることにもつながると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,162,275円 |
| 平均勤続年数 | 18年3ヶ月 |
| 平均年齢 | 42歳6ヶ月 |
| 単体従業員数 | 255人 |
同社は、従業員の退職給付制度として、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる確定給付型と、会社が拠出した資金を従業員が運用する確定拠出型の両方を採用しています。
この制度は同社の従業員を対象としています。退職一時金制度も設けられていますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、退職給付債務は9.2億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は、中期経営計画の実現に向け、豊富な経験と先端知識を持つコーティング・乾燥技術のプロ集団の育成を最重要課題と位置付けています。人材の確保と定着、そして技能やノウハウの継承に力を入れています。
報酬体系は年齢給、職能給、役職に応じた職制手当、各種手当、賞与で構成されており、従業員の職務内容、能力、成果、責任の程度、会社業績を総合的に勘案して決定されます。評価制度は、職務遂行度、努力度、能力保有度を公正に把握し、職能資格制度における能力要件や成果に基づき、昇格、昇給、賞与に反映される仕組みです。
技術力、開発力、営業力、製造能力の向上を目指し、新卒採用と多様性のある中途採用を強化し、研修・教育に積極的な投資を行っています。特に、設計技術者と研究開発技術者の協働ミーティングや、製造工程の自動化・半自動化、営業部門の情報連携強化など、各部門での具体的な取り組みを進めています。
また、新規開発における特許申請や社員表彰を通じてモチベーション向上を図り、職能制度やコース制度に基づく教育・研修計画により経営幹部や中核人材の育成にも注力しています。女性、外国人、中途採用者の管理職登用を含む多様な人材の育成や、資格取得支援制度、年次有給休暇・産休・育児休業の取得奨励による働きやすい環境づくりにも取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。労働者の男女の賃金の額の差異は、女性活躍推進法に基づく公表義務の対象ではないため、記載を省略しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 労働者に占める女性の割合 | 12.2% |
| 役員に占める女性の割合 | 12.5% |
| 管理職に占める女性の割合 | 0.0% |
| 総合職に占める女性の割合 | 6.8% |
| 技術部門における女性の割合 | 12.8% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 平均勤続年数(全体) | 18.3年 |
| 平均勤続年数(男性) | 19.3年 |
| 平均勤続年数(女性) | 10.4年 |
| 労働者の一月当たりの平均残業時間(全体) | 18.3時間 |
| 労働者の一月当たりの平均残業時間(男性) | 19.9時間 |
| 労働者の一月当たりの平均残業時間(女性) | 7.7時間 |
| 有給休暇取得率(全体) | 81.5% |
| 有給休暇取得率(男性) | 80.2% |
| 有給休暇取得率(女性) | 92.5% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
テクノスマートは、機械器具製造業を営む会社です。フィルムや金属箔、紙などの基材にさまざまな機能性を持たせるための塗工乾燥装置を主力としており、各種乾燥機、熱処理機、化工機、その他産業機械の設計、製作、据付販売を手掛けています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は単一セグメントで事業を展開しており、主に機能性材料の製造プロセスに不可欠な装置を提供することで収益を上げています。主力製品はディスプレイ部品関連機器や機能性フィルム関連塗工機器であり、これらが同社の売上を大きく支えています。
また、電子部品関連塗工機器やエネルギー関連機器も手掛けていますが、これらは前期から売上が減少する傾向にあります。一方で、ディスプレイ部品関連機器と機能性フィルム関連塗工機器は前期から売上が増加しました。
同社の売上高に占める輸出の割合は過半数を超えており、前期からその比率をさらに高めています。電気自動車(EV)市場の需要鈍化の影響を受けつつも、液晶テレビやスマートフォン、タブレット端末用の光学フィルム、タッチパネル用塗工乾燥装置、電子部品関連塗工装置の安定的な受注を確保しています。
今後は、ペロブスカイト太陽電池や全固体電池といった新エネルギー関連業界への取り組みも強化していく方針です。特定の顧客への販売実績も存在し、椿本興業株式会社が同社の主要な取引先の一つとなっています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の直近の業績は、売上高が前期から減少しました。一方で、売上総利益は前期から増加しています。
しかし、販売費及び一般管理費が前期から増加したことにより、営業利益、経常利益、当期純利益はいずれも前期から減少する結果となりました。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社の財務基盤は、自己資本比率やキャッシュフローの状況からその安定性を把握できます。事業活動を通じて資金をどのように生み出し、投資しているかを確認することで、同社の現在地が見えてきます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤は、自己資本比率やROEの推移からその安定性を確認できます。自己資本比率はプライム市場の製造業平均と比較して高い水準にあり、財務の健全性を示しています。ROEは前期から低下していますが、依然として一定の収益性を維持している状況です。これらの指標は、同社の事業運営における安定性を示すものとなっています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | 60.2% | 68.1% |
| ROE(自己資本利益率) | 12.2% | 8.9% |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社のキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが当期に増加し、資金の流入を示しています。投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得により資金を使用しており、事業への投資が行われている状況です。財務活動によるキャッシュフローは、配当金の支払いにより資金が減少しています。営業活動で得られた資金が投資活動による支出を上回っており、フリーキャッシュフローはプラスとなっています。これは、同社が本業で安定的に資金を生み出し、事業の維持や成長に必要な投資を行いながらも、手元に資金を残している状態を示しています。このような資金の流れは、同社の事業運営が安定しており、将来的な雇用や給与の安定性につながる傾向があることを示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △15.3億円 | 50.7億円 |
| 投資CF | △8.2億円 | △6.6億円 |
| 財務CF | △3.7億円 | △9.0億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △23.5億円 | 44.2億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は100%受注生産により塗工乾燥設備を販売しており、各販売先の設備投資の動向に大きく影響を受ける体質です。世界市場の景気低迷や地政学リスク、感染症等により、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。また、競合先が複数存在し、需要減少期には厳しい価格競争に陥るリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、今後の事業継続のために優秀な人材の確保及び育成が重要な課題であると認識しています。求める人材を適切な時期に確保・育成できなかった場合や、既存の人材が社外へ流出した場合には、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
テクノスマートは、コーティング・乾燥技術のプロ集団として、お客様を第一に考え、ベストソリューションを提供し続けることを目指しています。持続的な成長と企業価値の最大化を通じて、株主や顧客の期待に応えることを経営の基本方針としています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は、持続的な成長発展を図り、企業価値の最大化に努めることを経営方針としています。常にお客様を第一とし、ベストソリューションを提供し続けるコーティング・乾燥技術のプロ集団を目指しています。
事業の柱として、スマートフォンやテレビなどの光学系ディスプレイ分野、およびエネルギー関連分野の車載用リチウムイオン二次電池分野に注力しています。今後は、新エネルギーとして期待される各種製品関連設備や、半導体及び電子部品関連分野への販売強化を通じて、幅広い分野での受注獲得を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は「Changing Life with Coating Technology」をスローガンに掲げ、お客様との協働を重視する企業風土です。開発力、経験豊富な技術者によるサポート、守秘義務の遵守を通じて、顧客満足度の向上に努めています。
サステナビリティを重要な経営課題と位置づけ、環境保護、顧客保護、地域社会への支援、人権の尊重、労働環境の保全に取り組んでいます。また、技術力、開発力、営業力、製造能力の向上を目指し、新卒・中途採用の強化や研修・教育への積極的な投資を行っています。多様な人材の確保・育成、知的財産への投資、資格取得支援制度の導入、働きやすい環境づくりにも力を入れています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、第4次中期経営計画に基づき、企業価値の向上と持続的な成長を目指しています。ディスプレイパネル関連分野での需要確保に加え、エネルギー関連分野では次世代新型二次電池の共同研究開発を進めています。
装置の自動化・省力化ニーズに対応するため、技術開発と提案力の強化を推進しています。さらに、サステナビリティ、DX、設備の安全・安心・安定化、省エネルギー化といった分野での新技術開発と導入にも積極的に取り組んでいます。顧客との連携による製品開発を通じて、新素材や新技術に関する情報収集を行い、営業展開の幅を広げることも重点テーマです。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
テクノスマートは監査等委員会制度を採用しており、取締役会の監督機能の強化を通じて、公正で透明性の高い経営体制を構築しています。独立社外取締役が指名・報酬委員会の過半数を占めることで、取締役の指名や報酬決定プロセスの客観性を確保しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
テクノスマート取引先持株会が筆頭株主であり、複数の投資事業有限責任組合も主要株主として名を連ねています。幅広い層からの資本によって支えられていることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| テクノスマート取引先持株会 | 14.34% |
| エスアイエル投資事業有限責任組合 | 9.44% |
| 光通信KK投資事業有限責任組合 | 7.01% |
なお、大量保有報告書によると、エフィッシモ キャピタル マネージメント ピーティーイー エルティーディーは2024年10月31日現在で6.60%の株式を、光通信株式会社とその共同保有者3社は2025年9月19日現在で合計20.48%の株式を所有している旨が記載されています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は飯田陽弘氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 飯田 陽弘 | 取締役社長 (代表取締役) | 1988年同社入社後、技術部門の要職を歴任。2021年常務取締役、2024年代表取締役社長に就任し現職。 |
| 西宮 良材 | 常務取締役 滋賀事業所長兼 製造統括兼 資材統括 | 1988年日立マクセル入社。2017年同社入社後、製造統括部長を経て2024年常務取締役に就任し現職。 |
| 下村 壽一 | 取締役 技術統括部長 | 1994年同社入社後、機械技術部門で経験を積み、2017年取締役就任。2021年より技術統括部長を務め現職。 |
| 髙橋 要 | 取締役 管理統括部長 | 1985年マネジメント・サービス・センター入社。監査室長、執行役員を経て2024年取締役管理統括部長に就任し現職。 |
| 三沢 浩司 | 取締役 営業統括部長兼東京支店長 | 1996年同社入社後、営業部門で経験を積み、2024年執行役員を経て取締役営業統括部長兼東京支店長に就任し現職。 |
社外取締役は、青木透氏(キャリバーマネジメントAOKI代表・監査等委員)、岡健治氏(岡会計事務所開設・監査等委員)、平松亜矢子氏(共栄法律事務所パートナー・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会の監督機能の強化を図っています。独立社外取締役が指名・報酬委員会の委員の過半数を占め、客観性と透明性を確保する体制です。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、企業価値の持続的な向上を促すインセンティブとして、企業業績と連動した報酬体系を採用しています。業務執行取締役の報酬は、月例報酬の固定制に加え、利益連動報酬と業績連動型株式報酬で構成されています。社外取締役の報酬は、監督機能を重視し月例報酬のみとなっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 5名 | 1.9億円 | 39.0百万円 |
| 社外取締役 | 3名 | 18百万円 | 6.0百万円 |
取締役の支給額には使用人兼務取締役の使用人分給与及び賞与は含まれていません。また、取締役の非金銭報酬等の総額の内訳は、業績連動報酬11,707千円です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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