※本記事は、株式会社みのやの有価証券報告書(第71期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. みのやってどんな会社?
菓子専門店「おかしのまちおか」を関東・中京・関西圏でドミナント展開する企業です。
■(1) 会社概要
同社は1954年に菓子卸売事業を行う有限会社として設立され、1997年に東京都板橋区に菓子小売専門店(現在の「おかしのまちおか」の原型)の第1号店を開店しました。2008年には菓子卸売事業を縮小し小売事業へ特化するとともに、2025年7月に東京証券取引所スタンダード市場へ上場を果たしました。
2025年6月30日現在の従業員数は単体で177名です。筆頭株主は同社代表取締役社長の資産管理会社である株式会社マサキコーポレーションで、第2位は代表取締役社長の正木宏和氏、第3位は従業員持株会となっており、創業家および関係者が大株主となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| マサキコーポレーション | 36.33% |
| 正木 宏和 | 31.87% |
| おかしのまちおか従業員持株会 | 9.13% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は正木宏和氏です。社外取締役比率は22.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 正木 宏和 | 代表取締役社長 | 1977年9月みのや入社。専務取締役を経て1995年8月より代表取締役社長。商品部長や管理部長などを兼務し、2017年9月より現職。 |
| 高橋 浩章 | 常務取締役 | 新宿高野アクセントパーラー等を経て2008年11月みのや入社。店舗開発部長、取締役執行役員等を歴任し、2020年10月より現職。 |
| 佐々木 康宏 | 取締役 | 増田税務会計事務所、明光ネットワークジャパン経理部長を経て2017年9月みのや入社。管理部長、取締役管理部長を経て2020年10月より現職。 |
| 正木 惇也 | 取締役 | カバヤ食品を経て2015年10月みのや入社。商品部次長、おかしのまちおか取締役等を歴任し、2021年7月より現職。 |
社外取締役は、戸名厚(元カンロ代表取締役社長)、森智佳子(公認会計士・税理士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「菓子小売」事業および「その他」事業を展開しています。
■(1) 菓子小売事業
同社は、キャンディ、ガム、チョコレート、スナック菓子などを幅広く取り扱う菓子専門店「おかしのまちおか」を運営しています。主要な駅前立地や商店街に出店する「路面店」と、郊外ロードサイドの商業施設等に出店する「ショッピングセンター(SC)店」を展開し、地域密着型の店舗運営を行っています。
収益は、一般消費者への商品販売による代金です。店舗網は関東圏、中京圏、関西圏に集中したドミナント出店を進めており、2025年6月末時点で計208店舗を展開しています。運営は主にみのやが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は順調に拡大を続けており、2021年6月期の約170億円から2025年6月期には240億円まで成長しました。一方、利益面では経常利益率が3〜4%台で推移していましたが、直近ではコスト増の影響等により減益となり、利益率は低下傾向にあります。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 170億円 | 181億円 | 201億円 | 225億円 | 240億円 |
| 経常利益 | 2.2億円 | 3.8億円 | 7.2億円 | 10.5億円 | 7.6億円 |
| 利益率(%) | 1.3% | 2.1% | 3.6% | 4.6% | 3.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.1億円 | 2.1億円 | 3.9億円 | 7.1億円 | 4.0億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増加し240億円となりましたが、売上総利益率はほぼ横ばいで推移しています。一方で、販売費及び一般管理費の増加により営業利益は減少し、営業利益率は低下しました。増収効果をコスト増が上回る結果となっています。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 225億円 | 240億円 |
| 売上総利益 | 84億円 | 90億円 |
| 売上総利益率(%) | 37.4% | 37.6% |
| 営業利益 | 9.7億円 | 6.8億円 |
| 営業利益率(%) | 4.3% | 2.8% |
販売費及び一般管理費のうち、アルバイト・パート給料が20億円(構成比24%)、地代家賃が20億円(同24%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は菓子小売事業の単一セグメントであるため、全社売上高の推移を記載します。新規出店による店舗数の増加や既存店売上の堅調な推移により、売上高は前期比で増加しました。
| 区分 | 売上(2024年6月期) | 売上(2025年6月期) |
|---|---|---|
| 菓子小売事業 | 225億円 | 240億円 |
| 連結(合計) | 225億円 | 240億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
みのやでは、事業活動によるキャッシュ・フローは、売上増加の一方で棚卸資産や未収入金の増加等により、前事業年度より減少しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、店舗出店に伴う設備投資や敷金等の支出により、前事業年度より増加しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入があったものの、借入金の返済等により、前事業年度より減少しました。これらの結果、期末の現金及び現金同等物は増加しました。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 7.6億円 | 7.2億円 |
| 投資CF | -4.1億円 | -4.8億円 |
| 財務CF | -1.6億円 | -0.5億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は社訓として「和」(チームワークを第一に考え目標に邁進する)を掲げています。また、経営理念として、菓子を通じて人と人との繋がりを大切にし、社員相互の協調体制と社会奉仕の精神を忘れず、地域密着の多店舗販売により菓子を提供し続けることを目指しています。
■(2) 企業文化
お客様、従業員、取引先などの垣根を越えた「和」の精神を重んじ、「人と人との繋がり」を大切にする文化があります。各部門間で連携された協調体制を築くことによって生まれるチームワークが、結果的に社会奉仕につながると考えています。
■(3) 経営計画・目標
同社は「中期経営計画」において3か年の定性・定量目標を策定し、ローリング方式で毎年見直しを行っています。経営指標としては、収益力及び経営効率を図るため、以下の項目を重視しています。
* 出店店舗数
* 売上高
* 経常利益
■(4) 成長戦略と重点施策
今後は、関東圏、中京圏、関西圏へのドミナント出店を強化し、駅前立地の路面店と集客力の高いショッピングセンター店双方の利便性を追求します。また、定番商品に加え、メーカーからのスポット商品(旧規格品等)を特売価格で展開することで差別化を図り、業務効率化によるコストコントロールを徹底することで収益基盤を強化します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
多店舗展開を推進するため、店舗運営を担うパート・アルバイト等の従業員の確保と育成を重要視しています。各店舗での随時募集に加え、売場陳列や接客等の現場教育を行い、パート・アルバイトの戦力化を図ることで、効率的な店舗運営を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年6月期 | 44.2歳 | 15.8年 | 6,502,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 45.4% |
| 男女賃金差異(正規) | 79.2% |
| 男女賃金差異(非正規) | 108.5% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 出店政策について
同社は駅前立地の路面店や大型ショッピングセンター等の商業施設への新規出店を進めていますが、希望する条件に合致する物件が見つからない場合など、計画通りに出店が進まない可能性があります。これにより、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 人材の確保について
店舗運営においてパート・アルバイト等の従業員の確保と育成が重要ですが、生産年齢人口の減少等により計画通りに人材を確保できない場合や、賃金水準の上昇により人件費が増加した場合、同社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 競合について
現在は菓子販売に特化した専門店の競合リスクは低いと考えていますが、大手スーパーやドラッグストア等が同様の業態へ参入した場合や、近隣の競合店が菓子や飲料を低価格で販売する状況が継続的に生じた場合、同社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。



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