TBグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

TBグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

TBグループは、東京証券取引所スタンダード市場に上場する企業です。LED表示機やデジタルサイネージを中心とするLED&ECO事業と、レジスターや宿泊施設・医療向け機器を扱うSA機器事業を主力としています。直近の業績は、法人向け領域の好調により増収となり、営業赤字も大幅に縮小するなど改善傾向にあります。


※本記事は、株式会社TBグループの有価証券報告書(第92期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. TBグループってどんな会社?


LED表示機や電子レジスターなどのハードウェアから、関連システムやサービスまでをトータルで提供する企業です。

(1) 会社概要


同社は1946年に設立され、1961年に東京証券取引所市場第二部へ上場しました。1976年に電子式金銭登録機(ECR)の製造を開始し、1978年に合併を経て東和サン機電へと社名を変更しました。その後も事業拡大を続け、2011年に現在のTBグループへ商号変更し、2022年にスタンダード市場へ移行しました。

現在、同社は連結で118名、単体で48名の従業員を擁しています。筆頭株主は同社創業者で代表の村田三郎氏で、第2位は事業会社のホスピタルネット、第3位は主要株主および役員の支配会社であるビッグサンズとなっています。

氏名 持株比率
村田 三郎 10.67%
ホスピタルネット 5.89%
ビッグサンズ 5.05%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長兼社長は村田三郎氏が務めており、取締役5名のうち2名が社外取締役です。

氏名 役職 主な経歴
村田 三郎 代表取締役会長兼社長 1969年船井電機入社。ビッグサンズ設立代表取締役社長などを経て、2007年より現職。
中野 義雄 常務取締役事業推進本部長 1995年同社入社。商品本部本部長などを経て2012年取締役。2017年より現職。
布川 文保 取締役経営管理本部長 1990年同社入社。管理部経理課長、管理部長などを経て2023年より現職。


社外取締役は、谷正行(元レックスマークインターナショナル社長)、中島義雄(元セーラー万年筆社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「LED&ECO事業」「SA機器事業」および「その他」事業を展開しています。

LED&ECO事業


LEDを利用した電子看板やデジタルサイネージ、屋内向け高精細LEDビジョンなどの企画・開発・販売を行っています。チェーンストアや公共交通機関、商業施設など幅広い顧客層に向けて、高品質で付加価値の高い表示機器を提供しています。

機器の販売によるフロー型収益に加え、ネットワーク対応サイネージやクラウド活用のASP事業など、サービス提供による継続的なストック型収益も得ています。同事業の運営は、同社およびTOWA、Mビジュアル中日本が行っています。

SA機器事業


POSシステムや電子レジスターなどの決済・店舗システム機器、およびカプセル型宿泊施設向け製品や病院・介護施設関連向けのシステム機器を開発・製造・販売しています。

ハードウェアの販売収益のほか、宿泊施設の運営収益や有料放送サービスによる収益も得ています。国内・海外向けの製品展開や施設の運営は、同社およびTOWA、MAYUDAMA、スマートヘルスネットが行っています。

その他事業


同社が保有する不動産を活用したビルの賃貸等の事業を行っています。

主にテナント等からの不動産賃貸収入を得ており、同事業の運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は23億円から24億円台で推移し、当期は大型案件の獲得などにより24.6億円に増加しました。一方、経常利益は継続して赤字が続いていますが、当期は赤字幅が大幅に縮小し改善傾向が見られます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 24.2億円 23.5億円 23.0億円 23.3億円 24.6億円
経常利益 -2.0億円 -2.4億円 -2.3億円 -1.9億円 -0.8億円
利益率(%) -8.4% -10.4% -10.0% -8.0% -3.3%
当期利益(親会社所有者帰属) -1.4億円 -2.7億円 -2.4億円 -1.7億円 -2.7億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益も前年から増加しています。また、販売費及び一般管理費が減少した結果、営業赤字が1.1億円縮小し、収益性の改善が進んでいます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 23.3億円 24.6億円
売上総利益 13.4億円 13.9億円
売上総利益率(%) 57.4% 56.3%
営業利益 -2.0億円 -0.8億円
営業利益率(%) -8.4% -3.4%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給与・賞与が6.4億円(構成比44%)、業務委託費が1.3億円(同9%)を占めています。

(3) セグメント収益


LED&ECO事業は、法人向け大型ビジョン領域の大規模空港案件獲得などが牽引し、大幅な増収となりました。一方、SA機器事業は、中小飲食店等向け領域の需要減退が響き減収となりました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
LEDDisplayProductsAndDigitalSignageReportableSegments 13.9億円 15.5億円
StoreAutomationReportableSegments 9.3億円 9.0億円
OperatingSegmentsNotIncludedInReportableSegmentsAndOtherRevenueGeneratingBusinessActivities 0.1億円 0.1億円
連結(合計) 23.3億円 24.6億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社の営業CF・投資CF・財務CFの推移から、資金繰りの状況をパターン化して分析します。
当期のキャッシュ・フローは「改善型」に分類されます。営業利益や資産売却によって得た資金で借入の返済を進め、財務体質の改善を図っている局面と言えます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -2.4億円 0.1億円
投資CF -0.2億円 1.1億円
財務CF 1.9億円 -1.1億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-36.0%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も34.8%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「喜んでもらう喜び 己も喜びたい」の社是のもと、LED&ECO事業およびSA機器事業を中核に「普及率ゼロ」の新商品およびビジネスモデルを創出することを使命としています。環境・健康・観光の「グッド3K」分野でニッチトップ経営を目指し、事業活動を通じて社会的意義を果たそうとしています。

(2) 企業文化


「人と環境に優しい企業グループ経営を目指し、世の中を明るくする」という企業理念のもと、付加価値の高い積極的な開発活動を行っています。また、多様な個性と価値観を尊重し、一人ひとりが持つ能力を最大限に発揮できる企業グループとして、関わるすべての人々との共生と社会への貢献を目指す文化を重視しています。

(3) 経営計画・目標


安定的かつ永続的に成長するために、「営業利益率」と「1人当たり生産性」を重要な経営指標と認識しています。これら指標の改善を目指して、効率的な経営に努め、企業価値の向上を図ることを中期的な目標として掲げています。

(4) 成長戦略と重点施策


従来のハードウェアセールス主体のフロー型収益モデルから、サービスを同時に提供するストック型収益モデルへのシフトを図っています。また、屋内市場に進出することで、売上高の増加と収益を継続的に計上する事業構造への転換を推進しています。

* LED&ECO事業での法人向け大型サイネージ拡販とアライアンス強化
* SA機器事業における低コストレジ「ガチャレジ」の開発・投入
* セルフレジラインナップの強化と遠隔接客システムの融合推進

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


組織力向上のために適切な人員配置を行うだけでなく、社外・社内研修等を通じて組織力向上に貢献する人材を育成・支援する方針です。社員が望む多彩なキャリア形成に応え、各自の能力を最大限に発揮できる環境づくりを推進するとともに、女性や外国人の管理職登用など多様性の確保にも努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 47.6歳 15.8年 4,947,857円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 7.4%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 70.3%
男女賃金差異(正規雇用) 73.3%
男女賃金差異(非正規雇用) 69.2%

※男性労働者の育児休業取得率について、同社は公表義務の対象ではないため記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済環境・事業環境の変化


アジア・北米・ヨーロッパを中心としてグローバルな事業展開を行っているため、世界的な景気後退や競争激化、あるいは特定の国・地域における予測不能な政策変更、規制強化、政情不安等により損失が発生した場合、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 技術革新による製品価値の下落


主要製品は電気通信や画像処理等の技術を活用して開発・製造されています。著しい技術革新が行われた場合に、同社製品の市場競争力が低下し、業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。同社は新市場に向けて付加価値の高い開発活動を行い、製品価値の向上に努めています。

(3) 為替変動の影響


外貨建て取引を行っており、為替変動リスクを軽減するため必要に応じて為替予約等のヘッジ取引を締結しています。しかし、これらの取引により当該リスクを完全に回避できる保証はなく、今後の為替変動によっては経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

(4) 取引先の信用低下と回収不安


取引先ごとに与信管理を行い、想定し得る回収リスクへの対策を講じていますが、全額回収を保証するものではありません。特定の取引先において、倒産等により債務不履行が生じた場合、同社の経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。