※本記事は、株式会社フォーバルテレコム の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
フォーバルテレコムは、自社ブランド「“fitコール”」を通じて通信サービスを提供しており、顧客データベースと課金・請求システムを活用した「ビリングプロバイダー」業務を事業プラットフォームとしています。
単体従業員数は102名、連結従業員数は197名です。セグメントはIP & Mobileソリューション・ビジネス、ユーティリティ・ビジネス、コンサルティング・ビジネスの3つです。
主な国内グループ会社は、(親会社)フォーバル(情報通信コンサルタント業)、(連結子会社)タクトシステム(印刷物のプランニング・デザイン)、(連結子会社)保険ステーション・3などです。
同社グループは、子会社株式売却に伴い、当連結会計年度より報告セグメントの区分を3つに変更しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社フォーバルテレコムは、通信・ITソリューションを法人顧客に提供する企業です。同社グループでは、従業員を「人財」と捉え、能力や実績を重視した人事制度を運用しています。
社員の平均的な給与水準や在籍傾向、そして人材育成や多様性への取り組みから、どのような働き方ができるのかを見ていきましょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が7年3ヶ月、平均年齢が39.1歳となっています。このデータからは、比較的安定した環境でキャリアを築いている従業員が多い傾向がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,637,912円 |
| 平均勤続年数 | 7年3ヶ月 |
| 平均年齢 | 39.1歳 |
| 単体従業員数 | 102人 |
| 連結従業員数 | 197人 |
| 単体のグループ内比率 | 51.8% |
同社グループは、退職金規程に基づく社内積立の退職一時金制度と、確定拠出型の確定拠出年金制度を設けています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まり、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。
これらの制度は、同社グループの国内事業に適用されています。退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、当連結会計年度における退職給付に係る負債の期末残高は203百万円、確定拠出制度への要拠出額は14百万円です。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、従業員を経営における重要な資本である「人財」と位置づけ、人的資本経営に取り組んでいます。採用・配属・登用においては、性別や年齢、国籍、新卒・中途採用といった属性による区別を設けず、能力や適性、実績を重視しています。
育成面では、OJTに偏ることなく、教育研修・社内コミュニケーション・業務改善の三分野で若手社員を中心としたプロジェクトを常設し、継続的かつ自発・自立的な改善を推進しています。評価においては、公平性・透明性・納得性を旨とする人事考課に基づき、昇給・昇格・賞与を決定しています。昇給・昇格・賞与のテーブルには、新卒採用と中途採用、男女、フロント部門と管理部門の間に差分を設けていません。
また、情実や恣意、評価者による偏差を排除するため、業務目標とその達成度合いによる5段階の評価基準は、被評価者と評価者の合意の上、可能な限り数値化されています。育児や介護を担う社員に向けては、仕事との両立を可能とする保育・介護費用の支援と勤務時間の特例を定めた規程を設け、長く安心して働くことができる環境を整備しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男性育児休業取得率は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 16.2% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 74.4% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 73.9% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 0.0% |
多様性・登用
同社では、全従業員のうち33.3%を女性が占めており、取締役にも女性を登用しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性従業員比率 | 33.3% |
育児・介護支援
育児や介護を担う社員に向けては、仕事との両立を可能とする制度を設けています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 育児・介護費用支援制度 | 有り |
| 勤務時間の特例制度 | 有り |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社フォーバルテレコムグループは、通信サービスを中核に、電力・ガスなどのユーティリティ、経営支援コンサルティングまで多岐にわたるサービスを提供しています。顧客データベースと課金・請求システムを基盤として、幅広い事業を展開していることが特徴です。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、自社ブランド「“fitコール”(フィットコール)」を通じて顧客と直接割引電話サービス契約を締結し、ワンストップで通信サービスを提供しています。自社で構築した顧客データベースと課金・請求システムを活用し、顧客への一括請求・回収業務を行う「ビリングプロバイダー」としての機能も有しています。このプラットフォームを基盤に、ブロードバンド時代のユーザーニーズに対応したサービスメニューを効率的に創出しています。
IP & Mobileソリューション・ビジネス
VoIPサービス、モバイルサービス等の情報通信サービス全般を提供しています。光回線サービス「iSmartひかり」、法人向けIP電話「スマートひかり」、スマートフォンFMCサービス「どこでもホン」、個人向けISPサービス「iSmart接続-Fひかり」を中心に、情報通信機器等も提供しています。収益は、これらの情報通信サービス全般の提供から得ています。運営は、フォーバルテレコムが行っています。
ユーティリティ・ビジネス
法人顧客向けに登録小売電気事業者として「Elenovaでんき」、登録ガス小売事業者として「Elenovaガス」を提供しています。収益は、電力と都市ガスの提供から得ています。運営は、フォーバルテレコムが行っています。
コンサルティング・ビジネス
経営支援コンサルティング、保険サービス、セキュリティサービス、コンテンツソリューション、DXコンサルティング等を提供しています。コンテンツソリューション及びDXコンサルティングの販売計画に遅れが生じたものの、保険サービスとクラウドサービスが伸長しました。収益は、これらのコンサルティングサービスの提供から得ています。運営は、フォーバルテレコム、保険ステーション、タクトシステムが行っています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| ユーティリティ・ビジネス | 108億円 | 109億円 |
| IP & Mobileソリューション・ビジネス | 105億円 | 93.8億円 |
| コンサルティング・ビジネス | 37.0億円 | 37.4億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績を見ると、売上高は変動があるものの、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は増加傾向にあります。特に当期は、売上高が減少した一方で、利益は大きく伸びています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 218億円 | 247億円 | 231億円 | 257億円 | 240億円 |
| 経常利益 | 10.0億円 | 6.4億円 | 10.1億円 | 11.5億円 | 12.6億円 |
| 経常利益率 | 4.6% | 2.6% | 4.4% | 4.5% | 5.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 8.7億円 | 3.8億円 | 7.5億円 | 7.3億円 | 9.9億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 52.00 | 22.60 | 44.78 | 43.74 | 58.82 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高と営業利益は、前期と比較して大きく向上しています。これは、連結従業員数が減少した一方で、営業利益が増加したことによるものです。組織全体の効率性が高まり、従業員一人ひとりの稼ぐ力が強化されている傾向を示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 85.0百万円 | 121.7百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 3.8百万円 | 6.3百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
財務の安定性から、株式会社フォーバルテレコムの現在地を示します。同社グループは、本業で安定した資金を創出しながら、将来に向けた投資も行っている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
株式会社フォーバルテレコムの財務基盤を見ると、自己資本比率は前期から増加し、36.7%となっています。これはプライム市場の非製造業平均(24.2%)と比較して高い水準を示しています。
ROE(自己資本利益率)も前期から上昇し、27.1%とプライム市場平均(9.4%)を大きく上回っています。手元資金である現金及び預金は前期から増加し、11.8億円となっています。
これらの指標は、同社グループが安定した財務基盤を維持していることを示しており、入社後の雇用や給与の安定性にもつながる要素です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 33.2億円 | 39.4億円 |
| 自己資本比率 | 32.0% | 36.7% |
| ROE(自己資本利益率) | 23.5% | 27.1% |
| 現金及び預金 | 8.9億円 | 11.8億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
株式会社フォーバルテレコムの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュフローは、7.4億円のプラスとなりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上によるものです。
投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得や無形固定資産の取得による支出があったものの、子会社株式の売却による収入もあり、82百万円のマイナスとなっています。財務活動によるキャッシュフローは、配当金の支払額により3.7億円のマイナスとなりました。
これらの結果、フリーキャッシュフローは6.5億円のプラスとなっています。同社グループは本業で安定的に資金を創出し、投資活動も行いながら、資金を内部で賄えている状況です。このキャッシュフローの状況は、同社グループが安定した事業運営を継続し、将来の成長に向けた投資も行える財務的な余力があることを示しており、入社後の安定性や成長性にも期待が持てます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 19.3億円 | 7.4億円 |
| 投資CF | △4.2億円 | △0.8億円 |
| 財務CF | △16.4億円 | △3.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 15.1億円 | 6.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、変化の激しい通信業界において、小口ユーザーを主要ターゲットとした通信サービスを提供しています。通信設備の一部を保有するのみで、自社保有していない設備による通信サービスは電気通信事業者等から仕入れて提供する収益構造です。そのため、仕入先事業者の取引条件の変動や、顧客がサービスを継続して利用しない場合に業績に影響を与えるおそれがあります。
また、販売活動は販売代理店に依存しており、代理店が当社サービスの市場競争力が失われたと判断した場合や、取扱商品に関する政策を変更した場合に顧客獲得活動を抑制または停止する可能性があります。これにより、固定的販売費用を最小化する基本方針を維持できず、業績に影響を与えるおそれがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、役員・従業員の士気向上と有能な人材確保のためのインセンティブプランとして、譲渡制限付株式報酬制度を導入しています。この制度の履行に伴う新株式発行により、株式価値の希薄化を招くおそれがあるとの記載があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
フォーバルテレコムは、親会社の「For Social Value」を語源とする理念のもと、情報通信サービスを通じて新たな社会価値の実現を目指しています。ユーザー視点に立ったサービス創造と提供を重視し、DXやGXにも積極的に取り組む企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
フォーバルテレコムグループは、親会社であるフォーバルの「For Social Value」を語源とする「社会価値創出企業」の姿勢を受け継いでいます。情報通信サービスの分野において、「安く」「早く」「簡単便利に」というユーザー視点に立ったサービスを創造・提供することで、新たな社会価値の実現を目指しています。
同社グループは、継続的な成長と自己資本の効率的経営を通じて価値創造企業となることを目標としています。中小法人ユーザーを主要ターゲットとし、超高速通信インフラを活用したサービスメニューを創出し、中長期的な成長力と収益力の強化に努めていく方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
フォーバルテレコムグループは、DX(デジタル トランスフォーメーション)とGX(グリーン トランスフォーメーション)に本格的に取り組むことを重視しています。お客様の費用対効果向上に加え、同社自らが知得したDXとGXのメソッドに基づいたサービス提供と利用を通じて、お客様の社会的価値と社会貢献を高めることを企業価値向上に繋げると考えています。
同社グループは、従業員を「人財」と捉え、能力、適性、実績を重視した人物本位の採用・配属・登用を行っています。性別、年齢、国籍、新卒・中途採用などの属性による区別を設けていません。
人財育成では、OJTに偏らず、教育研修、社内コミュニケーション、業務改善の三分野でプロジェクトを常設し、継続的な改善に取り組むカルチャーがあります。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
フォーバルテレコムグループは、DX(デジタル トランスフォーメーション)とGX(グリーン トランスフォーメーション)を優先的に対処すべき事業上の課題としています。DXの取り組みでは、2021年8月に「DX認定制度」の認定を取得し、2023年4月には社長直轄の「デジタルソリューション室」を新設しました。
セキュアな通信網とクラウドシステムを利用したリモートワークの定常化、RPAとAIを活用した在来業務の自動化を通じて、就労形態の変革と利益貢献を目指しています。
GXの取り組みでは、「GXリーグ基本構想」に賛同し、2023年4月に社長直轄の「サステナビリティ推進室」を新設しました。企業活動のカーボンニュートラル化を進め、二酸化炭素排出量を実質ゼロとする電力「Elenova 地球にやさしいでんき」の提供を開始するなど、電力以外のサービスでもカーボンニュートラル化に取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
フォーバルテレコムでは、取締役会を唯一の経営意思決定機関として位置づけ、迅速かつ的確な経営判断を行っています。企業経営情報の積極的な開示にも取り組んでいます。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
フォーバルテレコムの株主構成を見ると、筆頭株主は事業会社であるフォーバルです。同社は70.15%の持株比率を保有しており、同社グループの経営に強い影響力を持つ資本構成となっています。上位には投資事業有限責任組合も名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| フォーバル | 70.15% |
| 光通信KK投資事業有限責任組合 無限責任組合員光通信 | 6.50% |
| UH Partners 2投資事業有限責任組合 無限責任組合員UH Partners 2 | 1.14% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性6名・女性1名)で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は行辰哉氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 行 辰哉 | 代表取締役 社長 | 1989年5月フォーバル入社。同社役員待遇、執行役員、上席執行役員を経て、2013年6月同社取締役。2022年4月より同社代表取締役社長。 |
| 山本 忠幸 | 取締役 経営管理本部管掌 | 2000年4月同社入社。2006年6月より同社取締役。2025年4月より同社経営管理本部管掌。 |
| 小林 寛丈 | 取締役 | 1995年4月フォーバル入社。2001年10月同社出向。2019年6月より同社取締役。 |
| 谷井 剛 | 取締役 | 1996年6月同社入社。2000年6月より同社取締役。2007年6月同社代表取締役社長を経て、2022年4月より同社取締役。 |
社外取締役は、和田芳幸氏(公認会計士・和田会計事務所代表)、髙山梢氏(弁護士・真和総合法律事務所入所)です。
同社は監査等委員会設置会社です。社外取締役は、公認会計士や弁護士としての専門的知識と豊富な経験に基づき、独立した立場から経営の監督機能を果たしています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
フォーバルテレコムの役員報酬は、固定報酬である基本報酬、業績連動型の役員賞与、そして非金銭報酬としての株式報酬で構成されています。業績と株主価値への連動を重視し、役員賞与と株式報酬は常勤取締役(監査等委員を除く)を対象としています。社外取締役の報酬は、その独立性を考慮し基本報酬のみで構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 4名 | 1.5億円 | 36.6百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 10百万円 | 9.9百万円 |
| 社外役員 | 2名 | 8百万円 | 4.2百万円 |
なお、譲渡制限付株式報酬は、取締役(監査等委員である取締役及び社外取締役を除く。)5名のうち4名に付与されており、報酬の額は当事業年度において費用計上された額です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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