※本記事は、株式会社カワタの有価証券報告書(第77期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. カワタってどんな会社?
■(1) 会社概要
1951年に川田製作所に改組して設立され、合成樹脂用加工機械の設計と生産を開始しました。1962年には自動輸送機の生産を開始し、1985年にカワタへ社名を変更しています。1989年の米国やシンガポールでの現地法人設立を皮切りにグローバル展開を推進し、2004年に株式を上場しました。
現在の同社グループは、連結従業員数734名、単体では242名の体制で事業を展開しています。大株主の状況としては、筆頭株主が取引先等で構成されるカワタ共伸会で、第2位はカワタ従業員持株会、第3位は金融機関である三菱UFJ銀行となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| カワタ共伸会 | 7.85% |
| カワタ従業員持株会 | 3.81% |
| 三菱UFJ銀行 | 3.20% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は白石亙氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 白石亙 | 代表取締役社長 | 1986年三洋電機入社。積水化学工業を経て2003年同社入社。2009年財務経理部長、2018年常務取締役等を経て2019年1月より現職。 |
| 白井英徳 | 取締役執行役員 | 1986年同社入社。2012年設計二部長、2013年執行役員等を経て2013年6月より現職。 |
| 橋本敏郎 | 取締役執行役員 | 1986年同社入社。西日本営業部長、東日本営業部長、サービス部長などを経て2023年6月より現職。 |
社外取締役は、田端久和(元三菱UFJ銀行柏中央支店長)、佐々木清一(梅田中央法律事務所代表弁護士)、玉置繁之(元あおぞら監査法人代表社員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「日本」「東アジア」「東南アジア」「北中米」の各地域を報告セグメントとして事業を展開しています。
■日本
同社グループの主力事業として、プラスチック製品製造機器の製造、販売およびこれに関連するシステムエンジニアリングその他のサービスを提供しています。自動車関連や電子部品関連などのプラスチック成形加工業界をはじめ、食品や化学など幅広い業界の顧客に向けて、合理化機器システムを納入しています。
収益は、機器の販売代金やシステムエンジニアリングの対価、修理やメンテナンスによるサービス料から得ています。日本では金型温度調節機等をサーモテックが、水関連機器をレイケンが、その他の製品を同社が製造し、これらを同社およびレイケンが販売しています。またエム・エルエンジニアリングも製造・販売を行っています。
■東アジア
中国や台湾などの東アジア地域において、プラスチック製品製造機器の製造、販売、およびシステムエンジニアリング等のサービスを提供しています。現地のプラスチック成形加工業界や、EV向けリチウムイオン電池関連、スマートフォン向けレンズ関連などの顧客に対して合理化機器システムを展開しています。
収益源は、機器の販売代金や据付工事、アフターサービスによる対価です。製造は主に川田機械製造(上海)有限公司が担い、輸送機や乾燥機、金型温度調節機などを生産しています。販売については、同社に加えて川田機械香港有限公司および川田國際股份有限公司が同地域で事業を展開しています。
■東南アジア
タイ、シンガポール、インドネシア、マレーシア、ベトナムなどの東南アジア地域において、プラスチック製品製造機器の製造と販売、付随するサービスを提供しています。現地のOA機器や二輪関連などの日系および非日系企業に対し、顧客ニーズにマッチした生産設備の合理化機器システムを納入しています。
収益は、製品の販売代金や据付工事、メンテナンス等のアフターサービスによる対価から得ています。製造は主にPT.カワタインドネシアが担当し、乾燥機や金型温度調節機を生産しています。販売はカワタパシフィックPTE.LTD.をはじめとする各国の現地子会社がそれぞれ担い、地域に密着した事業を運営しています。
■北中米
アメリカ合衆国やメキシコ合衆国などの北中米地域において、同社グループが製造したプラスチック製品製造機器の販売と、これに関連するアフターサービスなどを提供しています。主に同地域の自動車業界向けを中心とした射出成形関連の顧客に対して、生産現場の合理化に寄与する機器やシステムを納入しています。
収益源は、機器の販売代金や据付工事、アフターサービスによる対価です。同地域には生産拠点を有しておらず、同社グループの製品を輸入して販売する体制をとっています。北米地域向けにはカワタU.S.A.INC.が販売を担当し、中米地域向けにはカワタマシナリーメキシコS.A. DE C.V.が販売とサービスを運営しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5年間の業績推移を見ると、売上高は2024年3月期にピークを迎えましたが、その後は減少傾向にあります。経常利益も同様に推移しており、直近の2026年3月期は自動車やEV向け投資の低迷等の影響を受け、減収減益となりました。利益率も低下傾向にあり、収益性の改善が課題となっています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 184億円 | 188億円 | 245億円 | 208億円 | 194億円 |
| 経常利益 | 9億円 | 8億円 | 14億円 | 10億円 | 6億円 |
| 利益率(%) | 4.9% | 4.3% | 5.8% | 5.0% | 3.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 4億円 | 2億円 | 2億円 | 6億円 | 5億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で減少しており、それに伴い売上総利益も減少しています。売上総利益率は29.2%に低下し、販売費および一般管理費の減少幅が売上総利益の減少を補えなかったため、営業利益は前期比で半減する結果となりました。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 208億円 | 194億円 |
| 売上総利益 | 63億円 | 57億円 |
| 売上総利益率(%) | 30.1% | 29.2% |
| 営業利益 | 10億円 | 4億円 |
| 営業利益率(%) | 4.7% | 2.3% |
販売費及び一般管理費のうち、役員報酬及び給料手当が24億円(構成比46%)、福利厚生費が5億円(同10%)を占めています。また、売上原価は137億円となっています。
■(3) セグメント収益
セグメント別の売上高を見ると、日本は自動車向け射出成形関連やEV関連の低調により減少しました。東アジアも同様の理由や価格競争激化により減収となっています。一方、東南アジアはOA機器や二輪関連が堅調に推移し、北中米も自動車業界向けが伸びて増収となりました。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 日本 | 136億円 | 120億円 |
| 東アジア | 46億円 | 43億円 |
| 東南アジア | 23億円 | 24億円 |
| 北中米 | 3億円 | 7億円 |
| 連結(合計) | 208億円 | 194億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなる「健全型」です。営業活動で得た資金を、設備投資やシステム刷新に充てつつ、借入金の返済や配当金の支払いなど財務基盤の強化にも適切に振り向けている状態といえます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 11億円 | 20億円 |
| 投資CF | -5億円 | -10億円 |
| 財務CF | -12億円 | -10億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は0.3%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は54.7%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「プラスチックをはじめとする粉粒体による製品製造現場において、省力化機器のスペシャリストとして、お客様のニーズにマッチした、品質の高い、他社の追随を許さないオンリーワン製品をお届けすることにより、社会に貢献する」ことを経営理念に掲げています。市場が求めるものを探求し、世界の人々の豊かで安全な暮らしに貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
社是として「知力・努力・協力」からなる「三力」を掲げ、生産に励むことで社会の平和と繁栄に寄与することを重視しています。価値を生み出す「知力」、苦難を克服する「努力」、みんなの力を一つに結ぶ「協力」を行動の基礎とし、従業員の自主性と働きがいを大切にしながら、各ステークホルダーから「いい会社」と呼ばれる企業文化を育んでいます。
■(3) 経営計画・目標
資本コストや株価を意識した経営を進め、安定的な収益確保と株主還元の両立を目標としています。中長期的には以下の数値目標を掲げています。
* 当期利益10億円以上の確保
* 自己資本利益率(ROE)8%以上の確保
* 連結配当性向30%以上を基本とし、自己資本配当率(DOE)2%台を維持
■(4) 成長戦略と重点施策
既存市場での販売拡大と収益力向上を図るとともに、新規市場や成長分野における事業展開を強化する方針です。プラスチック分野で培った技術を応用し、電池や食品、化粧品などの非プラスチック分野への進出を加速させます。また、労働力不足に対応する省人化設備や、脱炭素に向けた環境投資需要を確実に捕捉し、競争力の底上げを図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「企業の成長」と「個人の成長」を目的として、自ら考え行動できる自律型人材を支援し、育成することを方針としています。幅広い知見やチャレンジ精神を持つ人材を育てるための教育制度を整備し、グループ内の人材交流や技能伝承を目的としたテクニカルセンターの活用も推進しています。また、従業員が主体的に業務を遂行できる心理的安全性の確保にも注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 42.7歳 | 12.1年 | 6,910,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | - |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用労働者) | - |
※同社および国内連結子会社はいずれも法律の規定による公表義務の対象ではなく小規模な組織であるため、有報には女性管理職比率および男女賃金差異の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 自動車・電子部品関連への集中リスク
同社グループのコアビジネスであるプラスチック製品製造機器事業は、自動車関連や電子部品関連業界向けの高機能合理化機器の売上構成比が高くなっています。これらの業界の設備投資動向が景気により悪化した場合や、技術革新に適切に対応できなかった場合、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 鋼材・化学素材の価格上昇リスク
同社製品の製造には、市況変動の影響を受けやすい鋼材や石油由来の化学素材が原材料として使用されています。原価低減策を上回る価格高騰が発生し、それを製品の販売価格へ十分に転嫁できなかった場合、利益率が低下するおそれがあります。また、地政学的な要因等で原材料の安定確保が困難になるリスクも存在します。
■(3) アジア・北中米での海外事業リスク
同社グループは、東アジアや東南アジアでの生産、および北中米を含む広範な地域での販売・サービス展開を強化しています。売上高の海外比率が4割を超える中、進出先における予期せぬ政治的混乱や法制度の変更、経済状況の悪化などが発生した場合、現地の生産・営業活動に支障をきたすリスクがあります。



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