TBグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

TBグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

TBグループは東証スタンダード市場に上場する企業で、LED表示機やデジタルサイネージなどの「LED&ECO事業」、POSシステムなどの「SA機器事業」を展開しています。直近の業績は、売上高が横ばいで推移する一方、営業損失および経常損失が続いており、赤字からの脱却が課題となっています。


※本記事は、株式会社TBグループ の有価証券報告書(第91期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. TBグループってどんな会社?


TBグループは、LED表示機やデジタルサイネージ、POSシステム等の企画・開発・販売を行う企業です。

(1) 会社概要


同社は1946年に富士製作所として設立され、1961年に東証二部に上場しました。1978年に東和レジスター工業と合併し東和サン機電へ商号変更後、数回の変遷を経て2011年に現在のTBグループとなりました。2022年の市場区分見直しに伴い、東証スタンダード市場へ移行しています。長年にわたり店舗向け機器やサイネージ事業を展開しています。

2025年3月31日時点の従業員数は連結125名、単体47名です。筆頭株主は関連会社のホスピタルネットで、第2位は米国の証券会社、第3位は役員関係会社です。

氏名 持株比率
ホスピタルネット 14.34%
INTERACTIVE BROKERS LLC 5.74%
ビッグサンズ 5.05%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長兼社長は村田三郎氏です。社外取締役比率は約22.2%です。

氏名 役職 主な経歴
村田三郎 代表取締役会長兼社長 1969年船井電機入社。1978年ビッグサンズ設立・社長。2006年TBグループ取締役、同年会長を経て2021年より現職。
中野義雄 常務取締役事業推進本部長 1995年同社入社。執行役員商品本部本部長、取締役商品戦略本部長などを経て2019年より現職。
布川文保 取締役経営管理本部長 1990年同社入社。経営管理本部管理部長を経て2023年より現職。
武田利信 取締役 1981年ビッグサンズ入社。2007年ホスピタルネット社長(現任)。2015年より現職。


社外取締役は、谷正行(元レックスマークインターナショナル社長)、中島義雄(元財務省主計局次長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「LED&ECO事業」、「SA機器事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) LED&ECO事業


LED表示機およびデジタルサイネージ、LED照明などの企画・販売を行っています。屋外・屋内市場に向けた電子看板や、法人向けの大型サイネージなどを、店舗や公共交通機関等へ提供しています。

収益は主に製品の販売代金やクラウド活用のASP事業による利用料等から得ています。運営は主に同社が企画・開発を行い、同社、TOWA、Mビジュアル中日本などが販売を担っています。

(2) SA機器事業


POSシステム、電子レジスター(ECR)、オーダーエントリーシステム(OES)の開発・製造・販売に加え、宿泊施設の運営や医療・健康分野向け機器の販売も行っています。セルフレジやキャッシュレス対応機器も主力製品です。

収益は機器の販売代金や有料放送サービス、宿泊料などから得ています。運営は同社、TOWA、MAYUDAMA(宿泊施設運営)、スマートヘルスネット(医療・ホテル向け)などが行っています。

(3) その他事業


同社が保有するビルの賃貸等を行っています。

収益は不動産賃貸料などから得ています。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は23億円から24億円前後で推移しており、大きな成長は見られず横ばいから微減傾向にあります。利益面では、5期連続で経常損失および当期純損失を計上しており、赤字経営が続いています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 25億円 24億円 23億円 23億円 23億円
経常利益 -3.8億円 -2.0億円 -2.4億円 -2.3億円 -1.9億円
利益率(%) -15.4% -8.4% -10.4% -10.0% -8.0%
当期利益(親会社所有者帰属) -4.1億円 -1.4億円 -2.7億円 -2.4億円 -1.7億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高はほぼ横ばいですが、売上原価率の上昇等により売上総利益は微減しています。営業損失は続いていますが、販管費の抑制等により赤字幅はやや縮小しました。依然として営業段階からの赤字が継続しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 23億円 23億円
売上総利益 13億円 13億円
売上総利益率(%) 58.1% 57.4%
営業利益 -2.2億円 -2.0億円
営業利益率(%) -9.7% -8.4%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給与・賞与が6.9億円(構成比45%)、業務委託費が1.5億円(同9%)を占めています。売上原価の内訳データはありません。

(3) セグメント収益


当期において、LED&ECO事業は大型サイネージの受注増等により増収となり、セグメント利益も黒字転換しました。一方、SA機器事業はインボイス特需の反動やレジ需要の低迷により減収となり、赤字幅が拡大しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
LED&ECO事業 13億円 14億円 -0.5億円 0.0億円 0.2%
SA機器事業 10億円 9億円 -1.8億円 -2.0億円 -21.4%
その他事業 0.1億円 0.1億円 -0.0億円 -0.0億円 -9.2%
連結(合計) 23億円 23億円 -2.2億円 -2.0億円 -8.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF -2.7億円 -2.4億円
投資CF -0.3億円 -0.2億円
財務CF 1.4億円 1.9億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-27.6%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は38.7%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「喜んでもらう喜び 己も喜びたい」を社是としています。LED&ECO事業およびSA機器事業を中核とし、環境・健康・観光の「グッド3K」分野において、ニッチトップ経営を目指すことを方針として掲げています。

(2) 企業文化


同社は、「普及率ゼロ」の新商品およびビジネスモデルを創出することを重視しています。既存の枠組みにとらわれず、新たな市場を開拓する姿勢を大切にし、顧客に喜ばれることを通じて自らも喜びを感じるという価値観のもと事業活動を行っています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、安定的かつ永続的な成長のために、「営業利益率」と「1人当たり生産性」を重要な経営指標として位置づけています。これら指標の改善を通じて効率的な経営に努め、企業価値の向上を図ることを目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


ハードウェア販売主体のフロー型から、サービス提供を伴うストック型収益モデルへの転換を推進しています。LED事業では屋内市場やクラウド活用による広告事業の開拓、SA機器事業ではセルフレジや新ブランド「GO!プラットフォーム」の展開、ヘルスケア分野の推進に注力し、収益構造の転換を図っています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


組織力向上のため適切な人員配置を行うとともに、社内外の研修を通じて人材育成を支援しています。社員の多様なキャリア形成に応え、能力を発揮できる環境作りを推進しています。また、女性や外国人の管理職登用など、多様性の確保にも努め、新卒・中途採用においても性別・国籍を問わず積極的な採用を行っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 47.9歳 16.6年 4,840,088円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 9.3%
男性育児休業取得率 -%
男女賃金差異(全労働者) 68.1%
男女賃金差異(正規雇用) 72.7%
男女賃金差異(非正規雇用) 70.4%


※男性労働者の育児休業取得率について、同社は算出対象となる該当者がいなかったため「-」としています。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済環境・事業環境の変化


同社グループはグローバルに事業を展開しており、国内外の景気後退、競争激化、政策変更、政情不安等が業績に影響を与える可能性があります。特に、地方経済の低迷は主力事業であるLED表示機の販売に影響を及ぼしています。

(2) 技術革新による製品価値の下落


主要製品は電子・通信・画像処理技術を活用しており、著しい技術革新があった場合、製品の市場競争力が低下する恐れがあります。これに対し、同社は既存製品の品質向上や新市場向けの高付加価値製品の開発に努めています。

(3) 継続企業の前提に関する事象


同社グループは営業損失および当期純損失を計上しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる状況が存在しています。これに対し、収益モデルの転換や新市場開拓等の施策を進めるとともに、資金調達の協議等を行い、事業の継続を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。