カワタ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

カワタ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

スタンダード市場に上場する、プラスチック製品製造機器の専業メーカーです。成形機周辺装置やシステムエンジニアリングを主力とし、EV電池や食品等の新規分野も開拓しています。当連結会計年度は、EV関連投資の一巡や中国景気の失速等が影響し、売上高は減収、経常利益は減益となりました。


※本記事は、株式会社カワタ の有価証券報告書(第76期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. カワタってどんな会社?


プラスチック成形現場の合理化・省力化機器を製造販売する専業メーカーであり、グローバルに展開しています。

(1) 会社概要


1951年に株式会社川田製作所として設立され、合成樹脂用加工機械の生産を開始しました。1962年に合理化機械「スーパーミキサー」の生産を開始し、その後海外展開を加速させました。1991年に店頭登録、2004年にジャスダック上場を経て、2018年に東証一部へ指定替えとなりました。

連結従業員数は802名、単体では246名です。筆頭株主はカワタ共伸会で、第2位はカワタ従業員持株会、第3位は主要取引銀行である三菱UFJ銀行となっており、共済会や従業員持株会が上位を占める安定した株主構成です。

氏名 持株比率
カワタ共伸会 7.38%
カワタ従業員持株会 3.58%
株式会社三菱UFJ銀行 3.20%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は白石亙氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
白石 亙 代表取締役社長 1986年三洋電機入社、積水化学工業を経て2003年に同社入社。財務経理部長、常務取締役などを歴任し、2019年1月より現職。
白井 英徳 取締役 1986年同社入社。設計二部長、執行役員などを経て、2013年6月より現職。品質保証部門を統括。
橋本 敏郎 取締役 1986年同社入社。西日本営業部長、東日本営業部長、サービス部長などを経て、2023年6月より現職。営業企画部門を統括。


社外取締役は、田端久和(元三菱UFJ国際投信執行役員)、佐々木清一(弁護士)、玉置繁之(公認会計士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「日本」、「東アジア」、「東南アジア」および「北中米」事業を展開しています。

(1) 日本


同社グループのマザー工場としての機能を有し、プラスチック製品製造機器の製造および販売を行っています。主要製品には輸送機、計量・混合機、乾燥機、温調機などがあり、プラスチック成形工場における合理化システムや自動化システムを提供しています。

収益は、顧客であるプラスチック成形加工業者等からの機器販売代金およびシステムエンジニアリングサービス対価からなります。運営は主に同社が行い、金型温度調節機等は株式会社サーモテック、水関連機器は株式会社レイケン、プラスチック成形加工合理化機器はエム・エルエンジニアリング株式会社が製造・販売を担っています。

(2) 東アジア


中国および台湾において、プラスチック製品製造機器の製造および販売を行っています。特に中国の上海工場は主要な生産拠点の一つであり、現地市場向けの製品供給だけでなく、日本や他地域への製品供給も行っています。

収益は、現地顧客等からの製品販売代金およびメンテナンスサービス料などからなります。運営は、製造を川田機械製造(上海)有限公司が担い、販売を同社に加え川田機械香港有限公司、川田國際股份有限公司が行っています。

(3) 東南アジア


インドネシア、タイ、マレーシア、シンガポール、ベトナムにおいて、プラスチック製品製造機器の製造および販売を行っています。インドネシア工場では乾燥機や金型温度調節機などを製造し、東南アジア地域への供給拠点となっています。

収益は、現地日系企業やローカル企業からの製品販売代金およびサービス対価からなります。運営は、製造をPT.カワタインドネシアが担い、販売はカワタパシフィックPTE.LTD.やカワタタイランドCO.,LTD.など各国の現地法人が行っています。

(4) 北中米


アメリカおよびメキシコにおいて、同社グループ製品の販売およびエンジニアリングサービスを行っています。生産拠点は持たず、日本やアジアの拠点から製品を仕入れて販売する体制をとっています。

収益は、北米・中米地域の顧客からの製品販売代金およびアフターサービス料からなります。運営は、北米地域向けをカワタU.S.A.INC.が、中米地域向けをカワタマシナリーメキシコS.A. DE C.V.が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は2024年3月期にピークを迎えましたが、2025年3月期は減少に転じました。利益面でも、2024年3月期に高い水準を記録した後、当期は経常減益となりましたが、純利益については変動が見られます。全体として、特需の反動や市況の影響を受けつつも、一定の利益水準を維持しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 168億円 184億円 188億円 245億円 208億円
経常利益 6億円 9億円 8億円 14億円 10億円
利益率(%) 3.6% 4.9% 4.3% 5.8% 5.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 3億円 5億円 2億円 2億円 6億円

(2) 損益計算書


直近2期間の傾向を見ると、売上高の減少に伴い営業利益および経常利益が減少しています。一方で、売上総利益率は改善傾向にあり、原価低減や販売価格の適正化の効果が見られます。販管費は増加しており、これが営業減益の要因の一つとなっています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 245億円 208億円
売上総利益 62億円 63億円
売上総利益率(%) 25.5% 30.1%
営業利益 12億円 10億円
営業利益率(%) 5.1% 4.7%


販売費及び一般管理費のうち、役員報酬及び給料手当が23億円(構成比45%)、福利厚生費が5億円(同10%)を占めています。

(3) セグメント収益


各セグメントの状況を見ると、日本および東アジアにおいて売上高が減少しており、特に東アジアでは利益が赤字に転落しました。一方、東南アジアと北中米では増収となり、東南アジアは増益を確保しています。EV関連投資の一巡や中国景気の影響が地域によって異なる結果となっています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
日本 159億円 136億円 13億円 13億円 9.9%
東アジア 65億円 46億円 3億円 -1億円 -2.5%
東南アジア 19億円 23億円 0.5億円 0.6億円 2.8%
北中米 3億円 3億円 -0.9億円 -1億円 -38.3%
調整額 - - -1億円 -1億円 -
連結(合計) 245億円 208億円 14億円 10億円 5.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

カワタのキャッシュ・フローの状況についてご説明します。

営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権や棚卸資産の減少といった収入要因が、仕入債務の減少といった支出要因を上回ったことにより、前年同期の支出超過から収入超過へと大きく改善しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が主な要因となり、支出超過となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の返済や配当金の支払いが主な要因となり、支出超過となりました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF -1億円 11億円
投資CF -7億円 -5億円
財務CF 7億円 -12億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は社是として「知力・努力・協力」の「三力」を掲げ、企業を通じて社会の平和と繁栄に寄与することを期しています。経営理念では、粉粒体加工の省力化機器スペシャリストとして、高品質なオンリーワン製品を提供し社会に貢献することを目指し、顧客、社会、従業員、株主等のステークホルダーから「いい会社」と呼ばれる企業になることを宣言しています。

(2) 企業文化


製造工程の省力化とロス低減による環境負荷軽減を理念とし、「チャレンジCES(低コスト、省エネ、省スペース)」を製品開発指針としています。独自製品の開発と新技術の発信により、業界のリーディングカンパニーとしての地位を確立しつつ、現場力を強化し収益力を向上させる姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標


2025年5月に更新された中期経営計画(2025-2027年度)において、以下の数値目標を掲げています。

* 当期利益:安定的に10億円以上
* 自己資本利益率(ROE):8%以上
* 配当:連結配当性向30%以上、自己資本配当率(DOE)2%台維持

(4) 成長戦略と重点施策


「より強靭な事業体の構築」を目指し、ESG経営の強化と少数精鋭かつ高収益体質の確立を掲げています。具体的には、新規市場(電池、食品等)の開拓やEV関連・ギガキャスト等の成長分野への展開強化、既存市場でのシェア拡大と収益力向上、そして人的資本経営やガバナンス強化による経営基盤の盤石化を推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「企業の成長」と「個人の成長」を目的に、自ら考え行動できる自律型人材の育成を方針としています。階層別教育研修システムの運用やテクニカルセンターを活用した技術伝承、心理的安全性の確保、健康経営の推進などを通じ、従業員の自主性と働きがいを重視した環境整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 42.3歳 11.9年 6,529,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
男性育児休業取得率 62.5%
賃金差異(全労働者) -
賃金差異(正規) -
賃金差異(非正規) -
女性管理職比率 -


※表の項目が省略されている理由:賃金差異については同一等級・同一区分における格差はないと認識している旨の記載があり、具体的な数値の記載がないため省略しています。女性管理職比率については、女性管理職が1名である旨の記載はありますが、比率としての記載がないため省略しています。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 特定事業分野への集中リスク


同社グループのコアビジネスはプラスチック製品製造機器事業であり、特に自動車関連や電子部品関連業界向けの売上高構成比が高くなっています。そのため、これらの業界の設備投資動向や技術革新、事業環境の変化が、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原材料価格の上昇リスク


製品の原材料には鋼材など市況変動の影響を受けるものが含まれています。原価低減策を上回る原材料価格の上昇が生じ、それを販売価格へ十分に転嫁できなかった場合、同社グループの利益率が低下する可能性があります。

(3) 価格競争激化のリスク


主要な納入先であるプラスチック成形加工業界では、技術革新と価格競争が激化しています。同社グループは高付加価値製品の開発等で競争力強化に努めていますが、想定を上回る価格競争が生じた場合には、利益率が低下する可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。