※本記事は、オカダアイヨン株式会社の有価証券報告書(第67期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月16日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。
1. オカダアイヨンってどんな会社?
同社は、建設機械用アタッチメントや環境関連機器の製造・販売を主力とするメーカーです。
■(1) 会社概要
1960年にオカダ鑿岩機として設立され、1983年にオカダアイヨンへ社名変更しました。1992年に大阪証券取引所市場第二部へ上場を果たし、その後海外展開も加速させ、2002年に米国子会社を設立しています。近年はM&Aを積極的に行い、2017年に南星機械等を子会社化して事業領域を広げました。
現在、従業員数は連結で497名、単体で273名体制です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位は創業家の岡田眞一郎氏、第3位は事業会社の極東開発工業です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.10% |
| 岡田 眞一郎 | 3.93% |
| 極東開発工業 | 3.72% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は岡田祐司氏が務めています。社外取締役比率は30.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 岡田 祐司 | 代表取締役社長兼海外本部長 | 1996年入社。欧州駐在や中部営業所長を経て、2013年に取締役就任。マーケティング本部長等を経て、2022年に代表取締役社長に就任し、現在に至る。 |
| 前西 信男 | 専務取締役管理本部、経営企画部門担当兼経営企画室長兼南星機械取締役 | 1984年住友銀行(現三井住友銀行)入行。2014年に同社へ出向し、2015年取締役就任。南星機械取締役等を歴任し、2026年より専務取締役として現職。 |
| 山口 照和 | 常務取締役営業部門兼製造部門担当兼製商品開発(含、土木分野)総括兼南星機械取締役会長 | 1979年入社。東京本店長や営業部長を経て2016年に取締役就任。マーケティング本部副本部長等を経て、2026年より常務取締役兼製商品開発総括として現職。 |
| 岡本 巌 | 取締役管理本部長兼総務部長兼Okada Aiyon (Thailand) Co.,Ltd.取締役 | 1988年入社。中部営業所長や海外事業所長、総務部長を経て2021年に執行役員就任。2025年に取締役となり、2026年より管理本部長兼総務部長として現職。 |
社外取締役は、小林恵(神戸機材代表取締役社長)、吉田晴行(元クボタ専務執行役員)、帆足寿味子(帆足法律事務所パートナー弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「国内」および「海外」事業を展開しています。
■(1) 国内
建機アタッチメントや環境関連機器、林業・金属リサイクル機械の製造、販売、メンテナンスを行っています。主な顧客は建機ディーラーやレンタル会社、エンドユーザーであり、ゼネコン向けにはダム建設等で使われるケーブルクレーンの設計・施工も手掛けています。
収益は、これらの製品の販売代金やメンテナンスなどのアフターサービスから得ています。事業の運営は主に同社が行うほか、林業・リサイクル機械やケーブルクレーン等の製造は子会社の南星機械、圧砕機の製造はアイヨンテックが担当しています。
■(2) 海外
主に油圧ブレーカや圧砕機といった建機アタッチメントの海外での販売およびメンテナンスサポートを行っています。主な顧客は、北米や欧州、アジア地域における建機ディーラーなどの提携販売代理店や現地のレンタル会社です。
収益は、現地のディーラーやユーザーへの製品販売代金から得ています。運営については、北米地域はOkada America,Inc.やOkada Midwest,Inc.、欧州地域はOkada Europe B.V.が担い、それ以外の地域は同社の海外事業所が担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績推移を見ると、売上高は概ね右肩上がりで成長を続けており、200億円台から270億円規模へと事業規模が拡大しています。利益面でも増益基調が続いており、経常利益率は8%から10%台の安定した水準を維持しています。主力である解体・インフラ需要の堅調な推移が全体業績を牽引しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 203億円 | 236億円 | 271億円 | 266億円 | 270億円 |
| 経常利益 | 18億円 | 20億円 | 28億円 | 22億円 | 23億円 |
| 経常利益率(%) | 8.9% | 8.3% | 10.4% | 8.4% | 8.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 5億円 | 7億円 | 10億円 | 10億円 | 10億円 |
■(2) 損益計算書
売上高と売上総利益ともに安定的に推移しており、前年と比較して増収増益となっています。売上総利益率や営業利益率も前期とほぼ同水準をキープしており、原材料価格の上昇等によるコスト増の影響を受けつつも、販売価格の適正化等により堅実な利益体質を維持しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 266億円 | 270億円 |
| 売上総利益 | 79億円 | 80億円 |
| 売上総利益率(%) | 29.6% | 29.6% |
| 営業利益 | 23億円 | 23億円 |
| 営業利益率(%) | 8.6% | 8.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料が18億円(構成比31.5%)、賞与引当金繰入額が1.8億円(同3.2%)を占めています。また、売上原価190億円は売上原価合計に対して100%を占める主要な費用です。
■(3) セグメント収益
国内セグメントは、建物基礎解体や土木工事などの底堅い需要を背景に、売上高は前期比で微増となりました。海外セグメントは、欧州での圧砕機販売増加やアジア地域での販売拡大が寄与し、堅調に増収を達成しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 国内 | 206億円 | 207億円 |
| 海外 | 60億円 | 63億円 |
| 連結(合計) | 266億円 | 270億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、本業は赤字ですが、将来成長のため借入で投資を継続する「勝負型」の傾向を示しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -0.1億円 | -1.9億円 |
| 投資CF | -11億円 | -31億円 |
| 財務CF | 15億円 | 41億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.5%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は45.2%で、いずれも市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「1.社会に存在価値ある会社、2.会社に存在価値ある部門、3.部門に存在価値ある個人、4.向上の矢印で確実な前進」を経営理念として掲げています。お客様のニーズを的確に捉えた製品とサービスの提供を通じ、社員が育ち、会社が発展し、社会に貢献することを使命として、事業を推進しています。
■(2) 企業文化
経営理念の実現に向け、中長期の経営方針や事業計画を策定し、各セグメントが年度計画を達成することで「一歩一歩、確実に前進していくこと」を基本方針とする文化を持っています。また「人は環境をつくる」というスローガンのもと、サステナビリティ課題に積極的に取り組み、ESG経営を実践する組織風土が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
「VISION 30」に基づく新中期経営計画「Onyx(オニキス)」において、2029年3月期に向けた以下の具体的な数値目標を掲げ、確実な成長と収益性の改善を目指しています。
* 売上高:340億円
* 営業利益:34億円
* ROE:10.8%
■(4) 成長戦略と重点施策
安定した国内事業基盤を土台としつつ、海外事業とアフタービジネスの成長を通じた価値創造型の成長モデルへの転換を目指しています。国内では市場特性を踏まえた価格適正化とメンテナンスサービスの強化を図り、海外では北米・欧州を成長ドライバーとして、製品ラインナップや販売・サービス体制の強化に注力します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「働きやすい、働きたくなる、働きがいのある」会社の実現を目指し、ダイバーシティ推進や働き方改革に取り組んでいます。リファラル採用などの柔軟な採用形態の導入や、キャリアパスを考慮した社内公募制などの「人づくり」を進めるほか、人事・評価制度の見直しやシニア活用など、多様な人材が活躍できる環境整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 41.3歳 | 12.5年 | 6,833,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 3.7% |
| 男性育児休業取得率 | 71.4% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 68.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 70.6% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 45.7% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 原材料価格変動の影響
主要原材料の市況が上昇し、取引先からの価格引き上げ要請が強まるリスクがあります。同社は市況価格を注視し価格交渉に努めていますが、価格が高騰した場合は原材料費の上昇を抑えきれず、業績に影響を及ぼす可能性があります。ただし、影響が波及するまでにはタイムラグがあります。
■(2) M&Aに関する影響
事業拡大のためにM&Aを活用していますが、買収した事業の計画が大幅に遅れたり、想定通りの収益を確保できなかったりする場合、のれんに係る減損損失が発生するリスクがあります。これにより、同社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 為替変動による影響
同社グループは商品、製品、原材料の輸出入取引を行っており、海外売上高比率も約23%を占めます。そのため、急激な為替相場の変動は、外貨建取引から発生する資産・負債の円換算額や仕入原価に影響を与えます。為替予約等でリスク軽減を図っていますが、完全に回避できない可能性があります。



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