【平均年収662万円】日進工具 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

【平均年収662万円】日進工具 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

日進工具は、グループ各社とともに、マシニングセンタ用切削工具「エンドミル」の製造・販売を主軸としています。特に小径エンドミルに強みを持ち、中華圏を含むアジア地域でも販売を展開しています。直近の業績は増収増益となりました。


目次

※本記事は、日進工具株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。

1. 企業概要:どんな会社?


日進工具グループは、マシニングセンタに取り付けて金属加工を行う切削工具「エンドミル」の製造・販売を主軸としています。特に超硬素材で小径(刃径6mm以下)のエンドミルに注力し、取扱高の約8割を占める点が特徴です。

単体従業員数は238名、連結従業員数は364名です。

主な国内グループ会社は、ジーテック(切削工具の販売)、牧野工業(プラスチックケースの製造販売)、日進エンジニアリング(切削工具の加工、再研磨)などです。

2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?


日進工具は精密な小径エンドミルを全世界に提供する企業であり、その事業特性から専門性の高い技術職や営業職が活躍する環境が想定されます。従業員の働きがいを重視し、持続可能な社会の発展に貢献する企業文化を掲げています。

■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢


同社では、従業員が長期的にキャリアを築ける環境が整っていると考えられます。平均勤続年数と平均年齢から、安定した人材定着とバランスの取れた年齢構成がうかがえます。

項目 数値
平均年間給与 6,616,698円
平均勤続年数 13.7年
平均年齢 38.5歳
単体従業員数 238人
連結従業員数 364人
単体のグループ内比率 65.4%


退職給付制度として、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方を採用しています。同社および国内連結子会社は確定拠出年金制度を採用しており、一部の海外連結子会社では簡便法を適用した確定給付年金制度を導入しています。

なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。

■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方


日進工具は、経営理念の一つである「HEART(心)」が示す人的資本を重視し、社是である「明るく、楽しく、創造をしよう。」を自ら実践できる多様な人財の育成を重要な経営課題と位置付けています。マテリアリティ「4.従業員の働きがい」に基づき、「人材育成方針」と「社内環境整備方針」を策定し、従業員が働きがいと成長実感を持って活躍できる環境整備を目指しています。

人事制度においては、管理職の選任・昇格は社外取締役を含む人事委員会が評価・判断し、人事制度全体は人事制度構築委員会のレビューを踏まえ取締役会が見直しを行う体制を構築しています。従業員のキャリアステージに応じた研修体系を整備しており、新入社員向けの長期基礎研修や自己啓発学習の推奨、中堅社員向けのスキルアップ技術研修や多能工教育、管理職層向けのリーダー育成コーチング研修や定期個別面談などを実施しています。

給与その他の給付の額および内容については、従業員の成長と企業価値向上への貢献を適切に評価し、公正かつ透明性のある処遇を実現することを基本方針としています。給与水準は外部労働市場の動向や物価上昇、同社グループの業績や財務状況、職務内容などを総合的に勘案して決定されます。個別の処遇には、各部門別・階層別の人事評価制度に基づき、業績評価や能力評価の結果、役割への取組姿勢、業務改善、新たな挑戦などが反映されます。当期は7.4%の賃上げを実施し、賞与については連結営業利益の一定割合(12%)を従業員へ還元する仕組みを導入するなど、従業員エンゲージメント向上と人材確保・定着のための処遇見直しも行っています。

■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標


有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。

法定開示


連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。各指標は、女性活躍推進法および育児介護休業法の規定に基づき算出されています。

指標 数値
管理的地位にある従業員に占める女性従業員の割合 6.1%
男性従業員の育児休業取得率 100.0%
従業員の男女の賃金の額の差異(全従業員) 78.6%
従業員の男女の賃金の額の差異(正規雇用従業員) 80.5%
従業員の男女の賃金の額の差異(パート・有期従業員) 50.4%

3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?


日進工具グループは、マシニングセンタに取り付けて金属などを加工する切削工具「エンドミル」の製造・販売を主軸に事業を展開しています。特に超硬素材で小径(刃径6mm以下)のエンドミルに強みを持つことが特徴です。

■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか


同社グループは、超硬小径エンドミルを中心とした切削工具の製造販売を主力事業としています。製品の製造様式や市場、顧客に応じて「エンドミル関連」と「その他」の2つの事業セグメントを構築していますが、報告セグメントとしては「エンドミル関連」を主軸とした単一セグメントとしています。

「エンドミル関連」事業では、エンドミル(6mm以下)が売上高の大部分を占めており、次いでエンドミル(6mm超)、エンドミル(その他)が続きます。また、「その他」事業では、工具ケースを中心としたプラスチック成形品の製造販売などを行っています。収益は、主に完成した製品を顧客に納入した時点、または出荷時に認識しています。

同社は超硬小径エンドミルを中心とした切削工具を生産し、代理店や連結子会社を通じて販売しています。連結子会社には、製品の販売や一部再加工を行う株式会社ジーテック、中国地区での販売を担う日進工具香港有限公司、米国での販売を行うNS TOOL USA,INC.があります。また、工具ケースを中心としたプラスチック成形品の製造・販売は株式会社牧野工業が、加工委託は株式会社日進エンジニアリングが行っています。

当連結会計年度の売上高は、日本国内が最も大きく、次いで中国、その他の地域が続いています。主要な顧客としては株式会社サカイへの販売実績が示されています。

■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移


日進工具グループの過去5期の業績を見ると、売上高は概ね90億円台後半で推移しており、直近の当連結会計年度では前期から微増となりました。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、変動はあるものの、当連結会計年度においては前期から増加しています。

当連結会計年度は、中華圏を含むアジア地域向けの販売が好調に推移したことによる売上増加に加え、原価低減により製造原価が抑えられた結果、増収増益となりました。売上高経常利益率は目標の20%を上回る21.2%となり、自己資本利益率(ROE)は目標の10%を下回ったものの、前期から改善し8.0%となっています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 95.2億円 96.6億円 90.4億円 94.3億円 94.9億円
経常利益 21.6億円 21.3億円 19.1億円 17.8億円 20.1億円
経常利益率 22.6% 22.1% 21.1% 18.9% 21.2%
親会社株主に帰属する当期純利益 15.2億円 14.8億円 13.2億円 12.6億円 14.4億円
1株当たり当期純利益(円) 60.89 59.16 53.03 50.80 58.38

■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る


日進工具グループの従業員1人あたりの売上高(連結)は、当連結会計年度において前期からわずかに減少しました。一方で、従業員1人あたりの営業利益(連結)は前期から増加しています。これは、売上高の伸び以上に営業利益が伸長したことを示しており、組織全体の収益性が向上している傾向が見られます。

指標 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
従業員1人あたり売上高(連結) 26.3百万円 26.1百万円
従業員1人あたり営業利益(連結) 4.9百万円 5.4百万円

4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?


日進工具グループは、本業で安定した資金を生み出し、将来に向けた投資も行いつつ、手元に資金をしっかりと残している状況です。これにより、事業活動に必要な資金を自社で賄うことができています。

■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み


同社グループは強固な財務基盤を構築しています。自己資本比率はプライム市場の製造業平均と比較しても非常に高い水準を維持しており、不測の事態にも耐えうる安定性を示しています。手元資金も潤沢であり、事業運営の安定性につながる要素です。

ROE(自己資本利益率)はプライム市場の平均を下回るものの、前期から改善傾向にあります。これは、効率的な資本活用に向けた取り組みが進んでいることを示しています。

指標 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
純資産 184億円 179億円
自己資本比率 91.4% 90.1%
ROE(自己資本利益率) 7.1% 8.0%
現金及び預金 98.7億円 95.7億円

■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ


当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益と減価償却費の増加により、前期から増加しプラスとなっています。これは、同社グループの本業が安定して資金を生み出していることを示しています。

投資活動によるキャッシュ・フローは、主に固定資産の取得による支出を反映し、前期から減少したもののマイナスとなっています。これは、将来に向けた設備投資を継続的に行っている状況です。財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得と配当金の支払いにより、前期から大きく増加しマイナスとなりました。

これらの結果、フリーキャッシュ・フローは前期から増加し、プラスを維持しています。本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金を生み出していることから、事業の安定性と成長に向けた健全な資金循環がうかがえます。

項目 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
営業CF 20.1億円 21.4億円
投資CF △3.9億円 △3.8億円
財務CF △6.8億円 △20.6億円
フリーCF(営業CF+投資CF) 16.2億円 17.6億円


※フリーCF(フリーキャッシュ・フロー)とは、会社が事業活動と投資活動を通じて自由に使える余剰資金のこと。

■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント

① 継続企業の前提に関するリスク

継続企業の前提に関する特記事項はありません。

② 事業構造・収益性に関するリスク

同社グループは、超硬小径エンドミルを主とする超硬小径切削工具の製造販売に経営資源を集中しています。将来的に他の素材を使った製品や新たな加工方法に代替される可能性があり、事業に影響が出る可能性があります。

また、小径切削工具市場では国内大手メーカーや中国市場での競争が激化しており、今後も競争が激化していくものと考えられます。

③ 人材・組織に関するリスク

人材・組織に関するリスクの記載はありません。

④ 雇用安定性・リストラ

解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。

5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?


日進工具は、「SOFT(技術)・HARD(機械)・HEART(心)を創り、人と地球に優しい製品開発を通じて社会に貢献することを経営理念としています。精密・微細加工用工具分野で圧倒的なプレゼンスを目指し、「つくる」の先をつくるというブランドステートメントを掲げています。

■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか


日進工具グループは、「SOFT(技術)・HARD(機械)・HEART(心)を創ります。人と地球に優しい製品を開発し社会に貢献します」を経営理念としています。ブランドステートメントとして“「つくる」の先をつくる”を掲げ、お客様や社会のニーズに応える高付加価値製品を生み出し、モノづくりの夢と可能性を切り拓くことを基本方針としています。

また、社会との共存と自社の持続可能性を同期させた「サステナビリティ基本方針」を策定しています。小径切削工具を中心に「人と地球にやさしい高付加価値製品を、最小限の資源でつくり、環境負荷の低減に努める」ことで、精密・微細加工用工具分野で圧倒的なプレゼンスを目指しています。

さらに、わが国が強みを発揮する精密・微細加工分野を、小径工具を使った切削加工技術の面から支え続け、ユーザーが安心して新たな精密・微細加工にチャレンジできるよう、高性能で品質の安定した製品を安定的に供給していくことを同社グループの使命と認識しています。

■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー


日進工具グループは、社会と共存しつつ持続的成長を目指すため、「サステナビリティ基本方針」を策定し、6つの「マテリアリティ」を掲げています。これには「環境問題への対応」「人権の尊重」「地域・社会への貢献」「従業員の働きがい」「取引先とのパートナーシップ」「災害等の危機管理」が含まれます。

生産活動においては、仙台工場で策定した「ものづくり行動指針」を実践し、品質改善および原価低減を目的とした小集団改善活動「オレンジFC活動(Future Challenge)」に取り組んでいます。

また、社内規程や稟議制度を整備し、ルールに基づいた業務運営を実施しています。コンプライアンス担当役員を中心に推進を図り、従業員研修会や社内業務連絡を通じて社内教育に努めています。外部弁護士を窓口とする「コンプライアンス相談窓口」も設けています。

6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?


日進工具は監査等委員会設置会社であり、監査等委員会が経営上の意思決定と執行に対する監視を行っています。また、取締役会の任意の諮問機関として、独立社外取締役が過半数を占める指名・報酬委員会を設置し、ガバナンス体制の充実を図っています。

■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か


日進工具の株主構成を見ると、事業会社が上位に名を連ねています。また、創業家と見られる個人株主や従業員持株会も上位株主として存在しており、多様なステークホルダーによって支えられていることがうかがえます。

株主名 持株比率
エムワイコーポレーション 10.63%
ソルプティ 10.37%
NORTHERN TRUST CO.(AVFC) RE FIDELITY FUNDS 8.91%


なお、株式会社ソルプティは、前事業年度末において主要株主でなかったものの、当事業年度末現在では主要株主となっています。

■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか


同社の役員は10名(男性7名・女性3名)で構成され、女性役員比率は30.0%です。代表取締役社長は後藤弘治氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
後藤 弘治 代表取締役社長 営業担当 1986年4月同社入社、2013年4月代表取締役社長、2016年10月代表取締役社長 営業担当より現職。
後藤 隆司 代表取締役副社長 生産・開発担当 1984年4月同社入社、2013年4月代表取締役副社長、2016年10月代表取締役副社長 生産・開発担当より現職。
足立 有子 常務取締役 総務・財務経理担当 1985年4月同社入社、2005年4月同社常務取締役、2026年4月常務取締役 総務・財務経理担当より現職。
戸田 覚 取締役 経営企画室長兼 財務経理部長 1984年4月株式会社東海銀行(現株式会社三菱UFJ銀行)入行、2020年4月同社入社、2026年4月取締役経営企画室長兼財務経理部長より現職。


社外取締役は、斉藤貴宣氏(元三菱マテリアル戦略本部マーケティング部製品戦略室室長・独立社外取締役会議委員)、藤崎直子氏(元日本マイクロニクス専務取締役・指名・報酬委員会委員・監査等委員)、平賀敏秋氏(北村・平賀法律事務所パートナー・指名・報酬委員会委員長・監査等委員)、笹本憲一氏(公認会計士笹本憲一事務所代表・独立社外取締役会議委員長・指名・報酬委員会委員・監査等委員)、中野秀代氏(トリアス代表取締役社長・監査等委員)です。

同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員が経営の意思決定と執行に対する監視機能を果たしています。社外取締役5名は東京証券取引所の定める独立役員として指定されています。

■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計


日進工具の取締役(監査等委員を除く)の報酬は、固定報酬である基本報酬、業績連動報酬、および譲渡制限付株式報酬による非金銭報酬で構成されています。基本報酬の割合を概ね5割とし、業績連動報酬と株式報酬の割合を概ね5割とする方針です。一方、監査等委員である取締役の報酬は、客観的かつ独立した立場からの監査役割に鑑み、固定報酬のみを支払うこととしています。

区分 人数 総額 1人あたり平均
取締役(監査等委員及び社外除く) 4名 2.8億円 69.0百万円
監査等委員(社外除く) 2名 26百万円 13.0百万円
社外役員 5名 46百万円 9.2百万円


同社グループの役員報酬総額は3.48億円、対象となる役員の合計は11名です。なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。

※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。