かわでん 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

かわでん 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

かわでんは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、配電制御設備の製造販売を主力事業とする企業です。当期はデータセンターや半導体関連工場の建設需要を取り込み、売上高242億円(前期比13.5%増)、経常利益27億円(同131.0%増)と大幅な増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社かわでん の有価証券報告書(第104期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. かわでんってどんな会社?


配電制御設備の専業メーカーとして、顧客仕様に合わせたカスタムメイド製品を一品ごとに製作しています。

(1) 会社概要


1926年に川﨑電気商会として創業し、1940年に川﨑電気を設立しました。2000年に民事再生手続を開始しましたが、翌年再生計画が認可され新生スタートを切りました。2004年に商号をかわでんに変更し、ジャスダック市場へ上場しました。その後、2022年の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行しています。

同社(単体)の従業員数は829名です。筆頭株主は融和実業で、第2位は塗料の製造販売を行う富士化学塗料、第3位は金属商社の佐藤商事です。

氏名 持株比率
融和実業 10.71%
富士化学塗料 9.90%
佐藤商事 3.59%

(2) 経営陣


同社の役員は男性13名、女性1名の計14名で構成され、女性役員比率は7.1%です。代表取締役会長は信岡久司氏、代表取締役社長は相澤利雄氏です。社外取締役比率は27.3%です。

氏名 役職 主な経歴
信岡 久司 取締役会長(代表取締役) 1973年同社入社。営業本部首都圏支社長、取締役営業本部長等を経て2017年代表取締役社長に就任。2021年より現職。
相澤 利雄 取締役社長(代表取締役) 1980年同社入社。営業本部首都圏第一支社長、専務取締役営業本部長等を経て2023年より現職。
武田 昌宏 取締役事業開発担当 1983年同社入社。取締役常務執行役員社長室長、専務取締役等を経て2025年より現職。
神保 能郎 取締役経営管理本部長 1989年同社入社。常務執行役員経営管理本部経営管理部長等を経て2025年より現職。
小川 善之 取締役営業本部長 1992年同社入社。執行役員営業本部関東支社長、常務執行役員営業本部副本部長等を経て2023年より現職。
田代 正 取締役製造本部長 1990年同社入社。取締役常務執行役員製造本部副本部長兼九州工場長等を経て2024年より現職。
河合 秀樹 取締役営業本部副本部長兼東北支社長 1988年同社入社。取締役常務執行役員営業本部東北支社長兼CAD開発室担当等を経て2025年より現職。
山下 孝司 取締役経営企画室長 1991年同社入社。執行役員内部監査室長、常務執行役員経営企画室長等を経て2023年より現職。


社外取締役は、奥村勇雄(元会計検査院官房審議官)、眞鍋嘉利(元横河マニュファクチャリング社長)、竹内正樹(元大和証券法人本部事業法人第六部長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「配電制御設備製造事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) 配電制御設備製造事業(新規案件)


オフィスビル、工場、病院、マンション向けの高低圧配電盤、制御盤、分電盤などを製造・販売しています。顧客ごとの仕様に合わせたカスタムメイド製品を一品ごとに設計・製作しており、建設会社や電設資材商社などが主な顧客となります。

収益は、製品の販売代金として顧客から受け取ります。運営は主に同社が行っており、山形工場と九州工場で生産しています。新規建設案件に伴う受注が中心となります。

(2) 配電制御設備製造事業(リニューアル)


既設の配電制御設備の更新や改修工事を行います。建物の老朽化や機能向上に伴う需要に対応し、既存設備の入替や部品交換などを提供します。

収益は、更新工事や製品代金として顧客から受け取ります。運営は同社が行っており、長寿命化する建築物のメンテナンス需要を取り込んでいます。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に増加傾向にあり、特に直近では242億円まで拡大しています。利益面でも、一時的な落ち込みは見られたものの、直近では経常利益率が10%を超える高水準となり、大幅な増益を達成しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 186億円 183億円 197億円 213億円 242億円
経常利益 15億円 10億円 5億円 12億円 27億円
利益率(%) 7.9% 5.4% 2.5% 5.4% 11.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 10億円 6億円 3億円 7億円 20億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益が大きく伸長しています。売上総利益率は26.4%から33.1%へ改善し、営業利益率も大幅に向上しました。増収効果に加え、採算性の向上が利益拡大に寄与しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 213億円 242億円
売上総利益 56億円 80億円
売上総利益率(%) 26.4% 33.1%
営業利益 11億円 26億円
営業利益率(%) 5.3% 10.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料・賞与及び手当が17億円(構成比32%)、運搬費が13億円(同25%)を占めています。売上原価では、材料費が84億円(構成比51%)、労務費が44億円(同27%)となっています。

(3) セグメント収益


同社は単一セグメントですが、事業ごとの売上高を見ると、新規案件事業、リニューアル事業ともに増収となりました。特に新規案件事業の伸びが大きく、全体業績を牽引しています。利益率も前年より大きく改善しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
配電制御設備製造事業 213億円 242億円 - - -
連結(合計) 213億円 242億円 11億円 26億円 10.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 2億円 15億円
投資CF -3億円 -6億円
財務CF -1億円 -2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.6%で市場平均を上回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も69.8%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「暮らしを守る、電気を守る」を使命として掲げています。デジタル化や人口減少といった社会変化に対応し、電気が人々を安全に照らし、快適で安心な暮らしを送れる理想の社会を実現することを目指しています。持続的な事業価値・株主価値の創出と企業価値向上を基本方針としています。

(2) 企業文化


「人間尊重」の精神を掲げ、「環境と社会と人のために」を基本理念としています。多様な考えを持つ従業員が互いに個を尊重し、やりがいと誇りを持って力を合わせる環境を整えることを重視しています。また、ステークホルダーとの相互理解を進め、共存共栄を図る姿勢を持っています。

(3) 経営計画・目標


2030年3月期を最終年度とする中期経営計画を推進しています。売上高、営業利益、ROE、配当性向を主要な経営指標(KGI)と位置づけ、安定的に計上できる体制の確立を目指しています。

* 売上高:350億円
* 営業利益:40億円
* ROE:10.0%

(4) 成長戦略と重点施策


カスタム型配電制御設備専業メーカーとしての地位強化に向け、顧客視点の製品・サービス開発やリニューアル事業の強化に取り組んでいます。また、製品構造のモジュール化による標準化推進や、コストマネジメントの高度化を図ります。さらに、山形県上山市への新工場建設による生産能力拡充と効率化を推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「社会やお客様から信頼されるプロフェッショナル人材の育成」と「人材が力を発揮しやすい組織風土・環境整備」を基本方針としています。多様な人材の確保と育成、働きやすい環境づくりを通じて人材価値を高め、労働生産性の向上と持続的成長の実現を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 39.8歳 16.5年 6,483,972円


※平均年間給与は、基準賃金のほか時間外勤務手当等基準外賃金・賞与を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.3%
男性育児休業取得率 47.1%
男女賃金差異(全労働者) 78.6%
男女賃金差異(正規雇用) 81.3%
男女賃金差異(非正規) 57.9%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 民間設備投資の動向による影響


同社製品はオフィスビルや工場等の新築・リニューアル時に需要が発生するため、国内の民間非住宅建築投資の動向に強く影響を受けます。景気悪化等により企業の設備投資が減少した場合、受注が減少し業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原材料価格の変動


製品に使用する鉄板や銅バー等の原材料価格は市況により変動します。価格高騰分を販売価格に転嫁できない場合、利益を圧迫する可能性があります。また、主要部品である電気機器類について特定の仕入先やメーカーに依存しており、供給難が生じた場合の影響も懸念されます。

(3) 生産拠点の一極集中


生産の約7割を山形工場で行っており、拠点が集中しています。地震等の自然災害や事故により山形工場が大きな損害を受けた場合、生産活動に深刻な影響が生じ、売上の低下や復旧費用の発生により業績が悪化する可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。