三精テクノロジーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

三精テクノロジーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

三精テクノロジーズは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、遊園地の遊戯機械、劇場等の舞台設備、昇降機の製造・施工・販売を主力事業としています。米国や欧州の海外子会社と連携したグローバル展開も進めており、直近の業績は遊戯機械等の大型案件が順調に進捗したことなどから大幅な増収増益を達成しています。


※本記事は、三精テクノロジーズの有価証券報告書(第76期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月29日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 三精テクノロジーズってどんな会社?


遊園地の遊戯機械、劇場等の舞台設備、昇降機の製造・施工・販売をグローバルに展開する企業です。

(1) 会社概要


1951年にエレベーターや遊戯機械の製造販売を目的として設立されました。1964年に大阪証券取引所市場第二部に上場し、その後東京証券取引所へ移行しました。2012年に米国のS&S Worldwide, Inc.、2018年にオランダのVekoma Rides B.V.を子会社化しています。

連結従業員数は1,405名、単体では332名です。筆頭株主は丸一鋼管で、第2位は京阪神ビルディング、第3位は三井住友銀行が名を連ねています。国内外の子会社と連携し、設計から保守まで一貫した体制で事業を展開し、グローバル市場での競争力強化に取り組んでいます。

氏名 持株比率
丸一鋼管 9.20%
京阪神ビルディング 4.55%
三井住友銀行 4.43%

(2) 経営陣


同社の役員は男性12名、女性1名の計13名で構成され、女性役員比率は7.7%です。代表取締役会長は良知昇氏、代表取締役社長執行役員CEOは板垣治氏が務めています。社外取締役比率は23.1%です。

氏名 役職 主な経歴
良知昇 代表取締役会長 2016年同社専務執行役員などを経て、2018年に代表取締役社長執行役員CEOに就任。2025年4月より現職。
板垣治 代表取締役社長執行役員CEO 2019年同社執行役員などを経て、2024年に代表取締役副社長執行役員に就任。2025年4月より現職。
大野慎治 取締役副社長執行役員企画担当役員 2023年同社専務執行役員保守サービス本部長などを経て、2025年4月より現職。
野口幸男 取締役常務執行役員舞台機構事業本部長兼ニューテクノロジー&ビジネス開発室担当役員 1983年同社入社。第一事業本部工務部長や舞台機構事業本部長などを経て、2023年4月より現職。
西山泰治 取締役常務執行役員遊戯機械事業本部長 千代田化工建設、ユー・エス・ジェイなどを経て2013年同社入社。遊戯機械事業本部設計部長などを経て、2022年6月より現職。
仲辻猛士 取締役常務執行役員生産本部長 1995年サンセイメンテナンス入社。同社代表取締役社長や保守サービス本部長などを経て、2026年4月より現職。


社外取締役は、アイアトン・ウィリアム氏(元ワーナーエンターテイメントジャパン代表取締役社長)、安藤よし子氏(元厚生労働省人材開発統括官)、川島勇氏(元日本電気代表取締役執行役員常務兼CFO)です。

2. 事業内容


同社グループは、「遊戯機械」「舞台設備」「昇降機」および「その他」の事業を展開しています。

(1) 遊戯機械


テーマパークや遊園地向けに、ジェットコースターや急流すべり、タワーなどのアトラクションの製造・施工・販売を行っています。また、テーマパーク等のコンセプト提案やデザイン企画、設計コンサルティングも手掛けており、国内外の顧客に幅広いエンターテインメント空間を提供しています。

遊戯機械の納入による売上のほか、保守や改修工事、補修部品の販売から収益を得ています。事業の運営は、三精テクノロジーズのほか、米国の子会社S&S Worldwide, Inc.やオランダのVekoma Rides B.V.、カナダのFORREC Ltd.などが連携して行っています。

(2) 舞台設備


劇場や文化ホール向けの舞台機構・吊物装置のほか、テレビ局、イベント、コンサート会場などで使用される仮設の電飾や機械装置などの製造・施工・販売を行っています。演出の多様化や高度化するニーズに対応した総合演出装置と一括制御システムの開発にも取り組んでいます。

舞台設備や仮設舞台装置の納入、およびその後の保守・改修工事から収益を獲得しています。常設施設の設備は主に三精テクノロジーズが担当し、コンサートやイベント向けの大型仮設舞台装置については、子会社のテルミックが中心となって対応し収益を上げています。

(3) 昇降機


エレベーターやエスカレーター、パーキング装置などの昇降機械装置の製造・施工・販売を行っています。公共施設や集合住宅用の新設案件に加えて、安全性の一層の向上を図った新制御システムの開発など、安定した需要が見込める分野での製品展開を進めています。

昇降機等の新設工事による収益のほか、保守サービスおよび改修事業の拡充を通じた継続的な収益基盤を確立しています。事業の運営は主に三精テクノロジーズが行っており、保守および改修工事についてはサンセイメンテナンスなどの子会社が国内の各地域を分担して担当しています。

(4) その他


国内における遊園地でのレジャー・サービスの提供や運営管理、および自社が所有する駐車場などの管理業務を行っています。遊戯施設営業の運営管理はサンエースが行い、自社所有ビルおよび駐車場管理等の委託業務はサンセイファシリティーズが担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績推移を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあり、堅調な事業拡大が伺えます。経常利益および当期利益についても、一時的な増減はありますが直近の期では大幅な増益を達成しており、利益率も改善傾向を示し収益性が高まっていることが確認できます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 344億円 407億円 523億円 619億円 731億円
経常利益 19億円 28億円 36億円 53億円 68億円
利益率(%) 5.5% 6.8% 6.9% 8.6% 9.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 14億円 17億円 21億円 30億円 51億円

(2) 損益計算書


売上高の成長に伴い売上総利益も順調に増加しています。売上総利益率が改善していることに加え、営業利益率も上昇しており、本業の収益性が高まっていることがわかります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 619億円 731億円
売上総利益 182億円 221億円
売上総利益率(%) 29.5% 30.3%
営業利益 48億円 66億円
営業利益率(%) 7.8% 9.0%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が50億円(構成比32%)、のれん償却額が11億円(同7%)、減価償却費が11億円(同7%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の遊戯機械事業は、国内外の大型工事が順調に進捗し大幅な増収を牽引しました。舞台設備事業は仮設舞台装置の需要が好調で増収を維持し、昇降機事業も新設や保守が安定して推移し増収となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
遊戯機械 358億円 466億円
舞台設備 184億円 186億円
昇降機 75億円 78億円
その他 1億円 0.7億円
連結(合計) 619億円 731億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業で得た資金で投資と借入返済を賄う「健全型」のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 33億円 94億円
投資CF -34億円 -14億円
財務CF -12億円 -32億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は52.7%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「世界中のお客様に笑顔と感動、そして安全で快適なくらしを提供することを通して、持続的な発展と社会課題の解決に貢献し、中長期的に企業価値を向上させていく」ことをサステナビリティの基本方針として掲げています。社会に貢献し続ける企業として、安全を最優先とした経営を行っています。

(2) 企業文化


同社は、遊戯・舞台・昇降機・保守の各部門が一体となる「TEAM Sansei」という価値観を掲げています。グループ全体で連携を深め、高い倫理観と自発的な貢献意欲を持つ人材を育成し、顧客ニーズに応える製品開発や提案活動を通じて社会に笑顔を届ける文化を重視しています。

(3) 経営計画・目標


2025年度からの中期経営計画では、「動かす技術で社会に笑顔を~“TEAM Sansei”の深化と進化!」をテーマに掲げています。既存事業の一段の成長を図りつつ新たな柱となる事業の構築を進め、企業価値の向上を目指しています。

・2026年3月期目標:売上高770億円、経常利益78億円
・2029年3月期目標:売上高750億円、経常利益71億円、ROE10%

(4) 成長戦略と重点施策


グローバルなアミューズメント企業として海外子会社との連携を深め、米国やアジア、欧州をターゲットに受注拡大を図ります。舞台設備ではコンサート向け仮設装置の拡販や映像制作分野への展開、昇降機では保守・改修の拡充を進めます。また、M&Aや戦略的提携による新規事業参入も積極的に検討しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


グローバルに展開する事業に対応するため、階層別研修やグループ会社間の人材交流を通じて専門性の高い人材の育成を推進しています。また、複線型キャリアパスを導入した新人事制度により自律的なキャリア構築を支援するとともに、技術伝承や安全意識の醸成、多様な人材が活躍できる柔軟な職場環境の整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 43.7歳 16.1年 6,922,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.7%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 70.8%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 72.6%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 48.2%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、採用する社員に占める女性の割合(26.7%)、有給休暇取得率(64.3%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) グローバル化に潜在するリスク


同社グループは、北米やオランダに主要な子会社を有し、世界各地に顧客を抱えています。そのため、進出国の規制や税制の変更、経済状況の変化、政治的・社会的な変動といった海外特有のリスクが顕在化した場合、グループ全体の業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 資産に係る減損リスク


事業用の有形固定資産や企業買収に伴い計上されたのれんなどの無形固定資産を多数保有しています。予想外の急激な事業環境や市場環境の悪化が生じた場合、固定資産の減損会計処理を余儀なくされ、業績や財務状況に悪影響を与えるリスクがあります。

(3) 為替変動に係るリスク


グローバルな生産・販売体制を構築しているため、海外子会社の業績を円換算する際や、外貨建てでの仕入・販売取引において為替変動の影響を受けます。為替予約等のヘッジ手段を活用してリスク軽減に努めていますが、急激な為替変動が生じた場合は業績に影響が及ぶ可能性があります。

(4) 情報セキュリティに係るリスク


顧客や取引先に関する重要な機密情報や個人情報を多数保有しています。情報システムのセキュリティ対策や社員教育を徹底していますが、サイバー攻撃や不正アクセスにより情報漏洩やシステム障害が発生した場合、社会的信用の失墜を招き業績に影響を及ぼすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。