※本記事は、兼松エンジニアリング株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
兼松エンジニアリングは、強力吸引作業車、高圧洗浄車、汚泥脱水機・減容機などの環境整備機器の製造販売を手掛けています。これらの製品は、道路側溝清掃や下水道管洗浄、産業廃棄物の吸引回収などに活用されています。
単体従業員数は272名です。
同社は環境整備機器の開発から設計、組立、塗装、検査、販売までを一貫して手掛けています。部品製作や一部製品の組立・塗装は外注に委託し、全国の支店・営業所と指定サービス工場がアフターサービスを提供しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
兼松エンジニアリングは、環境整備機器メーカーとして社会インフラを支える事業を展開しています。同社では、従業員の働きがいとワークライフバランスを重視した環境整備に力を入れており、長期的なキャリア形成を支援する制度が導入されています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の定着を促し、長期的なキャリア形成を支援する環境が整っていることがうかがえます。平均勤続年数と平均年齢から、安定して働き続けられる職場環境である傾向が見られます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,943,000円 |
| 平均勤続年数 | 13.5年 |
| 平均年齢 | 39.5歳 |
| 単体従業員数 | 272人 |
同社は、従業員の退職給付に充てるため、非積立型の確定給付制度を採用しています。確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方を採用しています。退職一時金制度がありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
兼松エンジニアリングは、中期経営計画において「人財育成」を重点実施事項の一つに掲げています。2024年4月からは新人事制度を導入し、社員育成を通じて経営基盤の確立を目指しています。
新人事制度は、役割に応じた等級と評価・処遇を明確にし、会社と社員双方の成長を促すことを主眼としています。報酬制度では、等級に応じた賃金テーブルを設計し、個人の貢献度や成長を賞与や昇給に反映させる仕組みです。
また、部門間の交流を促進する社内ローテーション制度や教育体系の整備を通じて、多様な人材の育成に取り組んでいます。ワークライフバランスの充実も重視しており、DX活用や労働環境の整備、健康経営の推進など、多岐にわたる施策を展開しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 4.3% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 81.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全従業員) | 83.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正社員) | 83.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(有期雇用者) | 89.7% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 社内ローテーション制度利用実績(2025年度) | 2名 |
| 社内ローテーション制度利用予定(2026年度) | 1名 |
| セミナー開催回数(2025年度) | 5回 |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
兼松エンジニアリングは、主に環境整備機器の製造販売を手がけています。主力製品には強力吸引作業車、高圧洗浄車、汚泥脱水機・減容機などがあり、道路の側溝清掃、土木建築現場での汚泥吸引、工場での産業廃棄物回収といった幅広い用途で利用されています。製品の開発から設計、組立、塗装、検査、販売までを一貫して行い、部品製作は外注先に委託しています。
収益は、これらの環境整備機器の販売と、全国に配置された支店・営業所および指定サービス工場によるアフターサービスから得ています。また、新分野としてマイクロ波抽出装置を利用した「バイオマス再資源化装置」の本格的な拡販にも取り組んでいます。海外市場においては、中国での技術移転を通じた新市場開拓や、インドネシア共和国での下水道維持管理に向けたビジネス化実証事業を進めています。
同社は環境整備機器関連事業およびこれらの付帯業務の単一事業であるため、セグメントごとの記載は行っていません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の直近の業績は、売上高が増加傾向にあり、営業利益、経常利益、当期純利益も大幅に増加する結果となりました。主力製品の需要が堅調に推移し、生産活動が順調に進んだこと、部材高騰の影響が一巡したことなどが要因として挙げられます。受注残高も高水準で推移しており、今後の事業活動の基盤を形成しています。
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
兼松エンジニアリングは、本業で安定的に資金を生み出し、その資金を事業活動や投資に充てている状況です。財務基盤は堅固であり、将来に向けた投資も継続しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
兼松エンジニアリングの自己資本比率は当期に62.9%となり、前期の59.1%から増加しています。これはプライム市場上場の製造業平均である46.8%と比較しても高い水準を示しています。
また、ROE(自己資本利益率)は当期に13.8%となっており、プライム市場平均の9.4%を上回る水準です。手元資金を示す現金及び預金等は、当期に17.3億円となり、前期の11.8億円から増加しています。これらの数値は、同社の財務基盤が安定していることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 71.4億円 | 79.6億円 |
| 自己資本比率 | 59.1% | 62.9% |
| ROE(自己資本利益率) | - | 13.8% |
| 現金及び預金等 | 11.8億円 | 17.3億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
兼松エンジニアリングの営業活動によるキャッシュフローは、当期に8.0億円のプラスとなり、前期の7.3億円から増加しています。これは、税引前当期純利益の計上や減価償却費の計上、棚卸資産の減少などが主な要因です。本業で安定的に資金を生み出している状況を示しています。
投資活動によるキャッシュフローは、当期に△1.5億円のマイナスとなり、前期の△0.8億円から支出が増加しています。これは主に固定資産の取得による支出によるものです。財務活動によるキャッシュフローは、当期に△0.9億円のマイナスとなり、前期の△5.7億円から支出が減少しています。これは短期借入金の純増加があったものの、長期借入金の返済や配当金の支払いが主な要因となっています。
フリーキャッシュフローは当期に6.5億円のプラスとなり、前期の6.5億円とほぼ同水準です。本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金を確保できている状況であり、事業の安定性と成長に向けた投資余力があることを示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 7.3億円 | 8.0億円 |
| 投資CF | △0.8億円 | △1.5億円 |
| 財務CF | △5.7億円 | △0.9億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 6.5億円 | 6.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、主力製品の市場規模が今後大きく拡大することは考えづらいと認識しており、新製品開発と新市場開拓、効率化の推進が経営課題であるとしています。また、強力吸引作業車に使用する吸引用ポンプの大部分を特定のメーカーに発注していることや、シャシや主要部品等の供給元企業が災害等で予定通り供給できない場合、生産遅延や販売機会損失が発生する可能性があることをリスクとして挙げています。
③ 人材・組織に関するリスク
製品の部品製作を委託している高知県内の外注先では、従業員の高齢化や若者の就業減少が進んでおり、事業継続に懸念を感じる状況にあるとしています。品質向上のための設備投資も充分に進んでいないため、県外発注を重視する生産体制への移行も考慮する必要があるとしています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
兼松エンジニアリングは、自社製品の公共性を深く自覚し、技術を通じて社会の繁栄に貢献することを経営の根幹に据えています。従業員の成長と企業の発展、そして社会貢献を一体と捉える理念のもと、技術中心の会社運営を推進しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
兼松エンジニアリングは、「兼松エンジニアリング精神」と「基本理念」を経営の基本方針としています。兼松エンジニアリング精神では、自社製品の公共性を自覚し、技術を通じて社会の繁栄に奉仕すること、社会のニーズに応えるための技術練磨と研究開発、そして互いに切磋琢磨し人間性の向上に努め、常に前進を目指すことを掲げています。
基本理念としては、「企業は、従業員を育てなければならない。」、「従業員は、企業を繁栄させなければならない。」、「企業と従業員は、社会に貢献せねばならない。」という三つの柱を据えています。同社は「技術の兼松」をスローガンに、エンジニアリングと技術を主体とした企業運営を行っています。
2026年3月期から2028年3月期までの中期経営計画では、「つねぜん‐TUNEZEN‐」をスローガンとし、「100年、その先へと続く企業をめざし、伝統の継承、変化への適応、革新への挑戦により、“必要とされる企業”へと常に前進する。」をビジョンとしています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は、経営理念である「兼松エンジニアリング精神」と「基本理念」に基づき事業活動を行っています。これらは、同社の持続的な成長が社会の持続的な発展に貢献するという考え方を具体化したものです。
中期経営計画では、サステナビリティにかかる具体的内容として、環境面へ配慮した新技術への挑戦、SDGs(持続可能な開発目標)達成に向けた重点的な取組、新人事制度導入による公正・透明性のある評価を通じた人材育成と働き甲斐のある職場、ワークライフバランスの充実を挙げています。特に、人材育成においては、人材の採用と技能の継承を事業継続の最重要課題と位置づけています。
従業員が誇れる会社を目指し、新人事制度の浸透や理念浸透、文化醸成によるインナーブランディングの取組も推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、中期経営計画において「事業基盤の強化」「ワークライフバランスの充実」「価値の提供」を重点実施事項としています。事業基盤の強化では、技術・技能の集積と伝承のためのマニュアルや育成プログラムを整備し、人材育成を進めることを掲げています。
ワークライフバランスの充実においては、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用して個々の技術・知見を次世代へ継承・発展させ、業務変革を推進することで、本来注力すべきことに集中できる環境作りを目指しています。また、新人事制度の浸透と理念浸透、文化醸成によるインナーブランディングの取組を通じて従業員満足度を向上させ、皆が誇れる会社になることを目指しています。
労働環境の整備として、適正な時間管理や働きやすい環境の提供、健康経営の実践により、働き甲斐のある職場作りを進めています。価値の提供においては、常にコンプライアンス重視の企業活動を継続するため、意識高揚や必要な社内ルールの再整備に取り組んでいます。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
兼松エンジニアリングは監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会が経営の意思決定と監督を担う体制を構築しています。迅速で的確な判断と企業価値の向上を目指し、透明性・公正性・迅速性を追求するコーポレート・ガバナンスを基本方針としています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、筆頭株主は代表取締役社長の山本琴一氏であり、上位には複数の個人株主が名を連ねています。また、従業員持株会も上位株主の一角を占めています。このように、個人株主が上位を占める資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 山本 琴一 | 9.81% |
| 三谷 公男 | 6.52% |
| 兼松エンジニアリング 従業員持株会 | 6.18% |
| 山口 隆士 | 5.92% |
| 山本 吾一 | 5.37% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性9名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は山本琴一氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山本 琴一 | 代表取締役社長 | 1990年7月同社入社、2001年6月常勤監査役就任、2009年6月取締役就任、2013年6月常務取締役就任、2016年6月代表取締役専務就任、2019年6月代表取締役社長就任より現職。 |
| 北村 和則 | 代表取締役専務 | 1994年4月同社入社、2014年4月営業部門統括執行役員、2018年6月取締役営業部門統括執行役員就任、2019年4月取締役就任、2022年4月常務取締役就任、2025年6月代表取締役専務就任より現職。 |
| 黒田 誠 | 取締役 | 1996年4月同社入社、2015年4月東日本支社長兼東西東京支店長、2017年4月東日本支社・西日本支社長、2019年4月東日本支社・西日本支社執行役員、2025年6月取締役就任より現職。 |
| 田辺 良彦 | 取締役 | 1991年1月同社入社、2019年4月技術部マネージャー、2022年4月技術部執行役員、2023年4月技術開発部兼生産設計部執行役員、2025年6月取締役就任より現職。 |
社外取締役は、長山育男氏(弁護士)、十川智基氏(公認会計士・税理士)です。
同社は監査役会設置会社であり、監査役3名(うち2名は社外監査役)で構成されています。2名の独立社外取締役を選任しており、経営の方針や改善に関する助言、経営陣の監督、利益相反の監督、ステークホルダーの意見反映といった役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、役員規程に基づき、世間水準、経営内容、従業員給与とのバランスを考慮して決定されています。報酬体系は固定報酬、業績連動報酬(賞与)、および企業価値の持続的向上と株主との価値共有を目的とした株式報酬(譲渡制限付株式報酬)で構成されています。業績連動報酬は、主に経常利益を基準として決定される仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 1.5億円 | 30.3百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 14百万円 | 14.1百万円 |
| 社外取締役 | 2名 | 10百万円 | 4.9百万円 |
| 社外監査役 | 2名 | 7百万円 | 3.6百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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