※本記事は、株式会社AIRMANの有価証券報告書(第95期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. AIRMANってどんな会社?
AIRMANは、コンプレッサや発電機などの建設機械・産業機械の製造及び販売を主力とするメーカーです。
■(1) 会社概要
同社は1938年5月に地蔵堂鋳物工業所として設立され、1939年に北越工業へ商号を変更しました。1980年に新潟証券取引所に上場し、2000年に東京証券取引所市場第二部、2014年に同市場第一部へ指定され、現在はプライム市場に上場しています。2025年4月には現在のAIRMANへと商号変更を行いました。
従業員数は連結で820名、単体で529名です。筆頭株主は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行で、第2位はバイオグリーン、第3位は外資系金融機関のGOLDMAN, SACHS&CO.REGとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 9.38% |
| バイオグリーン | 8.87% |
| GOLDMAN, SACHS&CO.REG(常任代理人 ゴールドマン・サックス証券) | 7.80% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性2名の計8名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長は佐藤豪一氏が務めており、社外取締役の比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐藤豪一 | 代表取締役社長 | 1998年同社入社。エーエスシー代表取締役社長、同社執行役員管理本部長などを経て2024年2月より現職。 |
| 長沢徳巳 | 常務取締役経営企画担当 | 1990年同社入社。東日本営業部長、営業本部長などを経て2026年3月より現職。 |
| 金子克 | 取締役サステナビリティ推進担当 | 1994年同社入社。製造部長、生産本部長などを経て2026年3月より現職。 |
| 金井潤一 | 取締役(常勤監査等委員) | 1983年同社入社。技術開発部長、品質保証部長、内部監査室長などを経て2022年6月より現職。 |
社外取締役は、稲田和男(元三菱商事環境ソリューション事業部長)、齋藤貴加年(公認会計士・フェニックス・アカウンティング・グループ代表取締役)、檜山ゆりか(中小企業診断士・FinMark Edge代表取締役)、渡邉菜穂子(弁護士・TLEO虎ノ門法律経済事務所パートナー弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「建設機械事業」および「産業機械事業」の報告セグメントで事業を展開しています。
■建設機械事業
主要な製品はエンジンコンプレッサ、エンジン発電機、高所作業車などであり、国内外の建設現場や広域レンタル会社などを顧客として、インフラ整備や資源開発の現場向けに製品を提供しています。
製品の製造・販売から収益を得ています。同社、イーエヌシステム、ファンドリー、AIRMAN USA CORPORATIONなどが製造および販売を行うほか、エーエスシー、HOKUETSU INDUSTRIES EUROPE B.V.などが販売活動を担っています。
■産業機械事業
主要な製品はモータコンプレッサや非常用発電機などで、国内の工場等の設備投資需要を背景に、産業機械向けの市場へ製品や付随する部品・サービス等を提供しています。
モータコンプレッサなどの製品販売から収益を得ています。運営は同社およびファンドリーが製造・販売を担うほか、販売子会社であるエーエスシーが国内での販売・サービス展開を行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績推移を見ると、国内外の市場開拓により売上高は継続的な成長を遂げており、利益面でも各種コスト上昇に対する価格転嫁の進展や円安の効果などにより、順調な拡大傾向を示しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 364億円 | 489億円 | 518億円 | 544億円 | 556億円 |
| 経常利益 | 40億円 | 54億円 | 73億円 | 68億円 | 80億円 |
| 利益率(%) | 11.1% | 11.0% | 14.1% | 12.6% | 14.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 21億円 | 26億円 | 36億円 | 29億円 | 34億円 |
■(2) 損益計算書
利益率が改善し、効率的な収益確保が進んでいます。販売価格の適正な改定や為替の好影響が寄与し、各段階の利益率が向上する結果となりました。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 544億円 | 556億円 |
| 売上総利益 | 142億円 | 152億円 |
| 売上総利益率(%) | 26.1% | 27.3% |
| 営業利益 | 65億円 | 72億円 |
| 営業利益率(%) | 12.0% | 12.9% |
■(3) セグメント収益
セグメント別の売上動向を見ると、主力の建設機械事業は北米を中心とした海外向けの好調が寄与し成長を継続しています。産業機械事業もモータコンプレッサなどが底堅く推移し、着実な増収を果たしています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 建設機械事業 | 441億円 | 446億円 |
| 産業機械事業 | 102億円 | 111億円 |
| 連結(合計) | 544億円 | 556億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業・投資・財務いずれもマイナスで資金繰りが危機的となる状態を示しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 40億円 | -24億円 |
| 投資CF | -11億円 | -15億円 |
| 財務CF | 44億円 | -34億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.0%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も68.5%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「お客様第一の信念に徹し、社会の発展に貢献する」「物心ともに豊かで、公平な働きがいのある会社とする」「国際的感覚をもち、経営の革新と技術の開発に努める」という理念のもと、社会倫理を尊重し顧客ニーズを企業活動に展開して、企業価値の向上を目指しています。
■(2) 企業文化
サステナビリティ基本方針を掲げており、「国際ルール、法令を遵守し、公正、誠実に業務を遂行します」「人権を尊重し、児童労働・強制労働は行いません」「ステークホルダーとの関係を大切にし、適時かつ適正な情報開示を行います」といった価値観を全社で共有しています。
■(3) 経営計画・目標
「中期ビジョン2027」において、売上規模を維持しつつ事業ポートフォリオの再構築に主眼を置き、長期ビジョン2030の達成を目指しています。また、資本コストを概ね9%と想定し、中長期的な財務目標を設定しています。
* 2028年3月期のROE目標:12%以上
* 総還元性向:70%を目標
■(4) 成長戦略と重点施策
北米市場での成長を軸に、大手広域レンタル会社との取引拡大と生産能力の増強を推し進めています。また、オセアニアやアジア市場での存在感向上や、モータコンプレッサを中心とする国内産業機械向けの展開強化にも注力しています。環境対応需要を捉えるための次世代製品の開発も継続し、収益基盤の安定と長期的な成長を目指しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「公平な働きがいのある会社」を目指し、社員のモチベーション向上、人材育成の環境整備、多様性の推進、グローバル展開を見据えた人事対応、戦略的な人事・配置を基本方針として掲げています。若手育成や多能工化、ダイバーシティ推進などを通じて組織力の強化を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 37.8歳 | 13.8年 | 6,959,480円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 2.2% |
| 男性育児休業取得率 | 58.8% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 80.0% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 80.6% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 86.2% |
また、同社は「人的資本に関する取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員比率(18.4%)、中途採用比率(43.9%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 建設・設備投資需要の変動
国内外の都市開発やインフラ網の整備、民間設備投資の動向に製品需要が大きく影響を受けます。急激な経済情勢の変化や需要動向への対応が遅れた場合、事業の収益や業績に直接的な影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 海外取引における為替相場の変動
海外売上高比率が高く、北米や欧州向けは外貨建て取引となるため、為替変動の影響を直接的に受けやすい事業構造です。為替予約等のリスクヘッジを行っていますが、想定を超える変動が生じた場合は収益に影響するリスクがあります。
■(3) 原材料価格の変動
製品製造に多くの鉄、銅、原油などの原材料を使用しているため、市況による価格変動がコストに直結します。生産性向上や価格転嫁の推進で吸収できないほどの急激な価格上昇が発生した場合、収益性が低下する恐れがあります。



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