※本記事は、キクカワエンタープライズ株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
キクカワエンタープライズは木工機械及び工作機械の製造販売を主要業務としています。丸太を建築用や木工用に加工する機械、鉄や非鉄金属を加工する機械などを提供しています。
単体従業員数は189名です。同社は単一セグメントで事業を展開しています。
キクカワエンタープライズは、木工機械および工作機械の製造販売を主要業務としています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
キクカワエンタープライズは、専門性の高い機械製造を事業の中核とする企業です。従業員の平均勤続年数が長く、安定した環境でキャリアを築きたいと考える方にとって、働きがいのある職場であると推察されます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の定着性が高く、長期間にわたってキャリアを形成している傾向が見られます。平均年齢も比較的高い水準にあり、経験豊富な人材が多数活躍していることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,577,500円 |
| 平均勤続年数 | 19.8年 |
| 平均年齢 | 41.4歳 |
| 単体従業員数 | 189人 |
退職給付制度は存在しますが、「不明」と記載されているため、具体的な制度内容は有価証券報告書からは確認できません。適用範囲は国内グループ会社を対象としています。
退職一時金制度があります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は、様々な産業分野における加工機械の開発・設計・製造・販売を一貫して行う企業として、顧客ごとに異なる仕様や高度な技術的要求に対応できる人材の育成を、持続的な成長および中長期的な企業価値の向上に不可欠であると認識しています。
人事評価制度と連動した人材育成制度を導入しており、全従業員の力量を力量マップで管理しています。毎年度、上司との面談を通じて個別のスキルアップ計画を策定し、職種や職位に応じた目標を設定しています。設定した目標の達成度は人事評価に反映され、次年度の育成計画へつながる仕組みを構築することで、組織全体の能力向上を図っています。
また、従業員一人ひとりが安全かつ健康に働き、その能力を最大限に発揮できる職場環境の整備を重要な経営課題と位置付けています。製造業として「安全はすべてに優先する」との考えのもと、安全教育、リスクアセスメント、職場巡視等を継続的に実施し、労働災害の未然防止に努めています。
さらに、年次有給休暇の取得促進および育児休業取得率の向上など、働きやすい職場環境の整備に取り組んでいます。性別・国籍・年齢・新卒・中途採用を問わず、多様な能力を有する人材を採用し、働き方改革に対応した工場稼働率の平準化や、育児・介護と仕事の両立ができる社会の実現を目指し、社内サポート体制を整えています。女性が重要な役割を担い責任ある立場で活躍する取り組みも進めており、女性取締役や女性管理職の登用をはじめ、数多くの女性社員が要職を担い活躍しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。女性管理職比率は女性活躍推進法に基づき、男性育児休業取得率は育児介護休業法に基づき算出されています。男女賃金差異は、女性活躍推進法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 8.0% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
キクカワエンタープライズは、木工機械と工作機械の製造販売を主要事業としています。長年の経験と技術を活かし、国内外の顧客に製品を提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
キクカワエンタープライズは、木工機械と工作機械の製造販売を主要業務としています。同社は単一セグメントで事業を展開しており、製品の種類別に事業内容を説明しています。
木工機械は、新設住宅着工戸数の減少といった国内市場の動向に影響を受けやすい傾向があります。一方、工作機械は、円安環境による外需の牽引など、国際的な市場動向が収益に影響を与えることがあります。
同社は、高付加価値製品の販売拡販、既存顧客への提案営業の強化、アフターサービスの充実を通じて受注・売上の確保に努めています。輸出受注の主な相手先は中国、台湾、ベトナムなどアジア地域に広がっています。
当事業年度の輸出販売高は総販売実績の約20.1%を占めており、前期から割合が増加しています。このことから、為替変動を含む国際情勢が同社の業績に影響を与える可能性があります。
当事業年度の販売実績では、特定の顧客への販売が一定の割合を占めています。例えば、株式会社くまもと製材やオムロンフィールドエンジニアリング株式会社といった企業への販売実績が確認できます。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
キクカワエンタープライズの当事業年度の業績は、売上高が前期から減少し、3年ぶりの減収となりました。利益面では、営業利益、経常利益、当期純利益のいずれも前期から減少しており、4年ぶりの減益となっています。
これは、国際情勢の緊迫化によるサプライチェーンへの影響や、国内の新設住宅着工戸数の落ち込みなどが影響したと説明されています。一方で、工作機械関連の外需は増加傾向にあり、事業環境は複雑な状況を示しています。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
キクカワエンタープライズは、強固な財務基盤を維持し、安定的なキャッシュ・フローの創出に努めていることが示されています。本業で得た資金を投資に充当しつつ、手元資金を確保している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤は、自己資本比率が87.2%となっており、製造業のプライム市場平均46.8%と比較しても高い水準を示しています。これは、同社が安定した経営を維持していることを表しています。手元資金である現金及び現金同等物は45.4億円に増加しており、不況時にも耐えうる資金力を確保している状況です。このような財務の安定性は、入社後の雇用や給与の安定性にもつながる要素となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 122.9億円 | 129.0億円 |
| 自己資本比率 | - | 87.2% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び現金同等物 | 44.1億円 | 45.4億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社のキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは、当期に9.1億円の増加となりました。これは税引前当期純利益の計上や売上債権の回収によるものです。投資活動によるキャッシュフローは、定期預金の預入により△5.7億円の減少となっています。
財務活動によるキャッシュフローは、配当金の支払額により△2.1億円の減少となりました。その結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは、当期に3.4億円のプラスとなっています。前期はフリーキャッシュフローがマイナスでしたが、当期は本業で得た資金が投資を上回る状況に転じており、安定した資金繰りを示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 78百万円 | 9.1億円 |
| 投資CF | △3.9億円 | △5.7億円 |
| 財務CF | △2.3億円 | △2.1億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △3.1億円 | 3.4億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、景気変動のリスクを認識しています。各種製造業の業績は為替変動や税制、国際的な資源価格動向に大きく左右され、設備投資意欲が変動する可能性があります。
また、海外活動のリスクも挙げられています。為替レートが大幅な円高基調で推移した場合には国際競争力の低下要因となり、円安基調で推移した場合には仕入コストの増加要因となる可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、災害発生リスクとして、工場内の設備機械や顧客へ納入する製造機械において、重篤な労働災害が発生しないよう、平素から徹底的な予防安全教育を講じる必要があると認識しています。これは、労働環境の安全確保に関するリスクを示しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
キクカワエンタープライズは、ものづくりを通じて社会に貢献し、多様なステークホルダーとの連携を重視する企業です。企業価値の向上と社会の持続可能な発展を目指し、独自の技術とブランド価値の創造に注力しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は、事業活動を通じて企業価値の向上を目指しています。ものづくり企業としての「ブランド」価値を創造することを基本方針とし、顧客、取引先、従業員、地元地域の皆様など多様なステークホルダーと密接に連携を取りながら、社会に良い影響を与えることを重視しています。また、「稼ぐ力」を養うための適切な投資を行い、株主価値の向上も追求しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は、透明性と実効性の高いコーポレート・ガバナンスを重視し、法令および内部統制、品質、安全衛生などの社内システムを遵守した健全な企業活動を目指しています。顧客、取引先、従業員、地元地域の皆様といった多様なステークホルダーからの信頼を大切にしています。また、持続的な成長のため、性別、国籍、年齢、新卒、中途を問わず多様な人材を採用し、働き方改革や育児・介護との両立支援を通じて、社員が活躍できる環境づくりを進めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、中長期的な成長と企業価値向上に向け、新型設備の導入やデジタル投資を積極的に推進し、効率的かつ高度な工場運営体制の構築を進めています。また、120年を超える技術・技能の継承と向上を図りながら、社外ネットワークの強化にも取り組み、持続的な成長基盤の構築を進めています。社員のモチベーション向上に向けた待遇改善や、人材採用のための地域教育機関とのネットワーク拡充、働き方改革に伴う業務改善ソフトの導入も重点テーマとしています。さらに、SDGsやESGの観点から国産材の利用拡大に関する研究や、AIなどの先端技術を製品に取り入れる研究開発も推進しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は監査等委員会設置会社制度を採用しており、複数の社外取締役の選任を通じて取締役会の監査・監督機能を強化しています。監査等委員も取締役会における議決権を持つことで、コーポレート・ガバナンスの充実を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の筆頭株主は個人であり、代表取締役社長も上位株主に名を連ねています。複数の投資事業有限責任組合や金融機関も上位に位置しており、多様な株主によって支えられている資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 木戸 修 | 7.18% |
| 光通信KK投資事業有限責任組合 無限責任組合員光通信 | 6.46% |
| 菊川 厚 | 5.32% |
| UHPartners2投資事業有限責任組合 無限責任組合員UHPartners2 | 4.75% |
| 百五銀行 | 4.45% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性9名・女性1名)で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は菊川厚氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 菊川 厚 | 取締役社長 (代表取締役) | 1989年4月同社入社、1989年6月取締役就任、1993年6月代表取締役専務就任、1997年6月代表取締役社長就任より現職。 |
| 菊川 博史 | 取締役副社長 (代表取締役) | 1984年1月同社入社、1989年6月取締役就任、1993年6月常務取締役就任、1997年6月代表取締役専務就任、2009年6月代表取締役副社長就任より現職。 |
| 出口 行男 | 常務取締役 事務部門担当 | 1966年3月同社入社、2003年10月営業部長、2007年6月取締役営業部長就任、2011年10月常務取締役就任より現職。 |
| 髙橋 正和 | 取締役 開発設計部長 | 1973年3月同社入社、2013年3月開発設計部長、2015年6月取締役開発設計部長就任より現職。 |
| 一色 隆則 | 取締役 執行役員 | 1981年3月同社入社、2015年12月総務部長、2020年6月取締役総務部長就任、2025年6月取締役執行役員就任より現職。 |
| 小林 和浩 | 取締役 製造部長 | 1988年4月同社入社、2020年4月開発設計部次長兼製造部次長、2021年6月取締役製造部長就任より現職。 |
| 菊川 慶一 | 取締役 営業部長 | 2015年4月同社入社、2020年2月営業部長、2022年6月取締役営業部長就任より現職。 |
社外取締役は、柳谷剛氏(株式会社ヘルシーファミリー代表取締役社長・監査等委員)、青木利公氏(三重総合信用代表取締役社長・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、複数の社外取締役の選任を通じて取締役会の監査・監督機能を強化しています。社外取締役は取締役会で客観的な意見を述べ、業務執行の監督機能の強化に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、固定報酬である月額基本報酬、業績連動報酬としての役員賞与、非金銭報酬である譲渡制限付株式報酬で構成されています。代表取締役社長が各取締役の職責や貢献度を総合的に評価し、監査等委員会の意見を参考に報酬を決定する仕組みです。業績連動報酬は毎期の業績に応じて見直され、譲渡制限付株式報酬も導入されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 11百万円 | 10.6百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 5百万円 | 1.3百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。