サンセイ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

サンセイ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場のゴンドラ・舞台装置メーカー。ビルの窓拭き用ゴンドラや舞台装置の製造・保守・レンタルを主力とし、船舶修理等の海洋事業も展開しています。2025年3月期の業績は、売上高58億円(前期比2.6%増)、経常利益4.6億円(同7.8%増)、純利益3.2億円(同6.0%増)と増収増益でした。


※本記事は、サンセイ株式会社 の有価証券報告書(第70期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. サンセイってどんな会社?


ゴンドラ・舞台装置のパイオニアとして、ビル用窓拭きゴンドラやホール等の舞台機構の設計・製造・保守を一貫して手掛ける企業です。また、船舶修理や魚礁製作などの海洋関連事業も展開しています。

(1) 会社概要


1956年に舞台装置および遊園地遊戯機械の製造販売を目的に設立され、1963年にはワッシングゴンドラの製造を開始しました。1993年に現在のサンセイに商号を変更し、1995年に大阪証券取引所市場第二部に上場しました。その後、2013年の東証・大証統合を経て、2022年4月の市場区分見直しに伴い、現在は東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。

連結従業員数は231名、単体では190名です。大株主構成については、筆頭株主は情報通信関連事業などを展開する事業会社の光通信で、第2位は同社代表取締役社長の小嶋敦氏、第3位は個人株主の和田秀樹氏となっています。

氏名 持株比率
株式会社光通信 19.80%
小嶋 敦 11.32%
和田 秀樹 4.35%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は小嶋敦氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
小嶋 敦 取締役社長(代表取締役) 1988年入社。取締役、常務取締役、取締役副社長を経て1996年より現職。
岸本 竹史 常務取締役営業本部長、東京支社長、ゴンドラ・舞台総括 1984年入社。設計本部長、執行役員等を経て2022年より現職。
西村 直樹 取締役管理本部長、海洋総括 1994年入社。管理本部総務グループ部長、執行役員等を経て2022年より現職。


社外取締役は、美藤直人(公認会計士・税理士)、三宅有(税理士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ゴンドラ・舞台」「海洋関連」および「その他」事業を展開しています。

ゴンドラ・舞台

中高層ビルの窓清掃用ゴンドラやホール・劇場等の舞台装置の設計、製造、販売、据付、保守、および仮設ゴンドラのレンタルを行っています。製品はオーダーメイドが中心で、納入後のメンテナンスも重要視されています。

収益は、機器の販売代金、据付工事代金、保守契約に基づくメンテナンス料、および建設現場等への仮設ゴンドラのレンタル料から成ります。運営は、サンセイ、サンセイゴンドラレンタリース、サンセイゴンドラが行っています。

海洋関連

海上保安庁等の官公庁船を中心とした船舶の定期・中間検査および修理を行っています。また、魚礁や浮体式灯標の製作・販売、および船舶修理に伴う船員宿泊施設の運営も手掛けています。

収益は、船舶の修理代金、魚礁等の製品販売代金、および宿泊施設の利用料から成ります。運営は、サンセイおよびサンセイエンタープライズが行っています。

その他

産業機械の製造販売や、同社所有不動産の管理業務を行っています。

収益は、産業機械の販売代金や不動産の賃貸料等から成ります。運営は、サンセイおよびサンセイエンタープライズが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年3月期から2025年3月期までの5期間を見ると、売上高は44億円から57億円の範囲で推移しており、直近は増加傾向にあります。経常利益も3.5億円から6.2億円の間で推移し、黒字を維持しています。2025年3月期は増収増益となり、売上高、利益ともに堅調な推移を見せています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 53億円 45億円 54億円 56億円 58億円
経常利益 6.3億円 3.5億円 4.7億円 4.2億円 4.6億円
利益率(%) 11.8% 7.9% 8.7% 7.5% 7.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 3.4億円 2.0億円 3.2億円 2.8億円 3.2億円

(2) 損益計算書


2024年3月期と2025年3月期を比較すると、売上高は56億円から58億円へ増加しました。売上総利益率は23.0%から23.4%へとわずかに改善し、営業利益率は7.5%から7.9%へ上昇しています。売上拡大に伴い、利益額も増加しており、安定した収益性を維持しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 56億円 58億円
売上総利益 13億円 14億円
売上総利益率(%) 23.0% 23.4%
営業利益 4.2億円 4.5億円
営業利益率(%) 7.5% 7.9%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が3.4億円(構成比37%)、役員報酬が1.5億円(同17%)を占めています。売上原価については、材料費が19億円(構成比45%)、労務費が11億円(同26%)を占めており、製造業としてのコスト構造が明確です。

(3) セグメント収益


「ゴンドラ・舞台」セグメントは増収増益となり、利益率は8.4%と高い収益性を示しています。「海洋関連」セグメントは減収減益となりましたが、利益率は26.7%と依然として高水準です。「その他」事業は規模が小さいものの黒字を維持しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
ゴンドラ・舞台 37億円 40億円 2.2億円 3.4億円 8.4%
海洋関連 20億円 17億円 5.3億円 4.6億円 26.7%
その他 0.1億円 0.1億円 -0.0億円 0.0億円 9.8%
調整額 -0.1億円 -0.1億円 -3.3億円 -3.5億円 -
連結(合計) 56億円 58億円 4.2億円 4.5億円 7.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはマイナスとなりましたが、これは主に売上債権の増加や仕入債務の減少によるものであり、本業の収益力(税引前利益5.0億円)は維持されています。投資CFは有価証券の売却等によりプラス、財務CFは配当金支払等によりマイナスとなりました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 1.2億円 -4.7億円
投資CF -0.8億円 0.2億円
財務CF -1.3億円 -1.4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は73.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


創業以来、ビル用ゴンドラと舞台装置のパイオニアとして、安全性、高機能、使いやすさに焦点を当てた製品づくりを通じて、より快適な社会の実現を目指しています。常に顧客満足度を志向し、品質向上の継続的改善に努めるとともに、積極的に新技術に挑戦することを経営の基本方針としています。

(2) 企業文化


「株主にとっては信頼できる会社」「従業員にとっては安心して働ける会社」「顧客にとっては信用できる会社」という理念を掲げています。製品やサービスの提供を通じて建物・船舶の維持や文化・芸術活動を支え、社会に貢献することを使命としています。

(3) 経営計画・目標


株主への利益還元を重要な企業責任と位置づけ、配当性向を重視しています。客観的な経営指標としてROE(自己資本利益率)を採用しており、上場時において1株当たり7.5円の配当を基準とし、平均28%以上の配当性向を公約として掲げています。

(4) 成長戦略と重点施策


技術力の継承、若手人材の確保・定着、および各種設備の更新に取り組み、経営基盤の強化を図る方針です。具体的には、設備の継続的な更新、新卒・中途採用による人材確保と若手技術者の育成、子会社への財務支援によるグループ営業力の強化、および安否確認システム導入等の天災対応体制の構築を重点施策としています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


経営の基本方針を実現するためには、継続的な技術・ノウハウの蓄積と新技術への挑戦意欲が重要であり、人材を企業価値創造の源泉と位置づけています。「技術継承・人材育成」と「働きやすさ」を重要テーマとし、力量マップを用いた教育訓練や、ワークライフバランスを重視した休暇制度の整備等を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 41.4歳 13.7年 6,020,938円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
男性育児休業取得率 71.0%
男女賃金差異(全労働者) 71.4%
男女賃金差異(正規) -
男女賃金差異(非正規) -
女性管理職比率 -


※女性管理職比率、男女賃金差異(正規・非正規)については、同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、資格取得率(74%)、有給休暇取得率(73%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) ゴンドラレンタル機材の老朽化リスク

ゴンドラレンタル事業において、機材の陳腐化や老朽化が進むと、多様化する顧客ニーズに対応できず、受注機会を逸失する可能性があります。同社は新規レンタルゴンドラ機材の開発と製作に継続的に取り組むことで、このリスクに対応しています。

(2) 原材料価格高騰とサプライチェーンリスク

ゴンドラ・舞台事業の主な販売先である建設業界において、原材料価格の上昇や人手不足の影響により、請負契約の採算悪化や納期遅延が生じる可能性があります。同社は販売価格への転嫁や製品の標準化、取引先との関係維持により、安定供給と収益確保に努めています。

(3) 技術継承と人材確保のリスク

技術者の高齢化が進む中、適切な技術継承や人材確保ができない場合、技術力が低下し業績に悪影響を及ぼす可能性があります。同社は新卒および中途採用の強化と、若手技術者への技術継承を目的とした育成施策の両面から対策を講じています。

(4) 天災等による事業中断リスク

地震や台風等の天災により、工事や保守業務が中断したり、工場が被害を受けたりする可能性があります。これにより生産やサービス提供が滞り、業績に影響を与えるリスクがあります。同社は安否確認システムの導入等、情報収集体制の構築を進めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。