AIRMAN 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

AIRMAN 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

AIRMANは東証プライムに上場し、コンプレッサや発電機、建設機械の製造販売を行う機械メーカーです。主力製品のエンジンコンプレッサで高いシェアを誇ります。2025年3月期の連結業績は、売上高および営業利益で過去最高を更新した一方、経常利益と当期純利益は前期比で減益となりました。


※本記事は、株式会社AIRMAN の有価証券報告書(第94期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. AIRMANってどんな会社?


屋外用エンジンコンプレッサで国内トップシェアを誇る産業・建設機械メーカーです。2025年4月に北越工業から社名変更しました。

(1) 会社概要


同社は1938年に設立され、翌1939年に北越工業へ商号変更しました。1980年に新潟証券取引所へ上場し、2014年には東京証券取引所市場第一部へ上場を果たしました。その後、2022年の市場区分見直しによりプライム市場へ移行し、2025年4月に現在のAIRMANへ商号変更を行っています。

2025年3月31日現在の連結従業員数は807名、単体では517名です。大株主の構成を見ると、筆頭株主は信託銀行、第2位は有限会社、第3位は外国法人の証券会社となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 9.62%
バイオグリーン有限会社 8.67%
GOLDMAN, SACHS&CO.REG(常任代理人 ゴールドマン・サックス証券株式会社) 7.90%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は佐藤豪一氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
佐藤豪一 代表取締役社長 1998年入社。エーエスシー代表取締役社長、執行役員管理本部長、取締役管理本部長などを歴任し、2024年2月より現職。
長沢徳巳 常務取締役営業本部長直需部長 1990年入社。執行役員東日本営業部長、執行役員営業本部長、取締役営業本部長を経て、2025年3月より現職。
金子克 取締役生産本部長 1994年入社。執行役員製造部長、執行役員生産本部長を経て、2022年6月より現職。
金井潤一 取締役(常勤監査等委員) 1983年入社。品質保証部長、監査等委員会事務局室長、執行役員内部監査室長などを歴任し、2022年6月より現職。


社外取締役は、小池敏彦(虎ノ門法律経済事務所弁護士)、鈴木孝昌(新潟工業短期大学特任教授)、齋藤貴加年(株式会社フェニックス・アカウンティング・グループ代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「建設機械事業」および「産業機械事業」を展開しています。

建設機械事業


エンジンコンプレッサ、エンジン発電機、高所作業車などの製造・販売を行っています。土木・建設現場をはじめとする幅広い分野で利用されており、特にエンジンコンプレッサは主力製品です。

収益は、製品の販売代金として顧客から受け取ります。製造・販売はAIRMAN、イーエヌシステム、ファンドリー、AIRMAN USA CORPORATIONなどが担い、販売はエーエスシーや海外現地法人が行っています。

産業機械事業


工場などの屋内設備で使用されるモータコンプレッサや非常用発電機などの製造・販売を行っています。省エネ性能に優れた製品展開により、産業界のニーズに対応しています。

収益は、製品の販売代金として顧客から受け取ります。製造・販売はAIRMANおよびファンドリーが行い、販売はエーエスシーなどが担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 329億円 367億円 490億円 519億円 548億円
経常利益 29億円 41億円 54億円 73億円 69億円
利益率(%) 8.9% 11.1% 11.0% 14.1% 12.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 14億円 21億円 26億円 36億円 29億円


過去5期間の業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあり、事業規模の拡大が続いています。利益面では、経常利益率が10%を超える高い水準を維持しており、2024年3月期には14%台に達しました。2025年3月期は増収ながらも減益となりましたが、依然として高い収益性を確保しています。

(2) 損益計算書


直近2期間の業績を比較すると、売上高は増加し、売上総利益および営業利益も増加しています。売上総利益率は約26%から27%へと改善しました。営業利益率は12%台後半で推移しており、本業の収益力は向上しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 519億円 548億円
売上総利益 135億円 147億円
売上総利益率(%) 25.9% 26.8%
営業利益 62億円 69億円
営業利益率(%) 11.9% 12.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当等が約35億円(構成比45%)、役員報酬及び給料手当が26億円(同34%)を占めています。売上原価は、製品の製造コストなどが大半を占めています。

(3) セグメント収益


建設機械事業は、国内の建築工事需要や海外の一部地域での販売増により増収増益となり、過去最高のセグメント利益を達成しました。産業機械事業も、直販製品の販売増や価格転嫁の進展により増収増益となり、過去最高のセグメント利益を記録しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
建設機械事業 420億円 446億円 61億円 68億円 15.1%
産業機械事業 99億円 102億円 16億円 18億円 17.8%
連結(合計) 519億円 548億円 78億円 86億円 15.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、本業で稼いだ資金に加え、財務活動による資金調達も行いながら、将来の成長に向けた投資を積極的に行う「積極型」のキャッシュ・フロー状態にあります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 40億円 39億円
投資CF -28億円 -11億円
財務CF -25億円 44億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は63.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「お客様第一の信念に徹し、社会の発展に貢献する」「物心ともに豊かで、公平な働きがいのある会社とする」「国際的感覚をもち、経営の革新と技術の開発に努める」という3つの経営理念を掲げています。これらを通じて、企業価値の向上を目指しています。

(2) 企業文化


社会倫理を尊重し、社員全員が行動指針や品質・環境方針に従い、顧客のニーズを幅広く企業活動に展開する文化を持っています。また、コアテクノロジーを基盤に変化する市場にマッチした製品展開を図り、持続的な企業価値向上を目指す姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は「中期ビジョン2027」を策定し、2028年3月期に向けた数値目標を掲げています。事業ポートフォリオの再構築と成長戦略を推進し、資本コストを意識した経営により企業価値の最大化を目指しています。

* 2028年3月期 連結売上高:602億円
* 2028年3月期 連結営業利益:79億5000万円
* 2028年3月期 ROE:12%以上

(4) 成長戦略と重点施策


成長戦略として、北米市場での生産能力増強、オセアニア・アジア市場での存在感向上、国内産業機械市場への展開強化を掲げています。また、国内建設機械ルートを安定収益基盤として活用し、環境対応製品の開発などの研究開発を継続することで、長期的な収益拡大を図ります。

* 北米市場における販売増を踏まえた生産能力増強
* オセアニア市場やアジア市場での存在感向上
* モータコンプレッサを中心とした国内産業機械ルートの拡充とメンテナンス需要の取り込み
* 環境対応需要を捉えるための新製品開発

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「人事ビジョン」として、「モチベーション」「人材育成」「多様性」「グローバル」「人事・配置」の5つの基本方針を掲げています。社員一人ひとりが高い意欲を持ち成長できる環境整備、多様な人材の活躍推進、海外展開を見据えた人事対応、戦略的・育成的観点での配置を通じて、「公平な働きがいのある会社」の実現を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 37.1歳 13.1年 6,815,834円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 1.6%
男性育児休業取得率 50.0%
男女賃金差異(全労働者) 77.8%
男女賃金差異(正規雇用) 77.7%
男女賃金差異(非正規) 87.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員比率(17.8%)、中途採用比率(57.3%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 市場環境の変動リスク

同社グループは建設関連機械や工場設備関連機械の製造・販売を主業としており、建設投資や民間設備投資の動向に業績が左右されます。経済情勢の急激な変動により需要が予想を超えて変化した場合、対応が遅れて業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 為替相場の変動リスク

海外売上高比率が4割を超えており、特に北米・欧州との取引は外貨建てで行われています。円と現地通貨の為替変動は価格競争力や換算後の業績数値に直接的・間接的な影響を与えます。為替予約等の対策を行っていますが、予想外の変動は業績に影響を与える可能性があります。

(3) 原材料価格の変動リスク

製品には鉄、銅、原油などを素材とする原材料が多く使用されており、市況による価格変動の影響を受けます。生産性向上や価格転嫁に努めていますが、変動幅が企業努力で吸収できる範囲を超えた場合、業績に悪影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。