※本記事は、オカダアイヨン株式会社 の有価証券報告書(第66期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月17日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. オカダアイヨンってどんな会社?
プライム市場に上場する建機アタッチメントメーカーで、ビルの解体現場などで活躍する圧砕機や油圧ブレーカ等の製造・販売を行っています。
■(1) 会社概要
1960年に大阪市でオカダ鑿岩機として設立され、1977年に油圧ブレーカの販売を開始しました。1992年に大証二部に上場し、2016年には東証一部へ指定替えとなりました。2017年には南星機械を子会社化し林業機械分野を強化しています。2022年の市場区分見直しにより、現在はプライム市場に上場しています。
連結従業員数は497名、単体では267名です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位は創業家出身の役員である岡田眞一郎氏です。第3位の極東開発工業は、大型環境機械事業における共同開発などで事業上の関係を持つ事業会社です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.10% |
| 岡田 眞一郎 | 4.25% |
| 極東開発工業 | 3.72% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長兼海外部門担当は岡田祐司氏です。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 岡田 祐司 | 代表取締役社長兼海外部門担当 | 1996年入社。海外駐在や経営企画室係長、中部営業所長などを経て、2015年取締役就任。マーケティング本部長などを歴任し、2022年より現職。 |
| 前西 信男 | 専務取締役管理部門・システム部門・経営企画担当兼経営企画室長兼株式会社南星機械取締役兼Okada Aiyon (Thailand) Co.,Ltd.取締役 | 1984年住友銀行入行。法人営業部長などを経て2014年同社入社。管理本部長、経理部長などを歴任し、2025年より現職。 |
| 山口 照和 | 常務取締役営業部門兼製造部門担当 | 1979年入社。東京本店長、営業部長などを経て2016年取締役就任。アイヨンテック取締役などを兼務し、2025年より現職。 |
| 川島 政浩 | 常務取締役 | 1984年入社。仙台営業所長、機械部長などを経て2016年取締役就任。アイヨンテックや南星機械の取締役を兼務し、2025年より現職。 |
社外取締役は、古田均(大阪公立大学特任教授)、小林恵(神戸機材代表取締役社長)、吉田晴行(元クボタ専務執行役員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「国内」「海外」の2つの報告セグメントで事業を展開しています。
■(1) 国内
圧砕機や油圧ブレーカ等の建機アタッチメント、廃木材処理機等の環境関連機器、林業・金属リサイクル機械等の製造・販売・メンテナンスを行っています。また、ダム建設工事等の運搬設備であるケーブルクレーンの設計・施工・運用管理も手掛けています。
収益は、建設機械ディーラーやレンタル会社、エンドユーザー等への製品販売代金やメンテナンス料、請負工事代金等から得ています。運営は主にオカダアイヨンが行うほか、子会社の南星機械が林業・金属リサイクル機械等を、アイヨンテックが圧砕機を製造しています。
■(2) 海外
建機アタッチメントである破砕機や油圧ブレーカ等を、現地のディーラーや海外ユーザーに対して販売しています。特に油圧ブレーカは販売の約8割を占めており、北米や欧州等で広く使用されています。
収益は、現地の販売代理店やレンタル会社等への製品販売代金等から得ています。運営はオカダアイヨンに加え、米国の子会社Okada America, Inc.やOkada Midwest, Inc.、欧州の子会社Okada Europe B.V.などが各地域での販売やメンテナンスサポートを行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は2024年3月期まで右肩上がりで成長してきましたが、当期はわずかに減少しました。利益面では、2024年3月期に高い利益率を記録しましたが、当期は減益となり、利益率は過去の水準に戻っています。全体としては、2021年3月期と比較すると事業規模は拡大傾向にあります。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 176億円 | 203億円 | 236億円 | 271億円 | 266億円 |
| 経常利益 | 14億円 | 18億円 | 20億円 | 28億円 | 22億円 |
| 利益率(%) | 8.1% | 8.9% | 8.3% | 10.4% | 8.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 5億円 | 5億円 | 7億円 | 10億円 | 10億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で微減となり、売上総利益も減少しました。売上原価率は上昇し、売上総利益率は若干低下しています。販売費及び一般管理費は増加しており、これに伴い営業利益および営業利益率は低下しました。為替差損の発生なども影響し、経常利益段階での減益幅が大きくなっています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 271億円 | 266億円 |
| 売上総利益 | 81億円 | 79億円 |
| 売上総利益率(%) | 30.1% | 29.6% |
| 営業利益 | 27億円 | 23億円 |
| 営業利益率(%) | 10.0% | 8.6% |
販売費及び一般管理費のうち、給料が17億円(構成比31%)、退職給付費用が1.7億円(同3%)を占めています。
■(3) セグメント収益
国内セグメントは、解体需要が堅調で圧砕機等の販売が伸びたことや、原材料価格上昇に対応した価格改定効果もあり増収増益となり、過去最高を更新しました。一方、海外セグメントは、北米や欧州での需要減速や在庫調整の影響を受け、売上高・利益ともに大きく減少しました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 国内 | 202億円 | 206億円 | 18億円 | 19億円 | 9.4% |
| 海外 | 68億円 | 60億円 | 9億円 | 3億円 | 5.8% |
| 調整額 | △7億円 | △6億円 | △0.1億円 | 0.0億円 | - |
| 連結(合計) | 271億円 | 266億円 | 27億円 | 23億円 | 8.6% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業の営業キャッシュ・フローがマイナスとなり、投資キャッシュ・フローもマイナスである一方、財務キャッシュ・フローで資金を調達している「勝負型」の状態です。なお、営業CFのマイナスは主に仕入債務の減少(支払サイト短縮)や棚卸資産の増加等によるものです。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 20億円 | △0.1億円 |
| 投資CF | △13億円 | △11億円 |
| 財務CF | 4億円 | 15億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は47.9%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「社会に存在価値ある会社」「会社に存在価値ある部門」「部門に存在価値ある個人」「向上の矢印で確実な前進」を経営理念として掲げています。この理念のもと、顧客ニーズを捉えた製品とサービスの提供を通じて、社員の育成、会社の発展、社会貢献の実現を目指しています。
■(2) 企業文化
「人を大事に」というトップ方針のもと、社員一人ひとりの成長と働きがいを重視する文化があります。また、「人は環境をつくる」をスローガンに掲げ、事業を通じてより良い環境づくりを目指す人材を育成し、ESG経営の実践など社会的責任を果たすことを重要視しています。
■(3) 経営計画・目標
長期ビジョン「VISION 30」において、以下の指標を目標として設定しています。
* トリプル3:売上高300億円以上、営業利益30億円以上、時価総額300億円以上
* トリプル10:売上高伸び率10%以上、売上高営業利益率10%以上、ROE10%以上
中期経営計画「ローリングプランFY2025~FY2027」では、最終年度(2027年3月期)の目標を以下の通り定めています。
* 売上高300億円
* 営業利益28億円
* 売上高営業利益率9.3%
* ROE10.1%
■(4) 成長戦略と重点施策
国内では、解体市場でのシェア拡大を目指し、増産体制と生産性向上によるバリューチェーンの強化を図ります。林業機械では子会社南星機械との統合効果を最大化し、メンテナンス体制を活かした営業展開を進めます。海外では、米国・欧州・アジアの各拠点へ戦略的に人員と商材を投入し、市場開拓とシェア獲得に注力します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「人を大事に」の方針のもと、「働きやすい、働きたくなる、働きがいのある」会社の実現を目指しています。「人づくり」として採用・育成を強化し、「人事制度」では実績・貢献を反映した評価・報酬制度を構築しています。また、「働き方改革」を通じてエンゲージメントの向上やダイバーシティの推進に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 41.8歳 | 13.7年 | 6,718,000円 |
※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 3.5% |
| 男性育児休業取得率 | 62.5% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 64.4% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 65.9% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 97.2% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 原材料価格変動の影響
主要原材料の市況が大きく高騰した場合、取引業者からの価格引上げ要請により調達コストが上昇する可能性があります。これにより、製品原価の上昇を抑えきれず、同グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 海外事業展開に伴うリスク
海外売上高比率は22.5%であり、予期せぬ法律・規制の変更や不利な税制改正などが事業展開の障壁となる可能性があります。また、為替相場の急激な変動は、円換算した売上高や利益、現地の価格競争力に影響を与え、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) M&Aに関する影響
事業拡大のためにM&Aを行うことがありますが、買収後の事業計画の進捗が大幅に遅れたり、期待した収益が確保できなかったりする場合には、のれんの減損損失が発生するなど、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。



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