※本記事は、フォーバルテレコムの有価証券報告書(第31期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. フォーバルテレコムってどんな会社?
フォーバルテレコムは、通信や電力・ガスなどを組み合わせた各種サービスを中小法人向けに提供しています。
■(1) 会社概要
1995年に設立され、割引電話サービス等の提供を開始しました。2000年に東証マザーズに上場し、その後インターネット接続やIP電話へと事業を拡大しました。2014年には東証第二部へ市場変更し、近年では電力やガスの小売事業などユーティリティ分野にも進出しています。2022年に東証スタンダード市場へ移行しました。
従業員数は連結で197名、単体で102名です。筆頭株主は親会社であり情報通信コンサルタント業を展開するフォーバルで、第2位は投資事業組合を通じて光通信が保有しています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| フォーバル | 70.15% |
| 光通信KK投資事業有限責任組合 無限責任組合員光通信 | 6.50% |
| UH Partners 2投資事業有限責任組合 無限責任組合員UH Partners 2 | 1.14% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は行辰哉氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 行辰哉 | 代表取締役社長 | 1989年フォーバル入社。同社役員待遇や支社長等を歴任し、2013年フォーバルテレコム取締役に就任。2022年より現職。 |
| 山本忠幸 | 取締役経営管理本部管掌 | 2000年フォーバルテレコム入社。経営企画担当マネージャーを経て、2006年取締役に就任。2025年より現職。 |
| 小林寛丈 | 取締役 | 1995年フォーバル入社。2018年フォーバルテレコム入社。2019年取締役に就任し、2023年より現職。 |
| 谷井剛 | 取締役 | 1996年フォーバルテレコム入社。2007年に代表取締役社長を務め、関係会社役員を歴任後、2022年より現職。 |
| 指田直木 | 取締役(監査等委員) | 1998年フォーバルテレコム入社。経営企画部長を経て、2017年より現職。 |
社外取締役は、和田芳幸(和田会計事務所代表)、髙山梢(真和総合法律事務所入所)です。
2. 事業内容
同社グループは、「IP & Mobileソリューション・ビジネス」「ユーティリティ・ビジネス」「コンサルティング・ビジネス」事業を展開しています。
■IP & Mobileソリューション・ビジネス
法人向けのVoIPサービスやFMCサービス、個人向けのインターネット接続サービスおよび情報通信機器の販売等を提供しています。中小法人を中心に利便性の高い通信環境を整備しています。
収益は、顧客からの通信サービス利用料や機器販売代金等から得ています。運営はフォーバルテレコムが行っています。
■ユーティリティ・ビジネス
法人顧客を対象に、小売電気事業者としての電力提供やガス小売事業者としての都市ガスの提供を行っています。
収益は、顧客からの電力およびガスの利用代金から得ています。運営はフォーバルテレコムが行っています。
■コンサルティング・ビジネス
主に法人顧客に対して、経営支援コンサルティング、保険サービス、セキュリティサービス、コンテンツソリューション等を提供しています。
収益は、コンサルティング報酬や保険会社からの取次手数料などから得ています。運営はフォーバルテレコム、保険ステーション、タクトシステムが共同で行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は一時的に増加したものの直近で減少に転じています。一方、経常利益は安定して推移しており、利益率は緩やかな改善傾向にあります。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 218億円 | 247億円 | 231億円 | 257億円 | 240億円 |
| 経常利益 | 10億円 | 6億円 | 10億円 | 12億円 | 13億円 |
| 利益率(%) | 4.6% | 2.6% | 4.4% | 4.5% | 5.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 6億円 | 3億円 | 8億円 | 8億円 | 12億円 |
■(2) 損益計算書
売上高および売上総利益は減少したものの、販売費及び一般管理費の削減効果もあり、営業利益は増加し利益率も向上しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 257億円 | 240億円 |
| 売上総利益 | 60億円 | 55億円 |
| 売上総利益率(%) | 23.5% | 23.1% |
| 営業利益 | 11億円 | 12億円 |
| 営業利益率(%) | 4.4% | 5.2% |
販売費及び一般管理費のうち、支払手数料が8億円(構成比18.2%)、給与・賞与が6億円(同13.1%)を占めています。
■(3) セグメント収益
ユーティリティ分野やコンサルティング分野の売上高は安定的に推移していますが、IP & Mobile分野の売上が減少し、全体の売上高を押し下げる要因となっています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| IP & Mobileソリューション・ビジネス | 105億円 | 94億円 |
| ユーティリティ・ビジネス | 108億円 | 109億円 |
| コンサルティング・ビジネス | 37億円 | 37億円 |
| その他 | 6億円 | - |
| 連結(合計) | 257億円 | 240億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業で利益を出し、借入返済を行い投資も手元資金で賄う健全型です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 19億円 | 7億円 |
| 投資CF | -4億円 | -0.8億円 |
| 財務CF | -16億円 | -4億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は27.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は36.7%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
親会社であるフォーバルの社名語源である「For Social Value」の姿勢を受け継ぎ、「社会価値創出企業」を目指しています。情報通信サービスの分野において、安く、早く、そして簡単便利というユーザーの視点に立脚したより良いサービスを提供し、新たな社会価値の実現を目標として経営に取り組んでいます。
■(2) 企業文化
すべての事業活動を通じて発生する温室効果ガスの削減を心がけ地球環境の改善に取り組む「環境対策に関する方針」を定めており、環境への配慮を重視しています。また、社員に対する環境対策教育の実施や、働き方改革に伴う省エネ推進など、持続可能な社会への貢献を事業活動の中で推進しています。
■(3) 経営計画・目標
中長期的な経営指標として、継続的な成長および自己資本の効率的な経営を通じた価値創造企業となることを掲げています。具体的な経営上の目標値として、売上高や経常利益の安定的な成長率の改善に邁進し、現状の自己資本利益率(ROE)水準を維持していくことを目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
通信業界におけるダイナミックな事業環境の変化に機敏に対応し、中小法人ユーザーを主要ターゲットとして超高速通信インフラを利活用したサービスメニューを創出していく方針です。また、デジタルトランスフォーメーション(DX)とグリーントランスフォーメーション(GX)に本格的に取り組み、業務の自動化やカーボンニュートラル化を進めています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
従業員を経営における重要な資本と考え、能力や適性、実績を重視する人物本位の採用・配属・登用を行っています。人材育成においては、教育研修、社内コミュニケーション、業務改善の三分野で若手社員を中心としたプロジェクトを常設し、継続的かつ自発的な改善に取り組む環境を整備しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 39.1歳 | 7.3年 | 6,637,912円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 16.2% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 74.4% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 73.9% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 0.0% |
※男性労働者の育児休業取得率は有報に記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 「スマートひかり」サービスの展開
光ファイバー網を用いたIP電話等のサービスは、仕入先である通信事業者の事業展開やインフラの状況に依存しており、潤沢な回線確保の遅れや大規模災害等により、計画通りに顧客数を拡大できないリスクがあります。
■(2) 課金・請求システムの運用
自社構築の顧客データベースやシステムを活用していますが、予期せぬ不具合の表面化や新サービス導入時のシステム再構築等で想定外の投資が必要になるリスクや、障害による誤請求・回収遅延が発生するリスクがあります。
■(3) 仕入先や代理店との取引条件変動
少数の電気通信事業者等からサービスを仕入れているため、取引条件の変更による原価上昇や、顧客獲得を依存する販売代理店への支払条件の変動が、課金利ザヤを縮小させ収益性に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 減損処理の影響
事業用の有形・無形固定資産やのれん、繰延税金資産等を計上しており、将来の収益計画と実際の業績に乖離が生じた場合や時価の下落等により期待されるキャッシュ・フローが見込めなくなった場合、減損処理が発生するリスクがあります。



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