※本記事は、株式会社タカキタ の有価証券報告書(第80期、自 2023年4月1日 至 2024年3月31日、2024年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. タカキタってどんな会社?
タカキタは、飼料収穫機や土づくり作業機などを主力とする農機メーカーです。軸受加工事業も展開しています。
■(1) 会社概要
同社は、1912年に農具製作の創業から始まり、1945年に法人化されました。1962年に名証二部、1963年に東証二部へ上場し、1970年には光洋精工(現ジェイテクト)と業務提携して軸受事業を開始しました。1988年に現在の社名へ変更し、2015年には東証・名証一部へ指定替えを果たしました。
同社(単体)の従業員数は279名です。大株主の状況を見ると、筆頭株主は同社の持株会であり、第2位は農業機械大手の事業会社、第3位は電子機器部品メーカーとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| タカキタ持株会 | 17.16% |
| クボタ | 5.95% |
| タナシン電機 | 5.68% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性0名、計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は藤澤 龍也氏が務めています。社外取締役比率は30.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 藤澤 龍也 | 代表取締役社長 | 1994年入社。営業本部本州営業部長などを経て、2021年取締役執行役員、2023年取締役常務執行役員。2024年4月より現職。 |
| 松本 充生 | 取締役会長 | 1978年入社。営業部長、常務取締役農機事業部担当などを経て2011年代表取締役社長に就任。2024年4月より現職。 |
| 益満 亮 | 取締役専務執行役員 | 1981年入社。製造本部長、製造開発本部長、管理本部長などを歴任。現在は軸受部担当兼管理本部長を務める。 |
| 梨原 弘勝 | 取締役常務執行役員 | 南都銀行出身。2018年入社。経営企画室長、品質保証室長などを歴任。現在は品質保証室担当兼経営企画室長を務める。 |
| 藤原 康弘 | 取締役執行役員 | 1995年入社。製造開発本部開発部長などを経て、2023年取締役執行役員。2024年4月より開発本部長を務める。 |
| 栁島 大司 | 取締役執行役員 | 2001年入社。製造開発本部製造部長兼本社工場長などを経て、2024年6月より営業本部・海外営業本部担当兼製造本部長兼本社工場長。 |
| 沖 篤義 | 取締役(常勤監査等委員) | 1977年入社。総務部長、取締役専務執行役員管理本部長などを経て、2023年6月より現職。 |
社外取締役は、沖 恒弘(沖公認会計士・税理士事務所代表)、服部 永次(元南都銀行取締役)、向井 太志(高階&パートナーズ法律事務所パートナー弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「農業機械事業」および「軸受事業」を展開しています。
■(1) 農業機械事業
同社は主に酪農・畜産向けの飼料収穫機(牧草や飼料用トウモロコシ等の収穫用)や、土づくり関連作業機(肥料や土壌改良剤の散布用)などの農業用作業機を製造・販売しています。顧客は国内および海外の農業従事者や関連業者です。
収益は、製品および補用部品の販売代金から得ています。国内市場では農業の省力化やスマート農業への対応を進め、海外市場では韓国・欧州等の既存市場や新規市場開拓を行っています。運営は主にタカキタが行っています。
■(2) 軸受事業
産業用機械や鉄道車両用に使用される大型軸受の外輪・内輪の旋削、転子の旋削、研磨加工を行っています。ベアリングメーカーから原材料の支給を受け、加工を行う受託加工ビジネスです。
収益は、ベアリングメーカーに対する加工賃から得ています。徹底した納期・品質管理のもと、加工技術と設備を活かして収益力と生産性の向上を図っています。運営はタカキタが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は64億円から85億円へと着実に増加傾向にあります。経常利益も4億円台から10億円台へと大きく伸長しており、利益率も4.1%から12.1%へと大幅に改善しています。当期純利益も2億円台から6億円台へと増加し、増収増益基調が続いています。
| 項目 | 2020年3月期 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 64億円 | 65億円 | 70億円 | 77億円 | 85億円 |
| 経常利益 | 4億円 | 5億円 | 6億円 | 7億円 | 10億円 |
| 利益率(%) | 6.5% | 7.0% | 8.4% | 8.7% | 12.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 3億円 | 3億円 | 4億円 | 5億円 | 7億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益が増加しています。営業利益率も7.9%から11.5%へと向上しており、製品価格改定やコスト管理の効果が現れています。売上原価率は低下傾向にあり、収益性が高まっています。
| 項目 | 2023年3月期 | 2024年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 77億円 | 85億円 |
| 売上総利益 | 24億円 | 27億円 |
| 売上総利益率(%) | 30.7% | 32.4% |
| 営業利益 | 6億円 | 10億円 |
| 営業利益率(%) | 7.9% | 11.5% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が6億円(構成比34%)、支払運賃及び諸掛費が3億円(同15%)を占めています。
■(3) セグメント収益
農業機械事業は、国内・海外ともに細断型シリーズの売上が伸長し、価格改定の効果もあって増収増益となりました。軸受事業は、得意先からの受注減少により微減収となりましたが、利益面では黒字を確保しています。
| 区分 | 売上(2023年3月期) | 売上(2024年3月期) | 利益(2023年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 農業機械事業 | 73億円 | 80億円 | 6億円 | 9億円 | 11.5% |
| 軸受事業 | 5億円 | 5億円 | -0億円 | 0億円 | 0.7% |
| 連結(合計) | 77億円 | 85億円 | 6億円 | 10億円 | 11.5% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、営業活動で得た資金の範囲内で借入金の返済や投資を行っており、財務基盤の健全性を維持している「健全型」のキャッシュ・フロー状態にあります。
| 項目 | 2023年3月期 | 2024年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -0億円 | 6億円 |
| 投資CF | -1億円 | -1億円 |
| 財務CF | -3億円 | -2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は76.1%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「Purpose(存在意義)」として「未来をつくるイノベーションで、地球からの恵みをすべての人に届ける」を掲げています。創業以来、農作業機の総合メーカーとして農業の近代化に尽力し、革新的な技術や製品を通じて人々の暮らしを豊かにし、持続可能な未来の実現を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は「土に親しみ、土に生きる」をモットーとし、地球環境の保全や人と自然の共存を重視しています。価値観(WAY)として「常に現状否定に徹し、新たな視点で挑戦しよう」「常に一つ上の基準・視点に立って判断・行動しよう」を掲げ、地球に優しいモノづくりを通じて新しい技術と信頼を創造し続ける文化を持っています。
■(3) 経営計画・目標
創業120周年を見据えた長期経営計画「Offensive120」のもと、中期事業計画の最終年度である2026年3月期の財務目標として以下の数値を掲げています。
* 売上高:85億円
* 営業利益率:8.5%
* ROE:10%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、《貢献》《信頼》《CS》のビジョンのもと、国内農機ビジネスをコア事業としつつ海外市場への拡大を図っています。国内では「みどりの食料システム戦略」に対応した環境負荷低減製品やスマート農業技術の開発、海外では細断型シリーズ等を主力に既存市場の拡大と新規市場開拓を推進しています。
* 国内市場:有機肥料散布機等の環境対応製品の拡販、ICT技術開発によるスマート農業への対応。
* 海外市場:韓国・欧州等の既存市場拡大、および北米・中南米・インド・ASEAN等への販路拡大。
* 軸受事業:徹底した納期・品質管理による収益力と生産性の向上。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、変化の激しい経営環境に対応するため、異業種キャリアを持つ人材の積極的な採用と管理職登用を推進しています。また、性別、国籍、年齢等にかかわらず公正・公平な採用・登用を行い、多様性を尊重するとともに、従業員の健康維持、労働環境の向上、教育・育成への投資を通じて持続可能な事業活動に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2024年3月期 | 43.7歳 | 14.8年 | 5,446,780円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性育児休業取得率 | 71.4% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 75.0% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 75.0% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 95.8% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 農業環境の変動
主要事業である農業機械事業は、政府の農業政策の転換、農業従事者の高齢化、後継者不足による農家戸数の減少といった構造的な問題や、家畜伝染病などの影響を受けます。これらの外部環境の変動により農業市場が低迷した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 特定の販売先への依存
同社は販売先上位3社への売上高依存度が58.3%(2024年3月期)と高くなっています。主要販売先との取引関係は長年にわたり安定していますが、何らかの理由により取引関係に変化が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 原材料及び購入部品の調達
継続的なコストダウンや安定調達に努めていますが、原材料や購入部品の調達価格が高騰したり、調達数量に支障が生じたりした場合には、生産計画や販売計画に変動が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 製品の欠陥
製品の生産過程において全ての欠陥を排除することは困難であり、欠陥が発生する可能性があります。速やかな対策体制を整えていますが、対策費用や補償費用の発生、製品品質に対する信用低下により、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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