三精テクノロジーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

三精テクノロジーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場する、遊戯機械、舞台設備、昇降機の製造・施工・販売を主軸とする企業です。直近の業績は、遊戯機械や舞台設備の需要拡大により、売上高は前期比18.3%増、経常利益は47.2%増と大幅な増収増益を達成しています。


※本記事は、三精テクノロジーズ株式会社 の有価証券報告書(第75期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年06月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 三精テクノロジーズってどんな会社?


遊戯機械、舞台設備、昇降機の3事業を柱に、グローバルに展開する機械メーカーです。

(1) 会社概要


同社は1951年に設立され、エレベーターや遊戯機械等の製造販売を開始しました。1964年に大阪証券取引所市場第二部に上場し、2013年には東京証券取引所市場第二部へ上場しました。2014年に現社名へ変更し、2018年にはオランダの遊戯機械メーカーVekoma Rides B.V.を完全子会社化しました。2023年にはカナダのFORREC Ltd.を傘下に持つ企業を子会社化し、グローバル展開を加速させています。

2025年3月31日現在の連結従業員数は1,382名、単体では329名です。筆頭株主は事業会社である丸一鋼管、第2位は不動産賃貸業を営む京阪神ビルディング、第3位は主要取引銀行である三井住友銀行です。

氏名 持株比率
丸一鋼管 6.95%
京阪神ビルディング 4.43%
三井住友銀行 4.31%

(2) 経営陣


同社の役員は男性12名、女性1名の計13名で構成され、女性役員比率は7.7%です。代表取締役社長執行役員は板垣治氏です。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
板垣 治 代表取締役社長執行役員 2019年執行役員東京支店長等を経て、2022年専務執行役員管理本部長、2024年代表取締役副社長執行役員を歴任。2025年4月より現職。
良知 昇 代表取締役会長 2016年専務執行役員保守サービス本部長、2017年代表取締役副社長を経て、2018年代表取締役社長執行役員CEOに就任。2025年4月より現職。
大野 慎治 取締役副社長執行役員 2023年専務執行役員保守サービス本部長、2024年取締役専務執行役員企画担当役員を経て、2025年4月より現職。
野口 幸男 取締役常務執行役員 1983年入社。舞台機構事業本部営業部長等を経て、2018年取締役執行役員。2021年より取締役常務執行役員舞台機構事業本部長兼ニューテクノロジー&ビジネス開発室担当役員。
西山 泰治 取締役常務執行役員 千代田化工建設、ユー・エス・ジェイを経て2013年入社。2019年常務執行役員、2022年より取締役常務執行役員遊戯機械事業本部長。
宮﨑 和也 取締役技術顧問 1985年入社。品質本部長、生産本部長等を歴任。2021年取締役常務執行役員CTO兼生産本部長、2023年昇降機事業本部長兼CTOを経て、2025年4月より現職。


社外取締役は、アイアトン・ウィリアム(元ワーナーエンターテイメントジャパン社長)、安藤よし子(元厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)、川島勇(元日本電気代表取締役執行役員常務兼CFO)です。

2. 事業内容


同社グループは、「遊戯機械」「舞台設備」「昇降機」および「その他」事業を展開しています。

遊戯機械


ジェットコースター、急流すべり、タワーなどの遊戯機械の製造、施工、販売を行っています。また、テーマパーク等に向けたコンセプト提案やデザイン提供も手掛けています。主な顧客は国内外の遊園地やテーマパークです。

収益は、遊戯機械の納入やコンセプト提案・デザイン提供に対する対価として得ています。運営は、同社およびSansei Technologies Inc.を持株会社とするS&S Worldwide, Inc.、Vekoma Rides B.V.およびその子会社が行っており、デザイン提供等はLaird Holdings Inc.を持株会社とするFORREC Ltd.とその子会社が担当しています。

舞台設備


劇場や文化ホールなどの舞台機構・吊物装置や、テレビ、イベント、コンサート会場における電飾や機械装置などの製造、施工、販売を行っています。主な顧客は劇場、ホール、テレビ局、イベント主催者などです。

収益は、舞台設備装置の納入や施工に対する対価として得ています。運営は、同社および株式会社テルミックが行っています。

昇降機


エレベーター、エスカレーター、パーキング装置などの昇降機械装置の製造、施工、販売を行っています。主な顧客はビルオーナーや建設会社などです。

収益は、昇降機械装置の納入や施工に対する対価として得ています。運営は、同社が行っています。

その他


国内の遊園地におけるレジャー・サービスの提供・運営管理や、同社グループが所有する駐車場などの管理を行っています。

収益は、遊園地の入場料やサービス利用料、駐車場の管理料などから得ています。運営は、遊戯施設営業を株式会社サンエースが、駐車場管理などをサンセイファシリティーズ株式会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に増加傾向にあり、特に直近2期は大きく伸長しています。利益面でも、経常利益、当期純利益ともに増加基調を維持しており、利益率も改善傾向にあります。全体として成長と収益性の向上が進んでいることが読み取れます。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 365億円 344億円 407億円 523億円 619億円
経常利益 15億円 19億円 28億円 36億円 53億円
利益率(%) 4.2% 5.5% 6.8% 6.9% 8.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 8億円 14億円 17億円 21億円 30億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益、営業利益ともに大きく増加しています。特に営業利益率は直近で改善しており、収益性が高まっています。売上原価率は一定の水準を保ちつつ、売上規模の拡大が利益の押し上げに寄与している構造です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 523億円 619億円
売上総利益 146億円 182億円
売上総利益率(%) 27.9% 29.5%
営業利益 32億円 48億円
営業利益率(%) 6.0% 7.8%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が44億円(構成比33%)、のれん償却額が10億円(同8%)を占めています。

(3) セグメント収益


全報告セグメントにおいて増収となっており、特に舞台設備事業と遊戯機械事業の増収が顕著です。利益面では、舞台設備事業と昇降機事業が大幅な増益を達成し、全体の利益成長を牽引しています。一方、遊戯機械事業は売上増にもかかわらず減益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
遊戯機械 304億円 358億円 11億円 5億円 1.3%
舞台設備 152億円 184億円 25億円 41億円 22.5%
昇降機 65億円 75億円 12億円 18億円 24.5%
その他 1億円 1億円 0.4億円 0.4億円 35.7%
調整額 △0.2億円 △0.0億円 △16億円 △17億円 -
連結(合計) 523億円 619億円 32億円 48億円 7.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、本業で稼いだ資金(営業CFプラス)の一部を投資に回しつつ(投資CFマイナス)、借入金の返済や配当支払い等を行っている(財務CFマイナス)ことから、健全型に分類されます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 95億円 33億円
投資CF △24億円 △34億円
財務CF △22億円 △12億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.9%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は51.2%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、新中期経営計画において「動かす技術で社会に笑顔を~“ TEAM Sansei ”~の深化と進化 !」をテーマに掲げています。既存事業の成長と新たな柱となる事業分野への参入・構築の両面に取り組み、持続的な成長を支える経営基盤の強化と、環境保全や社会的課題解決に積極的に取り組むことを基本方針としています。

(2) 企業文化


同社は「TEAM Sansei」(Theater:舞台、Elevator:昇降機、Amusement:遊戯、Maintenance:保守、改修)をより深く高度に発展(深化)させ、同時に成長(進化)し続けることを目指しています。世界中のお客様に笑顔と感動、そして安全で快適なくらしを提供することを通して、持続的な発展と社会課題の解決に貢献することを重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は2025年度を初年度とする3カ年の新中期経営計画を策定しています。2028年度の業績目標として、以下の数値を掲げています。

* 売上高:750億円
* 経常利益:71億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:50億円
* 経常利益率:9.5%
* ROE:10%

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、グループ力を結束した各事業分野での成長と、新たな柱となる事業分野への参入、経営基盤の強化に取り組んでいます。遊戯機械ではS&S社、Vekoma社、FORREC社との連携を強化し、米国や東アジア、中東での受注拡大を目指します。舞台設備では大型案件や改修需要の獲得、昇降機では保守・改修事業の拡充を図ります。また、戦略的な事業提携やM&Aによる新事業分野への参入や、生産性向上のためのDX・設備投資も推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは人的資本への投資を重要視し、階層別研修や自律的なキャリア構築を支援する教育制度を実施しています。多様な視点や価値観を持つ人材の採用・育成を進めるとともに、在宅勤務や時差出勤、育児時短勤務の延長など、柔軟で働きやすい環境整備を推進し、多様な人材が活躍できる組織構築を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 43.5歳 16.0年 6,760,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.7%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 73.6%
男女賃金差異(正規雇用) 75.3%
男女賃金差異(非正規雇用) 48.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、採用する社員に占める女性の割合(36.8%)、有給休暇取得率(79.2%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 事業環境について


同社グループは舞台設備・遊戯機械・昇降機をコア事業としていますが、予期せぬ景気変動や自然災害、パンデミックなどの発生により、設備被害や事業活動の停滞が生じた場合、業績や財務状況に影響が及ぶ可能性があります。また、取引先の信用状況の変化による債権回収リスクも存在します。

(2) 製品の安全性について


同社グループは遊戯機械や舞台設備、エレベーターなどの製品において安全性確保を徹底していますが、予期せぬ製品不具合や事故が発生した場合、業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

(3) グローバル化に潜在するリスク


遊戯機械分野では北米やオランダに主要子会社を持ち、顧客も世界各地に存在するため、各国の規制や税制の変更、経済状況の変化、政治的・社会的リスクなどが顕在化した場合、業績や財務状況に影響が及ぶ可能性があります。

(4) 資産に係る減損リスク


同社グループは事業用有形固定資産や企業買収に伴うのれん等の無形固定資産を保有しています。予想外の急激な事業・市場環境の変化が生じた場合、固定資産の減損処理が必要となり、業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。