※本記事は、株式会社タカキタ の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
タカキタは、農業機械の製造・販売と軸受加工を手がける企業です。同社グループは、酪農・畜産用飼料収穫機や土づくり関連作業機などの農業用作業機、および産業用機械や鉄道車両用の大型軸受の加工を行っています。
単体従業員数は270名です。事業セグメントは農業機械事業と軸受事業の2つです。
国内においてはタカキタが農業機械の製造・販売および軸受加工を一手に担い、海外1社の関連会社を通じてグローバルに事業を展開しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社タカキタは、農業機械事業を主軸とする企業として、安定した事業基盤のもとで従業員の働きがいを重視しています。同社では、持続可能な農業の実現に貢献する事業活動を通じて、従業員一人ひとりの成長と活躍を支える環境づくりに注力していることがうかがえます。給与水準や福利厚生、人材育成への取り組みを通じて、長期的なキャリア形成を支援する姿勢が見られます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が比較的長く、平均年齢も40代前半であることから、長期的に安定して働く従業員が多い傾向にあると考えられます。これは、従業員が腰を据えてキャリアを築ける環境が整備されていることを示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,297,072円 |
| 平均勤続年数 | 15.1年 |
| 平均年齢 | 40.8歳 |
| 単体従業員数 | 270人 |
| 連結従業員数 | - |
同社は、従業員の退職給付に充てるため、積立型の確定給付制度と確定拠出制度を採用しています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。これらの制度は国内の従業員を対象としています。
退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、年金資産は8.5億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は、人材を最も重要な経営資源の一つと位置付け、人的資本への継続的な投資を通じて中長期的な事業成長と企業価値向上を目指すことを人材戦略の基本方針としています。TAKAKITA Philosophyを基盤とし、従業員一人ひとりが価値観を実践し、あるべき姿への理解と共感を深め、自発的に行動することで存在意義を体現する「価値創造型人材」の育成を目指しています。求める人材像として、「部門を超えた全社的な視点で自ら考え行動できる人材」「新しい業務や未経験の領域にもチャレンジし続けられる人材」「周りを巻き込む熱量と推進力がある人材」を定義し、採用・育成・配置・評価・処遇の各施策を一体的に推進しています。
報酬については、事業成長に対する従業員の貢献、将来への期待、並びに従業員の生活設計の維持・向上及び幸福度の向上を総合的に勘案し、公正かつ適切な処遇を通じてエンゲージメントとモチベーションの向上を図っています。賃金は外部水準、業績、個人評価等を総合的に勘案して決定され、労使交渉を通じた透明性の高いプロセスを確保しています。人事考課に基づく昇給・賞与配分により、成果及び貢献を適切に反映する仕組みを導入しています。
また、人的資本のさらなる強化を目的として、人事・給与制度の改革プロジェクトを推進しており、役割・成果の明確化による動機づけ強化、組織の新陳代謝促進、多様な働き方が実現できる環境整備、教育制度の拡充による人材成長と定着を基本方針としています。採用においてはスマート農業・電動化分野の開発人材やグローバル人材の確保を重点領域とし、育成では教育研修制度の整備や自発的な学習を促す組織風土の醸成に取り組んでいます。従業員の主体的な行動を促進するため「改善報告制度」を導入し、報奨制度の活用によりエンゲージメント向上と組織の活性化を図っています。安全衛生を経営の重要課題と位置付け、リスクアセスメントや安全教育、健康診断、メンタルヘルス対策、有給休暇取得促進などを実施しています。働き方の質的向上では、生産設備への投資やDX推進による業務効率化、時間外労働の適正化、仕事と子育ての両立支援(プラチナくるみん取得)などに取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。労働者の男女の賃金の額の差異について、賃金制度・体系において性別による差異はありません。男女の賃金の差異は、主に男女間の管理職比率及び雇用形態の差異によるものです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 3.2% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 85.7% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 73.6% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 73.7% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 108.9% |
育児・介護支援
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性従業員育児休業取得率(目標) | 30%以上 |
| 女性従業員育児休業取得率(目標) | 75%以上 |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 年次有給休暇の取得割合(目標) | 平均70%以上 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
タカキタは、農業機械の製造・販売と軸受加工を主な事業とする会社です。幅広い産業を支える製品を提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、農業機械事業と軸受事業の二つの事業を展開しています。農業機械事業では、牧草や飼料稲、飼料用とうもろこしの収穫に使う酪農・畜産用飼料収穫機や、肥料・土壌改良剤の散布に使う土づくり関連作業機などの農業用作業機を製造・販売しています。軸受事業では、ベアリングメーカーから原材料の支給を受け、産業用機械や鉄道車両用に使われる大型軸受の外輪・内輪の旋削、転子の旋削、研磨加工を行っています。同社の収益は、主に農業機械の販売と軸受の加工サービスから得られています。
農業機械事業
同社グループの主力事業であり、主に牧草や飼料稲、飼料用とうもろこしの収穫に用いられる酪農・畜産用飼料収穫機や、肥料・土壌改良剤の散布に用いられる土づくり関連作業機などの農業用作業機の製造と販売を行っています。
収益は、農業用作業機の販売から得ています。運営は、タカキタ及び関連会社が行っています。
軸受事業
同社は、ベアリングメーカーから原材料の支給を受け、産業用機械や鉄道車両用に使用される大型軸受の外輪・内輪の旋削、転子の旋削、研磨加工を行っています。
収益は、軸受の加工サービスから得ています。運営は、タカキタが行っています。
同社グループの売上高は、特定の顧客に集中する傾向があります。株式会社クボタ、ヤンマーアグリ株式会社、日本ニューホランド株式会社が主要な取引先となっています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 農業機械事業 | 65.6億円 | 61.3億円 |
| 軸受事業 | 4.5億円 | 4.2億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の直近の業績は、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のいずれも前期から減少する結果となりました。
特に当期純利益は大きく減少しており、事業環境の変化が影響していることがうかがえます。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社の従業員1人あたり売上高は、前期から当期にかけて減少する傾向を示しています。
これは、売上高の減少が影響していると考えられます。
組織全体の効率性や収益体質を維持していくための取り組みが重要となる状況です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 26.0百万円 | 24.3百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
タカキタは、本業で得た資金を事業投資に充てながら、財務基盤の安定性を維持しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
タカキタの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場平均(製造業46.8%)を上回る水準を維持しており、安定した状態を示しています。手元資金も確保されており、事業運営の安定性がうかがえます。一方で、ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均(9.4%)を下回る水準となっています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産合計 | 80.9億円 | 83.8億円 |
| 自己資本比率 | 80.7% | 84.2% |
| ROE(自己資本利益率) | 7.2% | 2.5% |
| 現金及び現金同等物 | 17.7億円 | 16.7億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
タカキタのキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが前期から増加し、当期は6.9億円のプラスとなっています。これは主に税引前当期純利益や減価償却費、売上債権や棚卸資産の減少などによるものです。
投資活動によるキャッシュフローは、前期の3.8億円のプラスから当期は△6.7億円のマイナスに転じています。これは主に有形固定資産の取得による支出があったためです。財務活動によるキャッシュフローは、前期の△83百万円から当期は△1.3億円とマイナス幅が拡大しており、主に配当金の支払額によるものです。
結果として、自由に使える資金を示すフリーキャッシュフローは、前期の7.2億円から当期は22百万円に減少しましたが、プラスを維持しています。同社は本業で得た資金を主に有形固定資産への投資に充てており、事業の安定性を維持しながら、将来に向けた投資を行っている状況です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 3.4億円 | 6.9億円 |
| 投資CF | 3.8億円 | △6.7億円 |
| 財務CF | △83百万円 | △1.3億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 7.2億円 | 22百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、主要事業である農業機械事業において、農業従事者の高齢化や後継者不足といった構造的な問題による市場低迷のリスクを認識しています。また、販売先上位3社への売上高依存度が高いこともリスクとして挙げています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、継続的な成長のために優秀な人材の採用と育成を重要な方針としています。しかし、採用計画に対する不足や人材の流出が継続した場合、業務停滞により経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があると認識しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
タカキタは、1912年の創業以来、農作業機の総合メーカーとして農業の近代化に尽力し、持続可能な未来の実現を目指しています。地球の恵みをすべての人に届けるという理念のもと、革新的な技術と製品を通じて社会に貢献する企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
タカキタは「未来をつくるイノベーションで、地球からの恵みをすべての人に届ける」ことをPurpose(存在意義)として掲げています。創業以来「土に親しみ、土に生きる」をモットーに農業の近代化に取り組み、地球に優しいモノづくりを通して新しい技術と信頼、感動を創造し続けています。Vision(あるべき姿)として「社会の課題を独自の価値観による製品提案で解決する貢献」「製品開発でグローバルニッチ市場のニーズに応える信頼」「お客様の期待を超える製品・サービスを提供するCS」を掲げ、創業120周年を見据えた長期経営計画「Offensive120」を推進しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
タカキタは「常に現状否定に徹し、新たな視点で挑戦しよう」「常に一つ上の基準・視点に立って判断・行動しよう」というWAY(価値観)を大切にしています。地球環境の保全と人と自然の共存を追求し、地球に優しいモノづくりを通じて社会貢献を果たすことを基本方針としています。また、外国人や障がい者の雇用など多様性を推進し、従業員の健康維持や労働環境の向上、労働災害防止といった安全衛生活動にも継続的に取り組む企業風土です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
タカキタは、農業人口の減少や高齢化、異常気象の頻発といった国内農業機械事業の課題に対し、スマート農業や省力化に資する製品開発を推進しています。食料安全保障の確保や国産飼料への切り替えニーズの高まりに対応するため、耕畜連携や循環型農業による持続可能な産業基盤の構築に貢献する技術開発を強化しています。また、環境負荷低減やカーボンニュートラルに資する土づくり関連製品など、高付加価値製品の市場投入を継続しています。人的資本への投資を継続しつつ、生産性向上や内製化による原価低減、業務改善、経費削減活動を通じて収益性の向上に取り組むことを重点テーマとしています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
タカキタは、取締役会と監査等委員会を設置し、経営の透明性と機動性の向上を目指すコーポレート・ガバナンス体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
タカキタの株主構成を見ると、筆頭株主はタカキタ持株会であり、同社の従業員による安定的な保有が特徴です。その他、クボタやタナシン電機といった事業会社が上位株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| タカキタ持株会 | 17.27% |
| クボタ | 5.84% |
| タナシン電機 | 5.58% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性10名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は藤澤龍也氏が務めています。社外取締役比率は30.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 藤澤 龍也 | 代表取締役社長 | 1994年4月同社入社、2023年6月同社取締役常務執行役員製造開発本部・海外営業本部担当兼営業本部長、2024年4月同社代表取締役社長に就任より現職。 |
| 益満 亮 | 取締役専務執行役員 軸受部担当 兼 管理本部長 | 1981年4月同社入社、2023年6月同社取締役専務執行役員管理本部長、2024年6月同社取締役専務執行役員軸受部担当兼管理本部長に就任より現職。 |
| 梨原 弘勝 | 取締役常務執行役員 品質保証室担当 兼 経営企画室長 | 1986年4月株式会社南都銀行入行、2023年6月同社取締役常務執行役員軸受部担当兼経営企画室長、2024年6月同社取締役常務執行役員品質保証室担当兼経営企画室長に就任より現職。 |
| 藤原 康弘 | 取締役執行役員 開発本部長 | 1995年4月同社入社、2023年6月同社取締役執行役員製造開発本部開発部長、2024年4月同社取締役執行役員開発本部長に就任より現職。 |
| 栁島 大司 | 取締役執行役員 営業本部・海外営業本部担当 兼 製造本部長 | 2001年4月同社入社、2024年6月同社取締役執行役員営業本部・海外営業本部担当兼製造本部長兼本社工場長、2025年7月同社取締役執行役員営業本部・海外営業本部担当兼製造本部長に就任より現職。 |
| 松本 充生 | 取締役 | 1978年4月同社入社、2011年4月同社代表取締役社長、2025年6月同社取締役に就任より現職。 |
社外取締役は、沖恒弘氏(沖公認会計士・税理士事務所・監査等委員)、服部永次氏(はっとり社会保険労務士事務所・奈良県社会保険労務士会会長・監査等委員)、向井太志氏(高階&パートナーズ法律事務所パートナー弁護士・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会と監査等委員会を設置しています。監査等委員である取締役4名のうち3名が独立社外取締役であり、客観的な視点から経営の監査・監督を強化する体制です。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
タカキタの役員報酬は、経営感覚に優れた人材の確保、持続的な企業価値向上への動機付け、株主への説明責任を果たす透明性・公正性・合理性を基本方針としています。報酬は固定報酬と業績連動報酬で構成され、さらに株式報酬型ストックオプションも支給されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 社外取締役 | 3名 | 11百万円 | 3.6百万円 |
なお、取締役(監査等委員であるものを除く。)の報酬等の総額には、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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