※本記事は、水道機工株式会社 の有価証券報告書(2025年3月期、2024年4月1日 ~ 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
水道機工グループは、水処理機械や水処理用機器類の製造、据付、販売を主軸とする事業活動を展開しています。親会社である東レとは水処理事業分野で業務提携契約を締結し、グループ全体で水処理事業に特化しています。
単体従業員数は258名、連結従業員数は629名です。セグメントはプラント建設、O&Mの2つです。
主な国内グループ会社は、当社、山田設備機工、西日本オートメーション、水機テクノスなどです。
同社グループは当連結会計年度より事業部制を廃止し、機能本部制組織へ移行しました。これにより、報告セグメントの区分を「プラント建設」と「O&M」に変更しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
水道機工は、水処理事業を核とする安定した事業基盤を持つ企業です。従業員の平均勤続年数や平均年齢から、長期的なキャリア形成が可能な環境であることがうかがえます。同社グループは、技術力と専門性を重視し、社会貢献を目指す企業文化を築いています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員が長期にわたって安定して勤務する傾向が見られます。平均勤続年数や平均年齢から、経験豊富な人材が多数在籍し、組織全体の安定性につながっていると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,163,606円 |
| 平均勤続年数 | 13.5年 |
| 平均年齢 | 43.8歳 |
| 単体従業員数 | 258人 |
| 連結従業員数 | 629人 |
| 単体のグループ内比率 | 41.0% |
同社グループは、確定給付型の退職給付制度を設けています。これは、給与や勤続年数に応じて将来の給付額が決まる制度です。
退職給付制度の適用範囲は、同社および連結子会社です。同社においては退職一時金制度を設けており、連結子会社では確定給付型の退職一時金制度と特定退職金共済制度を併用しています。
なお、退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
同社グループの退職給付債務は24.6億円、年金資産は1.0億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「100年先も人と地球をつなぐ情熱で、笑顔あふれる環境を技術と製品で創造し、社会に貢献します。」という企業理念のもと、事業活動を担う人材を重視しています。企業理念への共感と理解、そして専門分野における知識、経験、スキルを持つ優秀な人材の採用を基本的な方針としています。
企業競争力強化のため、水処理事業の各分野で技術力・営業力の向上と研究開発に継続的に取り組んでいます。特に技術部門では、顧客や時代のニーズに応じた新技術・製品開発、浄水技術の研究、水処理装置の開発に積極的に注力しています。
これらの取り組みを支える人材確保策として、優秀な人材の定期的な採用に加え、品質方針に基づく教育訓練を継続的に実施しています。従業員の能力とスキル向上を目指した教育・研修を通じて、人材育成に力を入れています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体のデータを示します。管理職に占める女性労働者の割合は、女性活躍推進法に基づく公表義務の対象ではないため、記載を省略しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 66.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 67.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 47.9% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ ㈱水機テクノス
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 3.6% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 75.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 83.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 69.8% |
多様性・登用
同社グループは、新卒採用において女性採用4割を目標としています。また、男性労働者の育児休業取得率100%を目指しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 若手・中堅層社員(20代から30代)に占める女性社員の割合 | 15.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
水道機工は、水処理機械や機器の製造、据付、販売を主軸に事業を展開しています。同社グループは、水処理事業分野で親会社である東レと業務提携契約を締結しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループの事業は、主に「プラント建設」と「O&M」の二つのセグメントで構成されています。同社グループの売上高は本邦の外部顧客への売上高が大部分を占めており、特定の主要顧客への収益集中は見られません。
プラント建設
上水道施設浄水設備、下水道施設水処理設備、産業用水及び廃水施設水処理設備等の製造と販売を行っています。収益は、工事請負契約等に基づき、一定の期間にわたり認識される収益が中心です。このセグメントは同社グループの収益の大部分を占め、前期に比べて売上高が大きく増加しています。
O&M
上水道施設浄水設備、下水道施設水処理設備、産業用水及び廃水処理設備等に関わるメンテナンス・保守・運転管理サービスを提供しています。収益は、メンテナンス案件や運転管理案件の新規契約受託及び既存契約更新に伴う収益計上から得ています。運営は、水機テクノスが行っており、前期に比べて売上高が増加しています。
| セグメント | 売上高(2024年3月期) | 売上高(2025年3月期) |
|---|---|---|
| プラント建設 | 138億円 | 166億円 |
| O&M | 78.2億円 | 93.5億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績は、売上高が前期に比べて大きく増加し、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益も大幅な増益となりました。過去には売上高が減少傾向にあった時期もありましたが、当期は回復基調に転じています。利益面では、前期に比べて経常利益が大きく伸び、親会社株主に帰属する当期純利益も増加しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 252億円 | 227億円 | 219億円 | 216億円 | 260億円 |
| 経常利益 | 15.3億円 | 1.6億円 | 4.1億円 | 6.6億円 | 13.8億円 |
| 経常利益率 | 6.1% | 0.7% | 1.9% | 3.1% | 5.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 8.1億円 | 39百万円 | 2.7億円 | 3.7億円 | 4.3億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 188.24 | 9.16 | 63.86 | 85.74 | 99.75 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの生産性を見ると、従業員1人あたりの売上高は前期に比べて増加しています。従業員1人あたりの営業利益も前期から大きく伸びており、収益性の改善がうかがえます。これらの指標の改善は、同社グループの事業拡大と採算性の向上が影響していると考えられます。
| 指標 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 37.2百万円 | 41.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.8百万円 | 2.4百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
水道機工グループの財務状況は、事業活動を通じて安定した資金を生み出し、健全な財務基盤を維持していることを示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率が前期からやや低下しつつも、一定の水準を維持しています。ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回る水準です。手元資金である現金及び預金は増加しており、事業運営における資金の安定性を示しています。これらの財務状況は、長期的な雇用や給与の安定性を考える上で重要な要素となります。
| 指標 | 2024年3月期(前期) | 2025年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 99.9億円 | 102億円 |
| 自己資本比率 | 41.4% | 39.1% |
| ROE(自己資本利益率) | 3.7% | 4.2% |
| 現金及び預金 | 19.0億円 | 41.5億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが前期の支出から当期は収入へと大きく転換しました。これは主に税金等調整前当期純利益の計上や預り金の増加によるものです。投資活動によるキャッシュフローは、関係会社への貸付けや投資有価証券の取得による支出があったものの、投資有価証券の償還による収入もあり、支出額は前期より減少しています。財務活動によるキャッシュフローは、短期借入れによる収入と返済、配当金の支払いにより収入となっています。結果として、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは大幅に改善し、プラスに転じています。この状況は、同社グループが本業で安定的に資金を生み出し、事業の成長に必要な投資を行いながらも、手元資金を確保できていることを示しており、将来的な雇用や給与の安定性につながる基盤があると言えます。
| 項目 | 2024年3月期(前期) | 2025年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △20.5億円 | 28.5億円 |
| 投資CF | △8.5億円 | △4.6億円 |
| 財務CF | 12.6億円 | 2.0億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △28.9億円 | 23.8億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの主力である水道事業は普及率が100%近くに達しており、市場の成熟化による需要の不確実性があります。新技術・製品による需要喚起や民需・海外分野への多角化の進捗が経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、水処理施設等の主要な販売先は政府及び地方自治体等であり、官需比率が約9割を占めています。そのため、政府及び地方自治体等の事業予算動向が経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
水道機工は、水処理技術を通じて社会貢献を目指す企業グループです。持続可能な社会の実現に向け、企業理念を基盤とした経営を行っています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは「100年先も人と地球をつなぐ情熱で、笑顔あふれる環境を技術と製品で創造し、社会に貢献します。」を企業理念として掲げています。この理念に基づき、社会へ水環境の改善・汚染防止に寄与する製品・サービスを提供する事業活動を展開しています。
中長期的には、2030年近傍における目指す会社の姿として、浄水場設備におけるメンテナンス事業で営業利益の6割を稼ぎ出す事業構造への転換を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、企業理念への共感と理解を全ての役員および従業員に求めています。事業活動を通じて安全で省エネルギーかつ高効率な製品・サービスの提供・開発に関わり、CO2削減による地球温暖化防止への貢献にも取り組むことを重視しています。
企業理念は品質方針および環境方針としても掲げられており、課題解決のための活動を明確にしています。また、職責と役割を果たしうる専門分野の知識、経験、スキルを持つ優秀な人材の採用を基本的な方針としています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、グループ経営・総合力強化を重点テーマとしています。具体的には、グループ全体での諸課題の共有と実行、機能別組織下でのグループ内連携強化に取り組んでいます。
また、グループ内人材交流の推進として、交流・融合推進のための役員や幹部の派遣を行っています。M&A・アライアンスの推進も掲げ、事業全般におけるM&A機会の探索を進めています。
さらに、サウジアラビアの関連会社であるSKME社からの撤退方針を維持し、リスク低減を図る施策を実行することも課題としています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
水道機工は、取締役会と監査等委員会を軸としたガバナンス体制を構築しています。社外取締役が取締役会の過半数を占めることで、経営の客観性と透明性を高めることを目指しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社グループは、東レが筆頭株主として過半数の株式を保有しており、経営に強い影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 東レ | 51.17% |
| 水道機工共栄会 | 4.36% |
| データベース | 2.82% |
| MSIP CLIENT SECURITIES | 2.77% |
| 電業社機械製作所 | 2.18% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性9名・女性1名)で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は古川徹氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 古川 徹 | 代表取締役社長 | 1986年4月東レ株式会社入社。トーレ・インダストリアル・マレーシア社取締役、東レ・プレシジョン株式会社代表取締役社長を経て、2019年6月同社代表取締役副社長。2022年6月より代表取締役社長CEO兼COO、株式会社水機テクノス取締役会長より現職。 |
| 丸山 広記 | 専務取締役 | 1993年1月同社入社。取締役プラント事業担当、O&M事業担当などを歴任。2022年6月より専務取締役グループ経営企画部担当、管理・コンプライアンス部門担当。2024年4月より専務取締役グループ経営企画部担当、管理・コンプライアンス本部長より現職。 |
| 鷹栖 茂幸 | 取締役 | 1992年4月同社入社。営業本部北陸支店長、福岡支店長、プラント事業部西日本統括兼九州支店長などを歴任。2022年6月より取締役プラント事業担当、O&M事業担当。2024年4月より取締役水処理事業本部長、企画管理部門・マーケティング部門担当より現職。 |
| 國分 健吾 | 取締役 | 1996年4月同社入社。公共事業部計画技術室長、プラント事業部技術部長などを歴任。2023年7月より常任理事環境事業担当兼事業部長、海外事業(SKVN)担当兼事業部長。2024年6月より取締役安全・品質担当、水処理事業本部副本部長兼エンジニアリング部門長より現職。 |
社外取締役は、村上英治氏(JPインベストメント監査役)、藤本英昭氏(エムイーテクノ代表取締役社長)、大川和宏氏(アブドラ王立科学技術大学教授)、齋藤敏仁氏(東レ監査部常勤嘱託・監査等委員)、竹内佐和子氏(東京音楽大学特任教授・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社です。取締役会の構成員のうち50.0%を社外取締役とすることで、審議の客観性や透明性を確保し、少数株主の保護に努めています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社は、グループの中長期的な企業価値向上と持続的成長を目指し、役員報酬制度を構築しています。業務執行を担う取締役の報酬は、固定報酬としての基本報酬、業績連動報酬としての賞与、株式報酬で構成されています。一方、監査・監督機能を担う社外取締役および監査等委員である取締役には、固定報酬としての基本報酬のみが支払われる仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 5名 | 1.1億円 | 22.8百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 9百万円 | 9.0百万円 |
| 社外役員 | 8名 | 16百万円 | 2.0百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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